問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~ 作:しましまテキスト
この定型文もタブで出てくる程度になりました。
前話も読んで頂きありがとうございます。
今話は祖国君のギフトの一端を書いていければなぁと思います。
しかしほかの方々の作品を読んでいると、上手な言い回しであったり、伏線回収であったりと、勉強になることが多々ありますね。
自分の文才のなさは如何ともし難いですが、皆様に楽しんで頂けるように、これからも頑張っていきたいと思います。
それでは、今話をどうぞ。
現在、黒ウサギは上機嫌で後ろを歩く問題児たちを自らのコミュニティがある東側へと案内していた。
自らのコミュニティが極貧のがっけぷち状態にあることもばれず(黒ウサギがそう思っているだけであるが)即戦力級の人材を確保できれば、上機嫌になるのは当然といえば当然であった。
しばらく、歩いていくと前方に大きな石造りの門が見てきた。
良く見ると、その門の前に小さな人影が見えるではないか。
その人影を見つけると、黒ウサギは嬉しそうに
「ジン坊ちゃま!新しいお仲間の皆様をお連れいたしましたよ!」
と、ジンというその少年に声をかける。
「おかえり黒ウサギ。その女性お二人が?」
「はい、こちらの四人の方々が…って、あれ?」
とジンの言葉に後ろを振り返ってみると、なんとそこには耀と飛鳥の姿しかないではないか。
「あれ、もう二人ほどいらっしゃいませんでしたか?1人は金髪の『THE問題児』って方で、もう一人はおっしゃる事がいちいち容赦無い方が?」
あわれ祖国、黒ウサギを助けた恩もどこへやら。
黒ウサギの祖国への第一印象は爆弾投下魔に決定したのであった。
「十六夜君なら『ちょっと世界の果てを見てくるぜ!』って言って、駆けて行ったわよ。」
「そっ、祖国様は?」
「あの男は十六夜君に二つ返事でついていったわ。」
と、飛鳥が忌々しげに答える。
この場に祖国がいれば、
「はっ、”あの男”とは、またずいぶん嫌われたものだな」
などと軽口を言って、また飛鳥と一悶着起こしそうだなぁ、などと耀が考えていると、
「た、大変です!世界の果てにはギフトゲームのために野放しになっている幻獣たち
が!」
ジンが顔を蒼白にして叫ぶ。
黒ウサギも世界の果てがいかに危険な場所であるかは先刻承知している。
すぐさま問題児二名を連れ帰らなければという判断を下す。
「ジン坊ちゃま、お二人をお願いします。」
そう言うやいなや、黒ウサギは髪を緋色に変化させてこう宣言した。
「箱庭の貴族の名にかけて、あの問題児様2名は必ず連れ帰ります!」
そして、黒ウサギは地面にクレーターを作りながら、すさまじい速度で駆けて行くのであった。
そして祖国は本格的に黒ウサギに問題児認定されたのであった。
箱庭-とある森の中を”高速で移動”する二つの人影があった。
1人はおよそ人間では出せない様な速度で爆走する男、逆廻十六夜。
もう1人はお気に入りのパーカーに”手を突っ込んだまま”、悠然とした態度で”歩く”男、大宮祖国。
二つの影は一定以上離れることはなく、猛スピードで森を貫通していくのであった。
”どういう事だ?”
と十六夜は新幹線並みの速さで移動している自分に、パーカーに手を突っ込んだまま、しかも事もあろうに歩きながら、しかししっかりと付いて来ている隣の化物を見て考えていた。
”こいつの移動方法、いや最早移動とさえ呼べるのかさえ分からねえが、とにかくこいつ
の移動は目で追いきれねぇ。一体どうなってやがるんだ?”
と、十六夜は目の前で起こっている出鱈目な現象、現れてはすぐに消える祖国のギフトを分析していく。
”こいつの移動は俺みたいな高速移動じゃないな。髪が風圧で全くなびいてねぇ。それに俺の目の前の現象を素直に受け入れるなら、こいつは間違いなく”消えて”いる。って事は、テレポートとか瞬間移動系のギフトか?いや、それなら何故空中に放り出された時使わなかった?何か使用条件があるのか?”
と高速で思考をめぐらせていく十六夜。
しかし、決定的な答えを得られず、くしゃくしゃと頭をかく。
十六夜の眼前で起こっている祖国の移動方法の特異さを説明しよう。
数直線を思い浮かべるといいだろう。
十六夜の場合、数直線上の始点と終点を仮に0から100とすると、0からスタートし等速で移動し続けて100へ至る。
これは我々が普段行うのと同じごくごく自然な移動方法であり、当然であるが始点から終点の間にある1から99という点も通過する。
しかし祖国の移動方法は全く違う。
祖国は0からスタートすると1から9を素っ飛ばしていきなり10へ出現する。
つぎは10から20、20から30へと、十六夜が等速で線上を移動するのに対して、祖国は点から点へと移動する。
十六夜が”線”で移動するのに対して、祖国は”点”で移動する。
あるいは、十六夜はアナログ式に、祖国はデジタル式に移動しているとも言える。
もちろん、点から点への移動など常人には不可能なのだが、祖国のギフトがそれを可能にしている事は言うまでもない。
十六夜が高速で祖国のギフトを考察している間、祖国も十六夜の性能について考えを巡らせていた。
”まじかよ、あいつちょー早いじゃん。軽く時速300キロくらいはあるんじゃないか?でも、普通なら、あんな速度で移動したら身体が速度や風圧についていけずにボロボロになるはず…。だが、そんな様子も見たところは無いって事は、あいつの身体の頑丈さは半端ねーな。それにあれだけの速度を出す脚力…いや、足だけじゃないだろうな。恐らくあいつの筋力全般ヤベェ。パンチの威力は相当なもんだろう。さらに、高速で移動しながらも木々を確実に避けているあの動体視力と反射神経。はぁ、なんなんだよあのチート性能は。”
などと、十六夜の身体能力の性能をざっと考察する。
この大宮祖国、実は十六夜にも引けを取らない考察力をもっていたりするが、本人の性格と周囲のイメージもあわさり、知能派であることは極少数の者達しか知られていないのであった。
そんなこんなで森を爆走?していた二人であったが、不意に足を止めた。
もちろん疲れたからなどと言う理由ではない。
二人の目の前には、巨大という言葉すら生ぬるい、そんな圧倒的な大瀑布がそびえ立っていたのだ。
「ヤハハ、なんだよこれ!さすがにありえねぇだろ。」
と十六夜は楽しそうに笑い声をあげる。
「ああ、流石にここまでとは思っていなかったな。」
と、祖国も素直に驚きを口にした。
そして二人は気付く。
これからこの箱庭が自分たちの日常になるという事に、内心ワクワクしている事実に。
だがそんな感動に満ちた時間は総じて長く続かない物である。
突然、感慨をかみしめていた彼らに見知らぬ声がかかった。
「ほぉ、こんな所に人が来るのは一体いつ以来だろうな。」
声の方を見ると、大瀑布の滝壺から巨躯の大蛇が現れてきたでは無いか。
その様子を見た十六夜はさらに嬉しそうに声をあげる。
「おいおい、最高じゃねーか。まさかのサプライズプレゼントかよ!」
自らの身長の何倍もある白い大蛇を、しかし臆する様子もなく睨み付ける十六夜。
「ふん、人の子の分際で、不遜な輩よ。まぁいい。すぐに自分の身の丈を教えてやろ
う。小僧共、試練を選ぶがいい!」
そう大蛇が言うと、十六夜の目が怪しく光った。
「試練を選べだと?つまり、俺らを”試そう”って事か?」
「いかにも。神格保持者が人に試練を課す。それがこの箱庭における節理であろう。」
その大蛇の返答を聞くと、十六夜は先ほどまでの笑顔とはうってかわって悪い笑みを浮かべると、
「それじゃあ、お前が俺らを”試す”に値するか、試させてもらうぜ!」
そう言うやいなや、先程とは比べ物にならない速さで大蛇に近づき、その腹部を殴りつけた。
その威力たるや絶大で、自身の何倍もある大蛇を中に浮き上がらせ、事もあろうか大瀑布にたたきつけた。
その光景を見ていた祖国は
”いきなり腹パンとか鬼畜すぎだろ。つーかお前ら二人とも、俺を勝手にカウントしてんじゃねーよ。俺は無関係だろうが。”
と、至極当然の感想を抱いていたのだった。
ほどなくして先程の轟音を聞きつけたのか、髪を緋色にした黒ウサギが猛スピードで祖国の所へやってきた。
しかし何故か目が笑っていない。
黒ウサギはその勢いのまま祖国に近づくと、どこから取り出したのかその手には大きなハリセンが握られている。
そしてそのままの速度で祖国に近づくと、彼のの側頭部を何の躊躇もなく打ち抜いた。
かわいそうな祖国は自分がハリセンで吹っ飛ばされるなど夢にも思わなっただろう。ガードすることさえ忘れて頭に軽くはない一撃を受けた祖国は、そのまま吹っ飛び、大蛇のいた滝壺へとたたき落されたのだった。
この時、祖国が
”なんでやねん…”
と関西弁で思ったのは想像に難くないだろう。
祖国を滝壺にたたき落した後、黒ウサギは十六夜の方に向き直り、
「もう、いったいどこまで来てるんですか!?」
と抗議を開始した。
”あれっ、俺の時と対応違いすぎね?”
という祖国の心の声はもちろん届くわけはなく、黒ウサギは十六夜に文句を言い続けている。
しかし祖国はめげない子。
いつまでも水中で不貞腐れている訳にもいかず、陸地を目指そうと泳ぎ出した。
しかし運命は無情にも祖国を更なる不運へと巻き込む。
それは大蛇の復活。
十六夜に倒されたはずの水神は、人間風情に殴り飛ばされた怒りから起き上がり、己の誇りを守るために渾身にして最後の一撃を繰り出した。
その水神の全力は、自身の周りに3本もの大きな水の竜巻を発生させ、さらにそれらが一つに纏まり、到底人間では耐えられない威力を有する巨大な水の台風と化した。
台風は必死に泳いで(逃げて)いた祖国を巻き込むと、螺旋状の回転で祖国をもちあげ、たかだかと彼を上空へと放り出したのだった。
バッチャーン
そんな音と共に本日3回目の水面ダイブを完了する祖国。
二次被害を受けないうちにさっさと陸に上がった彼の顔には能面のような表情が張り付いている。
祖国を巻き上げた水神の全力の一撃は、どうやら十六夜の攻撃により霧散していたらしい。
祖国が服を絞り終えると、ちょうど十六夜が大蛇の頭部に蹴りをいれていた。
しかしその時の祖国には、もはやそんなことはどうでもよかった。
祖国はただ静かに、しかしかなり………キレていた。
どれくらいキレていたかというと、黒ウサギが愛用のハリセンを金剛杵で燃やして証拠を隠蔽し、十六夜が背後に感じた祖国の怒気によって水神の急所への攻撃をずらしてしまうぐらいにはキレていた。
頭部への蹴りで決めきれなかったことを悟った十六夜は、態勢を立て直すために蹴りの反動を利用して、祖国たちがいる陸へと着地した。
そして次の一撃で決めるべく大地を蹴ろうとし、しかし十六夜はそれを行動に移すことは出来なかった。
なぜなら目の前には、確実に今回の一番の被害者であろう彼 大宮祖国が明らかに怒気を含んだ瞳で十六夜を睨み付けていたが故に。
「後は俺にやらせろ」
と、有無を言わさぬ威圧感で祖国は十六夜に告げた。
断ればお前から殺すとでも言わんばかりの眼光を向けて。
流石の十六夜も、今の祖国に対してNOなどとは言えなかった。
黙って両手をあげると、せめてもの強がりにいつもの軽薄な笑みを浮かべながら、しかし素直に頷いた。
同時に水神も十六夜から受けたダメージが幾分回復したのか祖国たちを睨み付けると
「まだだ、まだ終わっていないぞ、小僧共!!!」
と雄叫びをあげ、
その直後、祖国が無造作に右腕を上から下へと振り下ろした。
と同時に、今まで見たことも無い程巨大な雷が、水神へと降り注いだ。
その威力は、がけを抉り、岩を砕き、水神は今まで感じた事のない程の苦痛に声さえあげられない。
そして数秒間にも及ぶその落雷は、その場所に小隕石でも落ちたのかと思えるほどの爪跡を残した。
滝壺はクレーターと化し、あまりの熱量に水が完全に蒸発してしまっていた。
現世の地獄絵図と言われれば、誰もが納得するだろう。
そんな惨劇を引き起こした張本人は、辛うじて生きている(だろう)水神に向かって無慈悲な言葉を吐き捨てた。
「うるせぇんだよ、蛇風情が。」
はい、祖国君大暴れですね(笑)
祖国君のギフトは白夜叉回と、そのあとちょくちょく補足していきたいと思います。
あと、今回の祖国君の移動説明でわからない箇所、質問等があれば、感想で送っていただければ返信させていただきます。
その他の質問、感想、批判、誤字脱字も受けつけております。
感想とか質問頂けると、超うれしいです。
それでは今回はこれにて。