問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~   作:しましまテキスト

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お久しぶりです。
おそらくしましたテキストという者だった気がします。

チラシ裏に移行して一発目の投稿。
まったりと更新していけたらいいなと思います。

まあ投稿間隔があきすぎて復帰しずらいムードなのは否めない。

あいも変わらずこんな作品ですが、読んで頂ける方はこれからもお付き合いくださいm(__)m


(仮)火龍編 別名設定を小出しにしていく章ともいう
そも大宮祖国とは何者か


 

「はてさて、いったいどうしたものか…」

 

西日のまぶしい光を手に持った扇で遮りながら白髪の美幼女、白夜叉はうーんと首をひねる。

彼女の悩みの種は手元の資料、その中に記された一人の人間に集約されていた。

 

「今回のゲームで奴の特異性がつまびらかになった以上、誰かが奴のバックアップとして支える必要がある。が、そのための資料作成でこんな事になるとは…。」

 

再度資料に目を落としながら、白夜叉は心底困ったといった風にため息をつく。

普段からは考えられない真面目な態度は、こと現状がそれほどまでに深刻であることを暗に告げていた。

 

 

 

事の発端は大宮祖国と魔王アルゴールとのギフトゲームまでさかのぼる。

 

 

 

彼、大宮祖国が文字通り最後の一撃で不死龍ケートスを打倒し、その後気絶した彼を魔王アルゴールは始末せず逃走。

その際の回線が何者かにジャックされていたせいもあり、当時の詳しい状況はいまだに把握できてはいないが、おそらくアルゴールは何者かの手によって匿われていると箱庭の者達は予想していた。

実際、各階層のフロアマスターが自身の管轄地を血眼で探し回ったが手がかり一つ掴めなかったことから、その線が濃厚である事は周知の事実となっている。

 

だが今回、真に特筆すべきはそこではない。

此度のゲームで最も神々の目を引いたのは魔王アルゴールや不死龍ケートスですらなかった。

彼らが注目したのはただ一人の小さな英雄、大宮祖国(・・・・)、そして彼の持つギフト”カット&ペースト”であったのだ。

 

「英雄が必要とされておるのかもしれんの。人類最終試練のタイムリミットが近い事はどの神話体系も気付いておるだろうしな…。」

 

そう呟いた白夜叉は、今回の褒美として用意していたはずの白金屋の茶菓子に手を伸ばした。

これを受けとるはずであった本人は、あまりの重体にとある保養施設に強制隔離状態だ。

まあ、あそこは変人だが腕の良い者がゴロゴロいることで有名な場所であるし、いかな重篤といえど彼らの腕を信用している彼女にしてみればそこまで大宮祖国の容体は懸念事項ではなかった。

 

「それよりも、今なすべきことは。」

 

糖分を補給し、ペラりと再度白夜叉が資料に目を通そうしたその時。

 

「白夜叉様、ただいま戻りました。」

 

暖簾の下から、清楚な和服に身を包んだ店員が姿を現した。

普段は割烹着姿が板についている彼女だが、今日の恰好もなかなかに似合っている。

今回出向いた先の相手が相手だけに致し方ないことではあるが、たまには和服で店番をさせようと密かに白夜叉は決意した。

 

「おお、ご苦労だったな。して、クイーンはなんと言っておった?」

 

「存じ上げないと。そもそもギフトを下賜するにしても見ず知らずの、しかもあんな不安定な形で渡すことはないとおっしゃっていました。」

 

「やはりか…。じゃがクイーン以外であのギフトを小僧に与えられる者など、この箱庭でもいるかどうか。」

 

半ば予想通りの店員の解答。

それがある種一番厄介な解答でもあるがゆえに、白夜叉は再度深いため息をつくのだった。

 

さて、今回のゲームで大宮祖国という存在が箱庭に知れ渡るに従い、必然的に神々はとある仮説に行き着いた。

その仮定はひどく当然で、真っ当なモノ。

 

『大宮祖国はクイーン・ハロウィンと関係があるのでは』

 

そう。

星の境界を支配する太陽と黄金の魔王。

かつて白夜叉と共に箱庭三大問題児として名をはせた女王(クイーン)との関係性である。

 

大宮祖国が使用するギフト"カット&ペースト"は、その性質上空間と大きな関わりが存在する。

対象を切り取る、切り取った対象を張り付ける。

その基本的な構成のどれもが対象との"境界"を基準にしてギフトを発動している以上、その大本となる権能を持つ神でなければ同系統のギフトは下賜できない。

 

加えて"カット&ペースト"は木星という大質量の物体さえも切り取ることができる上位種。

そんな規格外のギフトを授けることが出来るのも、あるいは可能性があるのもクイーン・ハロウィンをおいて他にはいない。

そう予想立て、白夜叉は女性店員をクイーンの元まで遣わせたのだが、

 

「当てが外れてしまったの。」

 

「ですが白夜叉様もそれはある程度予測されていたのでしょう?ですからこうやって私に外界の(・・・)彼を調べさせたのではないですか?」

 

「まあ、の。だが目下その調査結果資料に頭を悩ませているのも事実じゃ。いっそのことクイーンが下賜していたらどれだけ楽だったことか。」

 

厄介なことよとボヤきながら資料を捲る白夜叉。

箱庭でも最古参の存在としてかなり深い知識を持ちながらも、なお今回の事態は彼女の上をいくものであるらしい。

 

そもそも、人間がギフトを持つにいたる道筋は大別して2つある。

 

一つは世界に必要な事象を起こすために、神々が人間にギフトを「授ける」というパターン。

織田信長を歴史的舞台から退場させるために、明知光秀により強大なギフトを与えて確実に討伐させる例がこれにあたる。

もう一つは英雄と呼ばれるに至った存在が、自身の人生のイベント、あるいは人生そのものをギフトとして「昇華させる」というパターン。

アキレスの一部を除いた無敵装甲が良い例だろう。

 

このうち大宮祖国のギフトは前者、つまり誰かから与えられたモノではない。

となると残る可能性は一つ。

 

「自身の来歴をギフトとして昇華した場合、ですね。」

 

「そう、だがこうも特殊な来歴では見当もつけられんぞ…。」

 

「そうですね。彼には申し訳ないですが、私も調べていくうちに不気味さを禁じえませでした。」

 

「仕方あるまい。まさか紀元前数千年頃から最新の年代まで、外界のあらゆる収束点(・・・・・・・・・・)に偏在する人間など聞いたことがない。いや、そもそもあの小僧は人間なのかのぉ。」

 

白夜叉は彼の正体を探るにあたって、サウザンドアイズのコネをいかんなく発揮し店員に外界の大宮祖国をすでに調べ上げさせていた。

そして、その中で彼の出生における極めて高い異常性につき当たったのだ。

 

それが外界で彼が存在する「時間軸」。

観測する世界ごとに紀元前数千年から最新までと、ありとあらゆる世界の様々な時間軸に彼が存在したのだ。

例えば、Aという外界では16世紀の地動説発表に関わったり、またBという世界では20世紀の核開発に関与したりといった具合に、大宮祖国という存在が確認された時間軸が外界毎にバラバラであったのだ。

 

通常ならばこの様なことはあり得ない。

英雄や神の出生、あるいは発生の時期は、どの外界の時間軸においても多少のーそれこそ数年程度の誤差こそあれど、今回の大宮祖国のような大規模な誤差は生じ得ない。

 

逆廻十六夜の出生が第三種星辰粒子体開発に深く関わるように。

久遠飛鳥の出生が第二次世界大戦後の日本をけん引するように。

春日部耀の出生がゲノムツリー計画の末の世界であるように。

彼ら英雄は、その時代で果たす「役割」と「場所」が与えられてこそ英雄たりえるのだ。

そしてそれは神とて例外ではない。

 

しかし、こと大宮祖国にいたってはそれが当てはまらない。

彼はあらゆる外界の、あらゆる時間軸の、あらゆる収束点において、その存在が確認されている。

 

とある外界では世界最古の戦争と呼ばれる戦いの中、勇猛果敢に敵将を討ち

 

またとある外界では世界最大の発明を成しえる偉人を陰ながら支え

 

そしてある外界では史上最悪と呼ばれる天災を人智を集結して踏破したりと。

 

人類史が経験してきた歴史の転換期すべて(・・・・・・・・・)において”必ず出現する存在X”。

それが彼、大宮祖国の正体であったのだ。

 

「やれやれ。私も色々と経験してきたつもりだったが、まさかこの様なやつがおるとはな…。」

 

「そこについては同感です。いくら箱庭広しといえど、この様な来歴を持つ人間はあの方だけだと思いますよ。」

 

「当然じゃ。こんな奴がポンポンいて堪るか!」

 

白夜叉の軽口に対し、それはそうだと肩をすくめる女性店員。

この様なイレギュラーがそうそう何人もいては、彼女も彼女の上司もたまったものではないだろう。

 

「して、今回の件、おんしはどう思う?」

 

「どう、とは?」

 

「決まっておろう。あの小僧の正体、おんしはどう考えておるのだ?」

 

手に持つ資料から目を離し、白夜叉は店員に問いかける。

実はこの女性店員、サウザンドアイズ大幹部白夜叉のお目付を任されるだけありかなり優秀であった。

一般的な礼節から審美眼、ひいてはギフトゲームへの造詣まで様々な分野において精通しており、白夜叉の懐刀としての役割も担っている。

そんな彼女に、白夜叉が意見を求めたのもある種当然といえば当然の事であった。

 

「…そうですね。」

 

白夜叉の無茶ぶりに眉を寄せる店員。

たっぷりと十数秒考え込んだのち、おもむろに、だがしっかりとした口調で、彼女は自身の仮説を口にした。

 

「あくまで私の考えですが…、現在の情報で考えられる可能性としては2通りのパターンが考えられます。そしてそのどちらの場合でも、大宮祖国という存在は…」

 

「人間ではない、か?」

 

「はい。まず一つ目の仮説ですが、”大宮祖国とは歴史の転換期に発生した影響αを後世に正しく導くために生まれた存在の総称である”というモノです。ですがこれですと、彼は神霊かそれに近い存在という事になりますので、神格がほぼ感じられない今の彼の状態と矛盾します。加えて、アルゴールの魔眼で彼が石化しなかったのも気になるところです。」

 

「確かに、あれは霊格の大小に関係なく作用する厄介なモノじゃからの。あれが反応しないとなると霊格がほぼ無いに等しいことになる。そんな状態で並みの神霊が生きていけるとは到底思えん。」

 

女性店員の適格な読みに、白夜叉も首肯する。

 

彼女の第一の仮説。

それは歴史の転換期に必ず大宮祖国が現れる理由が、どの外界でも共通して望まれる”何か”にあると仮定して導かれたモノだ。

それはつまり”大宮祖国は歴史の転換期において何かしらの役割を与えられて生まれてくる存在である”という事。

 

ではその役割とは何か?

それこそが”転換期に発生した影響αを後世に正しく導く”というモノであると、彼女は予想したのだ。

 

これはなにも不思議なことではない。

人類が常に新しい歴史、新しい革新、新しい力を手に入れるごとに、その影響から負の連鎖が発生することは珍しくないからだ。

 

新しいエネルギーとして人類を導くはずが、兵器に転用され時に猛威を振るった核エネルギー。

炭鉱夫の作業効率化を図って生み出されたはずが、結果として大量虐殺につながったダイナマイト。

もはや善悪で判断できない状況さえも、時には戦争という方法で戦勝国が歴史をねつ造する近代戦争。

 

歴史の転換期は必ずしも、全ての人類に救いの手を差し伸べたりはしない。

 

そういった負の面の、ある種抑止力として望まれた存在。

それが大宮祖国ではないかというのが、この第一の仮説であった。

まあ実際は、店員も白夜叉もこの可能性は極めて低いと考えていたのだが。

 

「それで、おんしの言う二つ目の仮説とやらを聞かせてもらおうかの。」

 

「はい。私の仮説の二つ目、それは”大宮祖国とは個人の名称ではなく、各外界で歴史の転換期を起こした組織の総称である”という仮説です。」

 

「ほう。つまり大宮祖国は特定の人物ではなく、その歴史の転換期に関わった群体であると?だが奴が関わっている歴史の転換期は外界で発生したすべての転換期だ。それに共通して関わっている組織など箱庭で感知できないはずがなかろう?」

 

「ええ。私もそれについては未だに明確な解答を持てていないのですが…。ただその組織が共通のものであれ、あるいは別物であれ、組織として何かしらの志を共にしていた以上根底部分では共通する何か(・・)があったと考えるのが妥当です。」

 

「では、その何か(・・)が大宮祖国の核となる部分であると?」

 

「仮定に仮定を重ねた話ですが。共通の組織ならばそれこそ目指す理念があるはずですし、組織が外界毎に別物だとしても根底部分では通じるものがあってもおかしくはないかと。彼ら組織の核とする何か(・・)が次第に信仰を帯び神格化されていったとしたなら。そしてその神格化された存在が大宮祖国という形で外界に顕現していたとするなら。彼という旗頭を筆頭に、大宮祖国という組織が外界で確認される可能性は十分考えられるかと。」

 

「…なかなか興味深い意見よの。」

 

店員の第二の仮説に深く考え込む白夜叉。

大宮祖国が個人ではなく群体なのだとしたら、彼女の説明のとおり彼が転換期すべてに出現することの一応の理由はつくだろう。

 

だが外界の転換期すべてで観測されるほどの強い思想の核ならば、それこそ並みの神霊以上の神格をもっていなければ説明がつかない。

思想ゲームの域を出ないラプラスやマクスウェルですら、この箱庭においては強大なギフトや神格を持つ。

もし外界の転換期すべてに共通する思想ならば、それこそ第三桁(全能)の域にいなければパワーバランスとしては成り立たない。

 

「当然この考えが100%正しいとは考えていませんし、おそらく我々の知らない何かがまだ彼にはあるのでしょう。」

 

「…そうじゃな。どうも情報が断片的すぎていかん。」

 

「同意見です。もう一度外界の情報を収集してみることにしましょう。それにそろそろラプラスの小悪魔が目覚める頃合いです。彼女にも協力を申し出てみるのも一計かと。」

 

「ああ、好きなように調べてくれ。必要ならば親書もこちらでそろえよう。」

 

白夜叉の気の利いた申し出に、女性店員はぺこりと頭を下げ謝意を伝えるとそそくさと退室した。

 

同時に、ちょうど白夜叉も集中力が切れたのだろう。

コキコキと肩を回すと、懐からお気に入りのキセルを取り出して仕事終わりの一杯をふかした。

やれやれ参ったことだとボヤきながら、未だ眩しい西日の空に煙が溶ける。

 

 

 

はたして大宮祖国とは何者なのか。

 

 

 

その問いの答えを、彼は、そして彼の仲間達は、これからこの箱庭で知ることとなるのか。

 

 

 

そこはかとない疑念を胸に抱きながら、白夜叉は今晩の女性店員の晩御飯に思いを馳せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





なんかだいぶ前の事過ぎて、自分で作った設定すら危うい今日のこの頃。
原作と食い違う部分があれば、適宜ご連絡ください。
修正可能な範囲で直していきたいと思いますので。

ご感想、批判、疑問等はコメント欄までよろしくお願いいたします。
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