問題児たちが異世界から来るそうですよ?~えっ、俺も問題児?~   作:しましまテキスト

6 / 44
こんにちは、しましまテキストです。
本日二話目になります。

お気に入りが10件を突破いたしました!
こんな駄文を気に入っていただき誠にありがとうございます。
何度も感想を書いていただいている方もいて、筆者は本当に恵まれていると思います。
これからも、頑張って執筆していきますのでよろしくお願いいたします!

それでは今話をどうぞ。


悪役の救済

祖国がクレーターを水でみたし終えると、黒ウサギが祖国と十六夜に

「それでは、お二人様。そろそろ東側へとご案内させていただいてもよろしいですか?飛鳥様、耀様にもお待ちいただいていることですし。」

と切り出した。しかし祖国には、どうしても確認しておかなければいけない事があった。

恐らく十六夜も気づいているだろうと目を向けると、十六夜も同じ事を考えていたようであり、

「その前に、一つだけいいか?黒ウサギ、お前俺らに何か決定的なことを隠してるだろ?」

と、確信的な物言いで言い放った。内心動揺しながらも、黒ウサギは平静を装って

「なっ、何の事でございますか?」

というが、声が上ずっている。

黒ウサギの返答にお構いなく、十六夜は自分の考えをまくし立てる。

「これは俺の勘なんだが、お前たちのコミュニティとやらは崖っぷちのギリギリなんじゃないか?しかも、この世界でかなり肩身の狭い思いをしている。じゃなきゃ異世界からわざわざ俺たちを呼んだりなんかする必要がないもんな?そんで、俺たちみたいにおかしな才能を持った奴らに助けてもらおうと、そういう考えなんじゃねえか?」

「そ、それは…」

「言いよどむって事は、図星か?」

黒ウサギはしばし沈黙した後に

「その通りでございます。」

と沈鬱な表情で頷き、自らのコミュニティに何があったか、そしてその現状を語り始めた。

まあ長くなるので話の要点だけを抑えると、

・かつて黒ウサギのいたコミュニティは東側最大級の物だった。

・しかし、”魔王”と呼ばれる存在に滅ぼされ、名と旗印を奪われた。

・今は主要メンバーは黒ウサギしか残っていない。

・残りのメンバーはゲームにも参加できない子供ばかり。

という、よくまあ今まで持ってきたものだと思える内容だった。

そして最後に黒ウサギは

「どうか、お二人のお力を貸してはいただけないでしょうか?」

と今にも泣き出しそうな表情で祖国と十六夜に懇願した。

そんな黒ウサギの必死の訴えを

「ヤハハ、魔王から名と旗印を奪い返すだと!最高に燃えるじゃねーか!」

と一方は快く引き受け、もう一方は

「えっ、嫌だけど。」

と、にべもなく断ったのだった。

どちらがどちらかは言うまでもないだろう。

 

 

「じゃ、俺もう行くわ。」

と、祖国は黒ウサギの申し出を断ったのち、すぐにその場を去ろうとした。

もうここには用はないと言わんばかりに。

しかし、黒ウサギも諦めるわけにはいかないと、必死に食らいつく。

「待ってください祖国様!水神様をも一撃で屠るその力、黒ウサギのコミュニティの再建の為に是非とも貸していただけないでしょうか?」

すると祖国はハァとため息をつくと黒ウサギに問いかけた。

「お前さあ、どうして自分を騙してコミュニティに入れようとしてた連中を信用できると思うわけ?」

「それは…」

「それにお前のさっきの話も何ら根拠はない。一体どうやって証明するんだよ?」

「今は黒ウサギを信じていただくしか…」

「はっ、信じる?お前は俺らを信用してないのに、俺らには信用をしろだと?身勝手な話だな。」

「皆様を信用していないなど!」

「ならどうして、最初から全てを話さなかった?俺らがお前らの現状を知ったら助けを拒むと、俺らを信用していなかったからだろ?」

「………」

「それにもし俺らが何も気づかずにお前のコミュニティに入ったとして、実際にコミュニティがボロボロだったら、俺らが不満の一つも感じないとでも?そんな騙すような方法で入れられたコミュニティに献身的に奉仕するとでも思ったのか?」

「……ならば、どうすればよかったと言うのですか!?」

と黒ウサギは瞳にうっすら涙を浮かべながら祖国に叫んだ。

しかし祖国は、心底失望した様子でかぶりを振った。

「そんな事もわからねぇのか?お前らには最初から選択肢なんて無かったんだよ。お前たちに出来ることはただ、全てを包み隠さず伝える事。そしてお前らの窮地を理解し、それでも尚手を差し伸べてくれる、そんな信頼しあえる仲間を作ること。ただそれだけだ。」

そして祖国がとどめの一言を言おうとしたその時、

 

「まあ、そこら辺にしとけよ祖国」

 

と十六夜が止めに入った。

「お前の言い分は往々にして正しい。だがな、」

十六夜は咎めるような目でこう続けた。

「やりすぎだ。」

と。

実際黒ウサギは自慢の耳をへにょらせて、背後には黒いオーラをまとい、この世の終わりのごとく沈鬱な表情をしていた。

流石に祖国もやりすぎたと思ったのか、軽く肩をすくめると

「はぁ、分かったよ。」

と十六夜に謝罪した。

 

そして祖国は、涙目で座り込んでいる黒ウサギに近づくと、自身の右手を黒ウサギの頭のうえにポンと置き、彼女の頭をなぜながらこう言った。

 

「だからな、黒ウサギ、二度目は無いぞ。」

 

その表情には一切の敵意も悪意もなく、ただ純粋に許しに満ちていた。

その行動に、その言葉に、その表情に、黒ウサギは心から救われた気がした。

黒ウサギとて、祖国たちを騙すような真似は、本当はしたいはずがなかった。

だが、コミュニティのため、そして多大な負担を強いている子供たちのため、そう自分に言い聞かせて黒ウサギは自分の気持ちを封じ込めた。

しかし目の前の男 大宮祖国はそんな黒ウサギの偽りの気持ちを見破った上で、許すといった。

その瞬間、黒ウサギの封じ込めていたはずの感情が一気にこみ上げてきた。

罪悪感、後悔、うしろめたさ……

そのすべてを含めて目の前の男は、それでも「許す」とそういったのだ。

 

いつの間にか黒ウサギは祖国の胸で泣いていた。

自らの胸の中にたまっていたものを全て吐き出す様に。

それと同時に、彼女はようやく大宮祖国という男を理解した。

 

なんだ、そんな事だったのか。

 

考えてみれば簡単なことだった。

 

そう、彼はただどうしようもないぐらい底抜けに、

 

”優しい”

 

ただそれだけなのだと。

 

 

 

 

数分後、ようやく黒ウサギが落ち着くと、

「んじゃあ、そろそろ東側へ行くとしますか。」

と祖国は黒ウサギに提案した。

「ヤハハ、そうだな、誰かさんが黒ウサギを号泣させるから、大分時間くっちまたぜ。」

「うっせーよ。」

「号泣なんてしてないのですよ!」

と黒ウサギは顔を真っ赤にして否定するが。

「「いや、してただろ。」」

という男性陣のデリカシーのかけらもないツッコミをうけ、

「と、とにかく急ぎますよ!」

とその場を文字どおり脱兎のごとく走り出したのだった。

 

 




今話も読んで頂きありがとうございます
すいません。
やっぱサウザンドアイズまでは無理でした(笑)
恐らく、次の次くらいになると思います。

一応、祖国君があんまりにも悪者みたいだったので救済してみました。
断じてフラグではない………はずだ。
そもそも筆者に恋愛描写は無理ですので(笑)
批判、感想、質問待ってます!
それでは今回はこれにて。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。