私は知らない
登場人物の性別は、ご想像にお任せします
美しいと思う方をお選びください
目を覚ました時、私は不思議な部屋にいた
そこには安物のテーブルが一つ、その上には手紙とやけにインクの少ないボールペンが置かれている
……それと文章に起こして説明するのが憚られるほどの変態が一人いた
無論私のことではない
直視し続けるとSAN値が削れる気がしたので、私は机の上の手紙を読むことにした
『あなたがこの文章を読んでいるということは、既に私は命を落としたということでしょう。
……待ってください、やっぱり生きてます。
周囲を見渡してください。
尻に鈍く輝く半球をくっつけて震えている人間がいると思います。
ああ、こっちを見ているようですね。こんばんわ。』
不思議なことにその手紙は読んだ先から次々に文章が浮き出てくる
私はつい文章に従ってそれを出力しているであろう変態に目を向けてしまった
一体いつからそんな事をしているのだろうか
変態はびっしりと脂汗を身体中にかきながらもこちらに微笑みかけてきた
咄嗟に私が目を逸らした先にはまたあの手紙があった
『ああ、そう怖がらないで。
私だって好きでこんな事をしているわけじゃないんです。
……別に嫌いというわけではありませんが。
本題に入りましょうか。
あなたは「デーモンコア」をご存知ですか?
はい いいえ 』
二文目を見て少し期待した私がバカだった
そして……これはペンを使って選べという事なのだろうか?
あれとコミュニケーションを取らなければいけない状況に私は吐き気すら覚えた
だが何事にも対話は不可欠だ
そしてこの質問
私は「デーモンコア」がどのようなものなのかあまり知らない
インターネットで聞き齧ったくらいで見た目を想像することは辛うじてできるくらいだ
おそらくあの尻についた物体に大きく関係しているのだろう
この変態に教えをこうのは屈辱的だが、無知を自覚しているのにそれを改善しないのは愚か者がすることだ
私は『いいえ』に丸をつけた
『なるほど、ご存知ないのですね。
わかりました、ではこれを。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%82%A2』
手紙に浮き出た下線を引かれたURLを触ってみると、なぜかページが開いた
どうして紙媒体のURLでWikipediaが開けるのか
私はそれを考え込もうとしたが、思考を開始する直前でそれがどれだけ無駄であるかを悟り、知識を得る事に集中した
しばらく読み込んでページを閉じると、再び文章が浮き出てきた
『ああ、読み終わったようですね。お疲れ様です。
それでは今度こそ本題に入りましょうか。
薄々察しはついていると思うのですが、現在私は死の危機に陥っています
……あなたが私の状況を文章に起こすのを躊躇ったので私が直々に説明するしかないようですね。
現在、私のアナルはデーモンコアの上部から生えている極太ディルドと接続されています。
そしてその真下にはデーモンコアの下部が謎の力で浮遊しており、それにもディルドが生えていると思います。
しかも、私は全裸に目隠しな上四肢を鎖で縛られて宙吊りの状態にあり、この場を動くことができません。
そうです、今の私には締め付けることしかできないのです。
そこであなたに下にあるデーモンコアの下部の位置をずらして貰いたいのです。
わかりましたか?』
既に考えることをやめていた私の動きは素早かった
手紙を読み終わるや否やすぐに変態の真下に飛び込み、デーモンコアに生えたディルドを両手で掴むと、力の限りそれを引っ張ろうとした
しかし、なぜかたっぷりと塗られたローションで手が滑る上に、その半球はどのような力を使ってもびくともしなかった
やがて諦めた私は再び手紙に目を向けた
『説明はまだ終わっていませんよ。
やっと諦めてくれましたね。
一番大事なことを説明させて貰いますよ。
そのデーモンコアは「アナルの力」でしか動きません。
少し下品な話にはなりますが落ち着いて聞いてください。
あのデーモンコアには呪いがかけられていて、ディルドがアナルに挿入された状態じゃないと動かないようになっています。
……初体験の方に頼むのは大変心苦しいのですが、どうかあのディルドをあなたのアナルに挿入してもらえないでしょうか?』
私は深く悩んだ
大切なアナル処女をこんな所で散らせていいものか
それにいったいどうやって挿入しろと言うのか
ディルドが向いてる方向は真下、地面からの距離は1mほどはある
私は自分のアナルを垂直にしたままそこまで到達する方法を知らない
『挿入に関しては問題ありませんよ。
私がサポートいたします。』
……非常に悩ましい
本音を言うと自分のアナル処女などどうでもいい
そんなことより早くこの変態と別の空間に移動したい
つまり答えは……
『ああ!良かった……。
引き受けてくださるのですね。』
私は覚悟を決め、下着ごと豪快に服を脱ぎ去り、全裸の状態でそのディルドと対面した
18cmはあるだろうか
あまりに凶悪なフォルムに怖気付きそうになったがすんでのところで気合いを入れ直す
腰を落とし、尻をデーモンコアに向けた状態で尻の割れ目を手で広げる
無様な格好だが、なぜか今はそれが誇らしい
『それでは行きます、3、2、1。』
カウントダウンの数字が浮き出るのがやけにゆっくりに見えた
だが、それがゾーンに入ったからなのか変態の躊躇いのせいなのかを考えれるほど、時間は遅くなかった
『0。』
手紙に浮き出るカウントダウンの0の文字が見えるや否や、私の直腸S状部に届く勢いでディルドが突き刺さる
いくらローションが塗られているからといって痛くないわけではない
あまりの痛みに気を失いそうになるが、ギリギリのところでそれを押し留める
初めて対峙する感覚と挨拶する前に、やるべき事を終わらせなければ
先ほど広げたアナルをしっかりと締め、生まれたての子鹿のような足取りで一歩、また一歩と進む
これをチャリティー番組で流せばオーディエンスの1割は落涙するのではなかろうか
デーモンコアは上下合わせて6.2kg
つまり私は肛門括約筋のみで3.1kgの重みを支えている事になる
挿入された時はローションをありがたく感じたが、今はむしろその逆だ
ローションのぬめりでディルドが抜けそうになっている
それを落とさないように強く、強く締め付ける
……待てよ、別にもう落としたっていいんじゃないか?
後ろを振り向くと変態が2mほど離れた場所にいることがわかった
私は自分がやり遂げた事を確信してアナルから力を抜こうとした
その時だった
今まで気にも留めていなかった床が、鈍く輝いている事に気づく
そう、この部屋自体が巨大なデーモンコアだったのだ
刹那、私は再びアナルを引き締める
ディルドが完全に抜け切ることはなかったが、根本がかなり外部に露出している
おそらく直腸に残されているのは約11cmほど
つまり私は約1.6倍の力で肛門括約筋を絞めなければいけない
そして絶望的なのが、この部屋に出口がないこと
私は……どうすれば?
ふと目線を床に向けると、そこには手紙があった
『私のデーモンコアを引き抜いてください。
おそらく、それが助かる唯一の道です。』
浮き上がった文字に疑念を抱く余裕を、今の私は持ち合わせていなかった
藁にもすがる思いで、一歩、また一歩と変態に歩み寄る
あまりの絶望から、今はそのディルドがエクスカリバーのように見える
変態のアナルから少し飛び出したディルドの根本を、アーサー王のような気分で引き抜く
ぬぷり…ぬぷ…
どれだけの時間をここで過ごしたのだろうか
変態の肛門括約筋は地上最強と言っても過言ではない強度を誇っていた
1cmずつ、ゆっくりと引き抜く度に変態は浄化されていくかの如く晴れやかな顔になっていく
ついに亀の部分まで引き抜いた
残り2cmといったところか
悔いの残らないように、私はそれを思いっきり引っこ抜いた
『あああああああああああああああああああっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!』
若干予想はしていたがその予想を数十倍上回る勢いで変態が痙攣する
あまりの勢いに鎖がちぎれ、変態が解き放たれる
その強くなりすぎた肛門括約筋が自由になった反動でとてつもない痛みと快感に襲われているのだろう
それに共鳴するかのように、手紙が空に舞い上がった
しばらくくしゃくしゃになったり、開いたりを繰り返したのち、バリバリと言う音と共に手紙が宙で粉々になった
細かい紙が大量に降り注ぐ
つい両手を合わせて拝みそうになるが、自分がエクスカリバーを握っている事に気づく
扱い方はムジョルニアと同じだが
すると突然視界が真っ暗になった
これは……目隠し?
抵抗しようにも肛門括約筋に割く力が大きすぎて声一つ上げることができない
いったい何をするつもりなのだろうか
変態は助かる道があると言ったが、これがそれなのか?
今の私には考えることしかできなかった
その後私は手首に鎖を結ばれ、そのうち宙吊りにされた
握り続けていたエクスカリバーは変態に奪われた
汗が止まらない
やがて物音がしなくなり、私は身動きひとつ取れなくなった
「新しい手紙を置いておきます」
突然声が聞こえた
その瞬間、私は全てを悟った
「さようなら」
声を出せないのが心底残念だ
何かが動く音が聞こえる
変態がここを脱出したのだろうか
それから何かが聞こえてくることはなかった
………どれほどの時間が経ったのだろう
私は既に正気を失い、アナルを締め続ける以外何もできなくなっていた
この部屋のものを自在に操れるようになったが、そんなことはどうでもいい
ずっと肛門括約筋を酷使したせいか、あと数時間もすれば私のアナルは動かなくなる
こんなことならあの変態の顔を拝んでおけば良かった
こうなったらやれることはもうほとんどない
できることと言ったら遺書を書くことくらいだろう
書き出しは……
『あなたがこの文章を読んでいるということは、既に私は命を落としたということでしょう。』
その瞬間どこかから物音がした。
その希望の光に私のアナルがより強く締め付けられた
THE END
上と下が繋がっています
ムカデ人間みたいですね