二年前に憑依転生(死にかけ)をしたオリ主がお金稼ぎのために地方から上京し、ダークギャザリングの霊に追い掛け回されたりする話。



※注意事項です
この二次創作はダークギャザリングときさらぎ異聞のクロスオーバーになっています。
私の人物像や設定の把握不足により、キャラクターの崩壊、設定の破綻などを引き起こしてしまっている場合があります。
そして私は小説の執筆が素人なため意味が正しくない言葉の使われ方をしていたり、句点、句読点の扱いが正しくない、誤字脱字などが目立ったり、意味の分からない描写をしている場合があります。
また、若干のホラー要素や、都市伝説などの要素も含まれます。
これらが苦手な読者様はブラウザバックを推奨させていただきます。

要素的にはダークギャザリングが主で、設定の一部や特定のキャラクターをきさらぎ異聞からクロスオーバーさせています。

これらが大丈夫な読者様は拙作を楽しんでいただければ幸いです。

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是非拙作を楽しんでいただければ幸いです。


クレイジーオカルトロリ

都内某所にて、寶月夜宵は心霊スポットに訪れていた。

 

「...またいない?」

 

彼女は幽霊をはっきりと見ることができる霊媒体質で、無類のオカルトマニアであり、心霊スポットを巡りながら霊を収集している。

 

「これで8件目」

 

しかし、最近は行く先々の心霊スポットで霊がいなくなっている影響でなかなか霊を収集出来ずにいた。

 

霊能者によるものかも知れないが、それにしてはペースが早すぎる。基本的に霊能者は依頼を受けてから仕事を行う関係上、絶対に仕事の無い期間が少なからずとも存在しているはずなので霊能者である線は低いだろう。

 

もちろん例外はあるだろうが、基本的に霊を殺すというのは命懸けだ。よっぽど腕に自信を持っていなければ、そうできるものではない。

 

他にも幽霊が移動したというケースも考えられないことも無いが、基本幽霊はその場にとどまることがほとんどであり、この短い期間で8箇所もの霊が同時に移動するとは思えない。

 

よって考えられるのは彼女の様に霊に対して何かしらの用事がある人物である可能性が高く、なおかつ...

 

「この周辺に活動拠点を置く人物」

 

そこまで思案したところで彼女はハッとする

 

そうだ、そもそも他に霊を狙う人物がいたところでなんだというのだ。何が起きようと自分の成すべきことは変わらない。

 

彼女は今日も幽霊を集める。

唯一つの目的のために。

 

「ひとまず詠子に連絡入れよう」

 

 

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「ヤバい世界に生まれてしまったのかもしれん」

 

この世界にやって来たことに気がついてから二年、見た目的に年齢は小学二~三年生にあたるであろう俺はこの世界の異常性に気づいてしまい、一人公園のベンチでため息をついた。

 

ことの発端は一週間前のこと。

 

効率良くお金を稼ぐために目覚めた山中から長い時間をかけて移動し、衣服を整え、二年間を過ごした地方を離れ、上京したのは良いものの、田舎の地域とは違い治安がかなり良い東京では見た目クソガキの俺が寝泊まり出来るような施設が無い。

 

田舎ならば二十四時間営業で無人のコインランドリーのトイレをお借りして電気を少しもらいつつ一夜を過ごすということが出来たのだが、さすがは都会といったところだろう。

 

一応宛が無いことは無いのだが、自分はあそこで何時間も過ごしたいとは思わないし、するくらいなら高架下や墓場、公園とかギリギリだがトンネルとかの方が精神衛生上ましである。

 

ならば致し方無しと人目につかず、警察のパトロール等が来ないような場所で野宿をしようと決めた。

 

そして1時間半ほどかけてついた公園で飲み物片手に野宿を決め込もうとした瞬間

 

 

 

 

ものすごくグロテスクな化け物(人?)が俺に襲いかかってきた

 

 

 

逃げた。

それはもうものすんごく逃げた。

まさしく脱兎のごとくである。

 

幸いにも足が遅かったのだろうか、追い付かれることはなかったが、あのグロテスクな顔はトラウマになってしまった。

 

 

そしてそれがこの一週間ちょっとで、追加で八回も起きたのだ。さすがに嫌でもこの世界の異常性をわからされてしまう。

 

「これからどうやって生きていくのか」

 

生きるためにお金の入手は絶対条件だ。

しかしその上で化け物に襲われない様に生きなければならない。

というかそもそも化け物の正体がわからない上、既知の同種とは余りにも違うので対策のしようがないのだ。

 

「...とりあえずコンビニでご飯買おう...」

 

具体的な対策も思い浮かばないまま、俺はベンチから立ち上がってコンビニへと憂鬱な足取りで向かった。

 

 

__________________________________________

 

 

「成果がまったく出ない...」

 

4月、天気は小雨、寶月家にて。

僕の教え子、寶月夜宵ちゃんは机に突っ伏しながら呟いた。

 

「どうかしたの?夜宵ちゃん?」

 

僕、幻燈河螢多朗は今、夜宵ちゃんの家庭教師として家にやってきている。

とはいえ、夜宵ちゃんはとても賢い子で教えることはほとんど無いのだが...

 

「ここ最近10件近く心霊スポットに行った」

 

「えぇ...?」

 

心霊スポットにいっては悪霊を集めて自分の部屋に入れ、捕獲した霊を鍛えるという危険極まりないことを行っている。

 

けど、それは亡くなった夜宵ちゃんの母親の霊を奪った強大な悪霊からお母さんを取り返す戦力を集めるという目的があり、夜宵ちゃん自身も家族思いで信頼できる人物だ。

 

「けど霊には一回しか遭遇しなかった」

 

「それって?」

 

確かに夜宵ちゃんは霊に避けられているとは思うけど...

 

「そこの1ヵ所にしかいなかったってことじゃないの?」

 

「多分違う。カタログや目撃情報を元に絶対にいるところに絞って行ったから」

 

「螢くんひどいんだよ~!?夜宵ちゃん、わざわざ歩きで行って帰る時だけ連絡を入れて来たんだよ!?」

 

「あはは...」 

 

こう夜宵ちゃんの文句を言っているのは僕の幼馴染で夜宵ちゃんの従姉妹の詠子。

同じ大学で僕の社会復帰を手伝ってくれている大切な人だ。

 

「私は霊との遭遇率が単独だとだいたい三割、だから今回の期待値はだいたい3回から4回」

 

「たまたまいなかったのが重なった訳じゃないの?」

 

詠子の疑問に夜宵ちゃんが首を振りながら答える

 

「遭遇しなかった心霊スポットは霊をだけじゃなくオーブとか霊に関するものを全く見かけなかった」

 

「つまり先に来てた人がいたってこと?」

 

「うん、それも霊を捕まえたり、殺すことができるコッチ側」

 

そうなると有名な霊能者とかそういう人物なのだろうか?

 

「けど、特に気にすることはないと思う。確かに霊を収集できなかったけど、この周辺だけであって少し遠いところに行けば普通にいたから」

 

「それになるべく早急に戦力を整えつつ、身代わりになる霊をなるべく多く作っておきたい」

 

思い出されるのはこの前のこと。僕のもう一人の生徒である、神代ちゃんを花嫁として迎えようとしている神に宣戦布告を行い、それによる被害で夜宵ちゃんの部屋の悪霊同士が共食いをしたのだ。

 

これによって"卒業生"と呼ぶ非常に強大な戦力を得たのだが、同時に僕らの傷を肩代わりする悪霊の身代わりが多く数を減らしてしまった。

 

これから全国の激ヤバ心霊スポットを攻め落とすのだ、僕らの生命線となる身代わりが少ないのは危険だからだろう

 

そして夜宵ちゃんは詠子に席に着くように声をかけ、タブレットを取り出してマップを開いた

 

「ということで今回の行き先を発表しようと思う」 

 

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K公園

 

先ほどまで降っていた小雨も止み、地面のぬかるみが若干気になりつつも寝床になりそうなものがさいか、探していく。

 

平和な寝床を目指して毎日の冒険記念すべき10回目、今まで全ての寝床候補で化け物に遭遇し、全て逃げ切っていたが、さすがに公衆トイレの中から出てきたときは本当に死ぬかと思った。

 

あの化け物どもは場所を選ばずに出てくる。

都心で感じた特にヤバいやつは見るまでもなく即逃亡したが、本当にこの世界で逃げ場なんて物は無いことをわからされてしまった。

 

それに、都会の住宅街の中にも、明らかにヤバい雰囲気が漂っている家もあった。しかも全然人住んでる。

 

自分がもといた場所ではそもそもあまり動き回らなかったのもあって見かけなかったのだが、東京に訪れてから化け物を見つけるようになった。やはり戻るべきなのだろうか。

 

しかし東京に来てから稼ぎは本当に増えたのでもう田舎に戻りたくないというのも本音である。人に言えない悪行をしている以上、捕まる可能性はつきまとう。

 

東京はとにかく人が多く、なおかつ満員電車というタイミングであれば迷惑がかからない程度の金額をお財布の中身からチョロっとだけいただいて行くだけでも一週間の食費は手に入る。

 

「どうしたものか…」

 

そんな考え事をしながらしばらく進んでいると正面から人影が見えてきた。

 

また化け物じゃないだろうなと思いながら目を凝らして警戒していると、正面の人物は口を開いて言った。

 

「おい!子供がなんでこんな時間に歩いているんだ!」

 

パッと見三十代後半の会社帰りのスーツを着た男性のようだ。

俺は慌てて返事をする。

 

「アッ、どうも、えっと、お、お勤めご苦労様です。」

 

(よ、よかった~化け物じゃない! けど真面目そうなお方だし、

一回話を~とか適当に誤魔化してそのまま帰ります、って言って離れるか、さすがに都外から家出してますとは言えないし...)

 

そう考えていると、男性は俺の右腕を掴んで、

 

「この公園のすぐ近くの奥の方へ抜けると交番近いから!ほらいくよ!」

 

と言って俺を連れて公園の奥へ歩いていく。

 

(終わったわ。なんて警察に説明しよう…) 

 

右腕を捕まれた俺はグテェと項垂れながら男性について行った

 

____________________________________________________

 

 

「誰かいる」

 

と、突然夜宵ちゃんは言った。

 

「え?とても人がいるような雰囲気はしないけど…」

 

僕と同じ疑問を持った詠子が夜宵ちゃんに訪ねる。

 

乗ってきた車の時計は降りたときには八時半過ぎを示していたのだ。都心部からは離れているし、時間的にはもうこの公園を利用しようとする人はいないはずだ。

 

そうなると考えられるのは…

 

「ここに肝試しをしに来た人...とか?」

 

「うん、それも考えられる。けど、」

 

夜宵ちゃんは何かを見つけたようで、しゃがんでぬかるんだ地面にある何かを指差す。

 

「靴のサイズが螢多朗のと比べてかなり小さい、どちらかというと私のサイズに近いと思う。それにパッと見結構新しい。」

 

「え」

 

夜宵ちゃんはそう言って少し駆け足気味に足跡を辿って行く。

僕は夜宵ちゃんを追いかけながら疑問を投げ掛けた

 

「や、夜宵ちゃん、もしもこの足跡の人が夜宵ちゃんと同年代の子だとしてどうしてこんなところに?」

 

「わからない、でも足跡の歩幅は一定。螢多朗と違って怖がってるわけではなさそう。」

 

「一言余計だよ…」

 

「あはは…」

 

夜宵ちゃんが足跡を追いかけて行っているのに着いていきながらそんな会話をしていると、夜宵ちゃんが急に立ち止まった。

 

僕は夜宵ちゃんに声を掛ける

「どうしたの?夜宵ちゃ----」

 

強烈な寒気がゾワッと僕を襲った。

 

「ここで一回立ち止まってる。少し後退りしたような跡もある…」

 

「や、夜宵ちゃん?螢くん?ど、どうしたの?」

 

詠子が両手で体を抱いて震えている僕と何かを見つけたようで考え事をしている夜宵ちゃんに声かけた。

 

「こ、この先に何かヤバいやつがいる…!」

 

僕は片手で自分の体を抱いたまま、何か悪い予感のする方向に指を指しながら答える。

 

そして夜宵ちゃんは

「足跡は"一人"分、同じ足跡が一旦立ち止まった後に螢多朗の指している方向に続いている、多分ここで何かあった。」と答えた。

 

「もしかして、霊に連れていかれたんじゃ…!?」

詠子は少し焦った様子で言う。

 

だとしたらその人は相当危険な状態であることに間違いは無い、そして夜宵ちゃんと同年代である可能性もあるのだ。

 

大人ならまだしも体が成長していない小さな子どもでは幽霊から追いかけられた場合、対抗手段を持たない子どもでは逃げ切ることは難しいだろう。

 

これは一刻を争う危険な状況だ。

 

僕は震えている体を奮い立たせて、言った。

「急ごう、もしかしたらもう危険な状況に陥っているかもしれない!」

 

「うん!」 「わかった」

 

二人の同意を得て、僕達は続く足跡を頼りに走り始めた。

 

 

____________________________________________________

 

 

右腕を掴まれた状態で現在交番に連れていかれている俺は違和感を感じ始めた。

 

「あのー…」

 

「...」

 

「こっちで本当にあってるんですか?」

 

「...」

 

「アッ、スンマセン…」

 

そう、まったくおじさんが会話をしてくれなくなったのである。

 

これはとても気まずい。自分は会話が得意な方ではなく、前世ではどちらかというと陰キャ寄りだったので、人とのコミュニケーションが苦手なのだ。

 

ていうか、この人顔もあわせてくれなくなった!

 

確かに俺の髪の色は"紫色"でバリバリ地雷系みたいな雰囲気を醸し出しておりますけど!地毛なんですよ!これ!

 

紫色の髪している子どもとか確かに会話しづらいけど! 

此方が会話を求めてるんですからしてくれてもいいじゃん!

 

もうこっちも見てくれない...

嫌われたのかな?つらいね。

 

 

 

と、冗談は半分程度にさておいて、先程鉢合わせになったときの会話ではこの人はしっかりと会話を"してくれた"ように見えた。

 

もちろん、こちら側は子ども、逃げられて怪我や更なる問題が起きてしまう前に有無を言わさずに捕まえてしまう、というのは全然あり得ない話ではないのだろう。

 

しかし、仮にそうだとしても今はしっかりと腕を捕まえている状態。子どもと大人の力比べでは当然大人が勝つのでその心配はもうないはずなのだ。

 

そうすれば交番に行くまでの間にある程度の会話や質疑応答はできる余裕は全然あるはずなのである。

 

実際に俺は今、会話を試みようと先程まで声をかけ続けていたのだ。

 

なのに現在この人は先程の会話以降、まったく話どころか、顔すらも見ようとはしなくなった。

 

何故だろうか...?

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...いやそもそも

 

本当に交番に向かっているのか?

 

 

今向かっている方向は考えてみれば街頭などの明かりは見当たらない、人気にまったく着かないような場所に向かっているようにも考えられる。

 

自分はここの地理に詳しくは無いし、本当にあちら側に交番があるのかもしれない。

 

しかし、それならば先程言っていた公園のすぐ近くの奥の方という発言と矛盾している。

 

ならばこの人は俺のことを誘拐しようとしている犯罪者?

 

いやまて...

 

 

 

 

 

 

本当にこの人は"人"なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「離してくれませんか…?」

 

「…」

 

「ッ!」

 

俺がその人が人で無い可能性に気づき、抵抗の意思を示すと、男が俺の腕に入れる力を強め、走り出した。

 

「さっさと離せよ!」

 

右腕を全力でぶん回してなんとか振りほどこうとするが、地面にちゃんと足が着かず、上手く踏ん張れないため腕の力をだけでの抵抗になってしまう。

 

掴まれた腕がミシミシと嫌な音をたてる。

 

力関係は子どもと大人、どちらが強いかなど火を見るよりも明らかなのに腕一本だけの力の抵抗などで勝てるわけもないだろう。相手が化け物ならばなおのこと。

 

少し怖いが強行手段に出るしかないか。

 

「オラァ!」

 

捕まれた右腕を引っ張りながら走っている男の足をおもいっきり蹴って転ばせる。

 

「…!」

 

「グウッ…!」

 

当然俺も引っ張られて転んでしまうが仕方がない。

体勢を建て直される前に俺の腕を掴んでいる男の腕に噛みつく。

 

嚙む力は子どもでもかなりの強さを発揮する。しっかりと歯を突き立てて嚙む事に全霊の力を注ぐ。 

 

「ーーーーー」

 

男は声にならないような苦悶の声を出して俺の腕を離した。

 

「よし…!」

 

俺は直ぐに立ち上がって走り始めた。

 

「痛ぇ…!折れるかと思った」

 

あの男に掴まれた右腕がジンジンと痛む。ミシミシと嫌な音が鳴っていた腕はしびれてしばらくは使えそうにはない。

 

歩いてきた道を走って戻る。先程転んでしまった影響で右腕と両足にガッツリと擦り傷を負ってしまったが、その程度で止まって殺されてしまっては元も子もない。

 

走りながらチラッと後ろを見る。

 

そこには先程のスーツをしっかりと着た男の姿は無く、ボロボロの服を着て、変な方向に曲がった首を支えながら血涙を流し追いかけてくるおどろおどろしい男の姿があった。

 

予想通り、やはり人間ではなかった。

 

「だよなぁ!っていうかその見た目のわりに速すぎるだろ!」

 

この男は見た目の割には合わない速度で追いかけて来ている。俺が子どもだからとか、ケガしているからとか、向こうが人間ではないからとかも大いにあるが。それよりも、

 

「何で浮いてんだよ…!」

 

そう、どうゆう原理かこいつは浮いているのだ。仮に念力とかを操って浮いている場合なら俺の足を折って逃げれなくするみたいなこともできてしまうが、それはしてきていない。

 

つまりそういうわけではないのだろう。今あいつを浮かしている謎エネルギーを使って攻撃されていたらどうしようもなかった。

 

…待てよ、あいつの動きがさっきと比べて遅くなってる。ということは、速度を出すのには相当な体力を使うのか?

 

ならば希望はある…!何とかあいつが体力切れになるまで逃げ続ければいける…!

 

しかし、

「チックショウ...足が痛ぇな...!」

 

この体は前世での成長しきっていた体とは違ってまだまだ子ども。長距離を走るにはまだまだ体が出来上がってはいないし、全力で走り続けるなんてことは当然できない。

 

まして俺は今足を怪我したばかりなのだ。

 

痛みと疲れで足が重くなる。休みたい。だが足を止めれば捕まる。捕まるわけにはいかないという気力だけで足を動かす。

 

ちらと後ろを見る。あいつとの距離は縮まっていない。

 

だが気力ではどうにもならない事もある。走り始めた時より周りの景色が変わる早さは少しずつ遅くなっていく。

 

ちらと後ろを見る。だがあいつとの距離は縮まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そうかよ、なめやがって…」

 

愉しんでる。

 

全部遊んでたんだ。

 

俺が、必死に逃げている姿を見て。俺が必死に逃げるように。逃げ切れるという希望を幻視するように。

 

俺が疲れ果ててもあきらめないように。力を抜いて、追いかけまわして。

 

苦しんで、もがいて、ゆっくりと嬲り殺しにする為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガクンッと右足の力が抜ける、それが気づいてしまったが故か、それとも単に子どもには酷な疲れから来たものかはわからない。

 

俺はバランスが取れずにズシャッと大きな音を立てて盛大に転んでしまう。体についた泥が気持ち悪い。何とか立ち上がろうとするが気力だけで動いていた小さな体はもう動かない。

 

座り込んだ状態で後ろをむく。

 

化け物は追いかけてきた速度よりも更に速い速度でこちらへやってくるのが見えた。

 

そうか、やっぱり手抜いてたのかよ…

 

「…いやだなぁ」

 

俺は空を見上げて身に付けている鬼灯のネックレスを握り、その目を伏せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…見つけた!」

 

公園の中を駆けて、僕らは追っていた足跡の持ち主を発見した。

 

ようやく見つけた紫色の髪を持つ子どもは腰が抜けたのか肩で息を吸いながら後ろから追いかけて来ている笑った顔をした霊を見つめていた。

 

ついさっき、人が転んだような音がした。あの子どもは両腕に大きな擦り傷をしているのが遠目でも分かる。

きっと霊から逃げる途中で何度も転んでしまったのだろう。

 

まだ小さい子どもだ。身長だけを見るなら夜宵ちゃんよりも幼いように見える。絶対に助けなきゃいけないのに…!

 

(ダメだ…!このままじゃ(アッチ)の方があの子につくのが早い…!!)

 

「…え?」

 

隣を走る夜宵ちゃんが困惑した様な声を漏らした。

そちらに目をやると、今まででどんなときも平静を崩さなかった夜宵ちゃんが焦りと恐怖を混ぜたような見たことのない表情を浮かべていた。

 

「ッ!!」

 

「「夜宵ちゃん!?」」

 

僕の隣にいた夜宵ちゃんが更に速度を上げる。その焦りが僕らにも伝わる程に、必死に駆け出した。

 

それを見た僕も置いて行かれないように今ある体力を振り絞って猛追する。

 

(これまでちゃんと体力づくりしてきたんだ…!絶対に間に合わせる…!)

 

目の前にいた夜宵ちゃんを追い抜いて、紫髪の子どもの背後までかけていく。

 

霊が子どもへ触れようと手を伸ばす。

 

次のことなんて考えるな…!とにかくこの子を助けろ!

 

僕は身代わりになることを覚悟で子どもへ飛び込んだ。

 

 

 

 

 

次の瞬間には、

 

 

 

 

子どもと霊は姿を消していた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

霊は困惑していた。

 

自らの縄張りとしていた公園にいつものように一人、餌が現れ。

 

いつものように嬲り、いつものように殺し、いつものように糧にする。

 

ただ、いつものようのようなことをあの子どもにもやっていたはずなのに。

 

 

 

 

気が付けば霊は自分が駅のホームにいた。

 

この霊は、獲物を決して逃さない、離さない。

 

その自信が確かにこの霊にはあった。そして、それを裏付けるほどの力もあった。

 

その力をもって獲物を公園内に閉じ込め、じわじわと殺していくのだ。

 

しかし、先程まで追い詰め、生きることをあきらめたように見えていた子ども(えもの)は自分の目の前から姿を消していた。

 

何故?いったいどうして?どうやった?この子ども(えもの)を助けに来た奴らの仕業か?

 

様々な考えが霊の頭の中で浮かび上がるが、霊は移動した理由は"分からない"と結論をつけて頭を切り替える。先程の子ども(えもの)はどこかと探し始めた。

 

頭を振り、前後を確認すればすぐに子ども(えもの)は見つかった。駅のホームにあるベンチに泥だらけの服装で先程と同じ体勢のまま座っている。

 

直ぐに近づこうとする霊だったが、その子ども(えもの)の隣を見て立ち止まる。

 

子ども(えもの)の隣には白いドレスかと見紛うようなワンピースを着た真っ青な髪色に大きなウサギ耳のようなカチューシャをしている少女が座っていた。

 

いつの間にか現れ、気配を全く感じさせなかったその人物に霊は驚きながらも、所詮は人の少女、その隣にいる子ども(えもの)と変わりはしないと判断を下し、再び紫髪の子どもに近づく。

 

少女は正面を向いたまま、こちらを向こうともしない。

 

それは隣にいる子ども(えもの)と同様に殺されるかも知れないという恐怖が故、気付かない振りをしようとしているのか。

 

それならばより少女の恐怖を煽る為に、隣の子ども(えもの)は喉を潰さずに悲鳴を出させながらゆっくりと殺して、一度立ち去った様に見せかけ安心してから嬲り殺すのがいいだろう。

 

霊は先のことに思いを馳せ、自分の口角が自然と上がっていくのを感じる。

 

ダメだダメだ。この少女には興味がないように見せなければならないと言うのに。

 

霊は遂に少女を通り過ぎ、紫髪の子ども(えもの)の前に立った。

 

先ずは手の指をちぎっていこう、そう決めた霊は子どもの右手に手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、霊は自らが空を見上げていることに気が付いた。

 

「…?!」

 

霊は即座に起き上がって視線を戻す。折れている首がビリビリと痛む。先程まで自分がいた場所から数mは吹き飛ばされていることを霊は認識した。

 

誰だ、これをしたのは。

 

子ども(えもの)へ視線をやれば目に入ったのは、どこからか取り出したバールを握る青髪の少女が振り切った体勢(フルスイングをしたフォーム)で立っていた。

 

霊は激しく動揺する。それは一度ならず二度までも、今日自分の思い通りに行かなかったが故。

 

霊は自分が霊であることを認識してからの日々で不自由を感じたことはなかった。

それは霊の生前で強く感じていた不自由さからの開放が故であること、それを霊自身が知ることはないだろうが。

 

その生まれてから感じていた全能感(プライド)がたった今、目の前の子ども(えもの)に、自分を愉しませるための玩具でしかなかったはずの子ども(えもの)に踏みにじられたのだ。

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

その事実に霊の思考がたどり着くと同時に恐ろしいほどの血涙を流しながら声にならない絶叫を駅のホームに響かせて少女へ向かって攻撃を開始する。

 

まさしく子どもの癇癪。力を持ち、全能感に溺れ、不自由をしてこなかった(こども)はその有り余る力を目の前の少女をいたぶるためだけに初めて全力で用いられた。

 

衝撃波、少女にかかる重力の増加、鎌鼬、砂利の投擲、霊の思いつく限りの攻撃方法をもって少女を生かさぬように、しかし、殺さぬように放たれていく。

 

少女は自分のプライドを傷つけたのだ、そう簡単に死なれてしまってはこちらの鬱憤を晴らすことができない、出来るだけ苦しんでもらわなければ困る。

 

しかし、少女は霊の思い通りの結果とはならない。襲い掛かる衝撃波や鎌鼬、砂利を、かかるG(重力)が増加し、動きが鈍くなったはずの少女はそれを感じさせない速さで避け続け、

 

「ッ!!!!!」

 

その光景に呆然としていた霊の頭にバールの尖っている部分を突き立てながらガヅン!!と思いっきり振り下ろして、

 

霊は人間離れしたその少女の力により、地面に叩きつけられ、そのまま動かなくなった。

 

 

 

 

 

 

少女は地面に叩きつけられた霊の傍まで歩き、バールを振り上げて更に叩きつける。

 

霊まだは生きているようだが動く様子はない。

 

バールの打撃音が駅を支配してから少し。歪んだピンポンというアナウンスが間もなく電車が到着することを知らせた。

 

霊はニヤリとほくそ笑んだ

 

そう、霊は待っていたのだ。

 

ここは駅のホーム。待っていればいずれ電車がやってくる。ギリギリまで待って全力で電車に駆け込めば、あの少女も追ってくることはできないはず。霊はそう考えた。

 

そう、"今"はまだこの少女には敵わない。それは理解した。だからこそ、今は何としてでもこの少女から逃げ延びて、"次"を作らなければならないのだ。

 

確かに今回の"戦い"は負けたが、今回は自分の"作戦勝ち"である、と霊は地面へ俯いたまま口角が上がることを隠そうとはしなかった。

 

 

ピリリリリと不快感を強く感じる気味の悪い高音が電車のドアが間もなく閉じることを知らせる。

 

霊は今持つ力を全て電車の入口への推進力へと変え凄まじい速度で飛ぶ。

 

少女は追いかけることが出来ず、ドアが閉まり電車は出発していく。

 

霊は口角を裂けんばかりに引き上げゲラゲラと笑いながら勝利の優越感に浸った。

 

 

 

 

 

 

「…あーあ、行っちゃったよ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

電車が到着する。そこは爽やかな緑が広がる田んぼの地域だった。

 

霊は電車を降りる。

 

笑い終わり、勝利の愉悦に浸っていた霊は自然豊かな光景を見て、満悦な表情を浮かべた。俗世間から離れたようなここならば、あの少女の目につくことなく十分に力を蓄えることができるだろう。

 

人の少なさが少しネックとなりそうだが、その程度ならば特に問題はない。重要なのは天敵に見つからないことなのだから。

 

ひとまずは自分の縄張りとする場所を探す。それを優先としよう、出来れば鬱蒼とした森が望ましいが、最悪の場合は廃屋や蔵でも問題はない、例外は生まれてしまったが自分が獲物を逃すことはないのだから。

 

そう考えながら霊が進んでいくと、遠くに流れている小川の向こう岸に揺れている白い人影のようなのものが見えた。

 

しめた、今回はあの人間を攫ってストレスの発散をしよう。

 

今日味わった屈辱は相当なものだ、いつのも数倍は嬲って殺さなければ気が済まない。

 

そう決めた霊は移動する速度を速めていく。

 

 

 

 

 

違和感。先程までくねくねとしていた人影は近づけば近づくほどに違和感が強まる。

 

人影が明らかに人間とは思えないような動きでくねくねと踊っているのだ。

 

霊もそれには気が付いていた。が、しかしそれは霊にとっては些細な問題でしかなく、仮にその人間が異常であったであったとしてもそれが霊に危害を与えるものではないと考えていた。

 

霊はどんどんそれに近づいてゆく、それは未だ鬱陶しいほどやけにくねくねとし続けている。

 

鬱陶しいほどに。

 

鬱陶しいほどに。

 

鬱トウしいほど二。

 

うットウしいホど二。

 

 

ソれはもウ。

 

くネクね

 

クネくネと。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「行っちゃったけど…あれってあのままでいいのか?」

 

と、純粋な疑問を俺は化け物の乗った電車を見届けている少女へと投げかける。

 

「別に問題ない。あの程度なら他の怪異にも勝てない。」

 

それに青髪の少女は表情を全く変えることなく答える。

 

「…ならいいんだけどさ」

 

俺はその返事を聞いてため息をつきながら言葉を発した。

 

「ていうかあいつが"あの程度"なのね…」

 

今更ながら君どうなってんのと先程まで化け物を圧倒した少女の強さにドン引きしながら話す。

あーあ、さっきのやつ(流れ弾)で靴ダメになっちゃったよ。つま先部分破れてる。服も変えなきゃ…

 

「そんなことよりも」

 

と、靴を見ていたらいつの間にか接近してきていた彼女は目の前まで近づいて言う。

その目は心なしかジトっとしていて文句を訴えているように見える。

 

「もっとこっちの世界に来て」

 

「嫌です!」

間髪入れずに回答する。

 

「何で?」

少女はこてんっと首傾げるジェスチャーをしながら疑問を呈した。

 

いや、何でって言われましても。

 

「ここ空気が妙にどんよりとしてるからいるだけで気分悪くなるし…」

 

「それだけなら何とかなる」

 

「いやそれだけじゃないんだって…」

 

黒い空、定期的にやってくる電車からするおぞましい気配、歪んだアナウンス、気分の悪くなる電車の開閉音に、生温い風、たまに踊り出したりバグったり(文字化けしたり)する駅の文字...etc(エトセトラ).etc(エトセトラ).列挙すればキリがない。

 

ここにいて気分が悪くならない人がいるならそれはもう人ではないと思う。

 

「とにかく!ここはいるだけでSAN値がゴリゴリ削られてくの!」

 

「私がいるから問題ない」

 

「話聞いてくんない?」

 

ダメだこの娘、全然話聞いてくれない。

機嫌が悪そうな少女は目を細めたまま話す。

 

「今回事実として私はあなたを助けた」

 

「だから私のお願いを聞いて」

 

「…で、でも…」

 

嫌なもんは嫌だし…

 

「…ここ一週間。あなたは化け物に襲われ続けた」

 

「お、おう。でも今回以外全部自力で逃げ切れてますし…」

 

「いや、あなたは一回たりとも自力で逃げれてない。」

 

「え゙」

 

衝撃の事実を告げられる。マジで?

 

「あなたが捕まりそうな時、私が全部引きずり込んで倒した。」

 

「あなたは私を無賃で働かせるの?」

 

「すいませんでした。」

 

さすがにこんな少女を対価も無しに働かせるのは良心がめちゃくちゃ痛む。

しかも何度もこの娘が言っていることを信じるのであれば何度も命を救ってもらったことになるのだ。さすがに逆らうことは出来ない。

 

分かれば良いと言うように鼻を小さく鳴らした彼女は満足したようにベンチに腰掛けた

 

…この娘がいるから死なないと分かっていたとはいえ普通に死ぬかと思っていたからどっと疲れた。ベンチで少し横になろう。

 

…ん?

ていうかなんで俺が追いかけられて、尚且つ捕まりそうだったってこと知ってるんだ?

ま…いいか。寝よう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

この禍々しい世界は俺が山の中で目覚めた時には既に身に付けて鬼灯のネックレスに宿っている謎の力によって繋がっているようで、目覚めて早々に何故か死にかけていた俺を救ってくれたのもこれだ。

 

『…大丈夫?』

 

『これが大丈夫に見えますか…!』

 

血まみれで死にかけている俺を見て首をかしげながら冗談を言う彼女には何度もお世話になった。

 

(世界の雰囲気は最悪だけど)死にかけていた俺を介抱して助けてくれた。

(世界の雰囲気は最悪だけど)普通に可愛いし。

(世界の雰囲気は最悪だけど)会話していて楽しい。

 

この娘のおかげで金の何もない状態から生きることができた。

 

…真っ先に提案してきた金策が強盗なのはびっくりしたが。

 

 

 

いつだったか

『この世界は都市伝説の世界』

と彼女は話した。

 

現実世界に存在している都市伝説という情報の塊が形を成したのがこの世界なのだと。

 

都市伝説と言っても色々な種類がある。

 

アイテム的な都市伝説もあれば、現象の都市伝説、文字通り化け物の都市伝説。

 

俺が今把握しているものだけでも既に十数種類はあるのだ。

 

どれも恐ろしいが特に恐ろしいのはやはり化け物の都市伝説、怪異。

 

怪異はどれも命に関わる程の被害をもたらすやつばかりだ。

くねくね、口裂け女、トイレの花子さん、メリーさん、テケテケ、ドッペルゲンガー、八尺様。

例を上げればキリがない。

 

更に彼女はこの世界で定期的に来る電車の主な行き先にいる怪異と大事に至らないようにするための対処方法を彼女は教えてくれた。

 

そのころには彼女とは普通に話せる様な仲にもなっていたので、彼女の説明を受けて、

やっぱり怪異って、おぞましくて怖いんだねってことを話した。

 

唐突に彼女が

『…もしも私が怪異だったどうする?』

と、問いかけてきた。

 

俺は素直に、

『正直、どうもしないかなぁ。だって今の時点で何回も俺のこと助けてくれたし。めちゃくちゃ信用してるからなぁ…』

と言った。 

 

それを聞いて彼女はただ『…そう』とだけ答えた。

 

受け答えミスったか…?と不安になってしまい気まずくなってしまって帰ったが。

 

その質問からしばらくたったある日。

彼女は話してなかったことがあると言って俺をいつものベンチに座らした。

 

『私はこの"きさらぎ駅"の世界の住人で、怪異。』

 

彼女は自分が怪異であること、このきさらぎ駅の世界は他の都市伝説とは違って"特別"であること

を話した。

 

そして彼女自身も他の都市伝説の怪異と違い"特別"であるということを。

 

それをカミングアウトしてからは肩の荷が下りたのか俺にいつもよりフレンドリーに接触してくれるようになった。なんか少し過保護な面もあるがそれも彼女の優しさなのだろう。

 

「おはよう」

 

「…おはよう」

 

でも、膝枕してくれるのは嬉しいけど、過保護すぎる気がするなぁ…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目の前で子どもと幽霊が消えてから、三人で公園の中を探し回ったが、結局あの子を見つけることは出来なかった。

 

愛依ちゃんのアパートの地下にいた霊やFトンネル霊のように他と隔絶した空間を創り出してしまうような力を持っているのであれば、これ以上僕らは何もできることはない。

 

夜宵ちゃんは頑なに帰る事を容認しなかったが、明日になったまたここに来て捜索をするという提案を詠子と二人で説得し続け、納得がいかないが仕方ないといった様子でそれを承諾した。

 

 

帰り道、車内は陰鬱な雰囲気が漂っていた。

 

 

「私には"三人"の家族がいた。」

あれ以来ずっと無口だった夜宵ちゃんが口を開いた。

 

「けど二年前の交通事故でみんな亡くしてしまった。」

 

お父さん(パパ)はまだ遺体も霊体も無事だった。」

 

「けどお母さん(ママ)遺体は無事だったけど霊体を連れていかれてしまった。」

 

「そして"弟"は車から吹き飛ばされて遺体も霊体も見つからなかった。」

 

助手席に座っている夜宵ちゃんは深く俯いたまま続ける。

 

お母さん(ママ)と同じで連れていかれたのだと思ってた。死んでしまったのだと思い込んでいた。」

 

え、と詠子が声を漏らした。

 

「もしかしてあの子、夜宵ちゃんの弟だったの…?」

 

僕はハッとする。確かにあの子の髪色は夜宵ちゃんと同じ紫色だった。

 

「ー…うん、事故(あのとき)から背も、服も、雰囲気も何もかもが変わってたけど。でも分かる、あれは間違いなく私の弟だった。」

 

「…あの時、お母さんを助けられなかった時とは違って、今回は力があったのに。」

 

「……仲間(かぞく)は必ず助けるって言ったのに。」

 

夜宵ちゃんの声に嗚咽が混じる。

それには強い後悔がにじんでいた。

 

「夜宵ちゃん…」

 

そうか、だからあの時にあんなに焦っていたんだ。

もういなくなっていたと思っていた家族が実は生きていて。それはとても嬉しいことなのに。

その家族の命をまた目の前で奪われそうになって。怖くないはずがないんだ。冷静でいられるわけがないんだ。

 

家に帰還するまでの間、再び静寂が車内を満たした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日の早朝、夜宵は起きて直ぐに詠子と共にK公園へと出発した。

 

本当は昨日、帰りたくはなかった。

けど螢多朗や詠子に説得されて、自分のワガママを押し通すわけにはいかない。

 

車を降りて、昨日弟が姿を消した場所へと全速力で駆け出す。

早く弟が無事な姿を見たい。早く弟が無事な姿を墓場にいるお父さん(パパ)に見せてあげたい。

 

 

 

 

 

 

そこに残されていたのは片方のつま先が破れた泥の乾いた靴だけだった。

 

靴を拾う。

 

また助けられなかったという無力感と喪失感が胸中を満たす。

靴を眺めながら夜宵はそこから動かなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「すいません!この公園から小さい紫髪の男の子が出て行ったのを見ませんでしたか!?」

 

詠子は夜宵が公園内へ走っていくの横目に、公園周辺で散歩などをしている人に声をかけて聞き込みをしていた。

 

「いや、知らないねぇ」

 

「力になれそうにないなぁ。すまないね。」

 

しかし、彼女が望むような回答は帰ってきては来なかった。仕方のないことだろう、あの子は霊と共に姿を消したのだ。Fトンネルの霊を経験したことを基に考えれば、私自身とても生きられるようには思えない。

 

それでも、諦めていない夜宵に仲間として応えられるよう、私ができる質問(こと)をし続ける。

 

五人目の人に質問を終え、それでも良い回答は得られず、次の人を探して辺りを見渡していると、いつの間にか詠子の目の前に少女が現れた。

 

フリルがたくさんあしらわれ、白いドレスかと一瞬間違えるようなワンピースを身にまとい、暗い青髪に白い大きなカチューシャを身につけた不思議な少女だ

 

その奇妙な雰囲気に一瞬飲み込まれるが、直ぐに気を取り直して質問をする。

 

「ごめんね!少し質問したいことがあるんだけど、この公園から紫髪の小さい男の子が出ていくのを見なかったかな?」

 

少女は少し考えるそぶりを見せて答える。

 

「一~二時間くらい前に紫髪の男の子が靴下で出て行ったのは見た。何で靴下なのかは知らないけど。」

 

待ちわびていた回答に興奮と嬉しさを隠さない声色で詠子は少女へ更に問いかける。

 

「本当!?どっちに行ったかは覚えてない!?」

 

「いや。」

 

「分かった!ごめんね、ありがとう!」

 

詠子は公園に向かって走りながら、大きな声で少女に感謝を伝えて去っていった。

 

(良かった!夜宵ちゃんの弟くんは生きてるんだ!)

 

吉報に胸を躍らせながら詠子は夜宵が待っているであろう場所へ向かう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…生きてるの?本当に?」

 

「うん!紫髪の男の子が靴下で公園から出て行ったのを見たんだって!」

 

とある少女から目撃情報を聞いたという詠子は昨日、弟が霊と共に姿を消した場所で座り込んでいた私に声をかけた。

 

詠子は私が持っているものに気が付いたのか問いかける。

 

「夜宵ちゃん、その靴ってもしかして…」

 

「うん、ここに落ちてた。たぶん状況証拠から考えるとそういうことだと思う」

 

無力感と絶望に苛まれていた中で告げられた詠子からの報告(希望)

 

第三者からの私情(希望的観測)を含まない情報と、落ちている(証拠)を組み合わせて浮かび上がった、まだ弟が生きているという事実(希望)

 

「そう、まだ生きてるんだ。」

 

もう、この公園にはいないが。生きている、たったそれだけの事実で私は頑張れる。

 

「もう危険な目に合わせない。絶対に見つけて出して、また一緒に過ごす。」

 

だから待ってて、仄夏(ほのか)




去年の八月に思いついて今日全文が思い浮かんだので書き殴りまくりました。

初めて投稿するので色々と至らぬ点はあると思いますが大目にみて欲しいです。

どうやったら綺麗に読みやすくなるのかな。

それはそれとしてもっとダークギャザリングの二次創作増えろ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オリ主
寳月 仄夏(ほうづき ほのか) 8歳

原作主人公の夜宵ちゃんの弟に憑依転生(記憶引継なし)をかました中身高校生。

憑依したタイミングが原作の事故直後っていうか、吹き飛ばされて地面に叩きつけられた直後で、普通に元の形を保てない高さから落ちたが、オリ主が憑依したことによって発生した謎パワーにより何とかめっちゃ死にかけで済んだ。

仄夏に憑依する前から身に着けていたネックレスに特別な力が宿ったがそれ以外はただ頭がいいだけの子どもであることには変わりはない。行動の節々に男子高校生味がにじみ出ている。

因みに自分の名前や家も知らないので前世の名前を使いまわしにしているが、家に関してはもうどうしようもないので野宿したり、24時間営業のコインランドリーなどで一夜を過ごしている。

因みに、青髪の少女の事は嫌いではなく寧ろ好き寄りの感情なので会うことは全然うれしいのだが、精神が一般人なのできさらぎ駅の世界の雰囲気でSAN値が削られていくため余り世界に来たくない。

けど、彼女が現実世界にやってくることができないと思っているので一週間に一回~二回程の顔を出しに行っている。


寳月 夜宵(ほうづき やよい) 9歳

小学一年生の時、遊園地の帰り道で交通事故にあってしまった事で両親を亡くしてしまい、自身もその事故の影響で以前からぼんやりと見えていた霊がハッキリと見えるようになった悲劇の原作主人公の一人。

この二次創作では夜宵ちゃんに一歳下の弟を生やし、更に地獄度が激増した一番の被害者となった。死んでしまったが霊体は無事だった父、推定ラスボスに霊体を連れ去れてしまった母、二人と違って霊体どころか肉体までも消えてしまった弟という地獄。可哀想(小並感)。

旧旧Fトンネル攻略直後に全国の激ヤバ心霊スポットを攻め落とす為の重要アイテムとなる身代わりの霊を集めていたが、オリ主の所為(無自覚)で全く集まらず次の激ヤバ心霊スポットの攻略予定日が遅れてしまったという原作との時期の若干の差異(予想)がある。

K公園で仄夏を発見し、また目の前で家族を助けられなかったという曇らせを食らったが、謎の少女の証言と仄夏が戻って来た時に脱ぎ捨てた靴を発見したことにより生存を確信し、既にキマっていた覚悟が更にキマってしまった。

旧I水門編で霊が人に憑依することが可能なことが判明するが仄夏もオリ主が憑依空いている状態であり、更に本編の描写を見る限り写真越しでも判別が可能だということが分かっているので、もしかするとオリ主が夜宵ちゃんに命を狙われる可能性もあり得るがどうなるか。


幻燈河螢多朗 (げんとうが けいたろう) 18歳

中学生時代に自らの強力な霊媒体質が災いして霊障にあってしまい、それに詠子を巻き込んでしまった責任感から二年間も引きこもりになるが、詠子の助力もあり大学へ主席入学を果たした現在大学一年生のもう一人の原作主人公。

霊障の影響により、常に手袋を付けている。

最初期こそは夜宵ちゃんから優秀な囮役として扱われていた可哀想な人だが、関わっていくうちに
一蓮托生の関係となる。

この人、夜宵ちゃんと詠子さんの陰に隠れているけど普通にこの人は狂人サイド側ではあるんだよな。

この二次創作では交通事故で亡くしたと思っていた家族を発見した夜宵ちゃんが焦りまくっている顔を目撃している。

原作ではどんなときもいつもの顔で振る舞い、冷静な雰囲気を崩さず、幽霊を地蔵で殴打したりする彼女を見ているのでとても驚いていた。
どんなときも平静さを崩さない人の顔が崩れるのっていいよね…。


寳月 詠子(ほうづき えいこ) 18歳

幼馴染の螢多朗と現在恋人関係にある、螢多朗と同じ大学に入学した現在大学一年生。

夜宵ちゃんとは従姉妹であり、主に情報収集や移動手段として一行に多大なる貢献をしている。

また、国際情報オリンピックの日本代表を務めたことがあるほど科学の科目が得意であるが、それが故に科学では解明することができない神秘を持つオカルトの魅力に取り憑かれ、螢多朗が夜宵ちゃんと合流する原作開始前までは2人で心霊スポット巡りをしていたと考えられる。

また他作品のヤンデレキャラクターと引けを取らない程の弩級のヤンデレであり、螢多朗にGPSを付けて位置情報を知り続けたり、隠しカメラや盗聴器などを仕掛けてストーカー行為をしている。
夜宵ちゃんはこの事を知っているが、原作でも指折りの狂人である彼女もドン引きしている。
(けどこの行為のおかげで螢多朗の命を救ったことがあるから何も言えないんだよね。)

詠子は仄夏とは従姉弟の関係であるため面識はあり、会ったこともあるが拙作の本文中にも描写されていた通り、身長、雰囲気など髪色以外は全て変わってしまっていたために、夜宵ちゃんとは違い、気付くことができなかった。
そう考えると後ろ姿だけで気が付いた夜宵ちゃんは、どれだけ家族に思いを馳せていたんでしょうね。


K公園の悪霊

生前は表向き真面目な社会人として日々を暮らしていたが、学生時代の子供っぽいの内面を捨てきれず、世間の評価と内面のギャップに苦しんでいた。

また学生時代の自由に慣れていた事で内面も相まって社会人の強烈な不自由さ、理不尽さに順応することができず、ある日何かが切れたように公園で自死をした。

霊になってからは生前の記憶をなくしてしまったものの強力な力を手に入れ、夜中自分の縄張りに侵入した獲物を自らの力で侵入だけ自由な空間を創り出し、公園に閉じ込めては気の赴くままに殺戮をしていた。

仄夏に対してはサラリーマンに擬態をし、住処まで連れ込んでからゆっくりと嬲り殺しにしていくつもりでいた。が、わざと住処までの距離を長くし、違和感を抱かせようとしていた。

感づかれてからは仄夏に振りほどかせるつもりだったが、まさか嚙まれるとは思っていなかった。

仄夏と同様に青髪の少女に対しても「俺の邪魔をしてきたけど所詮人間だしw」と出力的には本気を出していたが、逃げ場なくすような攻撃や致命傷を狙うような攻撃をせず、相手を苦しめて殺す為の攻撃をし続けた為、フルボッコにされ赤っ恥をかきながら逃げる羽目になった。

最後はくねくねを認識してしまい精神を狂わされ、死ぬに死ねないまま、苦しみ続けるだけの存在になってしまった。

強さ的には捕獲時の旧旧Fトンネルの悪霊と同等か少し下回る程度である。が、獲物をどんなときも下に見ているため本気で戦う様な事をせず、また子どものような全能感に胡坐をかき、自分の力の効率的な運用、攻撃方法については模索をしてこなかったので、夜宵ちゃん御一行と戦闘になっても特に労せずに捕獲されていただろう。


鬼灯のネックレス

仄夏が生前から着けていた家族からの贈り物。

オリ主が憑依転生したことによって特別な力が宿り、都市伝説の世界へと繋がるキーとなった。
もしも無くしてしまったとしても気づけば自分の手元に戻って来ている。

鬼灯の花言葉は「心の平安」、「偽り」


都市伝説の世界

都市伝説という情報の塊が形を成して異質な存在として生まれた。

情報の塊というのは人々の認識に依存しているため、人々の多数派の認識が変われば、都市伝説の存在の在り方、ルールも変わる。(Aという都市伝説が有害であるという認識が多数派であれば有害になり、無害であるという認識が多数派に変われば無害になる。)

都市伝説の世界はお互いに隔絶した世界として存在しており、例外を除きある都市伝説が別の都市伝説が存在する世界へ侵入、接触することはできない。

都市伝説は日本のものを始めとして海外のものも存在していて、種類も現象、物、場所、怪異など様々である。

きさらぎ駅

特別な都市伝説。
他の都市伝説へ干渉できる"特別"な都市伝説であり、電車で都市伝説同士をつなげるという所謂親機と子機の内の"親機"のような存在。

どの都市伝説に行くにしても先ずはきさらぎ駅へやってくる電車に乗っていかなければならないが正直、他の都市伝説で有害な奴らが多すぎて電車を使わない。

原典の通り、片足の老人や祭囃子、トンネルもあるが基本的には駅にいれば(精神衛生以外)は安全なのと、そもそも駅から出ることもないので仄夏は見た事は無い。

ここから出るには、鬼灯のネックレスに触れた状態で出たいと願うか、青髪の少女に頼んで現実世界行きの電車を呼び出してもらうしかない。


青髪の少女の怪異

キャラクターとしてはきさらぎ異聞のキャラクターだが自分が設定をモリモリしたりした結果ほぼ別人になってしまった。

自らを怪異であるという事を認識している怪異できさらぎ駅の管理人的存在。

見た目からは予想もつかないほど怪力で、戦闘時はゴリッゴリのインファイトでバールを武器に相手をしばき倒す
脳筋思考なので、困ったらとりあえず実力行使に出がち。

きさらぎ駅と同様に他の都市伝説への干渉が可能な"特別"な怪異である。
きさらぎ駅とは違って現象、場所といった概念系の都市伝説と違い、生き物(厳密には違う)なので、アイテム系の都市伝説を扱うことができる。

また、きさらぎ駅を拠点としており、初めて仄夏がこの世界へやってきて、死にかけていた時は介抱をして命を救った。

怪異である自分を受け入れてくれている仄夏を大切に思っており、仄夏が危険な目にあっているときは全力で助けている。

きさらぎ駅に一人でいる間は寂しがっており、仄夏がやって来るのを何時でも心待ちにしている。

また、鬼灯のネックレスの周囲にいるものをきさらぎ駅の世界へ引きずりこともでき、仄夏の意思を無視して呼ぶこともできるが、本人の意思を尊重してやっていない。
仄夏を襲った霊は言うまでもなく自らの手でボコボコにしている。

基本的に暇なので現実世界の仄夏の様子を観察しながら過ごしている。

また、自らも時間制限といった制約があるものの現実世界にやってくることが可能で、今回はこれを活用して詠子の前に現れていた。 仄夏の靴は寝ている間に現実世界にポイして周りを探索していたタイミングで声をかけられていたので、(こっちでまだ寝てるけどどっかいったという)噓をついたが向こう的には生きていることが分かっただけでよかったらしい。

正直都合のいい設定をホイホイしたので変なことになってる。ごめんなさい。


ダークギャザリング×都市伝説の小説っていう大まかな骨組みは去年の八月時点で思いついて、色々世界の設定とかも頭の中で出来上がってはいたんですけど、自分の文才のなさとか、都市伝説の化け物とかが余りにも無法すぎとか、問題点がありすぎて頭の中で妄想する程度に収めてたんですよね。

けど、きさらぎ異聞っていう漫画を少し読みまして、この設定といいじゃん!となってたら。
設定にある程度まで矛盾点が生まれないレベルに抑えてながらも自分で肉付けして。

こういうのいいなぁってまた妄想してたら八月に思いついた妄想してたものがポッと浮かんで。

気が付いたら書き終わってましたねぇ…

感想は返せないかもしれません。

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