真実は誰も救わない
心臓を貫く銀の杭の様に
現実は誰もを傷付ける
ウルキオラにとって目を逸らしたくなる程衝撃的な事実が判明した翌日。
織姫と望実、コン、それから一角と弓親を伴って、ウルキオラはとある倉庫を訪れていた。
「浦原から話は聞いとる。待っとったで」
半開きのシャッターを潜って中に入ると、待ち構えていたのは見た目のインパクトがままある八人の男女混合集団。
「んじゃ、織姫ちゃんはこっち来よか。九条望実ちゃんやっけ?自分はラヴと拳西に面倒見てもらっといてな。ハッチ、結界頼むで」
ちゃっちゃと手早く人員配置を決め、真子は奥に引っ込んだ。少しして戻ってきた真子は、よくわからない手作り感満載のウォーキングペダル……のようなものと、紐で括った木刀数本を積んだ台車を押している。
「織姫ちゃんは、とりあえず一旦このポンコツひよ里ウォーカー……」
「スーパー!!!」
「……ひよ里ウォーカー漕いでみよか。拳西!木刀持ってき!そっちのハゲと歌舞伎もんの分もあるから」
「おー」
真子は束で括った木刀を拳西に両手で投げ渡した。米袋を抱えるような姿勢で受け止めた拳西は、紐を解いて一本、柄をラヴに向けて差し出す。
「誰がハゲだテメエおかっぱァ!!」
「せめて伊達男と呼んで欲しいね。僕はただ派手なだけの無骨者じゃなくて、強くそして美しいんだから」
「やかましいやっちゃなー。小さいことグチグチ言うなや」
カッと突沸したように血が上り、真子を指差して怒鳴る一角と、眉間に皺を寄せて不満を垂れる弓親の態度を、真子は右から左へ受け流した。ウルキオラは腕組みし、半目で真子と一角、弓親を順に見る。そして、顔をひよ里ウォーカーに向けて指を差した。
「チンピラ共はさておいて……どうでも良いが、その機械の名前的に歩いているのは、そこの豆粒赤ジャージ女にならないか」
「チンピラとはご挨拶じゃねえか、
「誰が豆粒ちんちくりんじゃボケェ!!お前かてヒョロヒョロのチビ助やろうがこん病人面がァ!!!」
「ちんちくりん迄は言って無いだろう。勝手に頭の中で要らん言葉を付け足すな。後、俺は力を失っているから背丈も相応に縮んでいるだけで、本来はお前よりも大きい」
「そんな事情知るかアホハゲ!!!」
「俺はアホでもハゲでも無い。よく見ろ。このサラツヤ真っ黒ヘアを。スンスンにやられた」
「自分でケアしとるワケやないんかい」
「どうでもええねん!お前の髪の毛事情!!」
ひよ里が遂に、ウルキオラへ飛び蹴りを見舞おうと助走を付け、跳ぶ。ウルキオラは向かってくるひよ里の爪先を何でも無いように躱し、足を掴んで大きく振り回すと、荷物の整理の途中だったのだろうか、積み上がった空の段ボールの山目掛けてハンマー投げのように投げ捨てた。
あーあー、と真子もラヴも頭を抱える。それも束の間、段ボールの中に埋まっていたひよ里が勢いよく飛び出し、怒号を上げながらウルキオラに殴りかかった。
ウルキオラは舌打ちして、噛みついてくるひよ里に応戦の姿勢を取る。ひよ里のゴロツキじみた喧嘩殺法と、ウルキオラの我流体捌きによる取っ組み合いが、望実と織姫そっちのけで始まった。
「はぁ〜〜〜〜〜……しょうがねえ。あの二人はほっといて、とっとと始めようぜ」
「えっ。止めなくていいの?」
「いいのいいの。ひよ里も粗方暴れたら頭冷えるだろ。
「ええ……」
ラヴに背中を押され、望実は不安そうにひよ里と取っ組み合いするウルキオラを気にしながら、ハッチが的を用意しているスペースへと歩かされる。
「とりあえず、先ずはお前の今の力量を確かめるか。構えろ」
拳西が木刀の鋒を望実に向けた。望実は緊張で掌を強張らせながら、両手で木刀を構える。
来い、と拳西が短く誘って、望美は床を蹴った。
「———で、お互い気は済んだかい?」
呆れ果てた顔をしたローズが、腰に両手を当てて見下ろす先。顔も服もボロボロにしたウルキオラとひよ里が正座していた。
「俺は別にコイツに対して何も思う事は無い。勝手に突っかかられた被害者だ」
「何やとコラハゲェ!!!」
瞬間湯沸かし器のように頭に血の登ったひよ里が吼える。ウルキオラはひよ里から顔をそっぽ向け、こっそり舌を出した。
ローズは頭を抱えて溜め息を吐く。仕方が無いのでひよ里をさっさと真子と、ポンコツもといスーパーひよ里ウォーカーを漕がされる織姫のところへ追い遣り、ウルキオラに立つよう促した。
やれやれ、という態度で立ち上がったウルキオラは———しかし、すぐに小さく悲鳴を上げて、前のめりに倒れ込む。
「うおー!?ウルキオラー!?」
ずっと望実が持ってきた鞄の中で、様子を見守っていたコンが心配そうな声を上げて飛び出してきた。ぷるぷると震えるウルキオラは、堪えるように呻いて足をぎこちなく泳がせる。
「し……痺れ……動けな……」
「ああ、正座慣れてないのか。キミ」
ローズは少し申し訳なさそうにして、木刀がぶつかり合う音を聴きながら、ウルキオラが足の痺れから回復するのを待った。
足の痺れが再発するのを警戒して、ゆっくり慎重に立ち上がったウルキオラに、ローズは何でも無いような態度でこう誘う。
「この後暇かい?
「は?」
コンを抱き上げて左右に体重を交互に移動し、足が正常に戻ったのを確認するウルキオラに、ローズはトートバッグを差し出した。
「———キャベツ三玉、干し海老三袋、卵二パック、豚バラスライス一キログラム、お好み焼き粉、天かすとシーフードミックスを二袋……おい、これ……」
「うん?今日の晩御飯だよ。キミたちも食べてくだろう?」
カラカラとカートの車輪が回る音がする。押しているのは、斜めがけの鞄にコンを捩じ込み
後これも必要だね、と剣袋に入れた斬魄刀をこちらも斜めがけしたローズに追加で載せられた五キログラムの米袋に、ウルキオラは目を剥いた。
「夕餉はお好み焼きなんだろ。ライスも付けるのか?炭水化物と炭水化物になるぞ」
「え?普通じゃない?お好み焼きが主菜でご飯が主食」
「お好み焼き単体で主食だろ!?」
思わず声を荒げたウルキオラを、ローズは静かに、と宥める。何も知らない周囲の買い物客の注目を俄に集めている事に気付いたウルキオラは、羞恥心に眉間に皺を寄せて口を固く噤んだ。
必要なものを一通り買い揃え、
「車とか無いのか、お前ら」
辟易したような声音で、ウルキオラが訊ねる。ローズは、あったら便利なのはわかってるけど、と前置きして答えた。
「そもそも免許自体は取れても、更新とか出来ないからさ。ほら、ボクたち死神だから人間と同じようには老けないし、その辺誤魔化すのが面倒で。かと言って、リアカーを引いて買い出しっていうのも、五十年、六十年前ならともかく現代だとねえ」
「ああ……」
それならば仕方が無いか、とウルキオラは納得と同時に肩を落とした。
暫く歩いて、腕がそろそろだれてきた頃。
「お初にお目にかかるよ。虞犯少年」
背筋がぞわりと粟立った。
ウルキオラとローズは戦慄と共に振り返る。そこにいたのは。
虹彩を青く光らせる、霊骸の"朽木白哉"と"涅ネム"。そして、緑と山吹のツートンカラーの髪をした、中年の死神。その男が何者かを、ウルキオラはグリムジョーからの情報共有を受けた浦原から聞いて知っていた。
「因幡……影狼佐……!」
クロムトルマリンが険しく歪む。中年の死神、因幡影狼佐はウルキオラを蔑むような顔で、アスファルトを杖の先で二度突いた。
「いい加減、私も我慢の限界でね。貴様のような賤しい
小さな音と共に、影狼佐は杖をウルキオラに向ける。
それを見たローズの行動は早かった。買い物袋を提げたままの左手を、顔の前に掲げる。霊圧が悍ましく蠢いて、ローズはペストマスクのような仮面を被った。
霊骸の白哉が真っ先に反応を見せ、動き出す。それよりも早くローズは、仮面の嘴の先から影狼佐へ
「走って!!」
轟音と共に着弾を確認したローズが、仮面を散らし
「おい!これ本当に走って大丈夫なのか!?特に卵!!」
「横から衝撃を加えなければ大丈夫さ!!卵は上からの力には強いからね!!あと、普段使う分も見越して多めに買ってあるから、多少割れても今日の夕飯分には事足りるよ!!」
「そうか!!」
「んな話してる場合か!!後ろから来てる!!白哉が来てる!!」
鞄の中からコンが叫ぶ。ウルキオラが走りながら少しだけ振り返ると、確かに二人に追いつかん速度で追いかけてくる霊骸の白夜の姿を捉えた。ターミネーターか彼奴は、とウルキオラは元々白い顔を青褪める。
「ウルキオラ!コンに義骸貸してあげて!」
「!!」
青褪めたままのウルキオラに、ローズが指示を出した。言われた通りに、コンから本体である
「奏でろ、金沙羅!!」
音を立てて、ローズは鞘から斬魄刀を抜き放ち、始解する。金の鞭のようにしなる刀身が現れて、霊骸の白哉を迎え討った。
霊骸の白哉が抜刀し、ローズが振り抜いた金沙羅と打ち合う。
「……
「失礼だな。飼い慣らした、と言って欲しいね。大体、一応ボク、復帰予定があるんだけれど?」
「……成る程」
常人の目では、よっぽど追いつく事は不可能な速度で、刀と金の鞭が斬り結ぶ。霊骸の白哉は空いた左手の人差し指をローズに向けた。ローズはそれを目敏く見つけ、左手を掲げて再び
霊骸の白哉は、ローズの仮面を見て眉を顰める。その表情の変化に気付きつつも、ローズは敢えてそれを見なかった事にして、ウルキオラに撤退を促した。
破道の四・白雷が霊骸の白哉の指先から放たれる。ローズはそれを霊圧でコーティングした左手で受け、払い退けて、金沙羅を横に薙ぎ払った。
「兄が藍染惣右介の被害者であり、それが望まぬ内に得た力であろうとも。如何に綺麗事を並べ立てたとて、自らを研鑽し練り上げ、鍛え、研ぎ澄ませて得る実力を捨てて、身の程を弁えない後付けの力に頼る事は、驕慢では無いのか」
「よく喋るねえ!本物とは大違いだよ!」
霊骸の白哉は影を置き去りにして、金沙羅の一撃を躱す。上からローズを見下ろして、斬魄刀を地面に対して垂直に掲げた。
「散れ、千本桜」
解号を引き金に、霊骸の白哉の斬魄刀の刀身が桜色の花弁となって千々れていく。その花弁一つ一つが鋭利な刃である事を知っているローズは、向かってくるその花弁の刃を金沙羅を薙ぎ払う事で凌いだ。
「後付けの力、かあ……」
仮面の下で、ローズは嘲るように笑む。
「そんなこと言ったら、
金沙羅の先端に咲く花が、霊骸の白哉の頬を掠めた。霊骸の白哉はローズの言葉が逆鱗に触れたのか、或いは図星をつかれたのか、虹彩で点滅する青い光を火花のように弾けさせる。
「……どうやら、兄は正式に復帰する前に、殉職する事を希望している様だ」
「勘弁してよ、ねッ」
津波の様に押し寄せた千本桜の花弁を、ローズは
走る。走る。走る。走る———。
その背後に、ミニスカート風の死覇装の女が迫っていた。
「ぎゃあああああ!!巨乳のおねえさんに追われるシチュは最高だけど理由が最悪だーーーー!!!」
「俺の顔で下品な口を聞くな、コン!!黙って走れ!!」
必死の形相で走る少年二人は、
ふと、ウルキオラの耳に異音が届いた。走る速度を緩めないまま首を僅かに後ろ向けると、二人を追う死神、涅ネムの霊骸の右手がドリルの様に高速回転しているのが見えた。
もう一度言う。
ウルキオラは愕然とする。藍染惣右介が虚圏を支配していた頃の十刃達が見たら、思わず二度見しそうな顔で。
「科学者の馬鹿野郎共ーーーーー!!!」
ウルキオラは叫んだ。涙目で。
霊骸のネムは無表情無感情非情動のまま、瞬歩で距離を詰め殆どドリルと化した右手を振り上げる。ウルキオラとコンは悲鳴を上げ、迫り来るドリルの鋒から逃れようと斜め前に跳んだ。
米袋を抱えたウルキオラが、アスファルトの上を転がる。買い物袋を二つ提げたコンが顔から倒れ込んだ。グシャ、と音がして、コンは胸の内で卵が割れた事を悟って絶望する。その前方に、影狼佐が二人を飛び越えて降り立った。
「さて、これまで散々私の手を煩わさせてくれたが……それも今日で終わりだ。お前達には、望実を確保する為の人質になって貰おう」
ニヤリと露悪的に笑う影狼佐を見上げ、ウルキオラは険しい表情をして立ち上がる。
「断る、と答えたら」
「その時は仕方がない。私としては、あまり暴力的解決は好まないのだが……手足の一本や二本は、失くして貰う他あるまい」
「……そうか。ならば、俺は全力で抵抗させて貰うだけだ」
スラ、とウルキオラは自身の斬魄刀を抜く。影狼佐は呆れ果てた態度と共に溜め息を吐き、首を左右に緩く振ると、呼応してみせた様に杖を構えた。
「狂え、來空」
影狼佐が解号を誦じる。構えた杖がその姿を変え、現れたのは柄の両端に刃を持つ薙刀。
ウルキオラが先に動く。ウルキオラが得意とする刺突を影狼佐は薙刀を回し、刃を弾いて逸らした。そのまま反対側の刃で反撃すると、ウルキオラは
「涅副隊長。そこの
「わかりました」
影狼佐は來空を一回転させ、霊骸のネムに命じた。霊骸のネムはすかさず起き上がりかけていたコンの首の後ろを掴み、アスファルトに押し付ける。
「コン!」
「よそ見をしている余裕はあるのかね?」
ウルキオラが、霊骸のネムに抑えつけられたコンを振り返る暇も無く、影狼佐の一撃が襲う。ウルキオラは紙一重でそれを躱し、左手の人差し指を影狼佐に向けた。
「
捩れ、回転を得た
そして一瞬の内に、ウルキオラが放った
「!?」
ウルキオラはクロムトルマリンを見開き、驚愕する。影狼佐はその表情を見てほくそ笑んだ。
「どうした。自分の力を消し去られたのがそんなに驚くことかね?
影狼佐はそう嘲笑った直後、來空を左に回す。両刃の軌跡が円を描くと、その中から現れたのは、ウルキオラが放った
信じられない。ウルキオラは最早何が起きたのか受け入れ難かった。目の前で起きている現象を理解できないまま硬直したウルキオラの腹を、
「が……ああっ!!」
腹に空いた穴から、夥しい量の血が水道の蛇口を捻った様に流れ出た。音を立てて膝から崩れ落ちたウルキオラは、肩で息をしながら左手をアスファルトに着く。
その眼前に、影狼佐の來空の鋒が突きつけられた。影狼佐もまた、恐らくは斬魄刀の能力の消耗が激しいのか、呼吸が乱れている。
「……止めを刺す前に、訊いておくとしようか」
「……何を、だ……」
「お前は何故、望実を手放さない。お前は何故、縁もゆかりも無く、自分を削るだけの戦いを始めた?一体お前に、どのような利益があるというのかね?」
問われたウルキオラは、斬魄刀の柄を握り締める。腹に空いた穴の内側の肉が、ウレタンの様にボコボコと泡立った。
「利益、だと……?有る訳が無いだろう、そんなもの」
斬魄刀を突き立てて、それを支えにウルキオラは立ち上がる。
「望実を守るのは、唯、俺が最初に彼奴を見つけたからだ。お前の企みを御破算にしなければ、彼奴が心穏やかに買い物も何も、楽しめないからだ。お前がいると、彼奴は……望実は、心から笑えないからだ!!」
ウルキオラが駆けた。斬魄刀を振り上げ、影狼佐に一太刀入れようと塞がったばかりの腹に力を込め、咆哮する。
「……くだらんな」
刃が激突した。
ウルキオラの靴底が、アスファルトを擦る。影狼佐はウルキオラを軽蔑の眼差しで見下ろし、鼻で嗤った。
「どうやら、お前は何も知らんらしい。いいや、望実がお前に何も話していないのか」
「何の……事だ……ッ」
ウルキオラの斬魄刀が押し返される。ならば教えてやろう、と影狼佐は朗々と語り始めた。
「お前とて、九条望実がただの
「だから、何だ……ッ」
「真実から先に明かそう。九条望実は、私と起源を同一とした
ウルキオラは息を飲む。クロムトルマリンが動揺でブレた。
「
影狼佐はウルキオラの斬魄刀を弾き飛ばして続ける。由嶌欧許は元は十番隊の隊士であった。極めれば隊長格にも比肩し得る斬魄刀を持ちながら、生まれつきの肉体の脆弱さがその才に耐え切れず、それ故に正当に評価されない事に鬱屈した想いを抱えていた。そして、遂には技術開発局が設立されたばかりの十二番隊へ、知識の深さと身体の弱さを理由に転属させられる事となった。
由嶌欧許はそこで、一つの計画を打ち立てる。肉体の弱さを補う為、そして自分という存在を正当に評価させる為、
しかし、由嶌欧許に栄誉は与えられなかった。
四十六室が、死体を兵力として使う非道徳的な手段と、個人が大規模な戦力を有し得る危険性があるとして、"
四十六室は由嶌欧許の"蛆虫の巣"への投獄を命じた。由嶌欧許はこれに反抗し、自身の研究資料の全てを断界内の特殊な隠蔽工作を施した空間に隔離。かねてより、新たな肉体へと自分自身を移植する為に開発していた装置を使い、自らの魂を精神と記憶の二つに分割して、
「それがこの私、因幡影狼佐と、お前が愚かにも我が身を盾にして守ろうとしている、九条望実だ。解るかね?お前は、お前が討ち倒そうとしている男の半身を、必死になって庇っているのだよ」
ウルキオラは動けない。応えられない。情報が多過ぎて、そして受け入れ難くて脳の処理能力を超えていた。
「……ッ!!動け!!ウルキオラ!!」
霊骸のネムに取り押さえられたコンが叫ぶ。ウルキオラはハッと思考を取り戻し、現実に立ち返った。
その眼前に迫る、薙刀の刃。
「さらばだ、
肉が裂ける音がした。振り下ろされた影狼佐の斬魄刀に、首ごと胴が袈裟斬りにされたのだとウルキオラが気付くのに、そう時間はかからなかった。
「あ……望実……コン……俺……は……」
ウルキオラは後ろに倒れ込みながら、左手を伸ばす。せめて、せめて一矢報いようと人差し指を影狼佐に向けるが、霊圧を集中させることができない。
「……———ウルキオラァアアアアア!!!」
コンの絶叫が、空座町の空を響き渡った。
実は今章内で単独勝利が一回も無いウルキオラくん(vs霊骸ルキア→オリジナルルキアと共闘、vs霊骸十番隊→虚化織姫大暴れ)