創造主は去った。そしてバグまみれのクソシステムが残った。思ったよりも世界を創るのは難しいらしい。
「えっ、プロパティってなに!?」 「プロパティ閲覧はデバッグ用のスキルですね。 最近、獲得手順が判明したんですよ。」
「アレは法の穴を利用して負の能力値を手に入れたただの人間です。 尽きることのない負の生命力と負の魔力によって強大な力を持つ精霊や魔獣を従えてるのが特徴ですね。」「どっかで聞いたことのある説明だな…」

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創造主は去った。 バグまみれのクソシステムを遺して

トラックに轢かれたら異世界だった。だから冒険者者ギルドに行こう!

 

特にチートが発揮されることもなく異世界あるある冒険者ギルドに着いた。受付嬢にこれまでの経緯と共に話しかけると…

 

「へえー異世界人なんですねえー」

 

あっさり流された。聞けば、

 

「創造主は色々雑なのでそんなこともありますよ。」

 

ということらしい。

 

「まずはステータスを教えてください。 ステータスと叫べば画面が見えます。」

 

異世界あるある、ステータス。

 

「ステータス! …ステータス! …えっと、からかってるのか?」

 

恥ずかしくなった。

 

「じゃあ、わたしが見ましょう。 プロパティ閲覧!」

 

ポーズを決めながら受付嬢が言う。

 

「あー まず、レベルは…nullですね。 体力も魔力も全部null。 こんな規格外な新人は初めて見ました。」

 

「えっ、プロパティってなに!? nullってどういうことよ!!」

 

異世界にあるまじき単語を聞き動揺する。

 

「プロパティ閲覧はデバッグ用のスキルですね。 最近、獲得手順が判明したんですよ。」

 

なお、創造主はデバッグ用のスキルを一度は抜こうとしたけどシステムが動かなくなるので抜けなかったという伝承が伝わっている。

 

「で…本題ですけど、あなたはレベルがありません!」

 

「レベル0じゃ…ないよな…?」

 

そこになければ、ないですね。

 

「はい、レベルがないということは、レベルがないということです。 決して0ではありません。」

 

嬢のトートロジーな構文を聞きつつ、なんだこの世界とn回目の驚きを示した。

 

「ついでに言えば、体力から可搬重量にいたるまで全部ないです!」

 

「『ついで』じゃないだろ。 どうなってんだよ。」

 

これでは生き物どころか存在すら怪しいナニカである。

 

「それは創造主に言ってくださいよ。 あと、冒険者カード作るんで名前を教えてほしいですね。 コンストラクタが正常に初期化しないんであなたの名前がわからないんですよ。」

 

名前を声に出していった。

 

「…すみません。 もう一度お願いします。」

 

あれっと思いつつ、もう一度…

 

「あー、外字は受け付けないんですよ。」

 

「が、外字!?」

 

どうなってんだ、この世界。(n回目)

 

 

その後もなんやかんやありつつ登録は終わったが、異邦の地から流れ着いた異世界人ということで特別に今後の生活の相談に乗ってくれたり、街を案内してくれるらしい。

街を受付嬢に案内されていると、道端に剣が転がっていた。気になって近づいてみると…

 

「触っちゃダメです。」

 

突然、嬢に腕を引かれる。

 

「間違ってもああいう落ち物には近づかないでください。 うっかり拾ったり、蹴り飛ばしてしまうと、所有者判定に引っ掛かって圧死しますよ。」

 

いきなり、物騒なことを言いはじめる嬢に驚いた。

 

「えっ?」

 

嬢は言う、この世界は持てる重さに制約がある。だから、みんな職業ピアニストや重量挙げになりたがるのだと。

そして、アレは偶にできるバグアイテムで重すぎて誰も触れないので放置されてるらしい。

 

ツッコミが追いつかなかった。

 

「あー魔族が戦ってますねー」

 

男二人がボールから魔獣?を出して喧嘩をしている。

 

「やっぱ、魔王とかいるのか?」

 

異世界あるあるに心が躍る。

 

「居るけど魔族とは関係ないですよ。 アレは法の穴を利用して負の能力値を手に入れたただの人間です。 尽きることのない負の生命力と負の魔力によって強大な力を持つ精霊や魔獣を従えてるのが特徴ですね。」

 

0未満なら幾ら攻撃を受けても、魔法を使っても減るだけで0になることはない。つまり型の限り無限である。

 

「どっかで聞いたことのある説明だな…」

 

ラノベでそういうのがあった気がする。ライバルがホットラインな星座モチーフのアレだ。

 

「あっ、でもあの剣持ったら即死ですよ。」

 

「アッ、バグ剣が最強なんですね。」

 

この世界は酷いレベルでバランスが取れているらしい。

 

 

そして唐突に全員死んだ。

 

見上げるとクマさんパンツを履いたドヤ顔の魔女っ子がいる。

そして生き残りを見つけて怒り出した。

 

「これはレベルがアタシ以下の人間を殺す魔法よ! そしてアタシのレベルは32767(カンスト)! どうして生きてるのよ!?」

 

よくある自分の能力を解説したがる敵だ。とりあえず、神様がレベルを符号付き2バイト整数型で管理していることがわかった。

 

「ご丁寧にありがとう。 でも俺にレベルはないから。」

 

レベルがなければレベル参照の攻撃は通用しまい。

 

「はっ? 何言ってんのよ。 レベル0だろうと-32768でもアタシの魔法には関係ないわ。 本当のことを言いなさい!」

 

経験の積み重ねを感じないこの慌てよう。レベルはバグ技で上げたのだろう。

 

バグアイテムを拾う。思った通りに持つことが出来た。重量判定が正常に処理されないらしい。賭けだったが未定義動作に救われたようだ。

 

そして見た目の割にやけに軽いその剣を気取った魔女に投げつけた。

 

「バグ利用はご計画的に!」

 

魔女は死んだ。




で、でも世界をビルド出来ただけマシだよ 〜後世の創造主に対する評〜

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