原神IF -知っているようで、知らない世界- 作:白い花吹雪。
結局その後、モンド城まで戻った。
ただし、風魔龍をそのまま着地させるわけにはいかないので、目立たないよう城の裏の城壁の上まで連れて行ってもらって、そこから乗り込んだ。
城に来る人自体そこまで多くないし、ましてやその裏になんて来る人はまずいないだろうな……と思っていたが、やはりそうだった。
城壁の上から降りる際は風の翼を使った。
この場の全員が使える「高所から降りる道具」として、まさに最適な方法だった。
パイモンとウェンティに関しては、そんなものを使わずともふわふわと降りられたが。
「さて……これからどうするんだ?」
「まずは、風魔龍が大人しくなったことを公表して、民たちを安心させよう」
「ああ、そうだな!その方がいいと思うぞ!あいつはもう正気に戻ったわけだし、モンドを襲ったりしないだろうからな!」
パイモンの言葉にジンは頷き、リサと共に城へと向かって歩いていった。
「ボクたちは……そうだね、戦勝祝いでもしようか。いつもの店で、たくさん飲もう!」
「そうだな。で、その費用は誰が出すんだ?」
「それは……てへっ」
ウェンティが照れくさそうに笑うのを見て、ディルックはため息をついた。
「まあ、いいさ。風魔龍にはうちも迷惑してたからな、今回は特別にタダにしてやる」
それを聞いてウェンティは喜んだが、その後すぐに「ただし、今までのツケはそのままだからな」と言われて、急にテンションが落ち込んだ。
……改めて思うが、風と岩の神様が揃って貧乏なのは何なのだろうか。
岩神は仕方ないにしても。
町中を歩いていると、奇妙な人物を見かけた。
モナに似ているが、服全体が赤く、髪がオレンジ色をしている。
パイモンも「なんだあいつ?モナ……じゃないよな?」と呟いていたので、やはり彼女から見ても似ているようだ。
声をかけ、その顔を正面から見て、モナとは別人だとわかったが、雰囲気はよく似ている。
何ならこちらも神の目を持っていた……炎元素だが。
「あら?あなたたちは……」
すると、すぐ横にいたクレーが明るい声で「あ、冒険者のお姉ちゃん!」と言った。
今の今まで気づかなかったが、この子も一緒にいたのか。
「クレー、知ってるの?」
「うん!この前、ちょっとだけお世話になったんだよ!」
この様子からすると、あの後(おそらく)反省室送りになったことは気にしていないようだ。
まあ、この子からすれば日常茶飯時で、いちいち覚えてられないのかもしれないが。
「そうだったのね。……あ、私はメニィと申します」
「私は蛍。旅人って呼んで。で、こっちがパイモン」
「パイモン……なんか、マスコットみたいですね」
「おい!オイラはマスコットじゃないぞ!」
「そうだよ。パイモンは非常食」
「はあ……!?おまえまでそんなこと言うのかよ!」
相変わらずというか、よく見慣れたやり取りだ。
でも、メニィはそれも笑って流してくれた。
もっとも、クレーはわりと「非常食」という話を信じかけていたが。
「ところであなたは、どうしてクレーと一緒に?」
「この子は、モンド城や騎士団の人が交代で面倒を見ることになっていまして。今日から3日間は、私がその担当なんです」
「へえ……ってことは、あなたは騎士団の人なの?」
「いいえ、私はモンド城の司書です。いや、正確には補佐ですが」
このメニィという人物は、1年ほど前にモンドの図書館の司書として勤め始め、普段はリサの手伝いをしたり、休みの日に代打で出たりしているらしい。
一瞬、ならもしかしてこの人も……と思ったが、さすがにそんなことはないだろう。
あくまで、リサとジンが特殊な趣味を持っているだけだ。
「リサの手伝いだったのか。しかしおまえ、なんかモナと似た雰囲気だな」
「よく言われます。実際幼なじみです……血縁者ではないですが」
「ありゃ、そうなのか?」
2人はどちらもドーンマンポートの出身で、幼い頃から近所に住んでいてよく遊んでいたらしい。
そして2人とも後に神の目を授かったり魔法使いになったりしたが、メニィはモナと違い独学で魔法を身につけたという。
「とはいえ、正直日常生活で使うことはあまりないですね。神の目の力もそうですが」
もしかしてと思い聞いてみたが、背中につけている本は「大賢者の理想」という法器で、彼女の愛用武器らしい。
聞いたことのない武器だが、つまるところメニィは法器で戦うのだろう。
「でも、どうして法器を持ち歩いているの?」
「用心のためです。もし風魔龍が町中を本格的に襲ってきた時は、私も戦うつもりでいますし」
それについては大丈夫なのだが、まあいずれジンから聞かされることになるだろうから言わないでおいた。
ちなみにクレーも、もしもの時は戦うつもりらしいが、この子の場合は別の意味で心配だ。
それこそ誰かお目付け役をする人がいないと、とても行動させられない。
今は2人で町を散策していたらしい。
そうこうしているうちにクレーは疲れて眠くなり、城に戻って寝る……というのがいつものルーティンだそうだ。
それをわかっていて止めようとしないあたり、メニィもクレーに問題を起こされないように取り扱おうとしているのだろう。
妥当な判断ではあると思うが。
「ね、お姉ちゃん!そろそろいこ!」
「わかった。……ではお二人とも、失礼します」
メニィはクレーに手を引かれ、去っていった。
丁寧な口調なのもまた、モナのようだと思わせてくれる人物だった。
いつか、彼女とモナと共に戦う日が来るのかもしれない……何となく、そう思った。
『メニィ』
モンドの図書館の司書補佐。
モナとは幼なじみであり、旧知の仲。
武器は法器、神の目は炎。
旅人の記憶にはない人物だが……?
『大賢者の理想』星4法器
攻撃力600 会心ダメージ47.5%
攻撃力20%アップ。また、味方にシールドを張るかステータスバフを行うと自分の与える元素ダメージ24%アップ。8秒持続、CT10秒。