ありふれた凡人の少年は異世界で無敵となる   作:究極の闇に焼かれた男

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お久しぶりです。
ようやく納得のいく仕上がりになったので行使しました。
長らくお待たせした最新話となります。


第12話:変わる時

 

 

 

ハジメside

 

 

あれからどれ程の時間が経ったのだろうか。

 

わたしを庇って晋司が右腕を失ってから早くも数日、もしかしたら数ヶ月経っているかもしれない。

それなのにわたしは未だに動けずにいた。

 

 

(どうしてわたし達がこんな目に?)

 

 

未だに目を覚ますことの無い晋司の姿と強い飢餓感のせいで碌に眠れていないが、神水のお陰で生きながらえているものの現状が何一つ変わる訳では無い。

 

 

(どうして晋司に助けられた筈なのに、誰も助けに来てくれないの?)

 

 

孤立無援で、自分達が何処に居るのかすら分からないのに助けを求めるのは酷な話だと頭では分かっていても絶え間なく襲ってくる苦痛の連続に心は疲弊し、ドス黒い感情が沸々と湧き上がってくる。

 

 

(何故、わたし達だけが苦しまなくちゃいけない・・・わたし達が何をしたって言うの・・・・・・)

 

 

心の奥底から湧き上がってくるドス黒い感情によって朦朧としていた意識が急激に覚醒し始める。

 

 

(何故、こんな目に遭ってる・・・・・元々の原因────そんなの決まってるッ!!)

 

 

意識が覚醒し始めていくに連れて、わたしの中で一つの結論が導き出される。

 

 

(こんな所に居るのも、晋司が右腕を失う事になったのも、他でも無いわたしが弱かったからだッ!!)

 

 

意識が覚醒すると共にわたしは気怠さを覚えつつも、上体を無理やり起こす。

 

 

(わたしが弱かったから晋司の足を引っ張った! わたしに力が有れば晋司が傷付く事も無かった! だったらどうするかなんて決まってる、わたしが・・・いや、"私"が強くなって晋司のことを傷付ける全てをこの手で殺すッ!!)

 

 

痛む体を起こした私は心の奥底から湧き上がり続ける憎悪を糧に動き出した。

 

 

「晋司、待っててね。 今度は私が晋司の事を絶対に守るから。 晋司を傷付けた彼奴も必ず殺すから。 だから、少しの間だけ行ってきます」

 

 

そう言って私は未だ意識の無い晋司の額に軽く口付けすると、洞窟の外に向けて歩き出すのだった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

迷宮内のとある場所に四頭の二尾狼の群れがいた。

 

周囲を警戒しながら岩陰に隠れつつ移動する二尾狼の群れは絶好の狩場を探して彷徨い続け、暫くして納得のいく狩場を見つけたのか四方を囲う様に分散して岩壁に身を潜めた。

 

後はこれから現れるであろう獲物を待つだけ────その筈だった。

 

現在居る階層において二尾狼は単体では弱く、常に群れを成して移動する習性があり、明確な意思疎通を可能とするものでは無いが独自の繋がりを持っており、それにより仲間が何処にいて何をするのかが分かる特殊な感覚を有している。

 

故に、その違和感を二尾狼の群れは見逃さなかった。

 

先程まで四頭の群れだった筈の気配が突如として三頭分の気配しか感じられなくなり、どういうことなのか気になり伏せていた体を起こそうとした瞬間、今度は仲間の悲鳴が聞こえてきた。

 

忽然と消えた仲間の気配があった場所に同じく身を潜めていた仲間が上げた悲鳴に残りの二頭は直ぐさま起き上がり仲間の元へ駆け付けようとするも、着いた頃には悲鳴を上げていた仲間の気配は消え去っていた。

 

余りにも突然の事で残った二頭の二尾狼は混乱し、警戒心を顕にして仲間の気配が消えた反対側の壁際に近付いて辺りを確認しようとした直後、二頭の足元の地面から先端が鋭く尖った杭が出現し貫こうとした。

 

咄嗟の事に一頭は反応が遅れ串刺しとなるも、残りの一頭は地面を蹴って飛び上がることで回避に成功する。

 

地面から不自然に飛び出た土で出来た杭に穿たれた仲間の骸を見て生き残った一頭は恐怖を覚え、直ぐさま逃げ出そうと身を翻した。

 

しかし、二尾狼が振り返ると地面が震動する音とともに土壁が現れ、逃走路を塞いだ。

 

逃走路を塞がれた二尾狼の瞳に焦りと困惑の色が浮かぶ。

 

 

──逃げられない。

 

 

そう悟った時には左右の壁から出現した杭により二尾狼の体は貫かれており、地面を赤く染めていた。

 

僅か数十秒の間に二尾狼の群れは全滅し、地面に赤黒い染みを作り上げた人物──南雲ハジメは、錬成を行使しながら岩陰の中から姿を現すと串刺しにされながらも辛うじて息をしている二尾狼に近付く。

 

 

「今の私の実力じゃ完全に息の根を止めるのは無理だけど、この階層に居るくらいだから簡単には死なないでしょ。 とりあえず食料の確保は成功かな」

 

 

そう呟くハジメの瞳には光が宿っておらず、変わりに強い憎悪と気がの色で満たされていた。

 

 

 

to be continued‥




次回は晋司sideの話をするか、ハジメsideの続きにするか決めてから投稿します。

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