節分にあたって、豆まきイベントを企画した霊夢。しかし、集まったのは人間の参拝客ではなく顔なじみの妖怪どもばかり。

 どうしてこうなったと嘆く霊夢の隣に、小鬼が1人現れる。

 次第に酔いが回ったのか、小鬼は秘めていた胸の内を吐露する。

 今日節分じゃん、なんかしないと。で書きました。pixivにも投稿してます。

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東方節分SS 伊吹萃香の語るには

 季節は2月の初め。空は高く澄み渡り、乾いたキャンバスの上を白の絵筆で書き殴ったような雲のあいだから、朝日が差し込む。空気の肌寒さに身を震わせながら息を吐き出せば、どこぞの半霊のような白いもやが現れる。幻想郷の東に位置する、博麗神社。幻想郷を覆う大結界を維持する要所であるこの場所は、しかして静謐で神聖という一般的な神社のイメージとはかけ離れているようで。

 

「何ですって!?もう一回言ってみなさいよ!」

「姫様、どうかそのあたりで――」

「何遍だって言ってやるよ!引きこもりの陰険女!」

「なんだ、喧嘩か!?あたいも混ぜろ!」

「あ、危ないってば!近づいちゃダメ!」

「死なない人間同士の決闘……。この場合、死闘という表現は適切なのでしょうか?ともかく、特ダネの匂いです!」

「うはは!やれやれー!そこだ!……あぁ違う!膝!膝を狙うんだよ!」

 

 ――どうしてこうなった。自分の管理する神社が飛び交う弾幕によって荒らされていくのを、ハイライトのない瞳で見つめながら、博麗神社の巫女である博麗霊夢は盛大にため息を吐いた。

 

 初めは節分の催し、だったはずだ。2月3日。時節のイベントとして、豆まき大会を企画した。幻想郷では妖怪たちが幅を利かせ、好き放題に振る舞っている。そのため、いつも割を食っている人間たちを少しでも慰撫するべく――その対価として、わずかばかりの見返り(さいせん)を期待して――、考案した催し。霊夢の目論見では今頃人間の参拝客であふれているはずだったのに。

 

 おそらくは、イベントの告知を遊び好きで交友関係の広い、白黒の魔法使いに任せてしまったのが、最初にして最大の間違いだったのだろう。

 

 行動力に溢れる友人はまず初めに、自慢の足の速さを利用して、恐ろしい吸血鬼の住まう紅魔館に向かった。もう違う。彼女曰く、「知り合いの人間がいるところで、真っ先に思いついたのがあそこだったんだ」とのことだが、普通に人里に行くという選択肢はなかったのか。その言葉を聞いた時、その友人の頭めがけて恐ろしい速さの手刀が飛んでいったのは言うまでもない。

 

 招待を受けた招かれざる客という、矛盾に満ちた存在に相成った館の主人。とはいえ、彼女もまた吸血”鬼”。当初は何が悲しくて豆なんぞまかれにゃならんのだと渋っていたが、そこはコミュニケーション能力に長けた白黒魔法使い。無駄に良く回る弁舌を遺憾なく発揮し、宴会のようなものだと丸め込むことで参加の約束を取り付けた。

 

 そして、次の目的地に向かおうとした友人の下に、ひらりふらりと通んできた氷の妖精。何やら面白そうなことが始まりそうだと嗅ぎつけられたのが霊夢にとって運の尽き。誘ってみれば、二つ返事で参加を了承。どうせなら友達も、と通っている寺子屋へと突撃し、ちびっ子妖怪どももかき集めた。当然、生徒たちが騒げば教師の耳にも届く。『子どもたちだけでは』とお目付け役として同行することになり、手が足りないからと人里離れた竹林に住む友人も誘い――。

 

 世間は狭いとはよく言うが。幻想郷というある種の閉鎖空間においてはなおのこと。人づてに噂が流れていくうちに、博麗神社でなんかやるらしいということは、瞬く間に幻想郷に住む生物全員が知るところとなってしまった。おそらく、そうして人づてに広まる過程で、豆まきというのが曖昧になり、祭事=祭り=宴会だと、歪曲してしまったらしい。

 

 幻想郷の皆が知っているということは、人間にも伝わっているのではないかと思うかもしれないが、裏を返せば妖怪たちにも知れ渡っているということで。触らぬ神に祟りなしとばかりに、平時ですら妖怪のたまり場として敬遠されている神社に参拝しようとするものなどいようはずもなかった。結果的に、今日この場には宴会好きの妖怪たちと、妖怪たちを苦にしないだけの強さを持った人間しか集まらなかった。という次第である。

 

 

 

 

 霊夢の眼前では、不死身の人間2人が炎やらビームやらをまき散らしながらドンパチやっているし。その周りでブンブン言いながら飛んでるカラスはいるし。喧嘩を肴に吞んだくれている鬼はいるし。

 

 はぁ、と。またしても霊夢は嘆息する。喧嘩はまだいい。羽毛をバタバタ落としてる記者にも目をつむろう。この後の片づけは誰がすると思ってんだ、とか思わないでもないけれど、喧嘩なんてもはや恒例行事だ。人が集まればトラブルも起こるのは当然。個性の爆弾みたいなやつらが集まったこの場ならなおのこと。

 

 幸いにも、あそこで女の子とは思えない形相で殺し合いをしている2人のうちの1人は、世間知らずのお嬢様だ。後で修繕費用だとでも言って思う存分吹っ掛けてやればいい。ただし鬼、テメーはダメだ。

 

 何のためにこのイベントを企画したと思ってる。節分だぞ、SE・TU・BU・N。お前たち鬼を追い払うイベントなのに、そっちから集まってきてどうする。なんでこいつらがここにいるのか。考えられる理由は3つ。1.脳みその代わりに筋肉が詰まっている。2.脳に行くはずの栄養を立派な角に吸い取られてしまった。3.酒の飲み過ぎでパーになっちゃった。結論――、どれでもいい。知ったことか。後で節分の定義を物理的に叩き込んでやる。霊夢は固く誓った。

 

 

 

 

 そうして本日何度目かわからないため息を吐いた霊夢の隣で、妖力が高まる気配。幻想郷広しと言えども、何もない空間からひょっこり現れることのできるものなど、そう多くはない。次第に(あつ)まった妖霧が人の形を成していく。

 

 リボンで結ばれたシューズ、薄紫のゴシックスカート、肩から先の袖が引きちぎられたようなシャツ、後ろ手に大きく一つで束ねられた橙色の長髪。そして――両のこめかみから天に向かって伸びる、二本一対の角。すでに何杯かひっかけてきたのだろう、酒臭い息と赤ら顔を携えた鬼が、まるで最初からそこにいたような調子で座っていた。

 

「萃香、アンタも来てたのね」

「おーう。お邪魔させてもらってるよー」

 

 あくまで、のんびりと。妖怪退治専門の巫女がすぐそばにいるにもかかわらず余裕を崩さないのは、その実力故か。山の四天王とも評される大妖怪――。伊吹萃香が間延びした口調でそんなことをのたまう。ひらひらと手を振りながらおどけて見せる彼女には、遠慮とか自重なんてものはまるで感じられなかった。

 

「アンタ、遠慮ってものを知らないわけ?」

「なにそれー?初めて聞く言葉だ」

 

 訂正。普通に知らないらしい。とはいえ、妖怪の中でも別格に位置づけられる鬼ともなれば、どれほど横暴にふるまおうとそれがまかりとおってしまう。しかし、ここにいるのはそんな鬼すら恐れない鬼巫女。霊夢はこの惨状について、無意味だと分かっていても文句を言ってやらないと気が収まらなかった。

 

「全く、今日が何の日かわかってるの?」

「んー?『季節の節目を祝して博麗神社で大宴会!』の日でしょー?」

「全ッッッッ然違う!」

 

 やにわに立ち上がって、頭を抱えながら天を仰ぐ霊夢。カラカラと笑いながら酒瓢箪を取り出し、発狂する霊夢を肴に酒を飲み始める萃香。人と鬼、すがすがしいほどのこの対比は、果たして節分の日の出来事だと人に説明して納得してもらえるかどうか。

 

「節分でしょ!せ、つ、ぶ、ん!鬼がここに来たら本末転倒なワケ!分かる!?」

「うんにゃ、この年になるとどうも耳が」

「悪いのは耳じゃなくて頭だと思うけど!?」

 

 ぜーぜー。一気にまくしたてたからか肩で息をする霊夢もどこ吹く風。くぴくぴと音をたて、さも美味そうに酒を飲む彼女にこれ以上道理を説いたところで暖簾に腕押しだと判断した霊夢は、あきらめたように腰を下ろす。こうなりゃヤケだ。この際、自分もこの馬鹿げた宴会を楽しんでやる。そう思い右手を近くの徳利に伸ばしたところで。

 

――スッ。

 

 音もなく開いた空間の裂け目から飛び出した手によって、徳利が消えた。

 

「……は?」

 

 あまりの出来事に、呆然とするしかない。こんな不思議現象を起こせる知り合いは、1人しかいない。博麗の巫女の直感をフルスロットルで発揮し、人妖入り混じる会場を一望する。

 

 そして、いた。そばに狐の妖怪を従えた、ナイトキャップをかぶった妙齢の女性。それがこちらを見ながら笑顔で手を振っている。右手には、先ほど霊夢のそばにあった徳利。

 

「あんの胡散臭妖怪っ……!」

 

 酒の恨みは恐ろしい。前々から鬱陶しいと思っていたのだ。この際一度とっちめてやろうかと、怒り心頭に発した霊夢が立ち上がろうとするのを萃香が手で制した。

 

「まーまー気にするない。酒ならここにいっぱいあらぁね」

「……それなら、まぁ」

 

 萃香が自分の瓢箪を揺らしながら言う。瓢箪は彼女の小さい手に収まるほどで、とても『いっぱい』には見えなかったが、これは彼女の持つ宝具の一つである。伊吹瓢と呼ばれるこの瓢箪は、傾ければ無限に酒が沸くという飲んだくれなら喉から手が出るほど欲しい逸品で。霊夢もそれを知っていたからこそ、怒りを収めて彼女の制止を了承したのだった。まぁ、あのスキマ妖怪はいずれぶっ飛ばすが。

 

「ほれほれ。まずは一杯、しまいにゃいーっぱいってね」

「ん。ありがと。……って多い多い。そんななみなみ注がなくてもいいっての」

 

 表面張力の限界に挑戦するかの如く溢れんばかりに注がれた酒。澄み切った透明をしたそれは水のようで、しかして鼻に抜ける芳醇な香り。口を付ければ、アルコールの香りと米を何度も咀嚼した時に似た優しい甘みが広がった。これなら、人里で売られている安酒よりずっといい。こいつはこんなものを毎日浴びるように飲んでいるのか。霊夢の胸のうちに、わずかな羨望が混じる。

 

 それを知ってか知らずか、酒を進めた鬼は嬉しそうに霊夢の顔を覗き込んでいる。なんとはない気恥ずかしさを感じ顔をそむけると、萃香は首だけを霧へと『散らし』て、ろくろ首のように回り込んだ。キモすぎる。

 

 霊夢が「きゃっ」と短い悲鳴をあげながら振り払うと、宙に浮かんだ顔は霧散し、隣で大きな笑い声が響く。全く、妖怪というものはどうしてこう人を脅かさないと気が済まないのか。確かに、人の畏れこそ妖怪の存在意義であり、根源ではあるのだが。

 

 不機嫌さを隠すこともなく萃香をにらみつけるが、気にした様子もなく。笑い過ぎて潤んだ目元をぬぐいながら。

 

「……はぁ。ホント、飽きないなぁ。人間ってのは」

「こっちはもう飽き飽きしてるわよ。妖怪ってのにね」

 

 萃香が手元の肴に手を伸ばす。ひょいと摘まみ上げたのは、何かの魚をあぶった料理とも言えないようなもの。それでも、何が嬉しいのか満足げな表情でそれを噛みしめ、瓢箪を傾ける。

 

 魚。魚と言えば、イワシの頭を焼いたものは、鬼が苦手とする縁起物ではなかっただろうか。興味本位で、霊夢が尋ねる。

 

「ねぇ、それって食べて平気なの?」

「んぇ?何が?」

「ほら、魚の頭」

「……あぁ。これか」

 

 自分の手元をまじまじと見つめながら。すると、突然深刻そうな表情を作って霊夢に顔を近づける。その拍子に酒の匂いが鼻をつくが、霊夢とてそれは同じ。萃香は先ほどまでより幾分か声を落として、重大な秘密を打ち明けるようにこっそりと。

 

「実は――イワシは鬼の大好物で、いつでもありつけるようにと流したデマなんだ」

「えぇっ!?そうだったの?」

「私も小鬼時代、それでよく飢えをしのいでいたっけなぁ……」

「へぇ、アンタにもそんな時代があったのね」

 

 …………。

 

「ごめん。今の嘘」

「……まぁ、そんな気はしたわ」

「私が嘘!?ふざけるな!我ら鬼が人間に嘘を吐く筈がない。嘘は人間しか吐かない!」

「その名台詞、絶対に今じゃないでしょう!?」

 

 あっはっは、と快活に笑う。この鬼、どうにも調子が狂う。それに、なんだか様子がおかしい。伊吹萃香という妖怪は、何よりも嘘を嫌う。そんな彼女が冗談とはいえ嘘を吐くなんて。もう一度彼女の横顔をまじまじと見る。その顔は相変わらず赤ら顔だが、そのうちには酒のせいではない、何か別の感情が渦巻いているような気がしてならなかった。これもまた、霊夢の勘に過ぎないと言われてしまえばそれまでなのだが。

 

 霊夢にはどこか確信めいたものがあった。すなわち、『――この鬼、何か隠してるな』と。嘘を付けない者が人を騙す手段は限られている。生来より正直者で素直なタチの彼女ならなおさらのこととと言えた。

 

「ねぇアンタ。何が言いたいわけ」

「……おっと、流石は博麗の巫女。お見通しってこと」

「質問に答えなさい」

 

 瞬間、ぶわりと膨れ上がる霊力。人間に仇なす魔を駆逐する清浄な力。木っ端妖怪程度なら浴びただけで消滅しそうなそれを受けて、それでもなお平静を保ちながら。

 フッ、と。気が抜けたように口元をほころばせる。細めた視線の先にあるのは、変わらず乱痴気騒ぎの宴会場。抵抗する様子もなければ、逃げ出す様子も見せない萃香に少々毒気を抜かれた霊夢は、フンと鼻息を一つ鳴らして気炎を収める。

 

 萃香が、ゆっくりと口を開く。

 

「霊夢」

「……なによ」

「実をいうと、さ。この宴会、私が集めたんだ」

「あら、異変の黒幕が早々に自白?」

「まぁ、ちょっと聞いてよ」

 

 「オトシマエはあとでつけるからさ」と付け加えた彼女だが、正直なところ霊夢に話を聞く義理はない。とっとと目の前の黒幕を退治して、境内で暴れまわる魑魅魍魎(ちみもうりょう)たちを追い払えば、今からでも本来の目的を達するには遅くなかった。

 

 それでも、人妖に平等な巫女として。そして、なによりも信じる自分の勘によって。彼女の話は、聞いてやってもいいかなと思っていた。それに、目の前の少女は、何かをいつくしむような、優しい目をしている。たとえ妖怪だろうと、そんな者の話を聞かないわけにはいかないだろう。霊夢だって、鬼ではないのだから。

 

「私たち鬼は、行く先々で厄介者扱いでね」

 

 唐突に始まったのは、自身の昔話。彼女の半生がとうとうと語られる。

 

「いつからか、人は鬼を欺くすべを覚えた。同胞たちは狩り取られ、残ったいくらかの鬼たちも、地上を見限った」

 

「疎まれ、(いと)われ、追い払われ。あは。豆まきなんて、その最たる例かもね」

 

「でも、今は違うんだ」

 

「追い払われた先に、幻想郷があった。仲間がいた。そして、アンタがいた」

 

「追い払われた鬼にも、居場所があるんだーって。行く場所があるんだーって。そう思った」

 

「ほら見てよ。あいつの楽しそうな顔」

 

 その視線の先には、額から大きな角を一本生やした、大柄な鬼。萃香の友人であり、同格の大妖怪である彼女は、その辺をうろついていた白狼天狗と河童をひっ捕まえて相撲に興じていた。

 

「あんなのあり得ないでしょ。鬼と他の妖怪が同じ席で、なんてさ」

 

 同じ席というには、いささか無理がある気がするが。今もまた河童の方が天高く放り投げられた。これで何度目になるだろう。霊夢は10から先を数えていない。

 

 しかし、霊夢が生きてきた年月よりもずっと長い時間を孤独に過ごしてきた鬼の目には、そうは映らなかったようで。

 

「だから、アンタにお礼をしようと思ってさ」

 

 萃香が霊夢の方に向き直る。顔の朱色が増す。普段のいたずらっぽい笑みとは違う、純粋な笑みを浮かべて。

 

「ありがとう。私たちに、居場所をくれて」

 

 ――そう、告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはは、なんか照れるなー!ちょっと言い出しにくくて遠回りしちゃったけど、これで……」

「だからって、ウチの神社をたまり場にしていい理由にはならないんだけど」

「あれぇ!?今いい感じにオチてたよねぇ!?なーんでそういうこと言っちゃ言っちゃうかなぁ!」

 

 一世一代の告白に対して、無粋なことを言う霊夢をにらみつければ。ふと、彼女の耳が真っ赤になっていることに気付く。なるほど、彼女もまた自分と同じなのだと。いつも通りのおどけた笑みに戻って、意気揚々と声をあげる。

 

「さーて、酔いも醒めちゃったことだし、いっちょ吞みなおすとしますか!」

「はいはい。ま、ほどほどにね。酔っぱらって寝こけたりしたら、遠慮なく追い払うから」

「あは!そしたらまた来るよ!倍の量の酒を持ってね!」

 

 宴もたけなわ。されど喧騒はとどまることを知らず。今やありふれた日常となった、人妖入り混じる大宴会。何よりも乙な肴だと、萃香は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――で」

 

 日も暮れ、辺りが薄暗くなったころ。風は冷たく、深奥に響く。

 

 境内に広がるのは死屍累々。重なりあうようにして眠る吸血鬼の姉妹と、その横で鼻血を流しながらやけに幸せそうな顔で死んでいる銀髪のメイド。スキマ妖怪の残した、無駄にかわいらしい丸文字で書かれている『またね』の置手紙。2人分の臓物が交じり合って一つの肉塊になっている、スプラッタな蓬莱人の死体。人形と魔導書の残骸に囲まれて倒れる、服のあちこちほつれた白黒魔法使い。自身の足元で大いびきをかいている無礼な小鬼。

 

 どうしてこうなった。胸の内を占めるのは、全く同じ思い。ふざけるな。

 

「鬼はー……、外ーーーーッッッ!!!」

 

 巫女の悲痛な叫びが、むなしくこだました。

 




読了ありがとうございました。

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