知り合いはさいつよ決闘代理人 作:秘境と聖杯ダンジョン
スポットライトが舞台を照らす。
光は二つに分かれ、向かい合う二組の男女へ。
片や機械仕掛けの
対するは細剣を構える女狩人と曲剣を構える男狩人。
貴婦人と貴公子の一礼を合図に舞台には優雅な
踊り荒れ狂うように飛び交う氷元素の刃と風元素の乱流を、狩人たちは危なげもなく回避していく。
フォンテーヌの決闘代理人を務める女狩人はそれぞれの攻撃を正確に見極め、回避する。二機の攻撃が舞台の輪舞曲に合わせたものである事も相まって、まるで踊っているかのような優美な動きだ。
一方男狩人は、淡々と攻撃を避けながら標的へと前進していく。一連の攻撃を全て、姿が消えたと錯覚する程の素早い踏み込みで躱し、貴公子に草元素を纏わせた曲剣で左右からの袈裟斬りを二太刀、逆袈裟斬りを一太刀浴びせた。
貴公子からの反撃、そして貴婦人の援護攻撃を素早く後ろに下がりながら回避。同時に剣を左手に持ち替え、剣の仕掛けを作動、曲剣は弓へと転じる。弓に矢を番え、弦を引きながら更に後退。その後退と交わるように、男狩人の横を一筋の雷光が突き抜け、貴婦人と貴公子を貫いた。
貴婦人と貴公子は高濃度の雷元素にあてられ、特に草元素が付着していた貴公子は草×雷元素の激化反応によって多大な損傷を受けた。
怯んだ二機の隙を、草元素を纏った矢が射貫く。これによって両機共に激化状態となる。
「射撃準備」
女狩人が銃を抜き、
男狩人が矢を番え、
銃弾と矢。それぞれが交互に貴婦人と貴公子を撃ち抜き、超激化・原激化反応が連続で発生。二機へのダメージを蓄積させる。
甚大な損傷を負った機械人形。輪舞曲は終演へと最後の盛り上がりをみせる。広範囲への拡散攻撃を目論むも、狩人は隙を見逃さない。
強大な氷風が放たれるよりも疾く、細剣の刺突と曲剣の斬撃による致命の一撃が下された。
貴婦人と貴公子が同時に黒煙を上げ、火花を出しながら舞台に倒れる。
機械人形の輪舞曲は、狩人の
「お疲れ様でした、クロリンデさん」
「ああ、あなたも。お疲れ様」
今日はクロリンデさんの仕事の手伝いで歌劇場の隣の舞台に来ているよ。
仕事の内容はさっきの通り、二機のマシナリー、コッペリアとコペリウスとの戦闘だよ。
「本日はご協力ありがとうございました。おかげでとても素晴らしいデータが取れました」
「流石、息ピッタリ!どうシュヴルーズ?」
「クロリンデさんの実力は勿論知っていたが、それに合わせられる彼もやはり相当に……そしてナド・クライの情勢にも明るい、と。うむ、決まりだ」
上から順に、撮影機を使って記録をしていたマイヤルデさん。
お馴染みナヴィアさん。
クロリンデさんと同じく仕事で来たらしいシュヴルーズさん。
マイヤルデさんは以前からマシナリーの戦闘データ収集目的で執律庭に申請をしていたらしい。ひとしきり礼を言うと、マシナリーの修理と改修をすると言い、二機のマシナリーを持って行ってしまった。案外力持ちなのかな。
ナヴィアさんがここに居る事にあまり深い意味は無いよ。無いよな?
そしてシュヴルーズさん。仕事で来たとしか聞いてないよ。
「やはり特巡隊に来ないか?好待遇は確実に保証するぞ」
「答えは前に言いましたよ」
「そうだったそうだった。では代わりに一つ、仕事を手伝ってくれないか?」
「仕事?」
「あぁ、順を追って話そう。君に依頼をしたいのは、ナド・クライで開かれる闇市に参加する棘薔薇の会の護衛、そして以前から私達が追っている
「護衛と調査……」
「ちなみにだが、ナヴィアさんの護衛は既にクロリンデさんに引き受けてもらっているぞ」
「なるほど」
じゃあ僕の護衛いらないじゃん。クロリンデさんが居ることに勝る護衛ってそうそう無いぞ。
でもクロリンデさんと一緒に仕事という条件はとても魅力的なのは事実。
「ホシは以前からフォンテーヌで危険な武器等の密輸・裏取引を行っている組織だ。そいつらが残した手がかりから、ナド・クライの大規模な公認闇市に参加する事が分かった。ここで確実に捕らえたい。だが、場所が場所なために大勢の警察隊員は派遣できない。無論、いつでも検挙できるよう待機させるさ。いま私が探し求めているのは、現地の事を知っていて、腕の立つ、身元の信用できる人だ」
「それで僕に。じゃあ今日の仕事っていうのは──」
「私からクロリンデさんに頼み、君も巻き込ませてもらった。君の腕前については聞いてはいたが、この目で見た事は無かったからな」
なるほど。マシナリーとの戦闘はシュヴルーズ隊長によるテストだったってコトね。
「君には私と共にナド・クライに入り、組織の調査を手伝ってもらいたい」
「えぇ、僕で良ければ」
クロリンデさんもナヴィアさんも手伝うんだし、僕も断る理由は無いよ。
「決まりね」
「だから言っただろう。彼は断らないし、実力は保証すると」
少し離れたところで静かに話を聞いていたナヴィアさんとクロリンデさんが僕たちに近寄ってくる。どうやら、クロリンデさん達は僕の件も含めて知っていたようだ。
「というより、私からあなたを推薦したんだ。こういう
「その狩りが見れるのを楽しみにしているぞ」
「なんかハードル上がってません?」
「よし!じゃあ早速、アジトで作戦会議しましょ!」
自認器用貧乏
「クロリンデさんと一緒に戦闘する時は援護に徹する事が多かったけど、こういうのも良いなと」
ドンの護衛の決闘代理人
「彼は『待つ狩り』が得意だと言うが、彼が一番力を発揮するのは『追い詰める狩り』だ。私と同じだな」
裏社会を牛耳るドン
「まず手始めに、ナド・クライではあたしの事は『ボス』と呼ぶように!」
激化の反応ダメージ周りとか、コッペコペの攻撃とかちょいちょい違うけど脚色だから許してね