【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !! 作:持麻呂
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誤字脱字訂正、いつもありがとうございます!!
1週間で書き終わらず、大変お待たせしました。m(_ _)m
早かったような長かったような…ACT2最終話になります。
「ちょ、ちょっと待ってください…えっ、なに?どういう事だってばよ…は?えっ?なんで?真っ当な後継者だったケイ・アラサカを殺すメリットって、サブロウお爺様に有ります?」
ちょっと何言ってるか分からない。
頭がどうにかなりそうだ。
いや、もうなってるかもしれない。
「サブロウは父の台頭に脅威を覚えたんだ。父は、次々とサブロウの仕事と権力を奪っていったからな」
「それって、親族経営の会社の世代交代としては普通なのでは…」
会長って確かに最終的な決を採る権力は有していて、立場上は社長よりも権力を握ってはいるけど、職務やら何やらは社長より有していないんだよなぁ。
天皇と議会や総理大臣の立場みたいなものに近いかもしれない。
徐々に権力を次の後継者に移譲するのが早いか遅いかなんて、最初から決まっていたならそこまで問題視するような事だろうか?
私なら問題ないと考える。
一応、どこから狙撃されるかも分からない状態でこれ以上話すことは怖いので、襟首を掴んでアラサカタワーに向かって引きずりながら歩き出す。
それでも関係ないと、引きずられたままミチコは話し続けた。
「グッ…分かるか?サブロウは、最初からミリテクが熱核兵器を当時のアラサカタワーに持ち込むことを知っておきながら、父がアラサカタワーから離脱するのを禁じたんだ。下に示しが付かないと言ってね。普通おかしいと思わないか?モーガン・ブラックハンドが別口からミリテクと共に乗り込んできていたとしても、ジョニー・シルヴァーハンド如きチンピラに良いようにされるなんて。あのロッカー気取りの屑が熱核兵器を持ち込めて、迎撃にも失敗して、挙げ句の果てに爆心地だぞ?」
ふむ、私の知っている情報と何か違う気がする。
確か、核爆弾を持ち込んだのはモーガン・ブラックハンドが率いたミリテク部隊のはず。
ジョニー達はどちらかと言ったら囮みたいなもので、ミリテクに良いように使われたようなものだ。
でないと、ジョニーがアダムのスマッシャーに下半身を泣き別れにされた状況の辻褄が合わなくなる。
ジョニーの記憶痕跡が混濁していて、モーガン・ブラックハンドがやったことを自分がやったことだと勝手に記憶補完していたと言うのが正解だったはずだ。
何かが食い違っている気がするが、もう少し聞いてみよう。
「それこそ、今回のように誰かが手引きしていなければ出来ないことだろう!」
うーん、今回のことを持ち出されると弱い…
けど、あれは当時のアラサカの社内戦力の大半がモーガン・ブラックハンドとミリテク兵の迎撃に差し向けられていたので、ジョニー達の勇者パーティ(笑)のような少数精鋭の暗殺部隊送られても、少数への迎撃にわざわざ大部隊は割かないだろう。
目下最大の脅威に送るはずだ。
アラサカタワーのエントランスから、サイバーサムライ達が5人ほど大盾とノワキを持ってこちらに向かってくる。
「父は再三の離脱要求を却下され続けた末に、あの屑どもの仲間に捕まり非業の死を遂げたらしい…。ネイト、私だって最初は父の理想を継ぎ、荒坂敬の後継者となってアラサカの繁栄の為に邁進していたのさ。だが、この話を聞かされてまで、私は祖父に忠誠を誓うことは出来なかった」
「なるほど…それが事実であれば、気持ちは理解出来ますが、ちょっと待ってください。…聞かされたって、誰に聞かされたんですか?」
さっきから気になっているのは、どうも、本人がケイ・アラサカから直接もう逃げられないだの、直接遺言を聞いたとかではなく、第三者から末期を聞かされた風に話すのだ。
TRPG版の2020は詳しく知らないが、確かシナリオによってはローグさんやスパイダーによってソウルキラーで殺されていたはず。
だがそうじゃないシナリオも存在したのではないか?
ケイ・アラサカはサブロウに謀殺されるシナリオ…
まぁ、こっちの世界に来てしまった私には、もう確かめる術はないのだけれど…
ミチコを引きずっている私の周りに、防備を固めるようにサイバーサムライ達が大盾で覆い、ジャミング装置で遠隔ハック出来ないようにしてくれた。
たぶんハナコさんか、シロウさんもといサブロウ爺様が手配したのだろう。
手際がいい。
「ああ、それは……」
「それは?」
少し間が開く。
引きずりながら振り向いて顔を覗くと、目を見開いたまま固まっている。
何かおかしい。
「あっあっ、がっ、ががっだ、誰だれ誰々だだだだ…あああおい、めの」
「まずい!」
後ろ襟を大きく下げると、首の後ろのインポートに何か装置が取り付けられていた。
これか!
「おい!まだヨリノブおじ様の居場所を話して無いぞ!!」
サンデヴィスタンを発動させて時間を稼ぎ、バウンスバッグを頸動脈に打って脳細胞を保護しながら、謎の装置を無理矢理インポートから毟り取る。
正規の手順を踏まずに取ったので、神経系への影響が心配だが、そんなことを言っていられるような場合ではない。
たぶん、直接過電圧を脳神経系に送って脳細胞を焼き切るための保安装置に違いない。
サイバーサムライの使ったジャミング装置の出力が高くなければ、外付けの保安装置が不具合を起こしておらずそのまま御陀仏だったかもしれない。
バウンスバッグのナノマシンが、先ほどで破壊された脳細胞をどこまで修復してくれるか…
しくじったな。
しかし、最後に言っていた青い目とは?
「一時的な記憶混濁程度で済めばいいけど…」
異変を感じ取ったサイバーサムライ達が包囲を狭めて、私も急ぎながらアラサカタワーの中に引き摺り込んだ。
すぐに装甲シャッターが下されて、外界から完全に隔絶された。
とりあえずミチコをスキャニングして、脳の損傷がどれほどか確認したいのだが、前頭葉の前側に装着されているはずの多目的インプラントが応答しない。
先ほどの過電圧でショートしたらしく、正しくスキャンした結果を返してくれないのだ。
こればっかりは仕方ないが、リパードクの免許を取った時に同時に取得させられた医師免許が火を吹くぜ。
と大見得を切ったものの息はしているので、小脳や脳幹部にダメージが入ってなさそうなことくらいしか簡単には分からないし、ぶっちゃけそれ以外でここで出来ることなんて限られいるのだけれど…
それでもそこで出来るだけの診断をして、内臓の損傷などはバウンスバッグのナノマシンが作用して治したようなので、あとは脳みそがどうかと言う問題になってくる。
その頃には、後ろからハナコさんとサブロウ爺様がサンダユウを伴いながら走って向かってきた。
「ネフェル嬢ちゃん、ミチコはどうなったんだ?」
「よくはないです。処理用の保安装置が首の後ろに装着されてまして、脳に不安定な電圧負荷を掛けられたんですよ。気付いてすぐに取り除いてナノマシンの治療を試みたのですが…正直、どうなるかは本人次第です」
「分かった。……ネフェル嬢ちゃん、ミチコが最後まで苦労を掛けさせて申し訳ない」
「いえ、問題ありませんよ。しかし、ミチコさんは脳をショートさせられる前に、父のケイ・アラサカはサブロウお爺様によって謀殺されたと言っていました。そう聞かされたとも」
ハナコさんが、思わずといった表情でサブロウ爺様の顔を見るが、当の本人は苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「ミチコはそう言っておったか…」
「はい。ケイ・アラサカの再三の離脱要求を却下し続けたせいで、無惨に殺されたと聞いたと言ってました。ですが、本当のところはどうなんですか?」
「はぁ……ここで話すのはなんだ。場所を変えるとしよう」
「わかりました。その前に、Vや私のチームはどうなりましたか?」
「まったく問題ない。あの後、ドラグーンが最上階より排除されてからは、アラサカの残っていた精鋭部隊と共に挟撃して、ミリテクの兵隊共は圧殺された。2人ほど生きて捉えて、保安装置で抹消される前に電波遮断を施してある」
他のミリテク兵は、どうやら仕込まれた保安装置でグズグズのドロドロになってしまったらしい。
相変わらずエゲツない連中だ。
大体どこのメガコーポも非正規部隊は同じような処置が為されているが、面白いことに国やコーポによってその保安装置による処理方法が違うので、なんとなくどこの所属か分かってしまうのがなんとも…
もちろん、それを見越して所属を偽装するのも基本セットだが、どうやら溶け方を聞くに有機性分解ナノマシンのようなので、粗方溶かした後は自己分解する性質を持っているので終わった後はなのにも残らないという特徴を持っている。
つまり、DNAもインプラントも分解されてデロデロ以外何も証拠が残らなければ、大体NUSAかミリテクの仕業だと分かる。
ちなみに、アラサカの場合はヘキサフルモロアンチモン酸並みに強力な酸を発生させる保安装置で、軒並み全部溶けるが脱水作用も非常に強力なために、事後が黒く焼けこげたようになるのが特徴だ。
生きたまま捕まった連中は、意識を失った状態で身体を切り開かれて、保安装置を取り除かれたあとはこの世のものとは思えない苦痛を味わわされながら、情報を毟り取られることになるだろう。
死んだ方がマシだと思えるはずだ。
一旦場所を移して、サブロウ爺様とハナコさん、私、意識を失ったままのミチコだけになる。
あまり誰これ構わずに聞かれても良い話ではないだろう。
人の口に扉を立てれないからだ。
「さて、ミチコは何処の馬の骨からそんな話を聞かされたのやら知らんが、再三離脱するように言っていたのは私の方だ。防衛計画では、侵入があった時点でVIPは即座に離脱し、阻止限界点を超えた時点で機密抹消用の核を使う予定であった。ケイは指揮をとり範をたれるべきアラサカ家の人間が、真っ先に逃げ出すとは何事と言って聞かず、戦闘の指揮を執っている最中にミリテクの熱核兵器の光の中に消えていったのだ。決して、私はケイを蔑ろにした事実など無い」
「うーん、そうでしたか…あ、そうだ。青い目と最後に言っていたのですが、何か心当たりは?」
一応、サブロウ爺様の言うことを完全に信用するわけでは無いが、今のところはこれが真実だと受け止めるしかない。
どちらにせよ、確かめる術はないからね。
しかし、青い目か…
青い目と言われると、どうしてもミスター・ブルーアイズが頭に浮かぶ。
奴には色んな仮説があって、不良AI説やらソングバードの月へ行く計画に関与してた説やらナイトコープ説やら人間を乗っ取れる説やら挙げるとキリがないが、その中でも記憶を上書きできるのではと言う説が最初の頃に出回っていたのを思い出す。
結局、前世ではサイバーパンク2077の続編のリークすら拝むことなくこちら側に来て決まったので、果たしてミスター・ブルーアイズの正確な正体なんて知る由もないのだが、そうか…
あながち、記憶を上書きできると言うのは的外れではなかったと言うことか。
いや、ミスター・ブルーアイズと決めつけるのは良くないが、ブラックウォールの向こう側から別の不良AIがこちらに来ていてもなんら不思議ではない。
アンテナはこれからも張るつもりだが、既に原作は影も形も無く崩壊しており、この先どうなるかも分からない完全な闇の中だ。
ハナコさんは沈痛な面持ちで意識のないミチコを見続けているし、サブロウ爺様はもう次の事を考えているのか、眉根を寄せて思考に耽っている。
もしこれが、ミリテクとアラサカを潰し合わせる為に第三勢力が仕組んだ盛大な喜劇だったとしたら、私はとんだ道化だろう。
だが、アラサカは破壊されても保安装置でデロデロにならなかったドラグーンを用いてでも、ミリテクに対して面子を守るために批難をしなければならない。
またこのナイトシティで、鋼鉄の嵐が吹き荒れる日も遠くないのかもしれない。
心に重苦しく、苦々しいものを感じながら、大変後味悪く今回の事件は幕を下ろした。
あの事件の後、ヨリノブおじ様の捜索が始まり、すぐに本人は見つかった。
場所は紺碧プラザのペントハウスだ。
そう、本来の歴史ではVとジャッキーが忍び込んで、relicを強奪することになる因縁の場所。
その部屋の本来relicが隠されていた床下収納のスペースに、酸素マスクと点滴をつけられてデーモンにより意識を失わされた状態で囚われていた。
幸い、ガリガリに痩せて極度の栄養失調状態ではあったものの命は無事であり、カント君を使ってデーモンの削除を行ったことで意識を回復することが出来たのだ。
そこから色々と調査が進められると、元鋼鉄の龍リーダーであったヨリノブを操り易いと期待したのかミチコは早々に接触しており、ハナコさんに話したようにrelic計画の推察した内容を語っていて、やはりというかサブロウ・アラサカ暗殺計画を隠しもせず持ち掛けていたらしい。
ただし、この世界線のヨリノブおじ様は後先考えない男では無かったのと、relic計画の主導者が私ということを知っていたため、最初こそ自分を生贄にして寿命を伸ばそうとする父親の姿に強い憤りを覚えたものの、自分の知っている範囲と照らし合わせたところ、段々とミチコの話す内容に不信感と疑問を覚えたようだ。
そこからは、のらりくらりと返答を交わしていたのが悪かったのか、不信感を感じたことを悟られてしまったのか分からないが、後ろを向いた隙にスタンさせられて、気付いたら知らない天井といった具合…
収容された先が、強力な防護を誇っているデラマン病院だったため、私が事の次第を話して聴き取りをすることになったのだが、ヨリノブおじ様が偽物だと断じたシーンでは「流石は俺の姫!!」と興奮した様子で、正直ドン引きした。
しかしその先の何故偽物だと分かったかという暴露を正直に話したところ、滝のような汗が額から流れ出ていたのを見るに、あの醜態は親族や外には徹底的に隠蔽していたらしい。
まぁ、どう見ても変態さんにしか見えないので、特にロリコンやらに厳しいNUSAでは致命的な印象になってしまう。
身から出た錆なので、暫くはロリコンの汚名を甘んじて受け止めてもろて…
あの場で聞いていた全員には、仕事上で知り得た情報は口外しないと守秘義務を結んでいるので、よっぽどのことがない限り外に漏れることはないとは思う。
…ローグさんはその情報をどう使うか分からないのが、ちょっと怖いところだが……多分平気だと思いたいなぁ。
ミチコに関しては、脳のダメージが大きかったようで、今も眠り姫のままだ。
脳の機能自体は回復していて、脳波もちゃんとあるのだが一向に目覚める気配は無い。
サブロウ爺様は、ミチコが目覚めたとしてどうするつもりなのかわからないが、日本の最先端医療施設に収容すると言って眠り姫の彼女を移送していった。
ハナコさんは一緒に日本へ着いて戻り、私もたまにだがお見舞いをしたりしている。
クローンの身体とはいえ、若返りを果たしたサブロウ爺様は、アラサカタワー襲撃により下がったイメージを回復させるため、大々的に若返り復活を宣言して再び会長の座に収まった。
ただし、本人も永遠に権力と経営を維持し続けるのは不健全だとして、本格的にヨリノブおじ様に再教育を施しながら、徐々に引退していく準備を進めるらしい。
ちなみに、アラサカは若返り復活をウリに世界中の富豪たちから融資を受けたりなんだりをしていたので、堂々の復活宣言により遂に盟約が果たされるのではと期待されて、下落していた株価は急上昇して連日ストップ高を記録しているが、まだ臨床段階として安全性が100%保証出来ないと言い、なんとか引き延ばし工作をしている。
私も原作に介入するために作ったは良いのだが、正直この技術が拡散するのは思うところがある。
ちなみに、私は最初からrelicを使う予定は無い。
人間は死ぬから美しいのだ。
まぁ、relicに関しては2回目は使えないやら、時限爆弾のようなシステムを組み込んで寿命を制限するなんて方法を取っても良いかもしれないが、問題は先送りにしておこう。
もう開発する為に缶詰にはなりたくは無い…
尚、先送りにした先で缶詰になる模様。
さて、我らのロッカーボーイ、アナーキストチョニーことジョニー・シルヴァーハンド君のことを話そう。
結論から言って、彼はちゃんと人間に戻ることが出来た。
自分の股間を揉みしだいて、信じてもいないくせに神に感謝している姿はなんと見苦しいものだったけど、まぁ奴らしいといえばらしい。
だが、彼をコンストラクトから人間に戻すことには一悶着も二悶着もあって、中々に難航してしまったのだ。
元々私は、ジョニーだけ人間に戻すのでは無く、オルト・カニンガムも叶うなら一緒に人間の体に戻してやりたかったのだが、どうやって殺されずに接触して説得すれば良いのだろうかという問題にぶち当たって悩んでいた。
ブードゥーボーイズを壊滅させていなかったら、もしかしたらブラックウォールやディープダイブのデータを持っていたかもしれないが、ホテルにあった最大の拠点を物理的に押し潰してしまったので、もうそこからは何も手に入らない。
ちなみに、ママンブリジットはナイトシティから脱出してしまっていたので、追っ手として刺客を放ったのだがいまだに見つかっていなかったため、カント君を酷使して連絡先をなんとか入手し、手配の取り下げをする代わりに知っていることを全て話せと取引を持ち掛けたのだ。
『オッスオッス、いつまで刺客送ってくるんすか。訴訟も辞さない。じゃけん早く帰らせて、どうぞ』
『お、おう。そこまでミームに汚染されてしまっていたのか…。手配を取り下げる代わりに、ディープダイブした先のことと、オルト・カニンガムの情報、そしてブラックウォールについて知っていることを全て話せ』
『あっ(察し)…やりますやりますぅ。許して下さい!なんでもしますから!なんでもするとは言っていない』
『さっきから酷すぎるだろお前…あと、ナイトシティは出禁な』
『ふぁ!?頭にきますよ!オンドゥルウラギッタンデスカ!!』
『…良いからさっさとデータを送れよ。自殺デーモン送り付けてやるぞ』
『おかのした』
『調子狂うなぁ…』
なんて、嫌がらせのデーモンを削除するのに時間が掛かりすぎたのか、高濃度の先輩ミームに汚染されてしまって語録無しでは話せない身体になってしまっていたのだ。
もうこれわかんねぇな…
何はともあれ、ママンブリジットから得た情報をもとに、イケニ…もとい喧嘩を売ってきたシックス・ストリートを丁寧に連れて来て、志願者()としてオルト向けのメッセージをディープダイブしてもらって、本人に届けてもらった。
そこから、後輩ちゃんのところに直接メールが届いて、後輩ちゃんのコール機能を一時的に乗っ取ってジョニーとオルトが50年ぶりに会話することが成功したのだ。
オルトの方は、相変わらず人間性をほぼ喪失していて、神のように振る舞えるネットの海から人間の不自由な身体に戻ることに難色を示したのだが、そこはジョニーの腕の見せ所。
なんというか、手八丁に口八丁、クズ男の本領を最大限に発揮した結果、オルト側が折れて人間の体に戻ることに同意。
幸いなことに私が持っているジョニーの銀の腕、肘のトンガリの中に、2人のアンダーヘアのミックスが御守りとして入っていることが判明したので*1、そこからDNAを回収してクローンを生成することができた。
あとはジョニーと後輩ちゃんを分離させれば良いだけなので、サブロウじっじに今回の報酬として《神輿》を使わせてもらうことにしたのだ。
ただし、アラサカとしても《神輿》は本来他人に触れさせてはいけないものなので、一度だけという条件付きである。
果たしてソウルキラーで抜き取った記憶痕跡を元の体に戻したとして、それは本人なのか別人なのか、魂はどうなるのかという考察は一旦端に寄せておく。
どこでもドアは肉体を一度分解して再構成されているので、実質一度死んでいるのではないかっていうのと同じ理論である。
そんなわけで、本当なら後輩ちゃんに対してソウルキラーを使いたくは無いのだが、ジョニーだけを分離することは出来ないので、説得をした結果協力してくれることになったオルトの力を借りて、デジタル麻酔を掛けてもらいながらソウルキラーを使用した。
そこから、オルトに後輩ちゃんの記憶痕跡を抜け殻になったTPRに移してもらって、彼女は無事に自由の身となった。
それから、2人には追加で用意した正規版のrelic ver2.001に一時的に移ってもらい、2人のクローンが出来上がった時点でそれらを使用して、人間に戻すことになる。
それから、約1ヶ月後に彼ら2人は無事に人間に戻れたわけなのだが、ちょっと目を話した隙に病室でおっ始めるのは勘弁してほしかった。マジで。
まぁ、オルトは兎も角ジョニーはアラサカにバレると命を狙われるかもしれないので、その後少し顔を弄ってからは、私が用意した住処に2人して暮らしている。
ジョニーはその後、ケジメがどうとか言ってアフターライフに顔を出し、ローグさんにボコボコのボコにされて、顔が潰れて前が見えねぇとかほざいていたけど、あとからオルトが現れて執りなした結果、ジョニーの悪口で盛り上がって意気投合、ジョニーそっちのけで2人は仲良くなっていた。
あぁ、エッジランナーズの面々についても語らなくてはいけないね。
まずはリーダーのメインとドリオ。
この2人はアラサカからの新しい身分を受け取ることはせずに、普通に引退して結婚した。
やっぱり女性の方が強いのか、良い具合にドリオの尻に敷かれていて幸せそうだ。
次にキーウィは、アラサカから新しい身分を貰って別人として再出発。
もうサイバーマスクを使うことは無くなり、怜悧な相貌の美女になってナイトシティをあとにしている。
もちろん居場所は逐一教えて来ており、かなりの頻度でナイトシティの私の家にやって来たり、日本の飛鳥井屋敷にもちょくちょく顔を出しに来ていて、わざわざルーシーやデイビッドの顔を見に来ては、何かと話を聞いたりなんだかんだで世話を焼いているあたり、ネットランナーは辞めてもルーシーの保護者までは辞めたつもりはないようだ。
キーウィ自体に気があるのかどうかは分からないが、ファルコを足代わりとする為によく連れ回している姿を見かける。
ファルコ本人も、相変わらずの緑茶キチガイなので、ナイトシティと日本に行く時は緑茶が飲めると喜んでいて、それなりに利害は一致しているらしい。
ピラルは、レベッカがデイビッドにベッタリで、メイン達も引退してしまい自分もアフターライフに自由に出入り出来るほどのサイバーパンクになり、父親のようなスゲェサイバーパンクになるという夢を叶えてしまって暇を持て余していたので、ナイトシティのデラマン診療所の近くに新しく店舗を拵えてやり、そこでテッキーの技術を存分に発揮できる修理工房兼武器工房をやってみないかと声を掛けた。
すると、本人もずっとサイバーパンクとしてはやっていけないと思っていて、みんなバラバラになってしまった以上渡りに船と承諾してくれたのだ。
私がメイン達のチームのケツ持ちをする前は、テッキーとしてメイン達チームメンバーの銃器の整備や、新しく導入するクロームの調整、爆発物の管理等は全てピラルがやっていたので、いきなり店を任せても存分にその技術力を発揮して、最初こそ評判が無かったので集客に少し苦戦していたが、いまでは近隣のギャングからコーポ、一般市民の機械修理の依頼から銃器の整備買取販売なんかを一身に受けていて、毎日が楽しそうに仕事をしている。
さて、残るはデイビッドと愉快なハーレムメンバーのことだ。
デイビッドとルーシー、レベッカは引退をせずに現役を続けているが、ドカンと大きな金額を得たのでサイバーパンクとしての活動頻度は低下して、デイビッドはアカデミー卒業後は私とデラマンのコーポに就職した。
ルーシーとレベッカは相変わらずデイビッドにベッタリだが、レベッカは古巣のモックスから用心棒の仕事を引き受けたり、ルーシーは投資にハマってそこそこ儲けているようだ。
ちなみに、ルーシーとレベッカの2人はデイビッドが居らず引き受けている仕事の無い時は、良くエル・コヨーテ・コホへ行っており、ママ・ウェルズとミスティから料理やら家事を習って、ちょっとした花嫁修行みたいなことをしている。
まぁあれだけベタベタしているカップルに大金が舞い込んできたら、そりゃすることはひとつな訳で…
そう、4人は結婚した。
ん?1人多いって?どっから来たんだって?
そりゃサーシャに決まってるじゃないか。
どちらかと言ったらお邪魔虫、泥棒猫的立ち位置で影の薄かったサーシャも、裏でどのような取引ややり取りがあったのか不明だが、しれっと何食わぬ顔でデイビッドのハーレムの中に紛れ込んでおり、1番ちゃっかりしている形で自分の幸せを掴んでいた。
サーシャはバイオテクニカも崩壊しているので、ネットランナーを続けることに関しては特に拘りも無く、さっさと専業主婦に転身してしまっている。
とはいっても、専業主婦は一日にして成らず。
本格的な修行のために、日本の飛鳥井屋敷に来てグロリアと私の
なので、グロリアからはレベッカよりも可愛がられており、義母としての好感度はサーシャ>レベッカ>ルーシー>越えられない壁>ヨリノブおじ様*2の順に好かれていたりして、デイビッドが3人から搾り取られてヨレヨレになっている姿を晒すと、必ずグロリアは嫁三人衆の味方をしてデイビッドを叱咤激励する姿を見せていた。カワイソウ
ちなみに、3人の中で1番先に妊娠したのもサーシャで、次にルーシー、ルーシーから一年後にレベッカも妊娠して子供を産んでいる。
レベッカの良いところは、3人とも一気に妊娠したら家事や育児が大変になってしまうので、それをする人がいた方がいいと自ら立候補して一歩引いたのだ。
もちろん、無計画で勝手に妊娠したサーシャと、対抗意識で妊娠したルーシーとは壮絶なキャットファイトがあったとか無かったとか…
ズタボロになったデイビッドから聞いた時は、流石の私も頭を抱えて仲裁に乗り出したのは言うまでもない。
おっと、忘れちゃいけない我らのチューマ。
ジャッキーとミスティは、2人で仲良くエル・コヨーテ・コホを継いで、グレンで1番美味い店として地区どころかナイトシティよりも外から、わざわざタコスやメキシコ料理を食べに来る客がいるくらい繁盛している。
アラサカ強襲をハブられたと知った時は、かなり怒っていたのだが、ミスティがその時妊娠しており生きて帰ってくるかどうかという強いストレスを与えたく無かったと伝えると、流石に意気消沈しながら納得してくれた。
その後、ミスティは珠のような男の子を出産して、ママ・ウェルズもウェルズ家が繋がったと大喜び。
パドレや古巣のヴァレンティーノズの元仲間達も喜んで、三日三晩エル・コヨーテ・コホはどんちゃん騒ぎでお祭りのようだった。
その間のグレンは、ハレの日を穢さないようにしようと住民達も協力して、ナイトシティの下町のような地区としては、ほとんど犯罪も起きずとても治安が良かったらしい。
たぶん、やらかした奴はギャングか街の住民に路地裏に引き摺り込まれて、世にも恐ろしい目に遭っていたのかもしれない。知らんけど…
そうそう、後輩ちゃんはその後もアフターライフでアラサカにカチコミをかけて生き残った伝説の1人として、元気にサイバーパンクライフを楽しんでいる。
全部終わった後の約束…?
何があったかは、ちょっと聞かないでほしいかな……
日本には来たことはないが、ナイトシティに私が行った時は必ず私の家に入り浸るくらいには付き合いが途切れていないとだけ言っておく。
ん?私のこと…?
そうだなぁ。
私のところといえば、グロリアとジュディが1人ずつ子供を産んだことくらいかな。
実は、後輩ちゃんが汚い妖精さんことジョニーと脳内同居しなければならなくなる少し前に、2人は妊娠していたのだ。
ちなみにグロリアが男の子で、ジュディは女の子だった。
…なんだって?私が女だからどうやっても男は産まれないだろうって?
確かに普通ならそうだろう。
だがちょっと待ってほしい。
ここが倫理観の終わっている世界だと言う事実を忘れてはいないだろうか。
抜き取った体細胞からDNAを抽出し、父親のY染色体を模倣しつつあんなことやこんなことをチョチョイのチョイっとすれば、自分の遺伝子を引き継がせながら女性同士でも男の子を作れるのだ。
これで飛鳥井家は安泰である。
嫡子が女の私しかいないため、裏で元本家が復権を企んでいたのだが、これでその計画をご破産ナイナイにしてやった時はスッキリしたぜ!
ジュディはやっぱり自分の子供でも男は嫌だと言うので、ごく一般的なX染色体同士の人工授精によって女の子を産んだ。
私も最初は2人の子供を産んでみる経験をしても良いかと思っていたのだが、出産と育児で身動きが取れないと仕事が回らなくなったり、家の事も回さないといけなくなったので、後回しにしていたらフサリアという養子ができてしまい、結局そのままになってしまった。
まぁそういう事もあるよね…
フサリアも中々にやばそうな出自で、試験管ベイビーの様にちゃんと成長しないのではないかと心配だったが、無事に何事もなく成長曲線に沿った形で大きくなっている。
血こそ繋がっていないものの、弟と妹が出来て大喜びしていたのにはホッコリした。ええ子や。
パッパとマッマにも可愛がられているので、家庭内としては安心している。
だが、フサリアはネットランナーとしての才能を開花させており、良く家に来るキーウィからハッキングのノウハウを教わってからは日に日に上達していて、将来レイシィ・バートモスのようにならないか心配でならない。
どういうわけか、ミリテク・カントMK6の中に入っているカント君と相性が良いらしく、あの厨二病全開の痛い不良AIが憎まれ口も叩かず、私の制御を外れて素直に知りたい単語を検索しだしたりするのだ。
また謎が深まっていて、空恐ろしく感じることがままある。
他にも、マッマからは気合い。
グロリアからは慈愛。
ジュディからはテッキーの技術。
そして私からは護身術*3を教わっては、水を吸うスポンジのように吸収してすくすくと一人前のアスカイ淑女に成長している。
アナーキストチョニーがロックの魂を仕込もうと企んで、コソコソと隠れてギターをプレゼントしながら下品な歌を教えていたので、あとで全員で囲んで棒で叩いておいたのはフサリアには内緒だ。
そんな感じで、私も楽しくやっている。
だが、そう遠くないうちに、またなんぞ不穏な風が吹き荒れるような気がしてならない。
準備だけは怠らないようにしよう。
あるかもしれないオマケ
ーーー1?年後ーーー
「ねぇー、母〜。コウヤ*4がヒナちゃん*5とホノカちゃん*6を連れて行った旅行先って、知ってる?」
「おや、急にどうしたんだいリア。そんなことを聞いて。確か瀬戸内海の島だった気がするけど」
「なんかね、ちょっとディープダイブしてた時にオールドネットの情報断片を見つけたんだけど、3人が向かった島のことが書いてあったんだよねぇ。なんか女性の尊厳を踏み躙るような因習…淫習があったらしいんだ」
「なるほど…それで?」
「昔、それを主導していたその時の村長一家と長老衆は壊滅させられて、参加していた連中含めてみんな逮捕されたらしいんだけど、いつからかその因習が復活してたみたいなんだよね」
「あ、ふーん…『ハナコさんですか?ちょっと空母クジラ貸してもらいたいんですが。ええ、強襲部隊と戦闘爆撃機を貸してもらいたくて。ヨリノブおじ様とサブロウお爺様には私から伝えておきます。はい、はい、大丈夫です。ありがとうございます』」
「何するの?」
「母さん、ちょっと島焼いてくる」
「いってらっしゃ〜い」
つづ…かない
最後までお付き合い下さった読者様方、一年を通して本当にありがとうございました。
これで、この二次創作は完結しますが、思えば第一話を投稿したのが1年と1ヶ月ほど前のことになります。
当時は2日で一話更新でしたが、色々と忙しくなって1週間に一話の更新になってしまいました。
それでも、初投稿の作品で最後まで書き続けられたのは、ひとえに皆様のご感想やここ好き、ご評価での応援のおかげでございます。
本当に本当にありがとうございました!!
前々話と前話のご感想も体調と精神的な問題でお返事が書けませんでしたが、全て楽しく読ませて頂いております。
本編の詳しい設定をご存知の方もいらっしゃって、かなり勉強になる事も沢山ありました。
これからサイバーパンク2やエッジランナーズ2が公開されて行くと思いますが、機会があればACT3を書けたらなと思っております。
是非その時も、色々とお教え頂ければ幸いです。
最後に、スッキリと終わるエピローグで無くて申し訳ありません。
わざと沢山のフラグと謎を残していったのは、ここが巨大な陰謀渦巻く悪徒達の都ナイトシティという事と、あるかもしれないACT3への熱を残して行きたかったからです。
完全にノミの心臓のエゴですね…
あぁ、それと不定期で間話はアップロードするかもしれません。
その時は良かったら、また皆さんお付き合い頂ければ大変嬉しいです。
それでは皆さん、またお会いしましょう!
さようなら!!
by ノミの心臓こと持麻呂
p.s.オマケに関しては、読んで脳を焼かれた〇〇マンガに出てくる村を個人的に破壊したかったからです。気にしないでね!!