世界を救う英雄を育てた英雄 作:スカイハーツ・D・キングダム
ベルにとって約半年ぶり、アイズにとっては約一か月ぶりの義兄との再会は、大混乱となった騒動に終止符を打つ形で果たされた
ベル「兄さん!」
アイズ「お兄ちゃん!」
一夏に駆け寄るふたりの少年少女達の姿は、どこかいつもより幼く見え、憧れを前にテンションを上げるのだった
一夏「半年ぶりだなベル。アイズも暫くだったな」
駆け寄るふたりの頭を優しく撫でながら再会の言葉を吐く一夏
ベル「に、兄さん、その撫でるのはやめてよ。僕そこまで幼くないって」
一夏「はは、俺にとってはまだまだガキだよふたりは、見ろよアイズを」
アイズ「────(喜)」ホクホク
一夏「大人しく俺に撫でられてるだろ?」
ベル「いやそれはアイズ姉さんがブラコンだからで」
一夏「そんなこと言ったら俺だって
ベル「そんな誇るように言う?」
少しため息を吐きながらも大人しく撫でられるベル
ティオナ「う、うわぁ…………あの硬かったモンスターが瞬殺…………」
ティオネ「相変わらずの強さね…………」
レフィーヤ「う、羨ましい!────アイズさんを撫でるなんてぇぇ」
ロキ「ええタイミングで帰ってきたんか(あのモンスター、地下から来た奴は知らんがそれ以外のは間違いなくあの色ボケが関わっとるな)」
ヘスティア「え、じゃ、じゃあ彼が」
一夏を兄さんと呼ぶベルの姿に、彼こそがベルにとっての英雄にしてベルを鍛えた義兄だとヘスティアは気づくとベル達に近づく
一夏「…………初めて会う神…………いや、この神格…………ゼウスの爺にヘラの婆に通じるものがある……それに…………」
初めて見る神を異端の眼を通して神格を読み測りながら、過去に溢したゼウスヘラの会話を振り返る一夏はやがて
一夏「……そうか、お前がヘスティアか」
ヘスティア「え?」
一夏「ヘラの婆からお前のことは聞いている……そういうことか」
そう言いながらベルの方へ顔を向けるとベルはそれだけで何を言おうとしたのか悟り
ベル「紹介がまだだったね。この方が僕の主神、女神ヘスティア様」
一夏「やっぱりか」
ヘスティア「初めましてだね、そういう君は、ベル君達の義兄の」
一夏「一夏…………織斑一夏だ。婆の最後の眷属で、一応最強をやらせてもらってる…………まさか、あの爺と婆の姉が地上に降りていて、しかもそれがベルの主神とはな」
ベル「それだけじゃないよ。僕がオラリオに来た最初の日、兄さんに教えてもらったあの廃教会で出会ったんだ!」
一夏「…………」
ベルの言葉を聞いてもヘスティアを見続ける目は変わらない
地球に居た頃、かつて競っていたファースト幼馴染が引っ越して以降、次にできるセカンド幼馴染と出会うまでの期間、それまで習っていた剣道を止め、退屈しのぎに読書をする習慣を身につけ、その過程で様々なジャンルに手を出し、その中には地球に古くから伝わる神々の神話を綴った本も読んでいた
その為、当初は男神であり悪神であった北欧神話の神ロキがこの世界では女神でしかもラグナロクを起こした神とは思えない親しみやすさに一夏は驚いた(他にも鍛冶神で男神であるはずのヘファイストスが男装系女神だということにも)
当然ヘスティアについての知識も持ち合わせていた
この女神の弟と義妹に当たるゼウスとヘラが老人の見た目に対しなぜか一部分(胸部装甲)以外子供と言っていい見た目の女神
神格はゼウスヘラにも並び、なにより神特有の読み取りずらい魂がこの女神だけ読みづらくない
いや、そもそも魂の色そのものがどこまでも白一色で裏表が存在しない
一夏「(…………こんな魂、ベル以来だな……いや、今のあいつは俺の影響で果たして純粋なのかどうかわからんが…………これが女神ヘスティア。オリュンポス十二神(辞退)の一角にしてあの爺婆の姉、そんであの婆が手放しで尊敬できる女神………か)────そうか、だとしたら運命だったのかもな」
ヘスティアを見終えた一夏の心境は唯一つ…………安心だった
出会った神によっては碌な目に合わされたりそもそも眷属を大事にしないようなハズレ神と当たることだってあり得る
だが、弟が出会った女神はちゃんと当たりだったことに安堵する
一夏「あの廃教会か………」
ベル「でもあの廃教会。今僕とヘスティア様のホームとして扱ってるけど…………駄目、だったかな?」
ヘスティア「え?もしかして今追い出されたりされないよね!?」
教会と周辺の土地の所有者である一夏に今更ながら使用としていることを伝えるベルとそれを聞いて焦るヘスティアに少し面白く思いながらも
一夏「使いたかったら好きに使え。ついでに周辺の俺が購入した土地もやるよ。お前が冒険者になった祝いと派閥結成の祝い変わりだ」
ヘスティア「いや良いのかい!?しかも周りの土地もって、君太っ腹過ぎない!?」
一夏「どうせならあの廃教会を起点に自分が思い描く未来のホームを実現して見せな。その代わりあそこ一応俺のお気に入りだから自由に出入りさせてほしい。安心しろ。ファミリア運営に口出ししないからよ」
ベル「そ、それはいいけど…………ってヘスティア様!」
そこでヘスティアは、ホームを追い出されずに済んだことに安堵し気を抜けばその場で倒れたかと思えば寝息を立てた
一夏「………疲労だな…早くホームまで連れて帰んな」
そう背中を押されたのでヘスティアを抱えその場を去ろうとするベルに
一夏「後でホームによるからな!」
その言葉にベルは腕を上げ返事しながら帰路につくのだった
一夏「…………んで、さっきのモンスターだが………お前らなにか知ってんのか?」
アイズ「…………少し前の遠征で、多分。似た奴と戦ったばかりだった」
その場で、アイズ達は遠征で謎の新種との交戦に加え、今倒したモンスターの魔石とダンジョンの新種が同じような魔石を落としたことを話す
一夏「(新種…別に新しいモンスターが見つかること自体は問題じゃない……だが、本来ダンジョンにいるはずのダンジョン産のモンスターが地上に上がってきた…しかも…)」
アイズが見せた魔石を自らの眼で見た所、通常の魔石とは違う混ざり物が見えた
それも初めて見る
一夏「(何が起きてるんだ…)……分かった。俺の方でも調べてみる。何か知り次第連絡する」
ロキ「頼むで、祭り楽しどったアイズ達も悪いんやけど仕事があるでー」
そこからロキによる的確な指示により別れることになったアイズ達を見送る一夏とロキ
一夏「……すっかり頼もしくなったなガキ共は」
ロキ「せやろ?まあレフィーヤはどこか気持ちが並べられてへんけどな」
一夏「大丈夫だろ。そういう時のためのアイツらだ。アイツらならレフィーヤも並び立たせられるさ。もっとも、きっかけや手助けはすれど最後には自分で立たなきゃな」
ロキ「厳しいなぁ。せやけどそれがレフィーヤの為………か」
一夏「ああ…………さて、それはそれとして……だ」
ロキ「…………」
一夏がロキの目を見れば、それだけで何を言いたいのか察しているロキは無言で頷くのだった
それを見届けた一夏はすかさず背後を振り返れば
腕を振り下ろす
フレイヤ「はぁぁぁぁ~ベル///なんて魂の輝きかしら///」
モンスター騒動が起きていた闘技場周辺からやや離れた建物の屋上にて、先ほどロキと別れたフレイヤが戦うベルの様子を見届けていた
ロキとの会話中、街を歩くベルの姿を目にし店を飛び出した後、あらかじめ待機させていた自身の眷属であるオッタルと共にガネーシャファミリアが管理する調教室にて美の女神たる魅了を使い見張りの眷属を堕とし、何対かのモンスターを脱走させたのちにシルバーバッグに魅了混じりの洗脳でベルの近くにいるヘスティアを狙うよう誘導させた
全ては己が初めて見た時からその目に焼き付けられた魂の持ち主にして自身の伴侶に相応しいと見定めた相手であるベル・クラネルの活躍と戦う際の魂の高ぶりを見たいが為にこの騒動を起こしたなんともはた迷惑な女神である
フレイヤ「あの魂だけじゃない……駆け出しとは思えない成長ぶり……なにかスキルが働いている影響かしら……でも」
途中ベルが武器をロキの眷属であるアイズに渡しての戦闘継続やその後親しげに話す姿にどこか面白くなさそうであった
フレイヤ「あの子。ロキのお気に入りのあの娘とあんなに仲良いのは、妬いちゃうわね」
これは後日、自身の眷属を使って警告することを視野に入れて────そう考えていた所に
フレイヤ「!」
フレイヤが立つ建物に衝撃が走ればそのまま下から崩れてゆく
オッタル「フレイヤ様!」
すぐそばに控えていたオッタルが飛び出し彼女を抱きかかえその場から飛んで離脱した
オッタル「ご無事で」
フレイヤ「ええ。私は大丈夫よ………それよりも今のは」
一夏「チッ……仕留めきれなかったか」
崩壊した建物から出た土煙の中から現れたのは、建物を破壊した張本人にしてフレイヤファミリアの宿敵 現代最強の冒険者 織斑一夏 とその隣を歩くロキの姿があった
フレイヤ「今のは危なかったわ。本気で私を仕留めるつもりだったかしら?」
一夏「そのつもりだったが、小賢しいことに。ご自慢の眷属に守られやがって」
オッタル「貴様、我らの女神に対して刃を向けたこの愚行…」
一夏「こっちのセリフだ。テメェ、なに俺の弟にちょっかいかけてんだ。今すぐ滅してやろうか?」
フレイヤ「…………へ?」
一夏「ああ。そういえばお前は知らねえんだったな。お前がちょっかいかけたあのガキは、俺の弟。つまり俺とは師弟関係にある」
フレイヤは一夏の言葉に一瞬硬直したもののすぐに持ち直し
フレイヤ「…………私がちょっかいかけた証拠は」
一夏「テメェの視線はずっと感じてたしそもそもモンスターを管理していた現場にテメェの臭い臭い
フレイヤ「……それは私と同じ美の女神のイシュタルだって思わないかしら?」
一夏「思わねえな。昔ならいざ知らず今のアイツは、んなアホなこと思いついても実行するはずがない。もっと言うなら、テメェはアイツと違って信用できないな。そしてテメェは俺の身内に手を出した………大方探し求めていた伴侶になりうる可能性のあるアイツに目を付けたわけだ。それと分かってるよな?俺は俺自身に降りかかる火の粉には返り討ちにするが、身内に手を出すならそいつが誰であろうが滅ぼしてやるってな」
殺気交じりで言葉を綴りフレイヤは一瞬硬直し、そんなフレイヤを守るためにオッタルが盾となる
一夏「盾のつもりか?だがテメェ程度じゃ役に立たねえよ。やろうと思えばお前諸共背後のクソビッチを切り刻めるがな………まあ、それはいい、後のことはロキ。任せるな、俺は俺でガネーシャファミリアの所行くからな」
ロキ「ほいほい。さーてフレイヤ。自分ウチからの質問全てに答えてもらうで」
一夏「ああ、一応言っておこう。今回の騒動に対する賠償とペナルティーは必ず受けてもらうからな。拒否したければしても構わねねが、その時はお前のファミリアは闇派閥と同類と見なして即滅ぼしに行ってやるよ」
フレイヤ「私達が闇派閥と同類ですって……」
一夏「そう思われるだけの事をしてきただろうが。今まで俺を怒らせても一思いに滅ぼさなかったのは俺の慈悲(本拠地を8、9割壊滅。団員の98%を蹂躙。毎度ファミリアの財を5、6割略奪)だ。だが、俺の身内に手を出すなら話は別だ。いい加減理解しろ、お前を含めたフレイヤファミリアは俺より下だってことをな」
フレイヤを睨みつけながら言い終えた一夏はその場をロキに任せその場を後にした
一夏「で、なんでベルに説教されてんだ?」
事後処理をしていたガネーシャファミリアの団員に自分が帰ってきたことと事の顛末を伝え終えた一夏はその足ですぐさまヘスティアファミリアのホームとなった廃教会へ行き、扉を開けて見ればそこにはなぜか正座しているヘスティアとそのヘスティアを見下ろすベルの姿があった
なにがあったのか聞いてみれば、ホームに帰って少し経てばヘスティアが目を覚まし、ベルの今日の活躍を褒め称えられ、ベルも主神に褒めてもらったことに喜んだのだが
ベル「それはそれとしてヘスティア様────これ、いくらしました?」
ヘスティア「!」
ヘスティアから与えられた武器、『ヘスティア・ナイフ』は、自身の友神であり、オラリオでも最高クラスの鍛冶師ファミリアの主神ヘファイストスと共に生み出した代物
共に生み出したとは言っても、ヘスティアが行ったことは自身の血と髪を提供し、更にミスリル加工に加え鍛冶神自らの手で作り出されたという現存する武器の中では最高ランクである
ヘスティア「べ、ベル君、そんな値段なんて聞くのは野暮だぜ?」
ベル「そうですか────いくらですか?」
先ほどよりも圧を掛けながら詰め寄るベルに冷や汗をかくヘスティア
ヘスティア「だ、だから値段は」
ベル「いくら?」
遂には敬語ですら無くなりより大きな圧がベルからあふれ出し
ベル「────この武器、ヘファイストスファミリアで出来た物……それでいて材質はミスリル。ミスリルほどの希少な鉱石を使った武器作りは上級鍛冶師でも上澄みでなきゃ出来ない……でもよく見れば
ヘスティア「!?」
見ただけでほとんど正解を言い当てたベルにヘスティアは驚愕
ベルが一夏に教え込まれたのは戦い方やモンスターダンジョンの知識にサバイバルだけではなく、その他にも料理や武器装備の目利き、鉱石の知識も教え込まれていたのだった
ベル「────5000万いや、一億以上かな?」
ヘスティア「ビクッ!」
更には金額も当てられつい反応してしまい
ベル「ヘスティア様、正座」
有無を言わせない雰囲気につい正座し、そこからはベルからお説教を受けるのだった
やれ零細ファミリアなのに一億以上の借金を作ったことやこんな大きな買い物を自身に一切話さず勝手に買ったことなどベルは怒った
ベルの怒りは最もであるため話を聞いて思わず一夏も天を仰ぐ
ベル「そもそも、なぜ僕に武器を送ろうとしたんですか?僕が自前の武器があることは知ってましたよね?」
腰に差す神武解を見せながら言うベルにヘスティアは
ヘスティア「だ、だって、ボクは君の為になにかしてあげきれてない!」
ベル「!」
ヘスティア「いつもベル君は、自分の夢の為に頑張りながら、ボクとファミリアの為に必死に働いてるのに、ボクは大した事してあげれてない。プレゼントだって貰ったのに………」
感情的になりながら髪留めに手を当てながらどこか悔しそうにする
ヘスティア「ボクに出来ることがあるならしてなんだってしてあげたい。夢を応援したいし叶えるための手助けしてあげたい!そう思ったら、ヘファイストスにお願いしてソレを作ってもらったんだ……」
ベル「…………」
ヘスティア「あ、でも大丈夫だから!これはボクとヘファイストスの間でのことだから間違ってもファミリア全体の借金にするつもりはないから!ボクが時間をかけてでも一人で返すから」
ベル「……はぁ」
そう必死になって言うヘスティアの姿にベルはため息をつきながら頭を掻く
ヘスティア「うっ…幻滅……したかな……」
ベル「ちょっと呆れただけですよ……僕の夢を応援する為にって選んだやり方がどこか無鉄砲で勢い任せなことにね」
ヘスティア「うっ……」
ベル「────でも」
貴女が僕の為にって送ったこの武器は、有難く使わせてもらいます。これから僕は、兄さんの想いと、ヘスティア様の想いのふたつを背負いながら夢へと突き進んでいきます
そう言いながらベルはヘスティア・ナイフを優しく握りしめ決意を込めた気持ちを吐露する
ヘスティア「!」
そんなベルの言葉を聞き驚きつつも嬉しそうな笑みを浮かべるヘスティア
そんなふたりを見ていた一夏はため息を吐きながらもこのふたりの相性は悪くない物だと思うのだった
一夏「…………(とはいえ眷属のベルに内緒での贈り物はともかく零細ファミリアなのにいきなり億単位の借金をするって所を踏まえても────まあベルの為にやったってことを考えたら主神としてはギリ及第点かな)」
なお一夏はもしヘスティアがベルの主神に相応しくないと判断すれば例えベルに嫌われることになろうとしても引き離すことを視野に入れてはいたが、自身が毛嫌いする主神が数少ない敬愛の対象としている所やベル自身は慕っている所を見てその可能性は低いと考えていた
一夏「それはそうと、ベル。お前教会裏に行ったことあるか?」
ベル「え、行ったことないけど、急にどうしたの?」
一夏「…………ないならついてこい」
一夏に言われ、ベルとヘスティアは一夏についていき教会裏に辿り着けば
そこには、ふたつの墓標が立っていた
ひとつは名が刻まれてない墓標であり
もう一つには
【ヘラ・ファミリア
と刻まれていた
ベル「…………この墓は」
一夏「…………片方の名無しは俺の親友だった奴の墓だ。もっとも、あいつの遺体は見つかってねえからまだ名無しにしてるが。そんでもう片方のは、お前の叔母の墓だ」
暗黒期を終えてしばらくは、アルフィアの遺灰を持っていた一夏
最終的には生前、妹との思い出の眠る地である廃教会の裏に墓を建て、そこへ埋葬した
そうして今でも時々、墓に眠るアルフィアへ愚痴を言いに訪れる日々を送っているのだった
ベル「ここが…………」
ヘスティア「な、なんでお墓にこんな蔑称みたいなのが刻まれてるんだい」
ベル「兄さん、僕の叔母とは仲が悪かったらしいから……」
ヘスティア「いや仲が悪かったからって墓に普通刻む!?」
一夏「あいつはこう言われても仕方がないくらいどうしょうもねえ奴だったからな」
ベル「…………」
アルフィアの眠る墓石に近づき無言のまま手を添えるベル
その表情からは様々なものが読み取れたがただ一言
ベル「────初めまして。貴女に『叔母さん』と呼ばれたくなかった甥っ子です」
余談ではあるが、アルフィアへの嫌がらせもかねて敢えて『叔母さん』と呼ぶようにしつけていたのだった
翌日
今日もダンジョンへ潜ろうとバベルの塔までやってきた
ベル「(ヘスティアはバイトして借金返済するって言ってたけど、あのペースじゃ後100年バイトしても返済なんて夢のまた夢だろうから)」
たくさん稼ごうと呟こうとした時だった
???「お兄さん、お兄さん、サポーターはいりませんか?」
声のした方を向けばローブを身に纏い、深くフードを被った黒髪ヒューマンの少年が、自身よりも大きなバッグパックを背負い立っていた
???「初めまして!突然ですが、サポーターは探してないでしょうか?」
少年は勢いよくベルに近寄れば自身を売り込んで見せる
通常であれば、これだけの圧を掛ければ他の者ならば後ずさるだろう
だが
ベル「────────何してるの、リリ姉さん」
???「─────【響く十二時のお告げ】」
ベルのその言葉を聞いた少年は、顔を下へ向けながら
すると、その姿に変化が訪れる
黒髪は茶髪へ
ベルより低かった背は更に縮み
少年から少女へ
ヒューマンから小人へ
そうして目の前で姿を変貌、────否、元の姿へ戻った彼女は
リリ「キッショ、なんでわかったんですかベル」
自らの義弟へ向日葵のような笑みを浮かべながら顔をあげるのだった
彼女の名はリリルカ・アーデ
ソーマファミリア副団長にして
剣姫、アイズ・ヴァレンシュタインに続く 現代最強の男の義妹である
Q 豊穣の女主人での会話内容は?
A 聞かれてない そもそも他言での会話だったのでせいぜいロキファミリアのやらかしとそれに対する詫び程度しか聞かされてない