宿儺みたいな奇形児がハイエルフに生まれたら地獄になりそうだよね、という話。

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 宿儺がダンまち世界に転生した話を書いてる作者です。

 あとがきで垂れ流した妄想の設定とかシチュとかをまとめたものです。

 どうぞ自由に使ってください。


宿儺みたいなリヴェリアの妹 

・オリ主ステイタス

 

 

 

Lv.8

力:SSS1342

耐久:SSS1998

器用:SSS1566

敏捷:SS1174

魔力:SSS1998

魔導:A 耐異常: E 拳士:E 連攻:F 精癒:F 覇光:G 覇撃:H

 

《魔法》

【ミズシ】

・攻撃魔法

・斬撃・爆炎属性。

 

【フクマミズシ】

・結界魔法。心象具現化。

・結界に装填した魔法に必中効果付与。

・装填した魔法効果拡大。

・全能力超高強化。

・効果範囲はレベルに比例。

・発動後、一定時間の要間隔。その間、魔法使用不可。

・詠唱式【領域展開】

 

【ジ・エンド】

・切断結果確定。

・全精神力消費。

 

《スキル》

両面宿儺(トゥー・ワン)

・獲得経験値倍加。

・能力限界倍加。

・同時魔法発動権。

・人類種への攻撃補正。

・神性侵攻時、神性拒絶性獲得。

 

妖精呪唱(フェアリー・カース)

・魔法威力、効果増幅。

・精神力消費の効率化。

・負の感情の丈により効果上昇。

 

呪怨装填(ダーク・ロード)

任意発動(アクティブトリガー)

・全能力値の超高強化。

・消費精神力量により効果変動。

・負の感情の丈による高補正。

 

呪反祝転(アン・ブレッシング)

任意発動(アクティトリガー)

・回復効果。

・使用時、発展アビリティ『治力』の一時発現。

・意識喪失時、自動発動。

・他者使用時、効果半減。

・『呪詛』の高抵抗(レジスト)

 

自縄自縛(セルギアス)

即席呪詛(インスタント・カース)

・代償に対して等価の恩寵発生。

 

四眼六道(リクガン)

常時発動(パッシブオン)

・視認した魔法、スキル、呪詛効果の完全把握。

・視認性能向上。

 

蠱毒融肉(ガキドウ)】。

・上位怪物種捕食時、対象の特性獲得。

 

凋落王印(ネームレス・レギナ)

・魔法円の中にいるエルフの魔法効果、スキル効果低下。

・魔法円の中にいるエルフの精神汚染。

・時間経過により効果上昇。

・接触時、汚染進行度強補正。

 

女蹂精躙(ヨモツシコメ)

・雌型交戦時、全アビリティ中域強化。

・雄型交戦時、全アビリティ高域強化。

・エルフ交戦時、全アビリティ超域強化。

・ハイエルフ交戦時、全アビリティ超高域強化。

・憎悪の丈により効果変動。

 

■怪■合(モ■ス■■ム・ユ■■ン)

異種混合(ハイブリッド)

超越界律(ネオ・イレギュラー)

神理崩壊

穢霊浸食

 

神血噛解(アムブロシア・アンチェイン)

・恩恵封印時、改宗可能状態へ移行。

・一定期間毎に恩恵自動更新。

 

 

 


 

 

 

・主人公の生い立ち。

 

 名前はリリィ。自分で自分に名を付けた。花言葉に相応しくあるように。

 アルヴの王森のハイエルフ。

 リヴェリアが7歳の時に奇形児として生まれ、ラーファル王からすれば妻の命を奪って生まれた鬼子、リヴェリアからすれば唯一外の世界への憧れに理解を示してくれる母を殺し片割れまで食らった忌み子にしか思えず、死産だったことにされて川に捨てられた。

 

 物心が付いた頃には誰も守ってくれる人がおらず、知識などは完全に独学で身に着けた。最初は姿が異形で醜くても心だけは誇り高い種族(エルフ)であろうとしたが、十代半ばで酷い裏切りに合い、人類の悪意が煮詰まったような場所でおよそ六十年間心も体も凌辱された。その際に顔の右目回り、腕が四本、目が四つ、腹に口がある以外はリヴェリアそっくりだった容姿は変貌する。

 

 そこを脱出できたのは、力を制御できずに触れるもの全てを殺してしまっていた「エルフが親愛なる隣人と口にして憚らない精霊に殺される時にどんな顔をするか」という見世物で拉致されてきた精霊と契約できたため。

 

 もう何もかもを信じられなくなってふらふら彷徨っていた時にタケミカヅチに出会い、頻繁に逃げようとするので技をかけられて寝台に叩き込まれながら療養生活を送る。死にそうだったため、少しでも頑丈になってもらうためにタケミカヅチは『恩恵』を刻んだ。ある時期までステイタスの表示がバグっていたが、今では一部だけがバグっている。

 

 原作開始二年前、オラリオにタケミカヅチが出稼ぎに行くと言い出したため、心もある程度まで持ち直した上に力も臓腑から湧き上がる呪詛を吐き出すように暴れまわったおかげで手に入れていたため、世界を見て回ることに。この時から容姿を一切見せないローブ姿で活動するように。途中で『学区』に立ち寄り、心の均衡が一気に負の方向へ振り切る存在に出会う。

 

 その名はレオン・ヴァーデンベルク。リリィを見ても容姿や種族でとやかく言わないし表情にも出さないため、割と仲良くしていたが、生徒が「レオンがドワーフと思えないくらいカッコイイ英雄」とはしゃぐのを聞いて発狂。『学区』を半壊させ、止めようとしたレオンも瀕死にして逃げ出した。

 

 辿り着いたのはオラリオ。そこでタケミカヅチがいい言葉をかけていれば運命は変わったかもしれないが、運が悪いことに命や桜花達がベル達にパス・パレードをしかけた時だった。タケミカヅチはベル達を助けることを確実にするためにリリィも救助隊に加えてしまい、ダンジョンで姉と出会って物語が始まる。

 

 

 


・『学区』での活動。

 

 種族史の履修。レオンが曇る。

 レオンから昔自分が悪童だったことを教えられる。

 リリィも過去を教える。レオンがより曇る。

 ドワーフらしくないドワーフなのに、気持ち悪がられるどころかかっこいいだの優しいだの素敵だの言われ、『現代の英雄』とレオンが称えられていることを知り、発狂。

 力のままに暴れる。暴れた理由を知ってレオンは更に曇る。かける言葉も見つけられない上に止められなくて自分に失望する。

 

 

 

・18階層への救援。

 

 リリィが歩くだけでモンスターが現れた瞬間、灰になる前に血霞になる。

 その実力に誰もが興味津々。極東組は正体を知ってるけど口を開かない。

 リューはなんかそわそわする。

 ゴライアスも同じように倒すのを見て、ヘルメスの好奇心は限界突破。【ロキ・ファミリア】に救援に来たけど、一人だけ怪しい奴がいる等吹き込んで不信感を煽り、正体を明かしてもらおうとする。

 

 この時、リリィは「私も私の種族がわからない。断言できるのはエルフじゃないこと」と答えるが、リヴェリアが「もしかして同胞か?」と口にした瞬間、リヴェリアの両耳を斬り飛ばす。

 ローブをめくって露になるのはとても美しい種族(エルフ)には思えない容貌。耳は尖っていたのか丸かったのかわからないほど削られていて、顔の左目周りは酸でもかかったかのように爛れている。左の頬は抉れて歯茎が剥き出しになり、右の頬は縫い付けたような痕があった。

 髪の毛は老人のような白髪で、四つある瞳のうち三つは白濁し、瞳孔が歪み、変色していた。唯一正常な瞳の色は王族のみ受け継ぐ尊い翡翠の瞳。

 

 痛みも忘れて蒼白になるリヴェリアに「私のどこがエルフに見える? エルフじゃないと言ったのが聞こえないようだから耳を落としたが、目も見えないならそれも潰す」と告げるリリィ。

 

 その後、客人がリヴェリアに無礼を働いたとかでエルフの団員が暴動を起こそうとするも、リヴェリアがこれまで見せたことのない剣幕で「絶対にやめろ!! あの子を傷つけるなら私が処罰する!!」と怒鳴り散らし怯える団員達。

 

 

 

 その後、暇さえあれば【タケミカヅチ・ファミリア】のいる天幕付近をうろつくリヴェリア。

 

 たまたま二人になった時に思わず「私を恨んでいるか」「家族にならないか」と尋ねたリヴェリアの背後に回り込み、首、腰、胸、足に手をかけて口を開く。

 

「輪姦、獣姦、苗床。女として味わえる陵辱の限りをこの体で受けた。人としての尊厳も踏みにじられた」

 

「三日三晩知らん男達に犯されたことがあるか? 畜生どもの発情を発散する道具になったことは? 生きた虫を口から吐き出したことは? モンスターを胎で育てたことは?」

 

「精液を飲んだことがあるか? とにかく不味い、苦くて生臭く、口当たりも最悪で喉や舌にいつまでもまとわりつく。こんなものが自分の血肉になると思うだけで体を入れ替えたくなる」

 

「好きでもない男の子を孕むと最悪だぞ。知らん男と私の血が混ざったガキが私の命を掠め取って私の腹で育っていく嫌悪感は筆舌にし難い」

 

「焼けた鉄串を股に捩じ込まれたことは? 胎児の性別当てゲームのために腹を裂かれたことは? 死産した子供を栄養がもったいないと食わされたことは?」

 

「胎児の性別当てゲームが一番死にそうになった。裂いた後も誰も治療なんかしてくれなくて、朦朧とする意識の中で拷問に使われていた針と糸で何とか縫い合わせて、焼けた鉄棒で傷口を焼いたよ。その時に子供を産む能力は死んだし、子供も作れないしこれが好きなんだろぉ』と笑いながらその焼けた鉄棒を膣に捻じ込まれたのもその時だ」

 

「何故私が全身を覆うようなローブを着ていると思う? もう私の体にまともな肌が残っていないからだよ。手袋もそのためだ」

 

「恨んでいるか? 恨んでいるに決まってるだろう? お前が飛び出した鳥籠でぬくぬく寝ていた時、私はくせぇ男どもの体液と私自身の糞尿で汚れた床の上で気を失っていた。お前が森の澄んだ空気を吸っている時、私は排泄物とカビが入り混じった腐臭を吸っていた」

 

 その後、リヴェリアは眠れない日々が続くことになる。好きなものを送りたくても好みなど何一つ知らず、ただの自己満足でしかない贖罪で心が重くなる。個人の所有する必要分以外の全財産を【タケミカヅチ・ファミリア】に送り、その後数日間にわたって金貨袋がリヴェリアに投げつけられる事件が発生する。

 

 

 

・異端児騒動

 

 暴れ狂う『ヴィーヴル』を庇うローブの人物に動悸がおかしくなり、耳鳴りがうるさく、呼吸が乱れるリヴェリア。よせっ、やめろっ、今なら間に合う――彼女が行動するよりも先に、リリィはローブを脱いでいた。

 

 一瞬の静寂、直後に高まる拒絶と嫌悪は『ヴィーヴル』に向けられるよりも大きかった。誰かが石を投げた。それを皮切りに民衆が手当たり次第に手にものを持って投げ始めるが、その民衆の半分をリリィは一瞬で殺す。

 

「異端児は私と同じだよ。人の心を持って生まれたがために同じモンスターから排斥される彼等と、異形の肉体を持って生まれたが故に人として扱われなかった私」

 

「エルフが言うには私が魔物の心を持って生まれたから奇形児になったらしくて自業自得らしいぞ? リヴェリア」

 

「笑えるよな、近親婚を繰り返すと血が濃くなって産まれてくる子供に異常が多くなるそうだ。つまりエルフはなるべくして私のような忌子を産む下地を作っていた訳だ!」

 

「リヴェリア、お前は人とモンスターを隔てるものはなんだと思う? 心なんて不確かなものじゃない、それは『見た目』だ。私の九十年以上の生で確信した答えだ」

 

「レオンなんかがいい例だ。昔はグレていたらしいのに、今ではあらゆる振る舞いがいい行いであるようにとらえられ、国の姫にも求婚されるらしい」

 

「私もね、昔は人助けをしていたんだ。正義の味方の真似事だね。モンスターに襲われていた村を救って、食料にも余裕がないのに私をやたらと村に留まらせようとしてくるからなんだと思ったら、異形の私に懸賞金を懸けた神に売り飛ばすつもりだったんだ」

 

「六十年、あの地獄を生き抜いてその村に訪れてかけられた言葉は何だと思う? 『村の先祖が勇気を出して仕留めた邪悪な怪物! 名もなき英雄に恥じぬよう、俺が貴様を討ち取ってやる!』……だ」

 

「おかしいよね? 笑えるよねぇ? 腸が煮えくり返るよねぇぇぇ!? 善い行いをしたはずなのに、『醜い』の一言で心も体も尊厳も凌辱されるんだからさぁあああ!」

 

 

 

 ウィーネを助けてくれたのはありがたいけど、沢山人を殺したリリィに「気持ちは痛いほどわかります、だから落ち着いてください!」と言ってしまったベルににっこり笑う。

 

「お前、好きな女の子はいる?」

 

 唐突の質問に戸惑うベル。そんな彼を抱きしめてリリィは囁く。

 

「お前を犯してやろう。その命が尽きるまで。そうしたら私の気持ちもわかってくれるよね」

 

「吐瀉物を処理したボロ雑巾より汚い体だが、ハイエルフに抱いてもらえるぞ? 泣いて喜べよ」

 

「下の口で抜いてやろう。卑猥な意味じゃないぞ? 文字通りの口だ」

 

 そう言いながらベルを抱きしめている腕とは別の二本の腕で着物を引き裂き、無事な箇所が見当たらない肌と醜悪な口を見せつける。

 

 

 

 まだ踏ん切りが付いていない様子のリヴェリアに対して

 

「私に遠慮する必要はないぞ? もうこの身は人ではない」

 

 そう言って胸を裂くリリィ。その胸で輝く極彩色の魔石にリヴェリアは全身の血が凍り付くような感覚を味わった。

 

「何十年前だったか、魔石(これ)を埋め込まれた私は人であることと死ぬ権利さえ奪われた。これのせいで拷問が更に苛烈になった時、あれでも加減していたのかと感心したぞ」

 

「リヴェリア、いつかお前は家族に戻ろうとほざいたな。取れるか、私の手を。普通のモンスターより悍ましい存在になった私の手を……間違いを認められない潔癖な種族のお前が」

 

 殺す気でこいと言ったリリィに【勇者(ブレイバー)】として処分する判断を下したフィンが号令をかける。直後、小人族(パルゥム)最強の男は八つ裂きになって死んだ。反応できない速度で近付いて引き千切った。

 

 怒り狂うティオネとそれに加勢するティオナ。二人の手足をバラバラにして、「双子か。せめて腹の中で最後まで一緒にしてやろう」と言いながら生きたまま上の口と下の口で踊り食い。同時にアマゾネスの双子は事切れる。

 

 ベートは食べきれなかった脳漿を吹き付けて目くらましにして頭を蹴り砕く。

 

 ガレスはかろうじて腕を殴って千切り飛ばされるだけすむ。

 

 その日、【ロキ・ファミリア】は、次世代の英雄達は敗北した。

 

 

 


 

 

 

・最終決戦

 

【フレイヤ・ファミリア】を含め全ての住民がオラリオから避難する中、リリィ討伐を決意する者達の会議は紛糾していた。

 

 ギルド代表のロイマンがタケミカヅチを送還して『恩恵』を封印してはどうかと提案し、タケミカヅチから【神血噛解(アムブロシア・アンチェイン)】の存在を教えられて「そんなバカげた『スキル』があってたまるか!?」と怒鳴り散らす。

 

 眷属を殺されて静かに怒り狂うロキがせめて【ステイタス】を教えろと詰め寄り、渡された紙を見て思わず「は?」と怒りを忘れて呆然とした声を漏らす。『八岐大蛇(ヤマタノオロチ)』を討った世界を断つ大斬撃、『九尾之狐(ナインヘッド)』を滅ぼした終末の爆炎も教えるタケミカヅチ。

 

 レフィーヤがリリィの『魔法』を使い、その性能の高さを解説してより震えあがっている時、タケミカヅチにリリィがそれらの『魔法』や『スキル』を発現前から――先天系魔法で使っていたと教えられて衝撃を受けるリヴェリアとレフィーヤ。かつて見捨てた妹がその力を手にするためにどれほど血の滲む努力を重ねたのか見当もつかない。

 

【フレイヤ・ファミリア】も参加が決定する中、『学区』でレオンだけは戦わないことを示す。レオンならリリィにあの力を正しいことに使わせるよう導けたのではという意見が出るが、

 

「昔の俺を知っているリヴェリアならわかるだろう? 俺には英雄達がいた。でも彼女には敵しかいなかった」

 

「初めて出会った時、肌で感じたよ。ゼウスやヘラと同じ英雄の器だと」

 

「力があるからなんだというんだ? 世界に虐げられてきた彼女に、どうして世界を救ってくれなんて残酷なことが言える?」

 

 レオンに返せる言葉をリヴェリアは思いつかなかった。

 

 

 

 しばらくの時間を置いて始まる決戦。

 

不可視の斬撃の想像以上の威力と速度に耐えることも避けることもできず刻一刻と数を減らしていく大派閥連合。

 

 特にエルフは悲惨だった。リリィが『魔法』を使う一瞬だけ発生する魔法円(マジックサークル)。それに一瞬でも触れるとエルフは膝が折れて、胃の中のものをぶちまける。

 

 触れられた者はもっと悲惨。

 手足が呪われた人形のように激しく動き回り、瞳は裏返って、穴という穴から体液を垂れ流す。喉からは命を削られるような絶叫が迸った。髪の毛がまとめて引き抜けるのも構わず頭を掻き毟り、全身を肉が上がれようと関係なく肌を引っ掻いた。

 

 それだけで容姿は一瞬で100年の月日が経過したように老化し、心は修復不可能なほど壊れた。口から溢れるのは意味をなさない音。精神が死んで、体も生命活動を停止する。

 

 精神汚染の正体はリリィの過去の記憶の追体験。

 

 この決戦に異端児(ゼノス)も大派閥連合の味方として戦っているが、エルフは彼等彼女等とどうしても手を取り合えなかった。庇ってもらっても感謝の言葉どころか罵声を浴びせて遠ざける。

 

 そしてアリシアが殺されそうになった時、レイが庇って重傷を負う。それを見て動きを止めた大派閥連合に大量の斬撃が放たれ、全員の命が虫の息になる。

 

「お前の目的はなんだ? 我々が言葉を交わせて同じ言葉を用いていようと手を取り合えていないのに、モンスターにも弄ばれてきたお前が同じ異端だからという理由で異端児(ゼノス)を庇うはずがない! 真の目的は、いったいなんだ!?」

 

 リリィの過去からモンスターへの憎しみは自分達以上だと叫ぶリヴェリア。まさか見抜かれるとは思わなかったとうそぶきながらその『目的』を告げた

 

 

 

「――『黒竜』を討つ」

 

 

 

 リヴェリアが、アイズが、オッタルが、リューが、ベルが。全員がその言葉に耳を疑った。

 

「……なん、だと?」

異端児(ゼノス)と私の力で『隻眼の黒竜』を討伐する。そう言ったんだ」

 

 そうして語りだされる計画。

 

「『黒竜』が封印されている『竜の谷』。あそこにいる力ある古代竜(エンシェント・ドラゴン)は私の敵じゃない。だが、『黒竜』を相手取るとなると流石に私一人では力と手が足りない」

 

「冒険者は己の力で上質の経験値(エクセリア)を稼がなければ強くなれない。なんとも非効率的だ。ゼウスやヘラの足元にも及んでいないお前達がそれを証明している」

 

「だが、モンスターである異端児(ゼノス)ならどうだ? 『魔石』を食らうだけで強くなる奴等に全ての古代竜(エンシェント・ドラゴン)を平らげさせた時、ゼウスとヘラを超える力を持つ怪物が誕生するのではないか?」

 

「そんな異端児(わたしたち)が世界の悲願を叶えたなら! 世界(おまえたち)はどのような顔をする? お前達が排斥して、唾を吐きかけ、踏みにじってきた存在が邪道をもって悲願の果たしたなら!! その後悔と屈辱はどれほどのものとなる!?」

 

「『黒竜』を倒した異端児にも劣る役立たずの英雄達(おまえたち)に歴史は『無能』の烙印を押すだろう! 黒竜を前に惨敗したゼウスとヘラ、その前に立つ資格すら得られていないお前達英雄候補、そいつらのやってきた行いを無価値にしてやる!」

 

「そして、人類(おまえたち)は『救界(マキア)』を成し遂げようと異端児を認めない! どこまでも献身的に尽くした友愛の心を持つ異端児が命を細らせているというのに触れてやることすらしない、そこのエルフが何よりの証明だ!」

 

 アリシアとレイの姿はリリィの言葉に反論を許さない。

 

「断言しよう、世界を救うという偉業をモンスターであるという理由で称えないのなら、お前達はモンスターよりも遥かに醜い『魔物』である」

 

「そしてぇ……そこまですれば異端児(ゼノス)も人類と一緒に生きるなんて夢を諦めてくれるだろう? 自らの手で人類共存の願いを切り捨てるだろう?」

 

「世界を救った英雄が世界を滅ぼしに来た時――お前達はどれほど絶望してくれる!?」

 

始祖の聖女(セルディア)すら果たせなかった悲願を成し遂げ『最後の英雄』となってくれる! これが理想も希望も否定する我が『破道』にして『大望』! ――私の世界への『復讐』だ!」

 

 

 

 全てを語り終えたリリィがリヴェリアに近付く。エルフの戦士や魔導士達が己を奮い立たせようとしても深い傷を負った体は言うことを聞いてくれない。

 

「最初はお前だ、リヴェリア。エルフには到底受け入れることのできぬ経験を味わって死ぬがいい。私の受けた仕打ちを理解すれば、お前も納得して死ねるだろう?」

 

 そしてリヴェリアの顔に醜く穢れて歪んだ手が押し付けられた。

 

 途端に流れ込んでくるリリィの過去の記憶。彼女が身をもって味わった苦痛、屈辱、恥辱。知らぬ男達に休む間もなく輪姦され、全身を無数の虫が這い回り、悍ましいモンスターが腹を食い破って産まれてくる。

 

 筆舌にしがたい激痛、夢と現の境がわからなくなる幻覚、記憶と理性を破壊していく狂気。

 

 それらに常に心掛ける大木の心すら揺らぎ始める中、リヴェリアは見た。

 

『ありがとう、お姉ちゃん!』

 

 手の形が可笑しいドワーフの少年に、足が一本しかない獣人の少女に、顔の造詣が歪んだアマゾネスに感謝されるリリィの行いを。

 

奇形児(わたしたち)が出来損ないなんて言わせない。産まれてくるべきじゃなかったなんて思わないで。君たちが産まれてきたことは間違いなく尊ぶべきことなんだから』

 

 きっと彼等彼女等がずっと望んでいた優しい言葉をかける妹の笑顔を。

 

『偉大なるエルフの聖女、セルディアに誓うよ。奇形児(わたしたち)が世界に認められる「英雄」になることを!』

 

 異形だろうと変わらない誇り高きエルフの誓いを。

 

 

 

 リヴェリアがリリィの手を引きはがしながら立ち上がる。リリィを含め全員が驚愕する。

 

「……お前の過去を見て勝手に決めつけていた。あれほどの仕打ちを受けた復讐者に『優しさ』が残っているはずがないと、先入観の言いなりになるところだった」

 

 リヴェリアはリリィすら見ようとしていなかったリリィの『真実』を暴きたてる。

 

 未だにリリィは数えきれない過ちを犯した人類(わたしたち)に期待してくれていること。

 

 異端と見做されて排斥された者のために戦ってくれていること。

 

 リリィは間違いなく、誰かの『英雄』になっていたこと。

 

「お前を止める! 姉として、一族の誇りである『英雄(おまえ)』にこれ以上の過ちは犯させない!」

 

 綺麗事をほざいたリヴェリアにブチギレたリリィとの最終決戦が始まる。

 

 

 

 リヴェリアはこの最終決戦前に【ランクアップ】をしており、その際に新たな『スキル』を獲得していた。

 

 その『スキル』は【妖精恩寵(シン・アルフヘイム)】。リヴェリアと心を共にする異種族に階位昇華(ランクアップ)に等しい加護を授け、エルフであればスキル発現者と同じ階位(レベル)まで引き上げる。そして心を共にする者の数に比例してリヴェリアも強くなる。

 

 リリィは【四眼六道(スキル)】でそれを理解してしまった。リヴェリアは叫ぶ。

 

「アルヴの王森の聖王樹に誓うぞ、リリィ! 私の心にあるのはお前を救いたいという想いだ!」

 

 更に怒りが振り切れるリリィも叫び返す。

 

「ふざけるなっ…ふざけるなよ偽善者どもが! どれだけ私を苛立たせる! 私を今更憐れむなんてどれだけつけ上がってくれる!? なんで今になって手を差し伸べる! もっと早くにそう思ってくれたら、あの子達は死ぬこともなかったのにーー!」

 

 魔法円(マジックサークル)に触れるエルフ達の脳裏に流れ込むのは世界の瑕疵として惨い生を終えた奇形児達の亡骸を抱えて慟哭するリリィの姿。誰もリリィを憎む心を捨て去り、救いたいという思いで戦う。

 

 大切な者を自分に殺され、今だって傷つけられているのに自分に負の感情を向けない立ち向かってくる英雄達にリリィは無意識に呟く。

 

「これほどの仕打ちを受けようと許せる異常者であればっ、愚か者であればなれたのか? 私は、『英雄』になれたのか?」

 

「――なりたかった」

 

 四つの瞳から透明な涙を零しながら『異端の英雄』は叫んだ。

 

私も『英雄』に――なりたかった(みんなにみとめてほしかった)!」

 

 

 

 そうして使用されるリリィの『領域展開』をレフィーヤの召喚魔法(サモン・バースト)による『領域展開』で中和し、他の面々の尽力で領域を維持できなくなったリリィに、先天系魔法で再現したリヴェリアの『領域展開』が炸裂する。

 

 具現化されたのはリヴェリアの故郷である『アルヴの王森』。効果は意志の強さによって勝敗が決まるというもの。

 

 そして始まる凄絶な殴り合い。徒手空拳でも最初はリリィが圧倒していたが、『スキル』の効果と領域による支援(バフ)、タケミカヅチに鍛えられたことで殴り合いも強くなり、どれだけ殴られても命を懸けて姉としての意地を縛り上げるリヴェリアは倒れない。

 

 鬱陶しくなって時間経過によって回復した『領域展開』を発動しようとしたリリィに『陽炎』が走り――凄まじい魔力暴発(イグニス・ファトゥス)を引き起こした。

 

 ――リヴェリアの『領域展開』は未完成、それでも付与された効果に嘘はなかった。そして生い茂る森の木々のせいで外殻がないことを見抜けない。不自然なところもあったけど『アルヴの王森』を知らないリリィには気付けない。

 

 対魔力魔法(アンチ・マジック・ファイア)という魔法種族(エルフ)の天敵とも言える『魔法』でリリィの動きを止めたヴェルフは、装備者の『魔力』に依存する世界でただ一振りの『ヴェルフの魔剣』を世界最強の魔導士に投げ渡す。

 

 かつてエルフの里を焼き払った一族の魔剣を握ってもリヴェリアの心は凪いでいた。高慢で、意固地で、頑固で、誇りと誓いに縛られる妖精(エルフ)の矜持を今だけは捨てる。

 

「煌月ぃいいいいいいいいいいいいっ!!」

 

 振りぬかれた『魔剣』から炸裂する灼熱の業火。それを合図に領域へ潜伏していたエルフ達が『魔法』を、攻撃に向いた能力を持ってないものは『クロッゾの魔剣』まで放つ。

 

 大地を絶叫させる閃光の渦が止み、具現化していた『アルヴの王森』が消えた時、そこには頭と手を一つだけ残してそれ以外の肉体が消し飛んで『魔石』をむき出しにしたリリィが転がっていた。

 

 

 


 

 

 

・エピローグ。

 

 どんな理由があってもお前の犯した罪は消えない。だから、一緒に償おう。ハイエルフの長い一生の全てを費やしてでも(おまえ)の側にいる。

 

 そういって差し伸べられた手をリリィは叩き落とし、自ら『魔石』に手をかける。

 

「舐めるなよ、私は、”エルフ”だぞ……!」

 

 自分の罪の償いは自分でする。己がエルフであることを認め、リリィはこの世を去る。

 




 もしこれを本腰入れて書くことになったら非公開にします。


 鬱展開とは別に勘違いものも考えた。
 主人公がめっちゃ人に恵まれて捨てられたことを恨んでないし、特に酷いこともされてないけど、リヴェリアはきっと凄惨な過去があるのだろうと勘違いしてる。


「腕が四つあることを嫌に思ったことなんてないしなぁ。子供三人と旦那の手を皆一緒につなげるし」
「ふぁっ!?」

 リヴェリア、叔母さんになる。


 異端児を庇う理由も自分がそうだったから。
「殺す気でこいよ、リヴェリア」
「リリィ、私は…!」
「あ、間違えた。死ぬ気で抗えよだった。私レベル8だから、全力で対抗してくれないとうっかり殺しちゃうかも」
「ふぁっ!?」

 四人に同時にラリアット決めてロキファミリアを壊滅させる。



『聖剣アールヴ』
ただの手刀。またの名をかーちゃんチョップ。
ポンコツ魔石製品に喝を入れるための技だが、力を込めて振るうと相手が死ぬ恐ろしい必殺になる。
超短文詠唱より早く、超長文詠唱より威力が高く、無詠唱より連射してくる。

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総合評価:3077/評価:8.37/完結:43話/更新日時:2026年04月26日(日) 19:41 小説情報


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