空崎ヒナは幸せでなければならない   作:rilu

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今後はこんぐらいの文字数の話をぼちぼち投稿していきたいです。
大百科風のアレは追記が終わり次第こちらに移設します。



番外編
記憶蔓延る墓場


 

「はい、はい…はい。大丈夫ですね。はい。それでは依頼は満了ということで。はい。それでは今後ともよろしくお願いします。便利屋68」

 

私が原因で起こった一連の騒動が終わり、私も風紀委員会のノリやら業務やらに慣れてきた頃。今日も仕事をこなす為出勤中である。

別に騒動が終わろうがなんだろうが仕事は減らんのですよ。ヒナの中から何度も見てきた道を行き、風紀委員会の本部へ向かう。扉をいくつか潜り、大きな窓の見える部屋に辿り着く。

 

しかし、視界が真っ暗になる。停電か、それとも体調的な問題かと思い立ち止まっていると、すぐに視界が明るくなった。

 

 

「おはよーみん…な?」

 

だが、暗い。停電でも起こっているのか?

おかしい。視界が真っ赤だ。…いや、真っ赤なのは世界なのか?急いで廊下の先の大きな窓から外を見ようとする。

 

焦っていたのか、地面に落ちていた『モノ』に足を取られてすっ転んでしまう。ぐちゃり、という嫌な感覚が手に伝わり、背筋が冷える。

 

「なんだっ!?何が起こっている!?」

 

…ここはもう、私の知っている場所ではない。あのイベントで起こったような、学校の怪談で済ませていいレベルの話ではない。これは異界のようなもの。これではまるできさらぎ駅とか、そういう『怪異』の類ではないか。

よく見ると廊下に敷いてあった紫のカーペットは血で赤黒く染まっており、横を見れば何かの肉片が見える。

 

「ッ!!」

 

急いで窓に駆け寄り、外を見る。そこに見えたのは、学園を埋め尽くす大量の死体だった。肉が露出しているもの。内臓が飛び出ているもの。腐敗しているもの。体の一部が無くなっているもの。焼け焦げているもの。

建物も道も、全てが血で真っ赤に染まっている。

 

そして、その全てが私だと…空崎ヒカだと、私の勘が言っている。理由なんて分からない。ただ、

 

「なんだ、これ」

 

キヴォトスが…ゲヘナが、まるで滅んでしまったようだ。

 

 

 

血と肉の臭いを感じながら、見慣れた廊下を進んでいく。途中にある部屋も覗いてみたが、人影は無く不定形の肉塊が詰まってるいるだけだった。しかし、まあ、あの白い毛を見る感じ、あそこで肉塊になっているのは私だろうか。

…なんというか、頭が冷えている。こんなスプラッタ通り越してどこぞの死にゲーみたいな場所にぶち込まれればパニックになっていてもおかしくはないだろうに。なんと形容すればいいのか分からないが、温かい。まるで揺籠に揺られているようだ。

 

しばらく歩けば見えてきた扉。見慣れた風紀委員長室…だったか。そこに入っていく。

周りは他の部屋と変わらないような死体に覆われていたが、一箇所だけ全く汚されていない場所がある。空崎ヒナのデスク。その周辺、ただ一つだけに光が差し込んでいる。聖剣とかが刺さっていればきっと非常に画が映えるだろう。

 

「一種の信仰、神格化の結果なのか?私の生まれを考えればおかしくはないが…」

 

気になったために少しデスクに近づく。書類などは一切置かれていないという珍しい状況であった。ふと、一枚の手紙が置かれていることに気づく。汚れてはいない。最近置かれたもののようだ。

 

開いて中身を見てみれば、私と同じ筆跡がずらりと並んでいる。

 

『これを読んでいる空崎ヒカへ。ここは記憶の集積場、もしくは墓場と私は呼んでいます。死んだあなたの魂が死体という形でここに辿り着き、記憶として集積されているのです。あなたに夢という形で見せていたのも、ここにあった記憶です。あまりに数が多すぎるので、バラバラに送ってしまいましたが。そういうことをしている私も、しばらくしたらその記(・)憶(・)の仲間入りですが。さて話を戻して。あなたがここに来てしまったということは、きっとこのシステムに何かしらのバグが起こってしまったのでしょう。安心してください。あくまでバグですので、しばらくすればあなたは弾き出されて戻ることができます。これは私でも同様のことが起きたので間違いありません。それでは、私はこの辺りで失礼します。今後このような場所に頼ることが無いと良いですね』

 

…地面には、小指と薬指が落ちている。試しに自分の左手の欠けた部分に当てがってみれば、ピッタリと合致した。やはり、あの時に送り出した私だ。

 

手紙を置いて、その横に指を添えておく。一応軽く手合わせて、この部屋を出て行った。

 

 

 

 


 

 

 

「…不気味だ」

 

血塗れ血みどろ。キヴォトスらしくない景色だ。しかし、電光掲示板や家屋内のテレビは歪んだ映像を流し続けている。しばらく見てみたが、意味不明だった。コロコロと景色や場所が変わるのを見るに、前世の記憶がごちゃ混ぜになっているのを出力しているのだろう。悪夢みたいだ。

 

放置されている死体を見ると、予想できる死因は様々。焼け焦げていたり、弾痕が空いていたり、単純に血だらけであったり、体があらぬ方向に曲がっているものもあった。

全て、自分だった。

特にこれといって思うところはない。私であるが、私ではない。既にここで眠る人々は終わっているのだ。

 

なら、背負うことしかできない。貴方たちの分まで、自分が空崎ヒナを守って見せるから。

 

血で染ったゲヘナを見る。こうならないために、努力しよう。そう、改めて思った。

 

「あ、れ…?」

 

ふらりと倒れる。意識が遠のく。墓場から弾かれ、私は元の場所へ戻った。

 

 

 


 

 

 

「っ、!」

 

若干の頭痛とともに辺りを見渡す。周囲が怪訝な表情でこちらを見てくるが気にしない。戻った。帰ってきた。無事だ。

 

一度深呼吸をして、携帯電話を取り出す。

 

今はとにかく、ヒナの声が聞きたかった。

 

それと、義体の回収は早めてもらった。何が原因かは分からないが、こんな事故はもうこりごりだ。





アンケート始めます。

もし今後番外編で投稿するならどれから?

  • 絆ストーリー的なの
  • 風紀委員会の日常
  • 空崎ヒナと空崎ヒカがデートする話
  • シャーレ当番での話
  • 空崎ヒカが各自治区を巡る話
  • 本編前:アビドス3章
  • 掲示板回
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