「ふぅ〜。今日も訓練終了〜。あぁ疲れた」
アスカが弐号機のエントリープラグから出てきた。最近のアスカは戦闘訓練よりもあの覚醒状態を維持する訓練をしていた。お陰で最近は普通にあの状態を維持できるようになったし、常時シンクロ率は80後半をキープしている。
「お疲れアスカ」
「あ、シンジお疲れ〜」
「今日はどうだった?」
「いつも通りよ。通常状態でシンクロ率は常時80後半、覚醒状態で280ってところね。筋肉痛とかもしなくなったわ」
「相変わらず凄まじいね」
「そっちはどうなの?レイにA.T.フィールドを応用した攻撃とか教えてるんでしょ?」
「順調だよ。ゴッドフィンガーをマスターしてた」
「成る程。レイはそっちのタイプか⋯⋯GNドライヴかV-MAXシステムでも搭載させたいわね」
「リツコさんまた発狂しちゃうよ」
「代償と引き換えにリミッター解除や一時的なパワーアップはロマンでしょ」
アスカの無茶振りに付き合い、数日前にリツコは発狂してブッ倒れたばかりだ。因みに現在真希波は参号機の改修工事に付き合っている。色とデザインが気に入らないため、自分好みにすると言っていた。このタイミングでそんな事する必要があるのかと疑問に思うシンジだったが、まぁ好きにさせても問題ため止めはしなかった。
「お、レイの気配が近付いてきた」
「アスカ⋯⋯気持ち悪いよ?」
「気持ち悪いってなによ!だってほら!」
アスカが指をさすと、その方向から本当に綾波が。アスカ曰く、ドラゴンボール系の技を使いまくる、弐号機とのシンクロを限界まで高めるを繰り返した結果、何と無く気配の特定ができるようになってしまったのだ。とんでもない人間離れである。
「いや〜。これのお陰で最近はレイも三尉も簡単に捕まえられるのよね〜。毎日時間の限り堪能できるわ!」
「あ、そうなんだ⋯⋯」
「ところで、シンジの気配がなんか少し?」
「ん?なにが?」
「⋯⋯⋯⋯やっぱなんでもないわ。気にしないで」
そう言って、綾波の胸にいつも通り飛び付いて堪能するアスカ。ついでに遅れてやって来た真希波も捕まえて、2人の胸にサンドされて楽しんでいる。
「どったの姫?今日はいつもより甘えた?」
「最近三尉達が残業してる」
「あぁ⋯⋯なるほどね。自分とこの三尉に甘える時間が減ったから、代わりに私たちにと⋯⋯」
「最近はアスカの飛び付き方で気持ちとかが分かるようになったわ」
「あ、レイちゃんも?私もなんとなく姫の精神状態分かるようになってきたよ〜」
アスカを撫でてる2人を見ながら、全員変な方向に人間離れしてきてるなと思うシンジだった。とは言え、確かに最近三尉達含め、ミサト達も帰りが遅い。いくら記憶を辿っても、いろんな使徒を順調に倒して損耗がほぼないこのタイミングで、何かが業務を圧迫して残業が続くなんてことは無い筈なのだがと疑問に感じていた。
(ゼーレが動いた?いや。だとしたら副司令から連絡がある筈だし⋯⋯コンプラ研修とか言うのがあったからそれかな?)
「そいっ!!」
そんなことを考えていたら、突然アスカがボールペンをドックの入り口目指して全力投球した。
「⋯⋯え?」
「ポスターみて来たんですけどここで──うぇ?!」
入ってきた人の顔の横数cmにボールペンが突き刺さった。そこにいたのは、灰色の髪の毛に赤い瞳のシンジと同じ年頃の少年?が立っていた。。
「なっ!?」
んで今お前がいるんだよ!と叫ばなかった自分を褒めたいと思うシンジだった。そこにいたのは、どの世界線でもいろんな意味でシンジの悩みの種となった存在、渚カヲルだったのだから。
「え?⋯⋯姫?⋯え?」
突然のアスカの奇行に、真希波も綾波も戸惑っていた。拳銃でも出しそうな勢いだったため、2人で全力で止めている。
「アスカ、急にどうしたの?」
「いやなんか、アイツの気配が使徒っぽかったから。ごめん。訓練直後で気が立ってるみたい。もう大丈夫」
そう言って更衣室へと向かっていくアスカ。それに続いていく真希波と綾波。3人を見送った後、シンジはカヲルの元へと歩いていく。まだショックから立ち直れていないのか、その場で固まっていた。
「あの、大丈夫?」
「あ、あぁ。ありがとう⋯⋯」
「僕は碇シンジ。君は?」
「カヲル。渚カヲルだよ。よろしくね。シンジ君」
軽く握手を交わし自己紹介をしあった。いきなりのアスカの行動。アスカの言うように、本当に気配だの気だので人を判断できるようになったと言うなら、恐らくアスカの行動は大正解と言えよう。なんせ目の前にいるのは、第1の使徒なのだから。とは言え、そんな存在を、ボールペン1本で固まらせてしまうアスカの方が使徒って言われたほうが納得できそうだ。
「なんで君はここに?」
「元々別の支部に居たんだけど、ここに配属されてね。ポスターみて面白そうだったし」
「へぇ〜。ん?ポスター?」
「そ。そこにある弐号機が載ってたよ」
シンジの知らないポスター。弐号機がメインで映っている。正直嫌な予感しかしないが、取り敢えず頭の片隅に置いておくようにした。
「異動の書類とかは?」
「これのことかい?出す場所が分からなかったから、まだ持ってるよ」
「じゃあ一緒に出しに行こっか。ミサトさん多分自分の部屋にいるから」
封筒から書類を出して不備がないかをチェック。大丈夫そうなため、ミサトの元へと向かっていく。
「ミサトさ〜ん。渚カヲルくんの異動の書類です。承認印押して副司令にお願いします」
「あれ?異動今日だっけ?再来週って聞いてたんだけど?」
「募集のポスター見て応募し面白そうだったので前倒しで来ちゃいました」
「マジか〜。まぁ、それくらいなら特に⋯⋯あれ?社員寮の申請とかしてる?」
「向こうでは特に何も言われませんでしたよ?」
「あちゃぁ〜⋯⋯今日中に用意でこるよう善処するけど、万が一のときは少しの間ホテルになるわね」
「僕は構いませんよ?前倒しで来たのはこっちですから」
「ん。了〜解。書類に不備はないし、残りはこっちで処理しておくから今日は見学とかして時間潰してて」
「分かりました」
ミサトの執務室から出て、シンジがカヲルにNERV内部を案内することに。と言っても、特に必要なさそうなため、よく使うことになるであろう食堂や浴場、あと休憩スペースの紹介を中心に行った。
「まぁ必要なところはこんな感じかな。後は覚える必要はないし」
「へぇ〜。ところで指令室はどこ?」
「え?あのゴキブリの部屋知りたいの?」
「⋯⋯碇指令って、君のお父さんだよね?」
「あんなマダオを父親なんて思ったことはないよ。ゴミの部屋ならこの先にあるよ。と言ってもしばらくは出てこれないけどね」
「そうなの?」
「書類仕事とか、全部副司令に押し付けてたからね。あと、僕がエヴァに乗ったあと、アレをボコボコにする権利を貰ってるから、物理的に出られないときがあるんだ」
やり過ぎでは?と思ったが、シンジの目から「まだ足りない」と言いたげな雰囲気が漂っていたため、聞くのをやめた。
「ところで、募集のポスターが面白かったって言ってたけど、どんなポスターだったの?」
「ん?えっと⋯⋯あぁ、アレだよ」
「⋯⋯⋯⋯は?」
「にゃは、ニャハハハハハハハ!!もう姫マジ最高!」
「よく撮れてるわ」
「いや〜。惚れ惚れするわこのポスター。覚醒状態維持できるようになってよかった〜」
離れたところでは、真希波がツボに入ったのか蹲って床を叩きながら爆笑している。綾波はどこか誇らしげだ。カメラを持っている辺り、恐らく撮影は彼女だろう。アスカはこの為に覚醒状態を維持できるようにしてたようだ。そんな3人の後ろには、やっちまった⋯⋯と言う顔をしている、編集をしたであろう山本三尉と佐藤三尉が。
「誰から説教してやろうか⋯⋯と言うか三尉達なんで止めなかったんですかこれ」
「ゴメン⋯マジでゴメン⋯⋯」
「魔が差したと言うかなんと言うか⋯⋯最近寝不足が続いてたから、俺達変なテンションになっちゃってて」
「だからって⋯⋯これはないですよ」
「ね?これ見たら来るしかないでしょ?」
「これ見て来たんだとしたら、僕は君の正気を疑うよ」
カヲルを女体化させるべきか否か⋯⋯ちょっと悩んでます。アスカのセクハラの対象を増やしたいw