「つまり、快楽のための非生産的生産行為を僕としたいと、そう言うんだね?」   作:ボケかツッコミならボケ

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評価が赤になったのでやりました。今回はアンケートでちょっと多かった弥生ちゃん視点です。次があるなら次は五十嵐視点ですかね。しかし登場人物全員こんな喋り方だったっけ……?


「月が綺麗ですね」

 

 

「………今は昼だが?」

「月はあるんだよ、そう−−−君の瞳の中に」

「変な本でも読んだのか? そんな口説き方は僕には通じないぞ」

 

しんでもいいわ、なんてこんな場面で返すわけがない。詩歌はいつも僕のことを本当にそう思ってるかどうかは僕にはわからないが可愛いと言ってくる。だけど今回はちょっと違うみたいだな。

 

「いや、ね。五十嵐ちゃんも今日はどっかに行っちゃったから、真面目に告白してみようかなって」

「成程な。それだったら、場面が悪かったな。そのセリフを言うのが夜なら兎も角、今は真昼間だ。馬鹿だろ」

「くうっ、辛辣……そんな弥生ちゃんも可愛い!」

 

この馬鹿め、僕がそんな単調な言葉で二度も三度も赤面させられると思うなよ。詩歌なんかにそんな簡単に可愛いって言われても僕には響かないぞ。

そんな僕の思いを踏みにじるかのように弥生は僕のことをじっと眺めて、こう言い放つ。

 

「……平静を装ってるけど耳は赤い弥生ちゃん可愛いがすぎるよ。私を殺しにきてるの?」

 

この僕の体は正直がすぎるぞ! ぐぅっ、僕が恥ずかしがっているのがバレた。この前の時みたいに興奮剤があれば一気に僕のターンにできるのに。今の僕はボコボコだ。せめて、表面上だけでも冷静なフリをしないと!*1

 

「ま、また可愛いって言っても、僕はなんともならないぞ」

「うーん………あっ、可愛い」

「うぐっ、し、詩歌。も、もう十分じゃないか? それ以上僕のことを可愛いって言う必要も」

あるよ! そんな、弥生ちゃん、私が弥生ちゃんに対して可愛いって言うのをどれだけ我慢してるか知らないの?!」

「し、知るわけないだろ……僕は人の心はわからないし」

 

詩歌は変なスイッチが入ったみたいだ。詩歌が僕の話を食い気味で否定してくることなんて今までに一度もなかった。詩歌は僕の方に興奮した様子で詰め寄ってくる。

ううっ、詩歌め、いっつも人のことを顔がいい顔がいいと騒いでいるが、お前だって顔がいいことを自覚してないのか?!

 

「もう、弥生ちゃんめ。今日という今日は私が弥生ちゃんが可愛いってことをほんとに自覚させてあげるよ! 感謝してね!」

 

そう言うと、詩歌はんんっ、と咳払いをした。

 

「まず、弥生ちゃんは顔がとっても可愛いんだよ! そのくりくりとしたお目目に綺麗な肌につり目になることが多いけどキューティーな眉! 可愛くない部分がないんだよ! 完璧なんだよ! 例えるんだったら核分裂反応が放射線物質を放出しないくらい完璧なんだ! それに、表面上は強気だけど、私たちの前だったら優しくしてくれたり、普段だったら見せないようにしてるような気楽な姿を見せてくれるところも可愛い! 私が大人気アイドルの裏側の姿を見てるみたいでどれだけ興奮してることか! それに声もとっても可愛い! 普段はちょっと気だるそうだけど情事の時はそれが一転して必死になるのもすごい可愛い! 征服してるみたいでイケナイ気分になるんだ。まあ、弥生ちゃんとやることをやってる時点でイケナイことなんだけど、弥生ちゃんが可愛すぎるのがイケナイよ! それに、私たちに興味や好意がないように見せて実は全然そんなことはないのもとっても可愛い! 私たちが他の人と話してるとその後ちょっとだけ拗ねてるのが私の心を魅了してやまないよ! 私今でもこんな可愛い女の人と一緒の部屋にいて話せてるなんて信じられないよ、弥生ちゃんは私たちのアイドルなんだ! 弥生ちゃんだけじゃないよ、私も、五十嵐ちゃんも、弥生ちゃんが他の人と話してたらうっかりコロっと弥生ちゃんが他の人に取られないか心配なんだ! 弥生ちゃんはのせられやすいから! それも可愛いところだけど、本当は誰とも話せないようにして私たちだけど会話してほしいくらい! でも弥生ちゃんはそんなことは嫌がるだろうし、それに私たちもいつも通りの弥生ちゃんが好きで大好きで愛してやまないからそんなことをしてないんだ! 君は魔性の女なんだよ!」

 

し、詩歌め、また言葉だけを回して僕を惑わそうとしているのか。こんな感情の波をぶつけられて僕も冷静でいられるつもりはない。既にもう顔がかなり熱くて火照っているけど、僕はそんな簡単に惑わされないんだ。僕は詩歌と五十嵐の秘密を知ってるからな。詩歌と五十嵐の本性を知ってるんだ。

 

「は、ははっ、ま、またいっぱい喋ったな。喋るとなかなか止まらなくなる僕よりも喋ったんじゃないか? そんなに僕のことを可愛いって言っても、問題はそれが本当かどう」

「本当だよ!」

 

詩歌は真っ直ぐな瞳で僕のことを見つめてくる。気恥ずかしくて僕は思わず目を逸らしたが、詩歌はそれでも構わないというふうに僕の肩を掴んでこう言った。爽やかな秋風のような香りが詩歌からふんわりと漂った。

 

「弥生ちゃん、私は本当の本当に弥生ちゃんのことが好きだよ? まだ私のことを信じてくれないの?」

「し、信じれないというか」

「弥生ちゃん、私の目を見て?」

 

詩歌に語りかけられて僕はしぶしぶ詩歌と目を合わせる。驚いたことに詩歌の目からは輝く雫が一つ二つと流れ落ちていて、彼女の顔もまた僕とは違う要因で赤く染まっていた。

 

「し、詩歌。なんで泣いてなんか」

「弥生ちゃん、弥生ちゃんは知ってるかどうかわからないけど、私と五十嵐ちゃんは結構周りの人からモテてるんだ。それこそ、みんなから羨ましがられるような人から告白されたりもするんだ」

 

詩歌はそう言うと、大きく深呼吸をして続ける。

 

「でも、私も五十嵐ちゃんもそういうのは全部断ってるんだ。なんでかわかる?」

「…………」

「大好きな弥生ちゃんがいるからだよ。さっき私が言ったみたいにこんなに魅力的で可愛い弥生ちゃんがいるんだから弥生ちゃん以外に愛を捧げるわけがないよ!」

「…………ほんとう……だな?」

「本当だよ、弥生ちゃん。ってうぇえ?! なんで涙を流してるの! 私何か酷いこと言っちゃった?!」

 

詩歌が僕のことを心配してなのか思いっきり揺さぶって僕の首がぐわんぐわんと揺れる。

 

「違う、違うんだ詩歌。僕は、ぼくも、詩歌のことも五十嵐のことも好きだった! でもぼくは心配だったんだ、いつもお前らはぼくに対してよく可愛いって言ってくれる、それは恥ずかしいけどお前らに言われてるって思うとより嬉しいんだ。でも、お前らはあんまりにも軽く可愛いって言うからぼくはふと心配になったんだ。詩歌と五十嵐はぼくだけじゃなくて他の人にも簡単に可愛いって言って、簡単に快楽のための非生産的生産行為をしてるのかもしれないって」

「でも、それは違うよって」

「あぁ、言ってくれた。だから、だからだよ。すごく、醜くて、気持ち悪い考えだと思うが、ぼくは詩歌と五十嵐が他の人と仲良く話しているのが本当に怖かった。"ぼくの"詩歌と、五十嵐がいなくなるんじゃないかって、らでも、詩歌が言ってくれたその言葉のおかげで、僕の心配は杞憂だってわかったんだ。それが本当に嬉しくて、今回のようなことになったってことだ」

「……話してたら落ち着いてきた?」

「あぁ、取り乱してしまったよな」

「夜の方が取り乱してるけど」

 

ぐっ、詩歌はいっつも余計なことを言う。このままいい雰囲気で終わりでいいじゃないか。確かに僕は他の手段を使わないとあの二人に夜では勝てないけど! って言うか………あの時は色んな感情で埋もれててあんまりちゃんと受け止めてなかったけど、さっきの詩歌の可愛いって言ってたことって全部本当ってコト? ヒョア(絶命)

 

「ただいまーさんじょうー」

「あっ、五十嵐ちゃんお帰り」

「ふふっ、帰れる我が家があるって安心するね。鳥の巣みたい」

「鳥の巣も家と同じじゃない?」

「確かに。さて、やよいちゃんから愛のコールを聞いてない。やよいちゃーん?」

「返事がない。ただのしかばねのようだ」

「ほんとに返事がないや。やよいちゃんどうしちゃったの?」

「私も正確にはわかんないけどー、私さっきいっぱいやよいちゃんの可愛いところを言っていったからそれを思い出して恥ずかしくてショートしてるのかもね」

「話の結論は?」

「弥生ちゃん可愛い」

「うーん……いつも通りじゃない?」

「やってることはね。量は多かったんだけど」

「はっ、僕は何をしていたっけ?」

 

うおっと、気がついたら五十嵐が帰ってきてたみたいだ。何か背中に感じると思っていたのは五十嵐だったのか。そして、いつも通りデカい。色々とデカい、僕にも少しくらい分けてほしい。何がとは言わないけど。

 

「気絶をしていたんだよやよいちゃん、はーと」

「……こういうときは気絶した時より前にしていた行動のことを言うのが普通じゃないか?」

「その言い方、どうやら調子は戻ったみたいだね」

「そうだな。具体的にさっき何があったかはよく覚えてないけど、覚えてないということは重要なことではないということだろうな」

 

僕の言葉を聞いて、詩歌と五十嵐は同時に顔を見合わせる。そして、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた。五十嵐に肩をがっしりと掴まれる。ちょうど後ろにいるからな。僕の体はまったく自慢じゃないが小さいから掴み心地がいいとかあるのかもしれないな。

 

「弥生ちゃん、さっきまでのことを覚えてないって本当?」

「あぁ、さっきまでって言っても具体的にどこまでなのかはわからないのだけどな」

「うーん、これは………本物(Guilty)ですね、詩歌警部」

「えーっと? 本物って?」

 

そうこうしていると僕の手は後ろに回されて、何か硬い感触を感じると後ろに手を回した形で動かせなくなる。

 

「も、もしかして僕は何かやらかしたのか? やらかしたのだったら謝るから教えてくれるか?」

「うーん、ダメ♡ これは弥生ちゃん自身で思い出してくれないとダメだからね」

 

えーっと………これはもしかしなくても詩歌けっこう怒ってるな? 僕は本当に一体何をしでかしたんだ……!

 

「やよいちゃん、これはながーくなりそうだね?」

「思い出せるまで、いっぱい可愛いところ探してあげる♡」

 

 

 

 

 

*1
既にやよいちゃんが冷静でないことは余裕で詩歌ちゃんにバレているのだが、動揺しすぎて彼女はそんなことにすら気づいていないみたい。そんなところもやよいちゃんの可愛いところだよね!




実は、冒頭の会話は僕が友達と話してる時の会話とほとんどおなじだったり


あと教えてなかったから名前の由来でも

弥生→3月→3
詩歌→しか→し→4
五十嵐→五→5

3、4、5ってことです。めっちゃ単純。評価赤じゃなくなってて草

視点変更してほしいですか?

  • してほしくない!(詩歌視点のみ)
  • 他の視点も欲しい!(どっちでもいい)
  • 他の視点も欲しい気がする!(弥生視点)
  • 他の視点も欲しくない?(五十嵐視点)
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