どうやらウマ娘からは逃げられないらしい   作:クウト

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土曜日は楽しかったです。
ウマカのチャージのつもりがガッツリと遊んでしまいました。
にしても中京1レースは荒れたなぁ。本命は五着でした。残念です。
牛丼食べた後遊んでいたところの近くのお店ににん肉丼ってのがあるのに気がついてこっち食べたかったなぁ。なんて思いました。……思い出したら食べたくなってくるな。

って、これは置いておいて。
謝罪をさせてください。
勝負服に関してです。
前回アーモンドアイの勝負服の話を書きましたがG3は体操服出走でしたね……。
早く来てほしくて忘れてました。かかり気味でした。
この世界ではG3から着れるってことにさせてください。
本当にごめんない。


目標は?

季節は十二月。

この間まで暑かったのに今となっては寒すぎる日々。朝はベッドから抜け出すのに苦労するし、部屋が温まってきたと思えば家を出なければならない。

 

「あー……寒い……!」

 

まだ灯りがいるぐらいには暗い学園。

そこに俺とアーモンドアイはやってきていた。

 

「そんなに寒いならトレーナーも走る?」

 

「嫌だ絶対。ずっと動くならまだいいけど、俺はアイのタイムとか見なきゃいけないからね。立ちっぱになるもん」

 

「そっか。確かに汗かいちゃったら冷えるわね」

 

「だろ?だから俺は動かない。寒いけど……汗のせいでもっと寒くなるなら動かない」

 

ガタガタと震えながら準備を進める。

えっと、これとこれと……あとストップウォッチと。

 

「うひぃ!!!」

 

いきなり俺の服の背中側が捲れ上がった。

そして続いてパシンと衝撃。

 

「な、なに!?」

 

「貼るカイロよ。これで少しはマシでしょう?」

 

ありがとう。でもいきなりはやめてね!?

文句の一つでも言ってやろうと思ったが、じんわりと温まっていく背中を感じる。温くて気持ちいいし、もうどうでもいいや。

 

「流石アイ。ありがとう」

 

「全く。カイロぐらい用意してきたらいいのに」

 

……なんだろう?

こう、仕方ないやつを見る目をすることが多くなってきたよね?なんで?それに最近カフェさんとかとも仲良いじゃん?どったの?なんかあった?話聞こか?

なんて思いながらアイを見ていたら目が合った。

相変わらずキラキラである。

 

「それよりそろそろ始めない?」

 

一人でも準備運動を進めていたアイ。

まぁ体もほぐれたみたいだし、そろそろ始めるか。

 

「……だな。よし、一本行ってこい」

 

待ってましたとばかりに飛び出して行くアイ。

ほんと、走るの大好きだなぁ……。

うん。今日もフォームが綺麗だし、その力強さも健在だ。

少し前の頃のように、成長していく自分に振り回されることもなく走り続ける姿を見ていると、本当に大きな可能性を感じる。

 

「アーモンドアイ、さらに磨きがかかってきたわね」

 

「ん?あ、東条さん。おはようございます」

 

「おはよう」

 

……こうして東条さんと仕事以外で話すのは久しぶりかもしれない。学園で事務的な話はしても、お互いのウマ娘のことで話すなんてこと最近はなかったし。

 

「あの子がルドルフに勝つ……ねぇ」

 

「今はまだ無理ですけどね」

 

ルドルフの強さ。

それは考えるのも嫌になる程だったりする。

でもそれにとどくのがウチのアーモンドアイだと思うから。だからこそ。

 

「次の一戦でも勝ってもらわないと」

 

「……」

 

「な、なんです?」

 

横からの視線を感じそちらを向くと東条さんがニヤニヤとしていた。

 

「別に?何もないわよ?」

 

「絶対になんかあるやつだ」

 

なんて話をしつつ、戻ってきたアイを見逃さず時計を止める。……ん?ちょっとだけ時計が早い気がする……。

 

「アイ。ちゃんとペース守ったか?」

 

「えぇ。もちろん守ったわよ?」

 

「……」

 

「……」

 

「……あ、私のせい?」

 

「なんのことですか?」

 

ペースを守ったか疑わしいアイの事を本当にぃ?ちゃんといつも通りで走ったぁ?フォームは崩れてなかったけどちょっとだけ加速したよねぇ?と見つめていると、いきなり何かに思い当たったらしい東条さんがハッとした顔でそう言った。

なんだろうか?

この人がここに来てから、何か変なことをしたわけではないと思うんだけど。

 

「トレーナー!」

 

「おう!?」

 

ど、どした?いきなり大きな声なんて出して。

 

「このぐらいのペースでも余裕があるの。だからもう少しだけ目標を上げてみない?」

 

「……ふむ」

 

考えてみる。

確かにいいタイムではある。

これをベースにして作戦を決めれれば……うん。次のレースであるシンザン記念ではアイの敵になるやつはいないだろう。

それに、信頼するウマ娘からの提案だ。

断ってしまえばモチベーションの低下につながるかもしれない。アイは無茶をしやすいからな……目の届くところで練習してもらわないと少し怖いんだよね。

 

「わかった。これで行こうか」

 

「えぇ!……負けませんから」

 

いい返事をしたと思えば東条さんを見てそう言うアイ。……いや、本当に君どうしたの?

アイの忙しなく動く耳を見ている俺の頭には疑問符がいっぱいである。そんな俺はコースに戻るアイを見送りつつ東条さんに聞いてみる。

 

「何かしたんですか?」

 

「してないわよ。でもそうね……あの年頃の子は複雑なのよ」

 

「……そっすか」

 

まぁそりゃそうか。

素直で優秀な子だから忘れそうになるが、あれでまだまだ子供なのだ。少しぐらい複雑なアレコレがある事は普通なのだろう。

 

「アイー。今日いい感じで終われたらお出かけでもするか〜!」

 

「!?」

 

ピンっとはる耳。

振り向き、普段より目を輝かせながらこちらに走ってきた。

 

「本当に!?」

 

「あぁ、最近頑張ってるしな。たまにはご褒美的なのもあっていいだろ?外で何か美味いもんでも食おうか」

 

「なら頑張って来るから見ててね!?」

 

「はいはい。怪我したらなしだから気合い入れすぎるなよ?……いや、ほんとにマジで怪我だけはやめてね?」

 

「わかってる〜!あ、外出届は出しておくわね!!」

 

「はいはい」

 

先ほどの少しだけ不機嫌?な様子は吹っ飛んだらしい。勢いよくコースを走り出す姿を見て安心できた。

 

「はぁ、一星はあの子に何があったか詳しい事をわかってるわけじゃないのに……貴方の目よりも、そうやってウマ娘の為に自然と行動できることが一番いいところなのかもしれないわね」

 

「そうですか?褒めてもらえて嬉しいですが、担当のケアぐらいは普通でしょう?それに俺はアイだけしか見てないんですし、一人に全力を注ぐってのならトレーナーなら誰でもできて当たり前な事でしょ?」

 

「……そーね。それはそうと、もう一人か二人ぐらい持つ気はないの?」

 

「ないです」

 

「即答ね」

 

まぁ東条さんが言うこともわかる。

アイはメイクデビューを終えたし、未勝利戦も勝ち上がった。次はシンザン記念で勝つだろうし、そこから先のティアラ路線へ向けての準備も始めている。

毎年多くのウマ娘たちが入学して来る学園。

常に人手不足になるトレーナー。

新人であろうと、ある程度の実績を積めばさっさとサブトレを卒業して担当を一人持ち、いいタイミングでもう一人、また一人と持っていかなければならない。……でもなぁ。

 

「俺、アーモンドアイの為なら並走とかで使い潰しそうですし、それに耐えれる子なら……いや、そうですね。せめてアイのティアラ三冠までは待ってもらいたいです」

 

「三冠は取れて当たり前って聞こえるわよ?」

 

「そう言ってるんです。てか、何回も言ってる気もしますが?」

 

「どれほど難しいことか分かってるわよね?確かにアーモンドアイの器なら可能性はある。でもそれは取れるかもしれないってだけなの。一星みたいに断言できる人ってほとんどいないわよ?」

 

「でも取りますし」

 

「何言ってんだこの人?みたいな目はやめてくれない?私はおかしいことなんて何一つ言ってないわよ?」

 

だってなぁ?

まぁわかってるけどね。

それでも俺は担当しているウマ娘を、アーモンドアイを絶対的に信頼しているのだ。

 

「そう遠い未来でもないですし、担当の件は考えておきます」

 

「そうしてちょうだい。一部の子達なんて貴方に担当してもらうつもりでスカウトを断ってるって噂もあるし」

 

「なんすかそれ」

 

「私に聞かないで」

 

「えー??」

 

俺のところにそんな話来てないんだけど?

いやまぁ今来られても断るとは思うけどさ。君たちウマ娘にとっては大事な期間なのだから、問題がないなら早くデビューすることに越した事はないと思うんだよね。

それだけ。私はこれで。

そう言って去っていった東条さんを見てから考える。

 

「担当ねぇ……」

 

あの子にはライバルが必要。

それは分かっている。だが実際、今のあの子のステータスについて来れる子はなかなかいないだろう。

ならどうするか?

アーモンドアイの経験値にするだけである。

 

「って、考えちゃうからなぁ」

 

トレーナーという道を選んだ。

ウマ娘達は輝かしい舞台で走り、ライブで歌い踊る。担当している子がそこにと考えるだけで楽しい。

けどその影の部分では、多くの無念を抱えて引退していった子達もいるのだ。

単純に勝てない。

怪我をしてしまった。

他にも色々な要因はあるだろう。

偉そうな事を言うが、ウマ娘達は自分の成長過程の間に担当が見つからなければ、それだけスタートが遅れる。同じ中等部のはずなのに、高等部のはずなのに、あの子は私よりもずっと先にいる。……それに絶望してやめていく子達は、実際いるのだ。

俺は、ウマ娘が好きだ。

トレーナーになったからには全力で応えたい。

でも今の俺にはそれだけの余裕はない。

だからこれは。

 

「スパート!!」

 

「はい!」

 

ただのわがまま。

俺はそのわがままの責任を取らないといけない。

だからまずは、アーモンドアイの三冠は絶対に達成したいのだ。

 

 

 

朝のトレーニングを終えてアーモンドアイは学業の為に学園へと向かい、俺はトレーナー室に向かう。暖房のおかげで冷えた体が温もり、熱いコーヒーが癒しとなってくれる。

 

「うまー」

 

このコーヒーはアイがカフェさんから頂いたらしい。なんかカフェさんの特製とかなんとか……詳しい事はわからないし、淹れる俺は素人もいいところだがそれでもこれだけ美味いものが出来上がる。

 

「レース引退してもやっていけるだろうな」

 

ウマ娘の競争する期間はそれほど長くはないことが多い。

だから卒業後はレースに携わる仕事だったり、ウマ娘の才能を活かしたり、趣味を仕事にしたりと人間と同じく幅広い進路を用意されている。

アイが無事に引退したらどんな仕事をするのだろうか?カフェさんのコーヒーを飲んだせいかそんな事を考えてしまう。

 

「って、まだ早いよな」

 

コーヒーを飲み干して部屋を出る。

寒いし出たくはないが、今日の外出をたづなさんに報告しておかないといけない。トレーナーとしてやらないといけない仕事もあるし。

そう思い移動しようとした時だった。

 

「あ!いたー!!!」

 

「ん!?」

 

部屋に鍵をかけその場を離れようとした時、大きな声に驚いた。その方向を見ると見覚えのある姿の子が走って来る。

 

「やっっっっと見つけた!!!いつもいつも逃げてばっかりなの本当に何!?ボク、君に言いたい事たくさんあるんだけど!?」

 

「うるさいのに捕まってしまった」

 

「なんだとー!?」

 

現れたのはトウカイテイオー。

俺がアーモンドアイとシンボリルドルフを超えるつもりでいるって噂は、意外と学園内には広まっていない。

理由はたぶんこれだ。

アイと出会った時の俺のアホな行動を見ていた子達が少なかった事と、そんな無謀な事をしようとしている奴はバ鹿にされて噂にすらならない。

それほどまでに今の日本でのシンボリルドルフというウマ娘の存在はすごいのだ。

でも一部。

ほんの一部だけはそれを本気と受け取った。

アーモンドアイ。

シンボリルドルフ。

東条ハナ。

六平銀次郎。

学園長やたづなさん。

そしてこいつ。

 

「はぁ……またか?テイオー」

 

「ため息!!」

 

「で、なに?」

 

「カイチョーを超えるって事を問い詰める為に来たんだよ?もう何度もそう言ってるじゃん!ボクが先に越えるつもりなのに、同じ目標を掲げてるウマ娘がいるって聞いたら居ても立っても居られないでしょう!?」

 

「あー、まず君はデビューからなんだよなぁ」

 

「そ、それはそうだけど」

 

「デビュー時期がバラける事はあるだろ?同じ目標があるウマ娘が存在することも仕方ない。……って、何度も言ってるんだけどねぇ……」

 

と、俺は何度も言っている。

テイオー自身も分かっているけど、それはそれでこれはこれ。多少は気に食わない部分があっても仕方ないと理解はしている。

 

「そ、それはそうだけど!」

 

「突き放すような言葉になるけど、目標を捨てろってのはできないよ?俺とアイが目指す場所は最強。それを叶える為にルドルフを超える」

 

道の途中にいるのだから仕方ないだろう?と言ってもそう簡単に納得してはくれないのだ。

だからうまいこと逃げてたりしたんだけどなぁ。トレーナー室から出るところを狙われたら人の俺では逃げれない。

騒ぐテイオーを宥めながら時間を見る。

授業までそれほど時間があるわけではない。

大人として、これ以上ここにいさせるわけにはいかなかった。

 

「あー、なんだ。担当ウマ娘の負けを話すのは嫌だけど……アイは無敗の三冠にはなれないからな。テイオーが無敗の三冠になってルドルフに勝てばいいのでは?」

 

「……」

 

「それならアイがルドルフに勝っても、その後にお前がルドルフに勝てば無敗の三冠ウマ娘になったテイオー様が最強ってなるのでは?」

 

「なるほど!!!」

 

チョロい。

アニメ因子が少なくて良かった。なんて事を少しだけ考えてしまった。悪い大人でごめんね?

そしてその手があったかと喜ぶテイオーを見ながら思う。まぁうちのアイはそれを超えるけどね……と。……悪い大人でごめんね!!

もしもテイオーが無敗の三冠を達成して、ルドルフを倒したとしよう。そしてその後、多くのG1を勝ち取るとしよう。世間は大盛り上がりだろうし、あのアーモンドアイを超えた。なんて言われるかもしれない。

 

「ほら、授業始まるからいきな。俺もこの後仕事があるからさ」

 

「し、仕方ないなぁ。そう言われちゃったら今回は見逃すしかないかなぁ……!」

 

「ありがとう。これからもテイオー様の活躍には期待してます」

 

「うむ!よきにはからえー」

 

「ははー」

 

上機嫌でステップを踏みながら去っていくテイオー。君がチョロくて助かった。

……君がどこのトレーナーと出会うのかはわからない。けど強くなってほしい。そうすれば……。

 

「うん。アイの引退後を考えている時よりずっと楽しいな」

 

どこが舞台だろうか?

わからないけど……あぁ、とても楽しい。

トレーナーとして、ファンとして想像するのが本当に楽しい。先ほどあのテイオーステップを見たせいか、思わず踊ってしまいそうになる程に。

……落ち着こう。

夢のレースが見れる可能性があるこの世界。

アーモンドアイ。

シンボリルドルフ。

トウカイテイオー。

他にも時代を代表する強者達。

その子達と走るレースで一着を取るアイの姿。

 

「はははっ!最高だな」

 

あの笑顔を見れるなら、なんだってしよう。

俺とアイが目指すのは歴史に名を刻み、最強のウマ娘になる事。

そして、今の……こう言っては多くの批判を浴びる気がするが、レースに対して傲慢な皇帝になりつつあるシンボリルドルフですらウマ娘としての本能を剥き出しにして、何がなんでも勝ちに来る。

そんなレースが何度も起こるような時代。

そんな歴史に残るような最高に楽しい時を。

 

「新たな歴史を」

 

二人で作っていくのだから。




この世界のルドルフについて書きました。
もちろん勝負に手を抜いているわけではありません。
ですがこの世界では少しだけ退屈に思っているのも事実で、アーモンドアイには期待しているのです。
皇帝さんを地味に強化してしまいましたかね?
中央を無礼るなよ?って言いたいですね。


今週はゼノブレイドクロスが出ますね……。
来週にはウイポまで……。
書く時間ができるかなぁ……たぶん止まると思います。ごめんなさい。
出費!出費がぁ!!!
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