世界一自由な男が幻想郷で酒飲んだり、笑ったり、戦ったり、冒険するお話。





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※モチベの為、一話辺り短いのご了承を。


第一話「海賊王と博麗の巫女 前編」

 

 

「──なあ、霊夢。最近こんな噂が人里で広まってるの知ってるか?」

「いきなり何? 掃除の邪魔するなら帰って欲しいんだけど」

「良いから少しでも話を聞いてくれって!」

 

 ここは『博麗神社』。

 訪れる参拝客は殆ど居らず、キノコが大好きな魔法使い、それと季節に合わせ年中様々な妖怪が訪れる、別名『妖怪の巣窟』である。

 

 そんな境内でいつもの2人、博麗霊夢と霧雨魔理沙は噂とやらの話を聞くか聞かないか言い争いを繰り広げていた。

 

「だ・か・ら! どでかい体格をした大男が里に降りてきた妖怪を一刀両断にしてたって、里中で話が持ちきりなんだよ!」

「あー、聞こえない。私は何も聞いていないー」

「このっ! この手を耳から離せ!!!」

「ああもう執拗い! なに!? その大男が私の代わりに里の妖怪を退治したからお礼でもしてこいって言いたいの!!?」

「別にそんな事は言ってないだろう!!!」

 

 互いに睨み合い啀み合う両者。その光景はもはや日常茶飯事であり、幻想郷の住民ならば見慣れ過ぎた風景である。

 

 しかし、その光景を初めて目にしたのか、境内に足を踏み入れた一人の大男は思わず声を掛けてしまう。

 

「なんだ、嬢ちゃん達。2人して喧嘩でもしてるのか?」

「そうなんだよ! コイツが相変わらず頑固で人の話を全然聞かないんだ!」

「うるっさいわね! 私が聞いてもない話をベラベラと話すアンタが悪いんでしょ! そういうのなんて言うか分かる? 自分勝手って言う──ってアンタ誰よ!?」

 

 ようやくその男に気付いたのか2人とも一斉に距離を取り、目の前に佇む背丈2()m()を越えた大男を見詰める。

 

 男はこの幻想郷では見かけない風貌をしており、ボサボサの黒髪に獣のような鋭い三白眼。更には横広がりの大きなカイゼル髭に、胸元の逞しい筋肉(肉体)を露出させながら嶽のような肩でブラッドレッドのコートを羽織っている。

 

 まるで巨大な山そのものが佇んでいるかのような凄まじい存在感。

 

 霊夢と魔理沙はその光景に呆然としながら耳打ちでコソコソと話し始める。

 

「ねえ! アンタが言ってた大男ってあの男じゃないの!」

「そ、そうだとは思うが。なんか、思っていたのと全然違うような……」

「ちょっと! そこら辺はっきりしなさいよ!」

「なんだ? おれについて話してるのか?」

 

 脳内で想像していた大男と随分容姿が違っているのか、脳の思考が遅れ出す魔理沙。その様子に霊夢は呆れたような、諦めたような大きな溜息を着くと、大男の方へと向き合い不機嫌そうに眉に皺を寄せた。

 

「で、おじさんはなんでこの『博麗神社』に来たわけ? 参拝客か何かなの? それとも里の妖怪を退治した件で私に感謝しろって言いに来たの?」

「わっはっはっは! 別にそんなくだらねェことの為に足を運んだんじゃねェ。寧ろおれがここに訪れた理由は──ここに美味い酒があると聞いてやって来たんだ!」

「ハァ……?」

 

 予想を上回る大男からの返答に思わず霊夢は口を開いて唖然とする。その後ろではようやく脳の思考が追い付いたのか魔理沙が面白そうに口元をニヤニヤとさせながらある提案を大男に持ち掛ける。

 

「なあ、おじさん。確かにこの『博麗神社』には格別で舌が唸る程の美味い酒があるんだ。でもな、そこの巫女が管理しているせいで、中々その上等品は口に出来ないんだ。そこで何だが──今からそこの巫女と決闘して勝つことが出来たら、飲ませない事もないらしいぞ!」

「なに? そいつは本当か?」

「はァァァ!? なんで私が決闘して負けたら大事なお酒を飲ませなきゃならないのよ! そんなデタラメ話絶対認めないから!!!」

「なあ、別に良いだろう霊夢! せっかく里を救った本人の実力を見れるかもしれないんだ! こんな面白そうなこと滅多にないんだぜ!」

「それはただアンタが楽しみたいだけでしょ! 私はぜっーーたいに決闘なんてやらないから!」

「そこをなんとか! 頼むって霊夢!」

 

 数分前と同じ光景のように又もや言い争いを繰り広げ出す霊夢と魔理沙。このまま放っておけば互いに引かずに何れ黄昏時まで迎えてしまうだろう。その光景に大男は何かを考え込むように暫く黙ると二ヒィと白い歯を覗かせながら不敵な笑みを浮かべる。

 

「確かに、そこの赤い嬢ちゃんには何も生まれねェ美味くない話だ。よし、ならこんなのはどうだ! おれが勝ったら美味い酒を飲ませてもらう、赤い嬢ちゃんが勝ったらおれの手持ちの金を全部やる。どうだ? 里の連中から貰ったヤツだがそれなりにあるぞ」

「──何やってるの、ささっと戦うわよ」

「「いや、切り替えが早ェな(いな)!!!」」

 

 金で態度を180°変えた霊夢の姿に大男と魔理沙は阿吽の呼吸でツッコミを入れる。

 

 そのまま3人は境内から少し離れた森の中に移動すると魔理沙を挟むように互いに距離をとって決闘の位置に着いた。

 

「それじゃあ、ルールの確認なんだが互いに殺すような攻撃や技はなし。要は弾幕ごっこみたいなもんだ。相手が戦闘不能、もしくは負けを認めたらその場で終了だ。2人ともそれで大丈夫か?」

「ええ、問題ないわ」

「おれも大丈夫だ」

「それとおじさん。()()()()()()()なんだけどよ……」

「ん? この剣がどうかしたか?」

「それ、里に降りてきた妖怪を斬ったっていうヤツだよな? 一刀両断にしたっていう噂の」

「そうだ、()()()()()1()2()()『エース』。おれの大事な愛刀(相棒)だ。どうやらおれと一緒に付いてきたみてェでな」

「……付いてきた?」

「まあ、その話は後でしてやる。それよりもさっさと決闘を始めようぜ」

「魔理沙、早くして」

「……あ、ああ、分かったぜ!」

 

 大男の隠そうともしない剥き出しの戦意に魔理沙は少し気圧されながらも決闘を申し立てた張本人としてレフェリーの役目を果たそうとする。

 

 例え、これから起きる決闘が想像を越える人間と人間の戦いであろうとも。

 

 

「それじゃあ、決闘──開始だ!!!」

 

 





因みこのロジャー、もう紫とは出会っています。

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