この世界には、いつからか認知されるようになった『境界異常』と呼ばれる災害、そこから現れる『界異』という超常存在を滅し祓う『祓魔師』がいる。
 
 だが、界異を討ち祓う祓魔の力は、余りに甘く人を容易く狂わせるもの。

 誰もが祓魔の力の強大さに気づいた冷戦期以降、誰もが自らをたちどころに滅ぼしうる核兵器という存在を手にして以降――『全面境界戦争』と呼ばれる概念が生まれた。
 通常の原爆よりも致死性の高い穢れを用いた大量破壊兵器の全面運用は言わずもがな、祓魔師や祓魔術、呪具や界異――縁起に至るまで、ありとあらゆる祓魔分野の戦力を持って敵陣営を殲滅するという狂った戦争遂行戦略に基づき、米ソ両国の祓魔軍拡競争は加速する。
 天災にも匹敵する超常の力を陰に日向に取り扱い、互いのカードを削り合いながら世界よりも一歩だけ早く敵国を亡ぼすという狂気の軍拡競争は――――ソ連の崩壊によって、この軍拡競争は幕を閉じた。


……はずであった。



2022年のロシア・ウクライナ戦争で、当事国同士が界異や呪具の軍事利用を行うまでは。

  黄昏(たそがれ)()
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