いつもご拝読ありがとうございます。
スランプ、それと初めて買ったフォールアウトにハマっていました。
生存報告です。
ドタドタと建物の中に侵入者たちが流れ込む。その様子をキルクスに介抱されているミネアは1階から聞こえてくる足音で感じ取った。
「マズイな、すぐに大勢2階に上がってくるぞ・・・」
「マジかよ・・・メラク、動けるか?」
額に冷や汗を浮かべながら言うミネアとキルクスに聞かれメラクは少し腕を組むと何かを思いついたようで目をカッと開くと入口がある方角と正反対の位置にある窓、そこに打ち付けられている木材を壊し始めた。
「メラク?・・・いや、手伝うぞ!」
キルクスは1度首を傾げたが何かに納得したのかにメラクを手伝い始め、すぐに窓に打ち付けられていた木材は取り払われた。
「では脱出を「待って」・・・メラク?どういうことだ?」
早速脱出しようとしたミネアをメラクが止める、当然ミネアは訝しげにメラクを見る。その反応は予想していたのかメラクはミネアとキルクスを手招きし耳元で作戦を伝えた。
「なるほど、良いかもな」
「むしろ敵を減らす作戦としては十分だろう」
メラクの作戦を聞いたキルクスは笑いミネアも頷く、そしてミネアは自身の雑嚢からある物をいくつか取り出すとメラクに1つ渡した。
「上手くやれメラク、成否によってはあの集団と正面からやり合うことになってしまう」
「いやプレッシャー酷いなおい」
「うん、大丈夫」
「プレッシャーに強いなこっちは」
ミネアから道具を渡されたメラクは力強く頷く、そして3人はすぐさま行動を起こした。
「2階だ!2階にいるぞ!」
「急げ、早くしなければ我々も・・・!」
ドタドタと音を立てて侵入者たちは2階へと上がってくる。相手は3人、数で押せば余裕で倒せる。そう思っていた侵入者たちは2階に上がった途端動きを止めた。
「なんだ、これは・・・」
「真っ白だ・・・」
1人が唖然とし更に1人が言葉を漏らした。
2階の部屋には真っ白い煙が充満しており、ほとんど何も見えない状態になっていた。
「ただの煙幕だ、落ち着いて動けば問題は「ぎゃぁぁぁ!」・・・なんだ!?」
1人の侵入者が皆を落ち着かせようとした時周りにいた1人が悲鳴を上げ倒れその場でのたうち回った。
「目が!目が痛い!」
「なんだ、これ・・・息が・・・でき、ない・・・」
「なんだよこれ、なんなんだよ・・・!」
目を抑えてその場にうずくまる者、首を庇うように必死に息を吸おうとする者、その状況にパニックを起こし始める者、部屋の色んな箇所で侵入者たちは苦しみ出した。
「も、もう嫌だ・・・俺は降りる!こんな所・・・あがぁ!?」
狂乱した1人が1階に降りようとしてうずくまっていた仲間に躓き階段を転げ落ちる、そのまま持っていた箱のレバーが引き抜かれ爆散した。
「ひ、ひぃぃ!?」
「マズイぞ、このままでは・・・!」
3人を追い詰めたと思ったらいつの間にか立場は逆転、むしろ自分たちが追い詰められる事態となった侵入者たち、そんな中1人が文字通り突破口を見つける。
「お、おい!こっちの窓だけ木材が取り払われてるぞ!」
「なんだと!?急げ!そこから脱出しろ!」
言われるままに1人ずつ窓から屋根へと出て行く。
出た先は丁度入口のドアと真反対の方角で屋根の上にはそのまま地面に向かって歩いたであろう足跡があった。
「あ、あいつら窓を使って家の裏へ逃げたのか・・・おい、急いで・・・」
我々も追うぞ、そう言おうと振り返った侵入者、煙幕のせいで涙や鼻水でぐしゃぐしゃになった彼の視界にボヤけながらも映ったのは他の仲間を後ろから襲う獲物たちの姿であった。
「ぎゃ!?」
「おご、ぐぁ・・・」
「がふっ・・・」
1人は弾丸に頭を貫かれ、1人は滅多切りにされ、1人は胴を後ろから太刀で貫かれる。
それを何度か似たような事が繰り返されいつの間にか無事なのは初めに屋根の上に出た侵入者1人だけとなった。
「な、何故だ・・・部屋にはいなかったはず」
信じられないという顔で見てくる侵入者にメラクが少し得意げに答える。
「うん、部屋にはいなかった。屋根の上にいたんだ、普通なら見つかる。そうならない為のこの煙幕だったんだ」
そう言いながらメラクが手の上に乗せて見せたのはスモークグレネード、しかしよく見るとその横に小さな玉が乗っている。
「この玉の中には毒虫や毒草を乾かした物を粉にした物が入ってる、潰して一緒に部屋の中に充満させた。・・・まばらに充満しちゃった時は少し焦ったけど」
そう言ってメラクは2つの道具をしまうと侵入者に向き合うと太刀をしまい拳を構える。
この説明で侵入者もある程度気付いた。この毒粉入りの煙幕によって目にダメージを与え視界をボヤけさせ、呼吸困難な状態を作りパニックにさせることで脱出する事以外への注意を散漫にさせた。
そしてそこに唯一逃げられるであろう脱出口を用意すればまるで吸い寄せられるように皆そこから出る。
急いで出るのだから後ろなんて気にする余裕も無く、おまけに目の前に逃走の跡にも見える足跡があれば当然そちらに注意が向く。
後はボロボロの相手を後ろから攻撃すれば良いだけ、目を満足に開けられず呼吸することで精一杯の状態の敵なんて反撃も回避も出来ない文字通りの的でしかない。
「ま、待て!私はあの男に従っているだけなんだ・・・」
まだ目が痛いのか涙を流しながら侵入者は懇願する。
しかしメラクにとってそんな命乞いは全く響くことがなかった。
「誰かの物や命を献上するって言うなら先ず自分の命でも献上すれば良い・・・破甲拳!」
そう言ってメラクは侵入者の顔面に容赦無く拳を叩き込む。
「ぶべっ!?」
顔面を殴られ侵入者は後ろに吹っ飛ぶとそのまま屋根から落ちて地面に頭から落ちていった。
「・・・・・屋内の方に敵の気配なし、一旦は大丈夫だろう」
「おう・・・メラク、降りるぞ」
「うん」
ミネアが周囲を確認し声をかける、キルクスはそれに答えメラクと一緒にそのまま屋根から降りる。
「なるほど、実に興味深い趣向だ」
「え?」
不意に後ろから聞こえた低く落ち着いた言葉、それを聞いて振り向いた瞬間、メラクは小さな爆発と共に吹っ飛ばされた。
「っ!?」
「メラク!?「他所見をしている場合かね?」っ・・・お前は!?」
燃えながら近くにあった木に叩き付けられるメラク、駆け付けようとしたキルクスは斬り掛かられ動きを止められた。
「なるほどな・・・!私兵に自爆させて攻撃する手法、建物の中の妙な焦げあと・・・!すぐに思い出せなかった俺の落ち度だな・・・本国でお前は《外法》認定されている・・・《蒐集鬼》だよなお前!」
「ははは、私も有名になったものだ・・・ところで私を狙撃しようとしているそこの君、余計な真似はしないでくれるかな?」
キルクスの言葉を無視しながら《蒐集鬼》クレイドは自身の背後から魔導銃を構えるミネアに声をかけ、そして指を軽く鳴らした。
すると次は建物が内側から爆破された。
「あがっ!?」
「ミネア!」
爆風によってミネアが空中に投げ出され地面に激突する。受け身はとっていたが衝撃は強かったのか暫くは立ち上がれそうにない。
「さて・・・では、私の要求を聞いてもらおうか。その剣を私に寄越したまえ」
「要求だと・・・ふざけてるのか?」
鍔迫り合いの最中に語りかけてくるクレイドに対してキルクスは困惑しながらも睨みつける。
しかしそんなことは意に介さずクレイドは続けた。
「ふざけている?そんなことないとも、私はただ純粋に欲しい物を欲しいと言っているに過ぎないのだよ」
「そんな聞く価値もない戯れ言の為に何人爆破したんだ?一体いくら人から大事な物を奪ったんだ!?」
「ふむ・・・それは数える必要があるほどに大事なことなのかね?」
睨みつけながら語気を強めるキルクス、だがクレイドは気にした様子もなく涼し気に返し笑う。
しかしその余裕はキルクスの後ろから迫って来るそれによって崩される。
彼の視界に入ったのは全身がまだ燃え続けながらも太刀を構えて突っ込んで来るメラクの姿だった。
「メラク・・・いやまだ燃えてるじゃねぇか!?」
「ほう・・・火だるまになるように爆破したつもりだったが、そもそも何故動けるのか・・・」
「あっ・・・つい、けど!」
全身が燃えながらも太刀を振るってくるメラクにクレイドも鍔迫り合いを止めすぐさま後ろに下がった。
「いやはや・・・気になるな、君の持つ銀の剣もその少年自身も・・・どちらも欲しい・・・ならば」
どちらも貰おう──────
瞬間、辺りが炎の輪に包まれた。
「キルクス!メラク!」
「メラクは一旦転がって火を消せ!」
「んんぅ・・・消えた!」
輪の外から声を張るミネア、熱さに怯むメラクはキルクスに言われて地面を転がって火を消した。
「欲しくなればそれを貰う、例えどんな手を使っても手に入れ使う。それが私だ」
「メラク、迎撃するぞ!ミネアは援護頼む!」
改めて剣を構える2人と遠くから狙撃銃を構えるミネア、人数的には明らかにこちらが有利、だがそれでもクレイドの表情は崩れない。
「なるほど、構えからしてそこそこ連携も積んでいるか。確かに私に付いてきているだけの彼らと比べるのも烏滸がましいくらいの精鋭だ。だが私には多数による攻めは意味をなさないのだよ」
そう言ってクレイドが指を鳴らすと今度はミネアが潜んでいた茂み、その近くにある木が勢いよく爆ぜた。
「っ!?」
ミネアが爆風により吹っ飛び、それを皮切りにキルクスとクレイドは互いの剣を衝突させる。
「なるほど、近くで見るとより分かる・・・よく手入れされ、磨き抜かれ、何より多くの人間を斬ったであろう、どこか禍々しさすら感じる良い剣だ」
「なに普通に色々評価してんだお前ぇ!」
鍔迫り合いの最中にも関わらず銀の牙をうっとりとした顔で品定めするクレイドにキルクスはげんなりした顔で言い返しそのまま押し返した。
その瞬間を縫うようにメラクがクレイドに斬りかかる。
「紅葉切り!」
「おっと・・・」
クレイドの部下であれば一撃で終わらせられた攻撃だったがクレイドはなんて事ないかのように躱す。
「鋭い、が・・・殺気がダダ漏れだ。精進しまたえ」
「やかましい!」
涼しい顔で言うクレイドにメラクが怒鳴りそのまま太刀を振り上げ踏み込むと太刀を振り下ろした。
「業炎撃!」
「ふむ・・・」
メラクが炎を纏った太刀を振り下ろすがクレイドは後ろに下がりそれを避ける。
そして見定めるようにメラクを見ると踵を返して走り出した。
「逃がすか!」
逃げるクレイドの頭に向かっていつの間にか復帰したミネアが狙撃する。だがクレイドはまるで見えてるかのように躱して走り去る。
「外した・・・あいつ、後ろに目でも付いているとでもいうのか?」
「キルクス、追う?」
「あぁ!ここで逃がしたら次何されるか分からねぇ!」
舌打ちをしながら銃を下ろすミネア、太刀をしまいながらメラクが言うとキルクスは頷き走り始める。
そのままクレイドを追っていると彼が洞窟に入って行く姿が見えた。
「あいつ・・・洞窟に入った・・・!」
「・・・?(なんか違和感が・・・)」
「っ!?まて、メラク!キルクス!」
そのまま洞窟に進もうとするメラクと違和感を持ちながらも進もうとするキルクスをミネアが止めた。
「嫌な予感がする・・・2人とも、ここから先に行っては駄目だ!」
何時になく鬼気迫る目で訴えかけるミネア、その言葉に2人は少し考える。
そして口を開いたのはキルクスだった。
「悪いミネア、俺は例えどんなに危険だろうと騎士としての責務を投げる訳にはいかないんだ」
その言葉にメラクも頷く。
「俺も、あんな奴は放っておけない。もしあんな奴が人里に降りたらどんな被害があるか分からない」
そう言って2人は洞窟の中へ向かう、それを見てミネアは悔しそうな表情を浮かべ歯噛みするとゆっくりと2人について行った。
洞窟、最奥付近─────
「可笑しい・・・洞窟に入ってから敵と遭遇しないなんて」
「もしかしてさっきの襲撃で全滅した?」
「だと良いが・・・何にせよ油断するな、さっきから嫌な予感が募る一方だ・・・!」
洞窟に入り警戒を強める3人、しかし奥に進めば進むほど人の気配は薄れていく。
3人が疑問を感じ始めたその時、洞窟の奥でゆらりと炎が灯った。
「・・・火?」
メラクの声が洞窟の中に小さく木霊する。
次の瞬間、その言葉が合図だったかのように洞窟の至る所から炎が上がる。
「なっ・・・!?」
「松明か!?」
キルクスとミネアが武器を構えながら周囲を見渡す。
そしてそれに応えるかのようにクレイドが奥から姿を現した。
「よく来てくれた、途中狙撃手の君が止めるから来てくれないかと思ったよ」
ミネアを指差しながらクレイドは嬉しそうに笑う。対してミネアは悔しそうにキルクスとメラクに声を上げる。
「逃げるぞ!まだ間に合うはずだ!」
「なんだ、すぐにお別れとは悲しい事を言うじゃないか。もう少し遊んでいくが良い」
ミネアの言葉に被せるように言うとクレイドは指を鳴らした。
次の瞬間には3人が入ってきた通路が落石で塞がれた。
「悪いメラク、ミネア、やっぱ罠だったみたいだ!」
「気にしてない、それに・・・こいつは倒すべきだ!」
「それにどの道アイツを何とかしないと出られないからな」
謝りながら構えるキルクス、メラクもミネアもそれに言い返しながらも武器を構える。
「さて、もう良いかな?では諸君らの宝をいただくよ」
その様子をクレイドは笑顔で眺めながらクレイドは言う。彼の手から漂い始めた黒い粉は不穏と共に宙を舞い洞窟の天井へと飛んで行った。
ご拝読ありがとうございました。
次回でキルクス編の回想は終了予定です。
もう片方の方も近いうちに投稿しますので首を長くして待っていただければと思います。
次話もよろしくお願いいたします。
今回から少しずつミナズキの過去が見えるようになります、そこで質問です。ミナズキの過去編は本作品ページに載せるべきですか?
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この作品ページに載せて
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過去編用の作品ページを用意して
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好きにしていい