理樹君が主人公なのにオリ主タグを付けた理由ですが、ぶっちゃけ真君(他作品キャラだけどオリジナル要素有り)や歩君(オリキャラ)も主人公として話を進めて行こうと思っているからです。
ガンダムWだって5人が5人共主人公扱いだったし問題は無いはず…多分。
歩side
「(全く、どうして真はあんなにも喧嘩っ早いかなぁ)」
部屋に戻った俺は先程食堂で起きたことを思い返していた。
「(…正義の味方、か…)」
俺にもそんなものに憧れた時もあった。
けど、世の中そんなに甘くはなかった。
幼い頃、俺の家は父の作った借金のせいで貧しい生活を送っていた。
父は働きもせず、酒と賭博に溺れた結果だ。
いつも母が一人でこの家の家計を支えていた。
いつの日か、俺は父がいないのを見計らって母になぜ父と別れないのかと聞いたことがある。
すると母は「別れるなら歩と菜歩を殺すって言われちゃったのよ。私にとっては歩達の安全が第一だからね。少なからず二人が自立出来るようになるまでは頑張るつもりよ」
っと返された。
確かにあの人ならやりかねない。
酒を飲んでは暴れ、飲まなくても暴れ、俺はあの人のことを父と認めたくなかった。
小学校を卒業して春休みに入った頃、父が勝手に俺を軍隊に入隊させた。
理由は金になるからということだった。
当然母と双子の妹が反対したが、これ以上母ばかりに働かせるのは嫌だったので俺は入隊することにした。
だが、まだ小学校を卒業したばかりの子供が入れるものなのかと心配したが無駄に終わった。
どうやらここ、”裏自衛隊”はかなり黒い組織らしく十歳以上なら誰でも入れるらしい。
ここの活動内容はMS(初めて聞いたときは本気で頭がいかれているのではと疑った)に乗り込み、密かに日本に攻め込んでくる敵軍(主に中国や北朝鮮)の撃退。
MSに乗せられて殺し合いをさせられた時は流石に信じるしかなかった。
そして俺は参加したことが無いが、攻め込んで来た国への報復活動というものがある。
内容としては相手の基地に攻め込み、殲滅させつつ付近の住民にまで攻撃を仕掛けるという人の皮を被った悪魔のやるようなことだ(俺が参加しない理由がそれだ)
ある日食事中に報復に参加した兵がそのことを自慢気に話しているのが耳に入った。
兵1「やっぱ抵抗しない奴を殺すのは最っ高だぜ!」
兵2「まだまだ殺し足りねぇぜ!」
せめて食事時に話すのはやめてほしい。
そもそも、武装してない人々にまで手をかけるなんて人のやることじゃない。やはりこの組織は…
歩「…狂ってる」
思わず口に出してしまって我に帰る。
しかし既に遅かった。
話をしていた人達が一斉にこちらを睨む。
歩「(しまったな)」
兵1「おんやぁ、これはこれは人一人殺さないろくでなし偽善者の秋山少尉ではないですかぁ。一体今の話のどこが狂ってるって言うのか説明してもらえますかぁ?」
兵2「ギャハハハッ!偽善者は言い過ぎだろ。せめて人一人殺すことすらできない臆病者の役立たずって言ってやろうぜ!」
兵1「そいつは違いねぇ!」
そう言って二人はゲラゲラ笑い出した。
歩「俺は命令を遂行しているだけですよ」
確かに俺は相手の武装を破壊し戦闘力を奪って撤退させるだけだが軍の命令は敵の撃退及び国の防衛であって人殺しではない。
敵にだって戦ってまで守りたいものがあるだろうから…。
それに任務を確実に遂行しているわけだから役立たずと呼ばれるのは心外だ。
だから俺は一言だけ返す。
兵2「てめぇ、ガキの癖に俺たちより階級が高いからって調子乗ってんじゃねぇ‼︎」
そう言って俺に掴みかかってこようとしたので、俺はその腕をひねり上げる。
歩「やるんですか?既に勝負は着いてる様なものですが」
兵2「っぐ、舐めやがって!」
兵1「隙だらけなんだよ‼︎」
もう一人の男が殴りかかって来たのでひねり上げていた男を盾にして防ぐ。
歩「何か言いましたか?」
兵1「クソ、貴様など木原さんに掛かれば…」
?「木原に掛かればなんだって?」
兵1「貴様は‼︎」
歩「群雲大尉!」
ムウ「ムウさんと呼びなさい」
っと俺は頭を小突かれた。
ムウ「っで?木原が出てくるなら俺も混ぜて欲しいんだけど。なんなら今から木原隊と群雲隊で模擬戦でもするか?」
群雲大尉が陽気に続ける。
兵1「クソ、覚えてやがれ‼︎」
兵2「秋山‼︎貴様には必ず木原さんの洗礼を受けてもらうからな‼︎」
などと三下発言をしながら二人は逃げて行った。
歩「群雲大尉、さっきは助かりました」
また小突かれた。
ムウ「だからムウさんと呼びなさい」
歩「パワハラですよ」
ムウ「んま、この子ったらいつの間にそんな言葉覚えたのかしら」
などとヒステリックな母親口調で文句を言ってくる。
歩「流石に気色悪いですよ」
ムウ「まぁ生意気なこと!罰として明日のメニュー追加な」
歩「すいません調子に乗りました」
俺は速攻謝った。
ムウ「ハッハッハッ!分かればよろしい。さっきのことは気にするなよ?お前はそれでいいんだ。一人くらい人を殺さずに戦いに勝利する奴が居たって良いと俺は思うぜ」
歩「別に気にしてませんよ」
これだから俺はこの人に敵わない。
木原隊のみでなく俺はこの軍の嫌われ者だ。
上の人間も任務自体は好成績なので嫌々俺を昇格させたところだろう。
そんな俺を自分の隊に引き入れ面倒見てくれたのがこの群雲大尉だ(ちなみに木原数多大尉とは馬が合わないらしい)。
この人には感謝してもし切れない位助けてもらっている。
この人が父親ならどれだけ良かったか。
なんて思ったこともある(口には出して言わないけど。言ったら間違いなくからかってくるだろうし)。
「(それだけこの人を信頼しているって事なのかな)」
…
俺が入隊してから一年経とうという頃、俺にとって忘れたくとも一生忘れられない出来事が起きる。
その日俺はいつも通り防衛任務に出撃するためカタパルトに向かう途中、木原数多大尉率いる木原隊とすれ違った。
兵1「(ニヤニヤ)」
兵2「(ニヤニヤ)」
歩「?」
一体なんだ?俺の顔に何か付いていたのか?
歩「(いけない、早く出ないと)」
敵軍の撤退を確認し俺も帰投しようとした時、通信が入った。
ムウ「歩か⁉︎急いでお前の実家に向かえ‼︎」
歩「一体どうしたんです?それに俺の家って?」
ムウ「落ち着いて聞け。今さっき上から報復命令が出た。場所はお前の実家だ」
歩「そんな、なぜ⁉︎」
ムウ「多分木原の野郎だ!とにかく急げ‼︎クソ!ご丁寧に俺の機体に細工までしやがって‼︎俺も変わりの機体ですぐに行く‼︎」
通信が終わるや否や俺は自分の機体”ストライク”を”ランチャーストライカー”から”エールストライカー”に換装して急ぐ。
歩「(さっきの笑みはそういうことか‼︎)」
俺は限界まで機体の速度を上げた。
歩「(間に合ってくれ‼︎)」
俺が着くころには既に辺り一面火の海だった。
そしてその中心で下品な笑い声をあげている集団、木原隊がいた。
歩「木原大尉‼︎」
木「よぉ、遅かったじゃねぇの偽善者君」
木原大尉は機体越しでも薄汚い笑みを浮かべているだろうと思わせるほどねっとりとした口調で続ける。
木「まぁお前が来た意味ないから帰っていいぞ」
歩「どういうことです‼︎」
木「どうもこうもお前の出る幕ではないってことだ。分かるだろ?今派手に燃えているのはお前の家なんだぜ」
木原大尉の後ろで燃えているのは、確かに俺の実家だった。
歩「(まだ希望はある。中に誰もいなかったのなら不幸中の幸いになる。)」
だがそんな俺の希望は簡単に壊された。
木「そうそう、お前の母親美人だよなぁ。思わず犯したくなるくらいに」
兵1「犯したくなるくらいにって実際犯してましたよね?」
兵2「それを言うなら俺らも混ぜてもらっただろ?久々にやったからすぐに出ちまった」
木「5回くらい犯ってたら途中で壊れちまったけどなぁ」
兵2「全くひどいっすよ飽きたからってそのまま家に火付けんすから」
木「さっきも謝っただろ?それにギリギリまで犯ってちお前らもどうかと思うぜ?」
兵1「それ言われちゃ何も返せないっすね」
ゲラゲラと笑う木原隊。
だが歩にはそんな言葉を聞くことすらできないほど混乱していた。
歩「(母さんが中にいる?そんな、もう母さんは助からない?)」
歩「(菜歩は…?)」
この火事だ、助かるわけがない。
歩の中で何かが弾けた。
兵2「オイオイ、あいつまだいやがるよ」
それを聞いてもう一人の男が歩に向かっていく。
兵1「どうしたのかなぁ?帰らないのぉ?それとも怖くなって体が動かなくなっちゃったのかなぁ?しょうがない、俺が送ってやるよ」
そう言って男は”ダガーL”のサーベルを抜く。
兵1「ただしあの世だがなぁ‼︎」
”ダガーL”が”ストライク”に襲いかかる。
ドス‼︎
兵1「あ…れ…?」
”ストライク”のサーベルが”ダガーL”の胸部を刺していた。
そのまま”ストライク”に蹴り飛ばされ”ダガーL”は爆散する。
…
木原は驚いていた。
普段歩が狙うのはMSの肘下や膝下、その他人体に影響が及ばない箇所ばかりだ。
そんな歩がMSの胸部、つまりパイロットごと確実に仕留められる場所を狙ったのだ。
木「なにやってんだお前ら、早くあれを消して来い」
驚きはしたが木原は至って冷静に部下に命令を下した。
木原隊の人数はざっと十人。
その十人が一斉に”ストライク”に襲いかかる。
それと同時に”ストライク”も動く。
歩は一機一機確実に落としていく。
”ストライク”は歩とムウが設計に関わって完成された、いわば歩専用の機体だ。
だから戦場に適した武装を選び、相手を殺さない戦いが出来るわけだ。
逆に言えば、確実に相手を殺す戦いも可能だ。
残り5機になり歩は一気に片を付ける為”エールストライカー”をパージし”IWSP”に換装する。
この”ストライカーパック”は他のものに比べ戦術性や火力が高く”ストライク”の切り札とも言える。
だがその性能故に5分と持たず機体が限界を迎えて崩れ去る。
※エネルギー切れの概念が無いものとして考えて下さい。
歩は基本これを封印しているのだが、今その事を考慮してはいない。
ナイフを投げつけ、実体剣で切り裂き、レールガンで撃ち抜き、ガトリングをねじ込む。
残りは…
歩「木原ぁー‼︎」
部下が落とされても少しも動じずに高みの見物をしていた木原数多のみだ。
木「へっ‼︎これでお前も人殺しの仲間入りだなぁ偽善者君‼︎」
木原は”ジンクス”を駆り”ストライク”に迫る。
”ジンクス”のサーベルを実体剣で受け止めながらもう一つの剣で斬りかかるが避けられてしまう。
木「やっぱこうでなくちゃなぁ、初めて人殺しした気分はどうだい?最っ高だろう‼︎爽快だろう‼︎」
歩「黙れ‼︎」
木「結局なんと言おうとお前も俺と変わんねぇんだよ‼︎」
歩「一緒にするな‼︎」
ガトリングとレールガンで”ジンクス”の左腕部と両脚部を撃ち抜く。
木「(チッ、機体性能の差かよ‼︎)」
そのままとどめを刺す為”ストライク”は実体剣を握り”ジンクス”に突進する。
歩「ああぁーっ‼︎」
実体剣が”ジンクス”を貫こうという時、”ストライク”の右腕が爆発する。
…時間切れだ。
その隙に木原が逃げようとする。
歩「クソッ‼︎」
”ストライク”が爆発する中、左腕に握られていた実体剣を”ジンクス”に向かって投げつける。
当たったかどうか確認もできないまま、歩は意識を失った。
俺は不思議な空間で目を覚ました。
なんだかとても暖かい。
歩「俺は…死んだのか?」
?「あなたは死んでなんかいませんよ」
そこには青くて長い髪を一つむすびにしている女の子がいた。
歩「どういうことだ?ここは死後の世界じゃないのか?」
?「確かにここは現実世界というにはおかしな世界ですが、死後の世界ではありません」
歩「?」
?「それにあなたにはまだやることがあるはずです」
女の子が言うと何も無いところに映像が映る。
そこには群雲大尉の駆る”トールギス”が他のうら自衛隊の機体に囲まれている光景が映っていた。
応戦してはいるが不利な状況には変わらない。
歩「群雲大尉‼︎」
?「彼があなたを救おうと出撃した際に裏自衛隊が彼を反逆者として撃墜命令を下されたのです」
歩「そんな⁉︎」
?「彼はあなたの為に危険を冒しました。あなたはここで眺めているだけですか?」
歩「でも、”ストライク”はもう‼︎」
先程の戦闘で大破してしまった。
?「あなたに戦う意志があるのなら、私はあなたの翼となりましょう」
女の子は手を差し伸べてくる。
俺はその手を取る。
歩「君は?」
?「私の名前は葵。そしてあなたに授ける力の名は…」
歩「秋山 歩、”フリーダム”行きます‼︎」
光の中から純白の獅子、青い翼を携えた機体が飛び立つ。
その速さは”エールストライク”など比べ物にならないほどだった。
ムウ「クソッ‼︎歩が待ってるってのに‼︎」
こちらは旧型一機、あちらは最新鋭の量産型が多数。
どう考えたって分が悪い。
一機落としてもまた一機、切りが無い。
そんなことを考えながら戦っていたのが悪かったのか、ムウは背後を取られる。
ムウ「しまった‼︎」
”ウィンダム”がこちらに銃口を向ける。
ムウ「(ここまでか)」
ムウは死を覚悟する。
ビームが発射されるその瞬間上空から一筋の光が走る。
その光は”ウィンダム”のライフルを撃ち抜き、そのまま何かが”ウィンダム”の右腕を切り去る。
ムウ「なんだ⁉︎」
その機体はまるでムウを庇うかのように目の前で大きな翼を広げ敵と対峙する。
?「ムウさん、脱出の援護をします」
ムウ「その声は歩か⁉︎その機体はどうした⁉︎」
歩「話は後です‼︎行きますよ‼︎」
歩「(なんとか間に合った…けど、数が多すぎる)」
モニターの端に葵が映る。
葵「マルチロックオンシステムを使って下さい。右中指のボタンです」
歩「右中指…分かった‼︎」
言われた通りの操作をすると、モニターに複数のロックオンマークが出現する。
葵「そのまま全砲門射撃をして下さい。全て吐き出すイメージです」
歩はイメージして5つの砲門から照射攻撃を発射する。
もちろん急所は外して武装のみを狙ってだが。
敵MSが次々と戦闘不能になる。
歩「(一度に狙えるのは大体十機か)」
葵「敵の増援が来ます。これ以上の戦闘は無意味かと」
歩「了解‼︎ムウさん、今のうちに‼︎」
ムウ「わ、分かった‼︎」
敵を巻いた二人はMSを解除する。
ムウ「ありがとう、助かったぜ。それで、説明してもらいたいことが幾つかあるんだが、大丈夫か?」
歩「…ええ」
それから歩はムウにすべて話した。
家族を助けられなかった事。
初めて人を殺した事。
”フリーダム”…葵の事。
ムウ「…そうか、ごめんな」
歩「なんでムウさんが謝るんです?あなたは悪くない。それに俺を助けようとして危険な目に合ったのだから謝るのはむしろ俺の方です」
ムウ「別にこれは俺の意思でやったんだからお前は何も悪くないよ。それより…」
歩「?」
ムウ「これからどうする?俺たちは軍を裏切った大罪人な訳だ。当然追われるだろう」
歩「そうですね…」
もうあの場所にいる理由も無い。
かといって特に行く当てもある訳では無い。
歩「どうしましょう」
ムウ「お前さえ良ければ一緒に来ないか?宛が無いわけじゃないんだ」
…
それからムウは喫茶店を開き、俺はその手伝いをした。
(今はバイトの子がいるから楽になったが当初はかなりキツかった)
昼は喫茶店、夜は裏自衛隊の動きを調べて場合によってはバイトを休み出撃し戦闘(これは俺の意思で報復活動の妨害をさせて欲しいとムウさんに頼んでやらせてもらっている)。
真と出会ったのは半年前になるが、それはまた別の話。
…
歩「(ムウさん、俺は今回の任務を絶対にやり遂げて見せますよ)」
今回の任務…それは三枝一族の調査及び取り押さえ。
なぜなら裏自衛隊との繋がりがあり、軍事兵器の提供をしている一族だからだ。
それに…
歩「真の妹さんも助け出さないとね」
それが真に残された最後の希望なのだから。
葵「なんだか嬉しそうですね?」
スマホ型端末から葵が話しかけてくる。
歩「別に、出来の悪い弟でも持った気分なだけだよ」
外から騒がしい声が聞こえてくる。
また真と紅姫が揉めて…もといじゃれ合っているのだろう。
歩「(そういえば食事を取り損ねたな…真のせいで)」
仕方ない、何か作ろう。
歩「(何がいいかな?冷蔵庫の材料次第だな。まぁ一応真のリクエストも聞いてあげるかな)」
「聞くだけだけど」とつぶやきながら冷蔵庫の確認に行く。
確認が終わる頃にドアが開く。
歩「おかえり、晩御飯何がいい?」
その後、真と歩がまた揉めたのは言うまでもない。
…ふう。
やっぱりこういう重たい描写を書くのは難しいです。
というか途中でなんだか辛くなって、自分で書きながら「敵キャラ許すまじ」状況になってました(何やってんだか…)。
後、ストライクの戦闘シーンで疾走感ある戦闘シーンを表現したつもりですが、読み返したら全然でした(ーー;)
不殺の戦闘が嫌いな方ごめんなさい(また種アンチの方ごめんなさい)。
ちなみに真君にもこのようなことをやらせるつもりです。
なので今のうちに謝っておきます。
最後に読んでくださった方々、本当にありがとうございます。
この作品はまだまだ続きます。