貞操逆転世界での俺、気軽にヤれるビッチ♂だと盛りのついた女子たちの間で噂になっていく 〜お前らみんな、俺で処女捨てたくせに……〜   作:水卜みう

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第41話(凛々亜視点)平川くんは私のキープなんだけど!!!

◆(凛々亜)

 

 こう見えて私はいくつかアルバイトをしている。

 その中でも特に実入りがいいのは、フードデリバリーの仕事だ。

 

 自転車をかっ飛ばすのが好きなので、運動と労働の両方が一気にできてしまう。一石二鳥。

 

 土曜日の今日もお昼時になると、配達の仕事がいくつも舞い込んでくる。

 飲食店とお客さんの家を縦横無尽に駆け回り、あっという間にお昼のピークを終えて今日の仕事にケリがついた。いい稼ぎ。

 

 一息入れようと公園のベンチに座ってスマホをいじっていると、急に着信が入る。

 

 かけてきたのは平川くん――ではなく、西目屋さんだった。

 

 あまり自分から電話をかけてくるタイプには見えない彼女だけれども、一体どうしたのだろう。

 

「もしもし?」

『あっ……そ、外ヶ浜さんですか!?』

「うん。そうだけど……どうしたの? 珍しいじゃん」

『あ、あの……ちょっと気になることがあって……でも相談できそうなのが外ヶ浜さんしかいなさそうで……』

「おっ、私に相談事? いいよ、お悩みならなんでも来いよって感じだよ」

 

 あの真面目で大人しい西目屋さんが私に相談事。

 珍しいこともあるものだ。

 もしかして、ギャルデビューしたいとかかな?

 

 いやー、正直アリっちゃアリなんだよね。

 西目屋さん、黒髪キレイだから染めるの勿体ない感じはあるけど、素質は十分あると思うんだ。

 

 なんせ私ですらこんなふうになれたんだから、素材のいい西目屋さんなら化けること間違いなしな気がする。

 

 頭の中でギャル化した西目屋さんを想像するけれども、どうやら相談事というのは違うことのようだった。

 

『あ、あの……実はこれから平川くんと映画に行く予定だったんですけど、集合時間になっても来なくて……』

「平川くんが? 寝坊してるんじゃないの?」

『い、いえ、位置情報を見たら昼間には中華料理屋さんでご飯を食べているようでしたので、寝坊ではないかなと……』

 

 へえー、位置情報ってことは、西目屋さんは完全に『SENLY』を使いこなしてるんだね。

 陰キャラなのかなーと思ってたけど、全然そんなことないね。やっぱり素質あるよ西目屋さん。

 

「寝坊じゃないなら、約束忘れてるんじゃない? 電話かけてみた?」

『それが……全然出てくれないんです。中華料理屋さんを出たあと、集合場所の駅前に一度は向かったんですけど、そこから脇道に逸れてある家にずっといるみたいで』

「ある家?」

『は、はい、外ヶ浜さん、何かその住所に心当たりはありませんか?』

 

 私は通話を続けながらSENLYのアプリを開き、平川くんの現在地を参照する。

 

 学校からは割と遠い場所。

 なんのことない住宅街にあるアパートの一室。

 こんな場所に心当たりなんてないと思った。

 

 しかし、何気なく表示されている住所を口に出して読んでみたとき、記憶の奥底にある何かに引っかかった。

 

「――東新町(ひがししんまち)山浦(やまうら)1−145 コーポラス山浦14号室……これ、どこかで……」

『心当たりあるんですか!?』

「ちょっと待って……何だったかなこれ、なんかの時に聞いた記憶が……」

 

 私は頭の中に適当に放り込んでいた記憶の箱をひっくり返して、無理矢理答えを手繰り寄せようとする。

 

 おそらく平川くんに関係することだ。

 

 この間のスーパー銭湯? ラーメン屋? ネットカフェ?

 それより前になると、教室での初体験……なわけないから、電車で痴女を捕まえたとき?

 

 そこでビビっときた。

 さっきの住所は痴女犯の住んでる場所だ。

 事情聴取のときにチラッと聞こえてきたやつに違いない。

 

 いやー、私の聴力って実はすごいんじゃない?

 さすが地獄耳って褒められるだけあるわ。

 

「――じゃないかなと思うんだけど」

『それ、まずいじゃないですか! 平川くん、またその痴女犯に何かされているんじゃ……』

「あり得るわね。これは平川くんの大ピンチよ! すぐに助けにいかなきゃ! 西目屋さん、今どこにいる?」

『どこって……駅前ですけど……』

「わかった。今から私が西目屋さんのとこに寄るから、一緒に平川くんのところへ行こう!」

『は……はい!』

 

 私は爆速で自転車を走らせ、駅前にいた西目屋さんをピックアップして後ろに乗せた。

 

 ……本当は二人乗りするなら男(高身長細マッチョ)を乗せたかったんだけど、緊急時なので仕方がない。

 

 大急ぎで現場へ向かうと、その部屋はカギもカーテンも閉められていて外から様子を伺うことができなかった。

 

「ど、どうしましょう……? 警察を呼びますか?」

「現場を押さえたわけでもないし、証拠もなんにもないから警察はまだ呼べないよ。とにかく平川くんが連れ去られているか確認しないと」

「は、はぅ……」

「とりあえず私が配達員を装ってインターホン押してみるよ。ちょうどバイトあがりでそれっぽい格好だしね」

 

 私はいかにも荷物を届けに来ましたよーという感じでインターホンを押す。

 

 自転車のヘルメットをかぶって、動きやすくて気に入っているぴっちりしたピラティスウェアを身にまとっている。これなら配達員に見えるはず。

 

「ヤマカワ急便でーす」

 

 適当に実在する配送業者の名前を使って住人を呼び出す。すると、運良く応対してくれた。

 

『そこに置いといてもらえる? 今ちょっと立て込んでるのよ』

「すみません、本人確認が必要なお荷物でして……」

『ちっ……面倒ね。またあとにしてもらえない?』

「そう言われましても……」

 

 私はなんとかして情報を引き出そうと粘る。

 そしてついに、確固たる証拠が聞こえてきた。

 

『――助けてくれえ!!! 捕まって監禁されてるんだ! 助けてくれ!』

 

 インターホンのスピーカー越しに聞こえてくる平川くんの声。

 

 間違いない、彼はこの中にいる。

 先程の音声も、西目屋さんがバッチリ動画におさめてくれていた。動かぬ証拠だ。

 

 私は西目屋さんに警察を呼ぶよう依頼し、自分はこの部屋の窓側に回り込んだ。

 

 手頃な棒切れを見つけた私は、思いっきり窓ガラスを割る。

 

 部屋の中には、椅子に手足を縛り付けられた平川くんがいて、この間の痴女犯が今まさに行為を始めようとしていたところだった。

 

 ……なんだろう。その光景を見てすっごく心の中がモヤっとした。

 

 なんなの?

 

 拉致監禁までして平川くんを自分のものにしようとか、本当に頭おかしいんじゃないの?

 

 大体、彼は私のキープなんだけど!?

 

 処女を捨てさせてくれたし、めちゃくちゃ女の夢を叶えてくれてなんでも許容してくれる人なんだけど!!??

 

 連れ去りだけでも大犯罪なのに、さらに勝手にいたずらされるとか、めっちゃ気に食わないんだけど!!!???

 

 私の心の中からは怒りの感情が湧き上がってきていた。

 

「ちょっとあんた! 平川くんに何してくれてんの! 監禁して絞るだけ絞り取ろうなんてそんな羨まし――じゃなくて卑劣なこと、絶対に許さないからね!」

 

 そこからはあっという間だった。

 平川くんと一緒に捕らえられていた藤崎くんのお姉さんを西目屋さんが解放する。

 あやめさん(お義姉さん(仮))はレスリング選手だったらしく、鮮やかな寝技で痴女犯を抑え込んだ。

 

 じきに警察が到着して、とりあえず事件はカタがついたのだった。

 

 ※※※

 

 数日後。

 

 警察とか学校とか、諸々の処理が終わった私は平川くんといつものマクドナルドにいた。

 何回も何回も同じことを事情聴取されたようで、平川くんはお疲れ気味だ。

 

「やっと面倒ごとが終わった〜……もう刑事事件はこりごりだよ〜」

「お疲れ様ね。まあなんというか、平川くんは『持ってる』よね」

「そんなもの、持ちたくないんだけど……」

「二度も同じ犯人に執着されるとか、絶対に平川くん何かあるって。今度調べてみたら?」

「調べるって……何を?」

「んー……フェロモンとか?」

「テキトーなこと言うな」

「えー、でもありそうじゃない? 女を狂わせるフェロモン、出してるかも。あの痴女犯以外にもなんかそういう出来事に心当たりあるんじゃない?」

「……」

 

 平川くんは黙り込む。

 ……あれ? もしかして心当たりある?

 

 まあでも、確かに平川くんには他の男にはない何かがある気がする。他の女の子に言い寄られてもおかしくはない。

 

 じゃなかったら高身長細マッチョフェチの私が彼にムラムラする展開がこう何度も起こるわけがないし。

 

 なーんかモヤるけど、エロい男は狙われるよね。女はハンターだから。ひと狩り行こうぜ!

 

「……へえ、心当たりあるんだ。ふぅん」

「……ん? 外ヶ浜さん、何か言った?」

「なんでもなーい。とにかく、狙われやすい体質なのは事実なんだし、調べてみてもいいんじゃない?」

「そうは言ってもなぁ……どこで調べりゃいいんだ?」

「国立研究所とか?」

「だからテキトーなこと言うな」

「まあでも、今度はあんなことにならないように私も協力するよ」

「あ、ああ……ありがとう。それじゃ、この間手に入れた『なんでも言うことを聞く権利』のラスト一回、それに使わせてもらうよ。ヤバくなったら助けてほしい」

「別にこんなことにラスト一回使わなくていいよ? 既に平川くんを護衛する責務が私にはあるしね」

「そういやそうだった」

「だからさー、ラスト一回はもっと楽しいことに使おうよ〜」

「……なんかそのニヤニヤした顔ムカつくな。警察に出頭してこいってお願いしようかな」

「ぶー! そんな使い方したらこの間みたいに胸で挟んだりしてやるからなあー!」

 

 そう言うと平川くんは飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになる。

 

「ば、バカ……! そ、それは……まあ、ケースバイケースで……」

「拒否はしないんだ……案外押しに弱いよね平川くん」

「う、うるさいなあ……」

 

 平川くんは赤面する。

 こう見ると、ちょっと可愛いところあるじゃん。地味男子のくせに。

 

 平川くん、やっぱり只者じゃないよね。

 これはますます、彼の謎を解剖してみたくなってきた。

 

 そのためにはまず……ちょっとアブノーマルなプレイでもしてみる?

 

 ドン引きされるかな……?

 いや、でも平川くんならオッケーしてくれそう。

 言うことを聞く権利のラスト一回、この間みたいな感じで使ってくれないかな……?

 

 もし使ってくれるなら、じゃあ次はアレを――

 

 こうして私はさらに、平川朝陽という地味男子に沼っていくのであった……

 

 

 

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