息抜きに短編を一本。

ブルアカと、王道を行くドラクエのクロスオーバーを滅多に見かけない、と思いまして。

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プロローグ

 ――ここは、学園都市キヴォトス。数千の学園がそれぞれ運営する自治区と、キヴォトス全体の行政を担う連邦生徒会が管理する「D.U.(District of Utnapishtim)」とで構成される連盟都市。

 

 この学園都市には「キヴォトス三大学園」と呼ばれる大きな学園が存在している。中でも、ミレニアムサイエンススクールは合理と技術に重きを置いており、「最新鋭」或いは「最先端」の名を冠するものは、その殆どがミレニアムから生まれると言っても過言ではないほどだ。

 伝統ある名家のような他の二つ、ゲヘナとトリニティに比べると歴史は長くないが、影響力という点に於いては前述の二校にも引けを取らない。

 

 ミレニアムサイエンススクールの生徒会にあたるセミナーの生徒会長は調月リオ。彼女の依頼により明星ヒマリが部長を務めているのが、「特異現象捜査部」というセミナー傘下の特務組織。

 科学的に証明しがたい事象を追求・研究すること。簡単に言えば、オカルトやオーパーツ案件の研究と解決を目的とするこの部活の部室に、今日は珍しく客人の姿があった。

 

 天童アリス――ゲーム開発部に所属するミレニアムの1年生だ。少々特殊な生まれであるアリスは特異現象捜査部に関わる機会も多く、時たま特異現象捜査部の部室を訪れている。今日もまた、ヒマリに会いに来ていたのだが……。

 

「……壷、ですか?」

 

 上半身は服をはだけ、ブラには謎のファスナー――やけに露出度の高い格好をした少女、和泉元エイミが左脇に抱えて持ち帰ってきたのは、怪しい壷だった。アリスは、なぜかその壷がとても気になり、じっと見つめている。

 

「アリス、その壷を触ってはいけませんよ? 『廃墟』で見つかったものですからね」

 

「……はい」

 

 廃墟――連邦生徒会が出入りを制限していた、ミレニアム近郊にある謎の領域の通称。忘れられたモノが流れ着くとも言われるこの場所には、今の技術では説明がつかない、オーパーツめいた物品が見つかることも多い。むやみに触ってはいけない理由は、それが何を引き起こすか分かったものではないからだ。

 

「エイミ、お疲れ様です。今日はもう休んでいいですよ」

 

「はーい」

 

 壷を机に置き、エイミが部室を退出する。と、そこでヒマリのスマホに着信があった。

 

「もしもし……」

 

 ヒマリの意識が逸れた隙を突くように、アリスは目の前の壷に手を伸ばす。壷は蓋が閉まっており、何やら怪しい文字の書かれた紙で封がされているようだ。まるで、そうするのが当たり前とでも言うかのように、アリスは貼られた封を思いっきり引き剥がし、壷の蓋を開けた。

 

「アリス、何をしてい……っ!?」

 

 ヒマリが声をかけるも間に合わず、壷の口から怪しく輝く光が溢れ出す。視界の全てを塗り潰すような強い光に、アリスは咄嗟に目を閉じた。壷から溢れた光がアリスを包み込み、その姿を特異現象捜査部の部室から――否、キヴォトスから掻き消していった。

 

「……ん、ぅぅ」

 

 それから、どのくらいの時間が経ったのか……アリスが気付いた時、辺りには見たこともない風景が広がっていた。


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