The Divide   作:粋刺@翻訳

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Chap.20-02 レッドウィンター連邦学園

マスクを外せば、冷たい風が肺の中を落ち着かせてくれるが、抑えきれない笑いがこみ上げてくる。顎や口元を掻いてこらえようとして、歯と唇の間に舌を挟む。なんとも落ち着かない。マスクが世界との境界を作っているような感覚だ。しかし今、目の前の光景は…

 

マリナと保安委員たちが散開している。ピンクの髪と瞳をした女性が、毛皮で覆われた白いコートを羽織り、その下に黒いドレスシャツと赤いネクタイをしている。頭にはふわふわとした白いロシア帽をかぶり、首にはスカーフかタオルのようなものを巻いている。そしてOTs-48を肩に掛けている。

 

とても綺麗だが、その瞳には…

 

狡猾さが感じられる。これまで何度も目を合わせてきた。好印象には残ることがないあの目だ。

 

だが笑いをこらえていたのはそれが原因ではなかった。もう一度視線をそれに向けると、ISACが俺の側に現れ、執務室の正面に誇らしげに掲示されたその肖像画を眺めている。正面の像とは全く対照的だった。

 

俺は唇を噛み、笑いがこみ上げるのを抑えながら、一歩前に踏み出す。マリナはトモエの側に立ち、誇らしげに微笑んでいる。俺が近づけば、トモエは笑顔で迎えてくれる。「ようこそお越しくださいました、先生。レッドウィンター連邦学園へようこそ。秘書室長の佐城トモエと申します。」

 

“招待してくれてありがとう。少し気が病みそうになっていたから、今回の訪問はありがたい。たとえ正式な業務でもあってもだ。”

そう言って周囲を見渡す。

“失礼を承知で聞くが、俺の力が必要なことは何だ?”

 

「喜んでお答え致しますね。ですが、チェリノ会長が大広間でお待ちしているので、出発しましょうか。」

 

“分かった。行こうか。”

そう答えると、ピンク髪の女性は微笑み、そのまま向きを変えて歩き出す。俺もその後に続く。

 

「マリナ委員長は解散して、通常業務を再開してください。」とトモエが言い、金髪の女性が敬礼する。

 

「了解した、トモエ秘書室長。」と彼女は答え、俺の方を向いて軽く会釈すると、保安委員と共に別の場所へと向かう。おそらく元の職務に戻るのだろう。

 

「では、先生。偉大なる書記長様が先生のご到着をお待ちしています。」とトモエが言い、俺が頷いて彼女に続く。俺たち二人のブーツが雪を踏みしめる音を立てながら、目の前の立派な建物の中へと入っていきます。

 

スターリンJr.に会えるのかどうかが、少し気になる。

 


 

マリナは今、人生で最高の一日を過ごしている──自分が"正しかった"からだ。「ふむ、今回はどんな物が偉大なるチェリノ様から賜れるのだろうか。」

 

彼女は単純ではあるが、かえってそれが保安委員長に対して完璧な適正を示している。即断即決で行動を起こした結果、それが正しかったことに彼女は満足感を覚え、微笑む。もしも起こしていなかったのなら、先生はいつまでも違う駅に閉じ込められたままとなり、レッドウィンターの名誉に傷がついていたのだろう。

 

そんな自尊心に満ちていた彼女は、目の前にそびえ立つ像は目もくれていなかった。

 

その直後、彼女は何かにぶつかり、大きな音が響き渡り、マリナは呻く。「何かにぶつかった気がするが、誰が捨てていったんだ?ともかく、後そいつに罰を与えなければ…」

 

ようやく目を開けた彼女は、ぶつかったそれを確認するが、表情はたちまち曇っていく。

 

「な…なんてことだ!」と彼女は叫び声を上げ、膝をついてぶつかった物体を抱きかかえる。「そんな…まさか…」

 

数秒後、レッドウィンター連邦学園執務室担当の保安委員は保安委員長により招集され、新たな任務──"情報の拡散"が命じられた。

 


 

スターリンJr.──その名前から想像していたのとは比べものにならないほど愛らしい見た目をしていた。まるで風刺画のように、大きな立場にいるのに背が小さくて衝動的に行動するのが驚いた。確かにホシノは3年でかなり小さかった。ヒナもだ。

 

「──道なき道を拓く者、撃墜王、ライトノベルの伝道師、ミス・レッドウィンターの一番星──」数々の称号が読み上げられていく中、俺は連河チェリノの肖像画と実際の姿を見比べる。

 

口ひげは同じで、髪色や帽子も同じ。だが似ているのはそれだけで、チェリノは前述したように小さく、もしかしたらホシノよりも若干小さいのかもしれない。ロシア帽を着け、白い髪のハーフツインテールで、横にはキヴォトスの幼稚園児が使うものに似た赤いリュックサックがあり、口元には白い口ひげがあった。

 

どう見ても偽物だが、口に出さない方がいい気がする。

 

「もうよい。先生は既に私のことを充分に分かったのではないだろうか。そろそろ本題に入るぞ。」とチェリノは言って咳払いをする。「イワン・クパーラの開催が迫ってきている。そこでだ、お前の力を私たちに貸してほしいのだ。」

 

“ああ、もちろんやろう。イワン・クパーラは…”

言葉を濁す。その名前が頭に引っかかった。

“気になっていたことが、確かそれは夏至の頃に行われる祭りのはずだ。少し時期が…ずれていないか?”

 

D.C.でブラックタスクを尾行していた時、その工作員たちがその話題を何度か口にしていたことを思い出す。

 

「時期については問題ない。」と少女は手を振る。「本番はまだまだ先。今回行うのはいわゆるリハーサルだ!」とチェリノは胸を張りながら高らかに宣言し、俺はうなずく。

 

トモエは俺に寄り添うように横並びになり、手を振って俺と同じように身体を前にしてこう言う。「先生、キヴォトスには様々な暦が存在します。基本的にはどの歴も同じようなパターンと日数で構成されており、各学園の気候に応じた様々なイベントがあります。広く使用されている暦と大きく異なるものはごくわずかで、例外的なものとして扱われています。」

 

“へえ。”

そう言って俺はうなずく。トモエは微笑み、身体を戻して、俺の隣の席に戻る。

 

「ではカムラッドよ、我が校に招待したのは、この学園の素晴らしさを広めてもらうためだ。シャーレの先生であるお前は日々、色々な学園や代表者たちと関わっている。だからこそ、このレッドウィンター連邦学園の素晴らしさを、キヴォトス全土に広めてほしいのだ。」そう言って、チェリノは笑顔で手を差し出す。「早速参ろうとしよう、カムラッド!」

 

俺はため息をついて頭の横を掻く。

“ああ、やろう。”

 

トモエも同じように明るい笑顔を浮かべる。そして俺たちはチェリノが見せたい場所へと向かう。

 

途中、ささやき声が耳に入り、保安委員が携帯電話を見てからポケットにしまう様子が目に入る。

 

その歩き方や、チェリノの部屋への出入りが許されていたことから察するに…

 

スペツナズか?

 

チェリノについていきながら、俺は元ロシア特殊部隊に初めて遭遇した時のことを思い出す。

 

あまり良いものではなかった。機密がブラックタスクに漏れていて、俺の恩師の指示で俺はそいつらを追っていた。見つかるまで帰れなかった。

 

まあ、なんとかなった。奇跡的に生き延びた。少なくともそれしか方法がなかった。

 

これは考えすぎなのかもしれないが、スペツナズの規律正しさを考えると…

 

この子たちもまた、スペツナズと同等かそれ以上の実力を持っているのか?何もかもが地獄と化しても、海兵隊は未だに無名の兵士達の墓を守っていた。俺が最後に確認した時にも、その任務は厳格に遂行されていた。特殊部隊に規律の緩みが生まれるとはにわかには信じられない。

 

何事もなければいいのだが。

 

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