ついにバトル・フォー・ブルックリンが配信開始されたことを記念した新しい章です(遅ればせながらの更新で申し訳ありませんが、イベント関連の執筆は私にとっていつも難しい作業なのです)。
マテオの今後の恋愛関係についてのアンケート結果を、FF、Kofi、Twitterの投票結果を集計してパーセントと数値で発表します(Twitterは各選択肢の投票者数を確認できないため、全体の投票数は23票でした。
いいえ:36.8%(+1)
はい:26.3%(+1)
はい(複数人):36.8%(+2)
……興味深い結果です。念のため、恋愛関係というのはまだまだ遠い先の話で、現実味の薄い概念ですが、どうやらマテオが恋愛関係にあるという展開が最も支持されているようです。私としては、自分の好みを反映させたこの展開に満足していますし、自己満足こそが私のスタイルなのです。
最後に、ベータリーダーを務めてくれたRandom boatと、日本語翻訳のIkishiに感謝申し上げます。二人とも本当にありがとうございます。読者の皆様にもぜひ今回の章をお楽しみいただければ幸いです。
[訳者まえがき]
高専を卒業しました。とはいえ二月末から春休みでまだ続くので、依然として翻訳作業に集中できます。
Chap.21-01 レッドウィンター連邦学園 旧校舎
まず先に、チェリノが校舎のドアを開けて、その後にトモエ、俺が続く。俺の手には斧が握られているが、果たして傷つけられるのか?恐らく無理だが、それでも痛いし、十分な攻撃を与えていけば気絶させられるはずだ。スペツナズや特殊部隊といった相手なら厳しい戦闘にはなるが、それでも絶対に勝てないということはない。
初めて特殊部隊員と戦った時の俺は青くて未熟だった。だがその時は他の特殊部隊員から訓練を受けて、実戦経験を積む前のことだった。もう恐怖心はなくなったが、それでも特殊部隊との戦闘や訓練は二度と経験したくないものだった。
トモエが口を開き、チェリノに向いて説明をし始める。「やっと到着しましたね、会長。旧校舎…今はもうほとんど使われていませんが、かつてはレッドウィンター連邦学園の生徒たちが勉学に励みながら青春を過ごした、名高い場所です。」
廃墟となった旧校舎──キヴォトスに来る前に、こういった所でよく寝ていたと思えばある意味では懐かしく感じる。その頃と同じような気温で、風が吹く音と共に紙くずが舞い上がっている。「その割には、ボロくて汚いただの廃墟にしか見えないが…」再び風が吹く音が鳴り、チェリノは身震いする。「なんだか雰囲気も暗いし、熊でも出てきそうだ。トモエ、本当にしばらくの間ここで過ごすつもりなのか?」トモエに尋ねる。俺は何もない部屋を覗きながら身体を楽にさせる。
俺がドアを開けると、トモエは必ず権力を取り戻すとチェリノに約束する。とはいえそれはマリナが降ろされない限りは不可能だが、チェリノは気にしていない様子だった。
「やっぱりおいらの力がなければ、何も解決できないということだな!」とチェリノの声が廊下中に響き渡る。「よし、それではここをおいらたちの新たな拠点として、事務局を取り戻すとしよう!」
俺がここの本当の所有者を聞こうとした時、突然大声が響く。
「誰ですか!勝手にそんなことを決めたのは!」俺はその声の方向に向けば、ISACが情報を表示する。
天見ノドカ、赤い瞳に腰まで届く三つ編みのブロンドヘアーで、背中の大きなバックパックには望遠鏡、テディベア、そして銃──ISACによればPP-2000がある。ヘイローは赤い歯車の形だが、普通のと比べて突起の数が多い。服装はグレーのドレスシャツの上にコートを羽織り、グレーのプレートスカートにタイツ、そしてふわふわしたブーツを履いている。頭にはグレーのキャップをかぶり、グローブをした手には双眼鏡を持ち、不機嫌な視線を向けていた。
「そ、そっちこそ誰だ!?」とチェリノは慌てて周囲を見回す。「ま、まさか熊か!?」
「く、熊!?」ノドカも同じように慌てて見回す。「どこかに熊がいるんですか!?」
その時に、また別の足音が続き、尻尾を揺らしながら人が現れる。ミント色の髪に、一瞬動く耳、まるでオコジョみたいだ。間宵シグレはノドカの隣に立ち、フラスクから一口飲む。腰にはRG-6 40mmグレネードランチャーがあった。たしかエポーレットという名前のものが付けられた軍用風の上着を着ていて、上部を紐で結び、ニーパッドのようなものを白いレギンスと白いブーツの上に着用している。「落ち着いて、ノドカ。ただ怯えたチェリノ会長が勘違いしただけ。」
やはりというか、チェリノは落ち着いていなかった。「だっ、誰が怯えているだと!?」
“あの二人が…?”
そうトモエに尋ねようとすると、最後まで言い切る前にトモエはうなずく。
「はい。この二人が227号特別クラスの生徒です。現在停学中です。」とトモエがするが、俺はついため息をつく。
「…そんなものがあったのかトモエ?」チェリノが尋ねると、ノドカが反応する。確かにここに長く済んでいるのなら反応するのも納得がいく。
「ほつ、本当に私たちのことを忘れたんですか!?」とノドカが大声を出す。その隣を歩くシグレも俺たちに近づいてくる。「ここに送られてからずっと何週間も、戻る許可が出るのを待っていたんですよ!」
「許可って…誰からの許可なんだ?」チェリノが疑問を浮かべる。
「チェリノ会長ですね。」とノドカが感情を大きく出す前にトモエが割り込む。チェリノは遠くを見つめていて、点と点が線で繋がったような様子だった。一方、俺は227号特別クラスの二人を調べて、再びため息をつく。
俺はこの子たちを恐れていたのか?訓練された超有能な兵士じゃない、ただの不良を?とはいえ、目の前の二人は捕まっている不良だ。とはいえ…無害ではない。キヴォトスの住人は全員何かしらの銃を持っているが、二人はトラブルを起こすタイプには見えな──。
「思い出した。」と何かに気付いたのかチェリノは目を大きく見開く。「校内でこっそりカムラッドのあれやこれやを望遠鏡で覗き見しているのがバレて、停学になったあの変態ストーカーだ。」
ISACやアロナに確認する手間が省いた。
“えっ!?”
「まあまあ、先生。」とシグレが俺の隣に近づき、フラスクを振る。「ここは好きにやらせてあげようよ。私は間宵シグレ。よろしくね、マテオ先生。そうそう、カンポット飲む?レッドウィンターってほんと寒いからね、糖分で身体ぽかぽかになるよ。」
“ああ…”
うなずきながらマスクを外して、手を差し出す。
“もう知っているかと思うが、ヴェルネス マテオだ。よろしく。”
シグレは微笑み、目を細めればさらに笑顔になる。チェリノとノドカの言い争いが聞こえる中、俺はフラスクを受け取る。
それをを持ち上げ、唇が触れる直前で止める。アグア・フレスカ*1を飲んだ時のことを思い出せば、その瞬間に香りが鼻をかすめる。
ゆっくりと目の前のオコジョに無表情で視線を向ける。シグレの意味深な笑みは次第に照れくさそうな表情に変わり、俺はフラスクを閉じて優しく彼女の額を軽く叩く。
“まだ酒を飲むには早い年齢だぞ。”
「え~?」とシグレは眉をひそめて額を押さえる。「普通のカンポットだよ?」
“当ててやろう、少し発酵しているな?”
片眉を上げながら尋ねる。シグレは照れくさそうに笑い、俺はため息をついてフラスクを渡して、マスクを着ける。
“扱いには気を付けてくれ。”
彼女は不思議そうにそれを見た後、微笑みながら小さく唸る。俺はトモエ、チェリノ、ノドカの方を見やれば、後者の二人は俺がおんぶしたことで、罵り方が互いにチビからエロガキに変わっていた。
とはいえ、今まで聞いてきた中で最も変な会話というわけではない。
“チェリノ、ノドカ、もういいだろう。”
そう言って注意を引いて、俺はその二人に向く。
“口論すればするほど、マリナに権力を集中させる時間を与えてしまう。つまりクーデターが長引いてしまって、結果として俺たちは戻りづらくなってしまう。”
一応俺はいつでも行けるが、今はそういう問題ではない。「その通りです。」とトモエが俺の言いたいことを察するかのように同意する。「このまま留まって戻る時刻が遅くなってしまうと、お二人を戻す許可も遅くなってしまいます。それに──」と濁せば、俺は困惑する。
まさか話を続けるとは思わなかった。必要以上にチェリノと関わることになってしまうと思ったのか、ノドカはあまりいい顔をしていなかった。ところがトモエは俺の腕を掴んで、ジャケットが分厚かったせいか俺の肘が胸の間に挟まれてそのまま歩き始める。ノドカは憤慨していた。「少しは先生のことも気にかけてください。熊と遭遇してしまったらどうするんですか?」
「わ、分かりました!」とノドカは腕を振り回し、トモエは一歩下がる。小さなブロンドの少女は顔を赤くして、まるで俺のバッグについているアンチマテリアルライフルが見えないかのように不安そうに見つめる。「ここを使っていいですよ!でもその代わり、事務局に戻ったら停学処分を無くしてくださいね!こっちはもう十分すぎるほど過ごしましたから!」
「ふむ。」とチェリノは偽物の口ひげを触る。「ならいいだろう。同志ノドカよ、お前は苦しみ、耐え、生き延びた。だがそれはまもなく終わる。さあ共に事務局を──」チェリノはゆっくりと腕を組み、うなずく。「お前の自由を取り戻そう!」
カリスマ──これがレッドウィンターの偉大なる会長でいられる理由だ。常に発揮されるわけではないが、確かにそれがある。トモエのような人物が付き従う理由が分かった。
「チェリノ会長…」とノドカは目を見開く。「もっとはやく終わらせてくださいよそれ。」
「あ…えっと…」チェリノは横を向く。「昔の話ということで、な?」
ノドカは目を閉じて深く息を吸い、拳を握りしめる。「このクソガキ…」
“まあ…”
俺は言葉を濁して、手を伸ばして彼女の頭を軽く撫でる。
“そういうことにしておこう。”
ノドカの顔は真っ赤になり、湯気が立ち上るかのように熱を帯びる。手を離すと、ノドカの目は俺に向いてままで、俺は笑顔でマスクを外し、手を差し出す。
“こんにちは、ヴェルネス マテオだ。”
ノドカはゆっくりと俺の手を握り、頭を上げたまま俺の顔を見つめる。「…オフィスでもそれ外してくれませんか…」ほとんど聞き取れないくらいの小声でそういい、俺はその意味を汲み取ろうとする。
“…さっきなんて?”
「あっ!そ、その、天見ノドカです。」そう言って頭を下げると、バックパックの中身がずれたことで少しよろめく。「さっきのって…聞こえました?」恥ずかしそうに尋ねられ、俺は一瞬考える。
見なかったことにした方がよさそうだ。
“いや。”
「良かったです。つまらないものですがカンポットを…」
俺はゆっくりと、微笑みながら同じカンポットをトモエとチェリノに勧めるシグレの方を見る。トモエは嫌がっていなかったようなので、俺は…
“なら、いただこう。”
そう答える。ノドカはは嬉しそうに微笑むと、何か張り切っている様子で駆け出していく。教室の中に案内されると全員ノンアルコールのドリンクを手にする。一方でチェリノは中央のステージに上がる。
“では同志たちよ、作戦会議だ。”
自信に満ちた口調で言い、俺たち全員が顔を見合わせる。ノドカ、シグレ、そして俺はそれぞれある考えが浮かび上がる。
最初に俺が手を挙げる。
“補給経路を抑えて、物資不足を気にせずに事務局を攻撃する。”
「え?」とチェリノは不思議そうに目を見開き、困惑する。
「それか物資を運んでいる最中の輸送隊を攻撃して、それを奪うと共に損失を補填するのは?」と意図を隠そうともせずにノドカが言う。
「ほえ?」
「偉大なるチェリノ会長、他の所で反乱が起きたからプリンをもっと配給しろってなりそうだけど、どうする?」シグレが尋ねると、チェリノはますます困惑した表情を浮かべる。
トモエも少し面白そうにしているが、本題に戻す。「まずは休息と
「ああ。」とチェリノは休息という言葉に食いつきながら言う。「それだ、休息とルネサンスだ。」
“まあ、ピカソが斥候ではなかったていうのはありえなかったから、そこはまあそうだな。”
つい呟く。ノドカは困惑し、シグレは面白そうに笑う。トモエは咳払いして、俺のセンスのないジョークに唇が動く。
「それなら──」チェリノは話を続ける。「トモエ、虫とか…熊とかが出ないお昼寝によさそうな場所を探せ。」
「おお…」とトモエは頬に手を当てて、227号特別クラスの二人を見る。シグレの表情は変わらなかったが、ノドカはすぐに両手で×にして、すぐに自分の考えを表す。
そしてトモエは俺の方に見る。俺はというとゴーバッグから小さなアルミホイル製のシート、スペースブランケットを取り出す。
“少なくとも体温はこれで維持できる。”
ゆっくりと、トモエは不思議そうにそれを手に取り、開封して全部広げる。「これは…面白いですね。」
“長時間の使用はおすすめしないが、短時間なら問題ない。”
俺がそう言えば、チェリノが調べる。
「ふーむ。」とチェリノは首に巻きつけて、間をおいてうなずく。「まあこれでいいだろう。ではお前らはマリナのリコ…リコネ…とにかくマリナを見てこい!おいらはお昼寝してくる。」
そう宣言すると、チェリノは周囲を見回しながら外に出て行き、トモエもそれに続いて、立ち止まってこう付け加える。「チェリノちゃんがお休みになっている間に、できる限り多くの情報を集めてください。ノドカちゃんがいればすぐに終わるはずです。」
自分の役目を終えたトモエはチェリノの後を追っていき、この場には三人になる。
ノドカは身体を倒す。「やっと終わった…」と目を細める。「なんであんなに偉そうになれるんですか…?」
俺は思わず軽く笑い、椅子にもたれかかる。
“まあ元からそういう性格なんだろう。それにこういう日もある。”
「先生~、会長って止めれるの?」とシグレが好奇心に満ちた様子で尋ねが、俺は困惑を隠せられなかった。
“どうしてそんなことをする必要がある?”
テーブルにもたれかかりながら問い返す。
“これは俺に直接介入ようなことではない。俺は先生で、戦闘も出来るが、生徒たちには自ら選択する権利を与えるべきだと考えている。”
「正しくなかったとしても口を出さないんですか?」ノドカが尋ねる。俺は微笑むが、明るくない微笑み方だったのは確信している。
“そうだ。たとえ正しくなくても、誰が傷つくのなら介入する。だが自分が起こした行動の結果を正面から受け止めなければ学ばない人もいる。”
そう答えながら俺は甘いコンポートを飲み干す。
空になったカップを置き、二人の方へ向く。
“さて、できるだけ早く準備した方が良さそうだな。”
ノドカはあまり嬉しそうな様子ではなく、シグレも意味深な笑み以外はほとんど表情を見せなかった。そして屋上へ案内されると、設営も手伝ってくれた。