The Divide   作:粋刺@翻訳

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Chap.2-07 シャーレ サーバールーム

サーバールームを開けると、周囲を見渡しながらスマホの場所を確認した。部屋自体はそれほど広くはなく、エアコンの音が響くほどほどの広さだ。そして再度見渡す。

“こいつはなんだ?”

 

見覚えのあるケースが視界に入り、にやにやしながらしゃがんでケースを取り出し、わくわくしながら開けると、中には紛失していた俺の武器が入っていた。

“いぇーい”

 

精密射撃を専門とするエージェントに与えられる対物スナイパーライフル「マクミランTAC-50C」を取り出す。ボルトを引き、ローディングチャンバーを覗くと、空だった。だが弾薬はケースに入っていた。なのでケースの中へと手を伸ばし、掴む。

 

もう一度確認し、特に何もなかったので立ち上がり、スナイパーライフルをバックパックに入れ、少し移動しながら、問題ないか確認する。

“よし、次はマスクだ。”

 

ざっと確認したが、特に何も見つからず、ため息をつく。

“化学兵器には近づかないでおくか。”

 

だが俺がどう思おうが、やるべき仕事はある。

 

“ヘイISAC、キヴォトスの地図を見せて。”

そう言い、目を閉じて備える…。

 

…目を開き、地図を見る。

 

上がっていた口角が下がる。

 

“う…そ…だろ…”

一旦黙り、声を出す。

“なんだぁこりゃ!?”

 

アメリカと同じ大きさじゃないか!?

 

なんで誰も教えてくれなかったんだ!?

 

「先生、いますか?」リンが部屋を覗き込む。俺が振り向くと、エルフの美人がドアを大きく広げる。その姿勢には安堵の気配が感じ、微笑んでいた。「お疲れ様です。連邦生徒会はキヴォトスの統制を取り戻しました。まだいくつかの学園では問題が続いていますが、明日には秩序が回復するでしょう。すべて先生のおかげです。」

 

“気にするな。”

俺は軽く手を振る。リンの視線が俺のTAC-50へと移るのを見て、笑みを浮かべる。

“カッコイイだろ?”

 

「いえ……ただ、気になっただけで……」言葉を途切れさせながら、少し控えめな態度を取りつつも、秘書らしい立ち振る舞いを崩さずに続ける。「なぜ…」リンは問う。これまで何度か同じことを聞かれてきたが、違ったこととしては純粋な好奇心を含んだ問いであった。「先生は、キヴォトスの生徒のように頑丈ではないのに、そして生徒たちの責任を負っていないのにもかかわらず、どうして命を懸けてまで守ろうとしたのですか?」そう素早く付け加え、俺の答えを待つ。

 

正直に言おう。「癖」だからだ。それだけが、自分の行動の真相を正確に表せる唯一の答えだと感じていた。三年間、俺は理解の範疇を超えた敵と戦い続けてきた。宇宙的恐怖を感じるような存在でもなければ、世紀末なバケモノでもない────そんな人間()と戦い続けてきた。

アウトブレイクの前から存在し、アウトブレイクを引き起こすことになった政治。

善良な人々を死へと追いやり、さらに多くの人々が道を踏み外すことになった政治。

そしてその道を踏み外してしまった者の多くは、俺が向けた銃口の向こう側にいた。

 

俺は、自分の選択を後悔していない。そしてその結果が訪れたときには、ただ歯を食いしばり、困難に備えていた。

 

だが…

 

ここの子供たちには手本が必要だ。殺すために訓練された兵士ではなく、思いやりにあふれ、子供たちの問いに喜んで答えてくれる教師が必要だ。

 

 

厳密に言うと、俺は高校を卒業したことがないし、ましてや税金を納めたこともない。

 

俺は子供たちの手本になれるのだろうか?3年前まではただの十代で、自分自身の目標も持たずに生きてきた大人である俺が?ただ家族が穏やかに暮らせるように、命令に従っていただけの俺が?

 

正直に言おうか? たぶん無理だ。

 

だが俺は生徒が求めている存在だ。 ここに送られた時、死にかけていた男がその存在だ。

 

だから、リンの問いに答える。

“君が頼んだからだ。”

そう微笑むと、彼女は戸惑ってまばたきをする。

“この場所を愛しているようだったし、ずいぶんと疲れているみたいだった。だから俺はやることにした。俺が解放した都市の数は3つになったけどな。あー…”

言葉を濁した。

“ブラックタスクが再び侵攻してきた時もカウントに入るのか?”

 

リンはまだ困惑したまま、入り口に立っている。俺は彼女のずれたメガネを直しながら、通り過ぎる。

“気をつけろ。先を見通すのに必要だからな。だが信じてくれ、これから先は…”

俺は微笑みながら背を向ける。

“そう簡単にはいかなくなる。”

手を振りながら建物へと向かう。

“くつろぎたくなったら、いつでも寄ってきてくれ。”

 

そうだな…

 

考え事というものは上層部のためにある。

 

俺は自分の感情に従って、出来ることを探すだけだ。 どのみち、連邦生徒会長は理由があって俺を選んだからな。

 

考え事をしていた頭を振り、リンについていき建物を出た。

“任務達成!”

俺は周囲にいる関係者や待機していた少女たちに叫ぶ。何人かは少し跳ねたが、俺は伸びをしながら続ける。

“シャーレの建物は取り戻されて、エネルギーと資源の配給は学園へ向けて進行中だ。そして何より、この場所はまだ地獄にはなっていない。みんな、本当に素晴らしい事をしてくれた。”

少女たちを褒め称え、俺の上機嫌さが伝染し、少女たちも笑顔を返してくれる。

 

「先生もです。」チナツがそう言い、首を振りながらスマホを取り出す。「出来ればここにいたいのですが、ゲヘナに戻らなければいけないです。そのうち遊びに来てください、先生。」

 

“どのみち遊びにいくことになるな。”

頭の後ろをかきながら、そう認めた。

“何かしらの形で君たちに恩返しをしないとな。恥ずかしながら、今のシャーレの資金繰りはかなり厳しい。”

 

「それは見過ごせませんね。」ユウカは腕を組み、唇を引き結ぶ。「キヴォトスを救った先生がこんな状況だなんて…。」俺はただ首を振り、ユウカの頭を軽く撫で、顔が恥ずかしくそうに赤くなった。

 

“少なくとも、リンに迷惑をかけるのは1日か3日待ってほしい。今はやることが山積みだからな”

そう言い、ユウカの顔がトマトのように赤くなった。

 

スズミとハスミの方を向いて、手を差し伸べた。

“一緒に仕事ができてよかった。また会えるといいな。”

 

「私も同じ気持ちです、先生。」ハスミは微笑みながら握りしめ、俺がスズミの方を向くと手を離した。

 

“スズミもだ、スマホを接続してくれてありがとう。”

笑って言い、スマホを取り出そうとする。

 

手元から滑り落ち、慌てて掴もうとしたものの誤って叩いてしまい、壁に激突してしまう。生徒たちと俺が、壊れたそれを見守っていた。

 

そんな。

 

俺のポルノが。

 

表向きはこう言う。

“スマホ…なくなっちゃった。”

 

「心配しないでください先生。」リンが喋った。「連邦生徒会が新しいスマホを用意しておきます。先生が生徒との連絡手段を持たないのは、あってはならないことですので。」

 

大いに慰めてくれる言葉なので、うなずく。それと同時に、旅の間ずっとそれに頼り続けていたという事実もついてきた。

 

ともかく、背筋を伸ばす。

“ありがとうリン。”

他の少女たちにも向き直り、笑みを浮かべる。

“今日のところは解散だ。それぞれの学園のことをしっかり頼むぞ。この辺りは俺が片付けておく。”

 

彼女たちの心配をよそに、HUDにシャーレの建物周辺を表示させる。「しかし先生はヘイローが…」ハスミが心配そうに指摘する。

 

“自分のことは自分で何とかできる。戦ってたのを見てただろ?だから大丈夫だ。それに、建物周辺を片付けるだけだ”

そう説明すると、少女たちは少し安心した様子を見せる。

“ならこうしよう。もう少し時間が経って、状況が落ち着いたら”

俺は周囲を指し示しながら言う。

“その時には、改めて正式に申し込んでくれて構わない。何しろ今回は臨時だったからな。”

 

その言葉に、少女たちは一瞬考え込むが、やがて肩の力を抜く。最初に口を開いたのはチナツだった。「お怪我をなされたら、すぐに私のところに来てくださいね?」

 

“気をつけるさ”

俺は軽く手を振り、ポリスM4を構えながらセーフティーを解除する。

“みんな元気でな!”

 

走り始め、息を吐きながら呟く。

“ISAC、一番近い戦闘が起きてる所を探して、そこに案内しろ。”

 

「やっちまえ~!」と、少女が叫び、四人の仲間達と共に銃を構えるもその時には銃弾の嵐が彼女たちを襲い、後退を余儀なくされる。全員をヘッドショット出来る距離へと十分に近づいて、全員が嵐に倒れ、俺は唸る。

 

ISACブリックを軽く叩き、HUDが表示されるが、周囲には何も映らない。

“ふぅ~…”

息を吐く。

 

視界の隅にウェイポイントが現れ、それに向かって走り出す。

 

故郷と同じだ。

 

俺は路地に飛び込み、チェーンで繋がれたフェンス越しに標的を確認する。スピードを上げ、スキャナーPulseを起動し、周囲の敵を輪郭が表示され、それぞれの役割を把握する。

壁を蹴り、フェンスを飛び越え、M4で掃射する。

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