The Divide   作:粋刺@翻訳

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各チャプターの最後に作者と訳者のあとがきを追加しました。
訳者のリアル事情により投稿スパンを毎日から二日に一回に変更します。申し訳ございません。


Chapter 5:砂城、崩壊す
Chap.5-01 アビドス自治区 ???


荒れ果てた建物に響くバックショット弾の音。驚愕した悲鳴が続き、サブマシンガンの弾が硬い何かにぶつかる。

 

その中では、ピンク色の髪をした小柄な少女がいる。一方は青、もう一方はオレンジのオッドアイで、白いドレスシャツをグレーのプリーツスカートにきっちりと入れ、首元には緩めたネクタイ。肩にはタクティカルブレースを装着し、不良集団とやり合っている。

 

遮蔽物に身を隠し、慣れた手付きでベレッタ 1301をリロード。ボルトリリースボタンを押し、チャンバーが閉ざされる。

素早く覗き込み、前方へ疾走。ヘルメットをかぶった不良の顔面に熱い鉛を吐き出し、喉にストックを叩き付ける。更に足払いを畳み掛けて跪かせ、バレルを肩へと乗せて二発。もう一人の敵を遮蔽物へと追いやった。

その間にピンク髪の少女は背中から倒れ込み、自身の盾としていた敵の胸部にバックショット弾を撃ち込む。

ヘイローが消えると共に、反動を利用して後ろへと転がる。

 

そして前方へと疾走しながら、シールドを展開する。直後に銃弾がシールドに衝突し、彼女はそれに身を隠す。

再びショットガンをリロードし、カチャッと音を立てチャンバーが閉じる。シールドを傾け、くぼみにショットガンを乗せると、何発も発射する。空のシェルがカラカラと地面に散らばる中、不良らは追い詰められ、遮蔽物から押し出される。

シールドを投げ捨て、銃弾が肌に当たるが、有効打とはならずただ地面へと弾かれていった。そして、不良たちへ次々と弾を撃ち込み、ヘイローが点滅しながら後ずさるように倒れていった。

 

静寂の中、少女はショットガンを構えて周囲を見回し、戦闘を続行しようとする。自分以外が気絶していることに気づいたとき、少女はただ緊張を解いた。「うへ~…おじさんももう歳だねぇ…」

小鳥遊ホシノはショットガンを肩に掛け、前のめりになってため息をつく。投げ捨てられたシールドを見つめ、顔をくしゃっとさせて、足早にそこに向かう。「よっこらせ!」うめき声をあげ、腰を曲げて折りたたんだシールドをつかみ、ため息をつきながらまっすぐに立ち上がった。「んしょ。」

 

シールドをしまい、夜のパトロールを再開する。

アビドスに出入りする唯一の列車はもう通過することなく、人々を自治区という罠の中へとハメたままだ。自分の学校が罠のように見られることに、彼女の顔がわずかに歪む。

 

彼女は現場を離れながら、建物の窓越しに自分が「ホーム(うち)」と呼んでいる砂に埋もれた自治区を見つめる。その街路はいつも通りの閑散とした光景を保っており、ため息を吐く。今日に至るまで、彼女は先輩がここで見てきたものを自分も見られるとは思ってもいない。だが今は、どんなことがあろうとも、この場所を守る責任が彼女にはある。

 

ふと彼女は動きを止める。視線の先には、スマホに目線を向けながら周囲を見渡す男の姿、顔はしかめられ困惑していた。それが迷子の生徒であれば、ホシノは助けに向かっていたのかもしれない。

 

だが男の首に彫られた見覚えのあるタトゥーが目に留まった──不死鳥だ。

そして視線は彼の背負うバックパックへと動く。背中にはM4が肩掛けされ、傍らにはM870ショットガン。太もものホルスターにはピストルが収められ、ストックが折り畳まれたスナイパーライフルも装備されていた。

 

後輩が最後の手段として、シャーレに手紙を送ったことは知っていた。だが返答に期待する者はいなかった。返ってくるのは弾薬や物資ぐらいだろうとしか思ってなかった。それなのに、彼がここにいるとは…

 

目を細め、大人たちとの経験から染みついた疑念が、彼は何かを求めているのだと結論づけさせる。ふと、彼女の思考は少し悪意のある方向へと向かい、彼の武器を内心嘲笑する──どうせお飾りだ。こけおどしにしか過ぎない。

 

彼女は頭を振り、息を潜めながら笑う。この街の生徒は全員武器を持っている。余所者にとっては、できる限り多くの武器を持ち、多様性を確保するのが理にかなっているのかもしれない。もしヘイローがないという仮説が正しければ、なおさらだ。

 

思考の最中、彼が動く。彼女はそれに反応し窓のそばの壁へと身を隠し、呼吸を整えようとする「…え?」

 

その目を知っている。

 

色や形のことではない。それでもその目を深く知っていた。

 

アビドスに入ってまだ1年の頃の自分と同じ目だった。再び覗き込みながら、彼が建物を見渡す様子を見守る。警戒を解いた彼の姿勢は依然としてまっすぐで、そして向きを変える。ホシノの目は細められ、大人をじっと見つめる。

 

彼は危険な存在だった。極めて危険だった──まるで異なる時代の自分を写した鏡を見るように。だが決定的な違いがいくつかあった。

彼の目は、若かりし頃の自分のような怒りに燃えたものではなかった。好奇と鋼鉄の意志に満ち満ちたものだった。それは生徒や、そして今まで見てきた戦闘用オートマタの市民でさえも見られないものだった。どうしてあの男の方が戦闘用として造られた者よりも危険に見えたのか、そのことは彼女にとっては到底理解が及ばないものではあった。だがそう感じたのだ。

 

…彼女は時間をかけて彼を本当に「見た」。そして…

 

鏡、否、むしろ、ステンドグラスのような存在だ。生徒はヘイローによって危険に晒されることが少ない。だが、彼には鋭敏な危機感があり、武器は熟練と経験を以て振るってきたものだった。

しかし、それはある新たな疑問をもたらした。

 

連邦生徒会長は彼を戦場から連れてきたのか?それとも退役後に連れてきたのか?

 

彼女は頭をかきながら、うめいてつぶやく。「んも~…おじさんったら考えすぎ~…」

 

深く考えることもなく、先生の後を追った。

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