The Divide   作:粋刺@翻訳

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Chap.5-06 アビドス高等学校 廃校対策委員会教室

廃校対策委員会の部室にて、俺含む全員が席についている。そしてアヤネが立ち上がり、拳を軽く握って咳払いする。「それでは、改めて自己紹介を行います。まず初めに、私たちはアビドス廃校対策委員会です。私は委員会で書記とオペレーターを務める一年のアヤネです。」

アヤネはセリカに手を向ける。「こちらは同じく一年のセリカ。」セリカがそっけない挨拶をすると、アヤネが続ける。

「二年のシロコ先輩とノノミ先輩です。」

 

「どうも~先生!」笑顔でノノミは俺に挨拶をする。

 

「ん…」声を上げるも頬は赤く染めながら、こう付け加える。「ホシノ先輩が言っていたことは忘れて。」

 

「委員長で三年のホシノ先輩です。」

 

ホシノは笑顔を送り、手を振る。「よろしく~先生。」

 

つまるところ、ここは日本の学校のシステムに沿っているのか?ほう、面白いな。

 

“ではもう一度、俺はヴェルネス マテオ。シャーレの顧問になる前はファーストレスポンダーをやっていて、時間がある時は先生もやっていた。皆と仲良く出来るといいな。”

軽くうなずきながら俺はそう言った。

 

アヤネは微笑みながら続ける。「ご覧になった通り、我が校は現在危機にさらされています。そのためシャーレに支援を要請し、先生がいらしてくれたことで、その危機を乗り越えることができました。」

 

“お礼を言うのはまだ早い。まず色々と準備する必要があるから、その後に言ってくれ。”

俺は話を遮りながら、膝を指で軽く叩く。

“それと…俺がいなくとも、十分に戦えたはずだ。”

 

「ですが、先生がいなかったら、学校は乗っ取られてもおかしくありませんでした。先生には感謝してもしきれません。」アヤネは、俺の気持ちとは関係なく、真剣な口調で伝える。

 

この状況こそが俺にとって理想的なものだ。

明確な敵がいる。

危機に瀕した場所がある。

そして、手を貸してくれる仲間もいる。

俺以外は拠点の防衛に専念して、他は俺だけでやれって言われても納得がいく程のものだ。

それこそが俺の…エージェントの仕事だ。

 

さて、俺は機をうかがっていた。

“どうも。それと、ちょっと気になっていたことがある。”

そう言いながら、俺は彼女たちへと視線を向ける。

“この委員会の目的は?”

 

アヤネの視線が一瞬横へ逸れる。だがすぐに戻り、少し緊迫した雰囲気の中、アヤネが口を開いた。

「対策委員会の目的は…アビドスを蘇らせることです。」

 

それだけか?

 

砂嵐とカタカタヘルメット団のようなギャングの二重苦で壊滅的なのは理解できる。だが、何か見落としている気がする。

 

“なるほど。その第一歩が、カタカタヘルメット団を追い出すことになると?”

俺がそう聞くと、彼女たちはうなずいた。

 

ノノミが言葉を付け加える。「手伝ってくれる生徒が増えれば嬉しいんですけどね…。」

 

シロコも同意した。「私たちだけで学校を守るのはとても大変。」そして少し視線を外しながら更にこう小さく呟く。

「在校生としては恥ずかしい限りだけど…」

 

アヤネがため息混じりに言う。「先生の支援が無ければ、今度こそ一巻の終わりになっていました。」

 

「いやぁ~…ナイスタイミングだったよ、先生。」一瞬ホシノが俺を見る。その視線には、どこか落ち着かないものがあった。

 

“俺としては、”

口を開く。

“君たちだけでやれたと思うけどな。とはいえ、まだやることは終わっていない。”

そう言うと、俺は紙と鉛筆を手に取り、ISACの助けを借りながら、日本語で位置情報を書き出す。そして書き終わった紙を彼女たちへ向ける。

“ここがヘルメット団の隠れ家だ。拠点に乗り込む前に、ここを潰した方がベストだ。”

 

「そうしなければ、そこに攻撃を仕掛けている間に報復を受けてしまうということでしょうか?」アヤネがそう聞いてきて、俺はうなずく。

 

“それに、住人やまだ残っている店への襲撃も減らせることになる。”

その言葉に、彼女たちの興味が深まる。俺は後ろへ手を伸ばし、シッテムの箱を持つと、アビドス自治区の地図を開く。その瞬間、アロナは軽く唸る。

S いきますよ~!

 

画面がズームアウトし、五つの地点が赤く表示される。それぞれの場所には、旗の横にヘルメットのアイコンが付いていた。

分校は緑色で、アビドスの校章が表示されている。凡例が表示されるが、大半は無効化されていた。

“ここが隠れ家で、俺はコントロールポイントと呼んでいる。”

俺が画面をタップすると、複数の地点が光る。

“これらが商業地区と住宅街だ。”

 

「ほとんどが住宅街や商店街の近くだね。」ホシノが驚きながらそう指摘する。

 

「そこは……駅…」ノノミが、駅と最も近いコントロールポイントの距離を確認する。「ですね。」

 

「でも、人の出入りはそこまで多くはなかったはずでは……」眉をひそめ、ノノミがそう口に出す。

 

“旅行目的ならそうなる。だが、自治区の外で働いている人はどうだ?”

俺がそう指摘すると、彼女たちの目は驚いて見開かれる。

“それに供給ラインもある。”

 

もう一度俺が画面をタップすると、流れが可視化される。物資と人の移動経路が区画内で浮かび上がり、アビドスの面々が何かに気づき始めた。

 

「あいつらめ…!」セリカは憤慨し、シロコがなだめる。

 

「先生、一日の活動って見れる?」そしてシロコが尋ね、俺はうなずく。

 

沈黙するアロナと、ため息をつくISAC。

A 聞こえました。

 

そしてアロナは驚いたように声を上げる。

S えっ、あっ!はい!先生!

 

ボタンを数回押すと、タイムラプスが再生される。対策委員会の皆が興味津々で画面を見つめる。

 

朝、ヘルメット団の活動で一番多かった場所は駅周辺だった。そしてその後は商店街へと移動していった。まるで対策委員会を意図的に避けていて、たまに遭遇してしまうものの、パターン化されたものであった。

 

奴らはアビドスを締め上げるように動いている。

 

タイムラプスが終了した時には、室内には怒りが渦巻いていた。

 

だが俺の意識は、別のものへと向いていた。時折、白い「?」マークが現れ、コントロールポイントの間を移動していた。まるで自信を持って糸を引いている者が背後についているかのように…

 

違う、糸で振り回している。

 

…詳しい調査が必要だ。

 

コントロールポイントもまた問題だ。確保しても、それを維持する人員がアビドスにはいない。ではどうすればいい? もちろん適当に人を集めるというわけにはいかない。

 

いいや、今はギャング共を追い出すことが最優先だ。

 

「圧を掛けていますね…」真剣な表情でノノミが言う。

 

“なら、叩き出すぞ。”

そう言うと、彼女たちの目には炎が宿っていた。

“拠点は後回しだ。明日までに終わらせたいのなら、疲労困憊のままでの突撃は出来ない。そしてこれは相当キツイものになる。そう断言できるぞ。”

 

少し偽善的な言い方になってしまった。それもそのはず、ブラックタスクが初めて侵攻してきたとき、俺は疲れが残ったまま突っ込んだからな。

 

「あんなことやった後に指図しな──!」そう叫びながらセリカが机を強く叩く。

 

「セリカちゃん。」ホシノの声がその怒りを断ち切り、セリカは委員長を見る。「ほら。」そうホシノが呟き、タブレットを手元に引き寄せ、指でいくつかの線を示してセリカはそれを確認する。「さっき来たヘルメット団を追い出せれば、拠点は物資の確保が出来なくなる。あとはパトロールの範囲を広げて残った勢力の動きを封じ込めて、ずっとお腹ペコペコのままにさせておくか、無理矢理追い出すしかないんだよ。」

 

セリカは完全に恥をかいたようで、耳を垂らしながら静かにうなずいた。

 

“弾薬を補充しろ。”

声色を強くして発言し、立ち上がり、軽く体を伸ばす。

“これは厳しい戦いになる。アヤネ、”

俺はその一年生の方に振り向く。

”状況の監視を頼む。最初は両端から動いて、そして中央の図書館で合流する。”

俺がコントロールポイントを指し示すと、彼女たちは瞬きをする。

 

「先生も行くの?」ホシノが驚いた様子で聞いてくる。

 

俺は肩をすくめる。

“そうだ。人数はそこまで多くないし、二手に分かれて敵を中央へ押し込めれば、一気に片付けられる。”

 

「なら先生と──」シロコが俺と一緒に行きたいようだが、俺はそれを止める。

 

“だめだ。皆は連携が上手く取れているから早く片付けられる。もしも早く終わって、俺が手こずっていたら手を貸してくれ。”

少女たちを思案に沈めたまま、俺はその場を後にする。

 

そして反論される前に、教室を出る。

“何かあったら連絡してくれ。”

 

学校の外を踏み出し、低く呟く。

“ありがとな、ISAC。”

 

アロナのくぐもった叫び声が響く。その一方で、ISACは疲労感に満ちた声でため息をつく。

A どういたしまして。

 

後で何か食べ物とかを渡して許してくれるといいのだが…

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