壁の上で足を揺らしながら、空に輝く星を眺める。キヴォトスなら、故郷よりもずっと楽に見渡せる。そのまま、ホシノが図書館から出るのを待っていた。
正確には、俺のコントロールポイントを"調査"していたホシノの帰りを待っていた。
今現在のアロナは俺が隠していた菓子を頬張っている。ISACは今までコントロールポイントの敵数を皆に明かさないようにアロナを拘束していた。俺とISACの謝罪を受け入れてくれないのも無理はない。
だが、どうやらアロナは俺が言うような"仕事を果たした"というよりは、"自ら危険に身を投じた"ことに腹を立てているみたいだった。
彼女たちは生徒だ。それも、銃を持った生徒だ。扱いは上手ではあるが、ヘイロー由来の耐久力に頼りがちになっていることは否めない。だがそれでも生徒だ。勉強すべきであって、住処を守るために戦うべきではない。
静かに思考を巡らせていると、足音が近づくのを感じる。例え外傷が完治していようとも、改めて目立った傷がないことを確認した。
“ホシノ!”
ピンク髪の少女に声を掛ける。その少女はうなだれながらも、左右で違う色の目を俺に向ける。口元は微笑んでいたが、瞳にはそれが映っていなかった。
「うへぇ~先生、こんなところで何してるの?」と背筋を伸ばしながら尋ね、俺は壁の上から飛び降りる。「気を付けてね。膝がポキッといっちゃうかもよ~?」
“面白いな。”
そう言い返す。過去にそういったことが一度あったとは言わずに。
“じゃ、皆が待っているぞ。”
だんだん暗くなる空の下、ホシノはうなずき、俺の隣を歩く。「じゃ、行こっか。」
俺たちは自治区を歩く。砂に埋もれたそれを眺め、ホシノと共に静かに思索へと耽る。
埋もれた郵便受けの中に、一枚の紙が顔を覗かせていた。時の流れに晒され、擦り切れたそれへと手を伸ばす。
ホシノはすでに先へ行ってしまい、俺は取り残される。だから、俺はその紙へ視線を落とす。
その文字へと眉をひそめる。ISACが翻訳してくれるが、あまり良いものではないと悟る。紙の上部には王冠を載せたタコのロゴとその下には
だけどよ…
こういった退去通知はアビドス高校が出すものじゃないのか?
「せんせ~!早く~!」ホシノが俺を呼ぶ。俺は無意識のうちに紙を握り潰し、ため息をつく。
“まあ待てよ偽おじ。”
「んも~!ちょっと~!」