The Divide   作:粋刺@翻訳

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[訳者まえがき]
18:00~18:09の間、間違えて次話の内容を掲載してしまいました。現在対応を行い本来のChap.9-04を掲載しました。申し訳ございません。



Chap.9-04 アビドス自治区 作戦本部

数時間後、書類仕事を済ませ、シロコとセリカと共にのんびりした後、俺は箱抱えて温泉開発部との打ち合わせの時間になる。

 

「ヤッホー先生!」と存在感を放つアビドスの校章が入ったテントのそばでカスミが手を振り、対策委員会の車両のそばにシャーレの航空機が着陸するのを見守っている。「会えて嬉しいぞ!」

 

シロコとセリカが先に出て、俺もそれに続く。

“俺もだ。全部順調か?”

 

「ああ、全部出来たぞ。もちろん土壇場で追加したのも含めてだ。対策委員会を脱出させる人員も揃えておいたぞ。これで迅速に脱出できるし、運び出すのが必要な物だって全て積み込められるぞ。」

 

「あっ先生だ!」と声が聞こえると、危うくコケそうになり、また傷口が開きそうになる。メグが背中から飛び掛かってきたからだ。「また会えたね!嬉しい!」

 

“俺もだぞメグ。”

そして痛みに耐えようとして呻く。

“ちょっと離れてくれないか?脚を怪我しててだな。”

 

「わっごめん!」と少しおどおどした様子でメグは後ろへ飛び退く。

 

「それが変更点と。」そう指摘するカスミ、俺はすこしきまりが悪そうにして手を搔く。「さて、他は司令部で待機中だ。こちらとしては、温泉が出来たとなれば後はどう転ぼうが問題ないのさ!」

 

“一つだけ。”

そう念頭に置かせる。

“同意したよな。”

 

「分かった分かった!」とカスミは手を振ってメグと共に歩き出す。「先生からの連絡、待っているぞ!」

 

“おう!”

そう答えてシロコとセリカに向き、手に持った箱が揺れ、肩にかけているミサイルランチャーのバランスを調整する。

 

テントに入れば、中央のテーブルには地図が広げられていて、アヤネがノートパソコンをタイピングしている。その隣にはノノミが座っていて、そして机の上ではホシノが寝ていた。アヤネが顔を上げると、こちらに笑顔を向ける。「おかえりなさい、先生、シロコ先輩、セリカさん。」

 

「ただいま。」とセリカが。

 

「ん。」とシロコが席に着き、ホシノが起きてノノミが微笑んだ。

 

「おっ、先生と一緒にいてどうだった?」とホシノが尋ねるとセリカは肩をすくめる。

 

「まあなんとか。」

 

「倍率が高い。」とシロコが言えば、困惑する俺、面白がるホシノ。

 

「おぉ~もっと詳しく~。」

 

「皆さん!」とアヤネが不満そうに声を張り上げればノノミは小さく笑い、セリカは顔を赤くした。

 

一方で俺はテーブルに箱を置く。大きな音が響き、一気に注目が集まる。

“対策委員会の皆、今から渡すものは基本的に一度きりのものとなる。”

顔を前に向け、説明する

“使用後は、返却か廃棄。分かったか?”

 

皆互いに、視線を交わし合い、無言で会話をしていたようだった。そして全員俺の方へ向いて、うなずいて俺は微笑む。

「分かった。」とホシノが言う。

 

“なら…”

そう言って箱を開ける。

“一人一個ずつ取れ。”

箱の中身を皆に見せて、振り向く。

 

俺が見せた装備は──今後SCAHLEテックとして知られていくことになるのだろう。そう、SHD(シェイド)ではなくSCHALE(シャーレ)としてだ。構成としては、中央に円が刻まれた白のブリック、白のスマートウォッチに、聴覚補助用のイヤーピース、コンタクトレンズになっている。

“これはシャーレの作戦でもあり、アビドスの作戦でもある。君たちには同行しないが、それでもこいつで補えれるはずだ。流石に俺のと比べれば…多少性能は落ちているが。”

 

恐る恐る手を伸ばして取っていき、装備を観察する少女たち。パワーレンジャー*1がモーファーを手にする名シーンのような光景だ。

 

最高だ。

 

“あれ、何を戸惑っているんだ?着けてみろ。”

そう言うと全員うなずき、テーブルに目薬を置く。

“時間は限られているんだぞ。”

 

そうして、装着し始める。スマートウォッチを手首に付けて、ブリックはそれぞれ違う部位──ホシノはタクティカルブレース、セリカは制服、シロコは俺が頼んだダッフルバッグのストラップ、ノノミとアヤネは制服──イヤーピースは問題なかったが、コンタクトレンズの装着には少し苦労したようだが、皆ちゃんと仕上げた。

 

最後はマスクだ。

セリカは赤のアクセントが入ったシンプルな黒の外見としてはよくある顔の下半分を覆うガスマスク。

アヤネはセリカに似た白に赤のアクセントがあるもの。

ノノミは丸っこくソフトな感じで緑のアクセントが入っていて、どちらかというとデザイン性重視のもの。

ホシノは黒にピンクのアクセントで角ばっている以外は特徴がないもの。

シロコはというと…

 

俺が使っているマスクはギラ・ガードのナイトウォッチャーを改良したものだ。もともとそこまで大きくはなかったが、俺が改造を施し、そして研究開発部門の力を借りて試行錯誤して徹底的にやったおかげで頼れるマスクとなった──ワカモに切られ、そして爆破されるまでの話ではあるが。だが今は、クラフトチェンバーを使えば簡単に作り直せる。いずれにせよ、デザインは黒にサイドにはグレー、アクセントとしてオレンジが入っている。シロコはそれと同じモデルを欲しがっていたが、青のアクセントが入ったものにした。

 

“問題ないな?”

そう聞くも、対策委員会はマスクの位置を調整中。

“少し呼吸をして、マスクに慣れたらブリーフィングを始めるぞ。”

親指を立てて言えば、皆も親指を立てる。準備万端だ。

“よし、ISAC、プロトコルSCAHLEを起動しろ。”

 

その時、耳にISACの声が聞こえたのか全員驚いて飛び跳ねる。

A プロトコル起動。ようこそ、小鳥遊ホシノ、十六夜ノノミ、砂狼シロコ、奥空アヤネ、黒見セリカ。

 

「ちょっと、どうなってるの!?」とセリカが叫び、手首を見る。「ってスマートウォッチが!」

 

他の皆もスマートウォッチに視線を落とせば、ホログラムが投影され、時刻設定とともにそれぞれの座標が表示される。基本的な機能だが、改造されてる俺のものとは対照的だ。いや…俺のというよりかはキーナーのものだが、長年使っているから俺のもので間違いはないはずだ。

 

A しばらくお待ちください。スキャンテックをスマートウォッチへ同期中…完了。SCHALEブリックを同期中…完了。

 

皆して何が見えているのかは分からないが、目が一瞬だけ青色に輝いた後、不思議そうな様子で辺りを見回す。「こ、これは?」と呟くアヤネ。

 

「まるで映画の世界みたいです!」と歓声を上げるノノミ。

 

「…ん。」とシロコが遅れて返事をする。

 

「先生ってこういう風に見えてたの?」とセリカが尋ね、全員が俺に振り向けば俺は肩をすくめる。

 

“まあそうだ。だがこれはあくまでも一時的なものにしかすぎない。この時点でファーストレスポンダーというのはカバーストーリーであるとはもう分かっていると思うが、全部が全部噓ではない。俺はエージェントだった。生物災害で大惨事が発生して、政府を再建する任務に就いていた。それ以上のことは…”

言葉を濁し、小さく笑う。

“まあ、機密だ。”

 

「極秘エージェントってこと!?」と衝撃を受けるホシノ。「それはちょっと予想外だったね…」

 

“俺はまだ先生だぞ。”

周囲を見た後に、ため息を混じりで呟く。

“まあ学位は無いし、ましてや高等教育も終えていないしな。”

 

「あの。」と不審に思ったのかアヤネが口をはさむ。「最後は何と…?」そう尋ねるアヤネ。だが俺は無視、悲しきことかな。

 

“さて、ISACの方だが。”

そう言って、目の前に突然現れたISACに皆は一斉に驚く。

“俺の戦闘支援AIだ。君たちにも同様の役割を果たしてくれる。バイタル状態や残弾数、グレネードの数の可視化したり、俺とアヤネの支援を受けて指揮を執ったりといった感じだ。だが気を抜くなよ?”

 

A こんにちは、エージェントを支援してくださってありがとうございます。

 

「…ほんっとうに映画みたいですね!」とマスク越しでも歓声をあげるノノミ。

 

俺は指を鳴らす。

“はい注目。”

指揮官の時のトーンを少し加えてそう言えば、全員視線を俺の方に向ける。

“計画を変える。”

スマートウォッチから投射された光の一部を"握って"机へと置く。ホログラムでエリアが投影されて、ウェイポイントが表示されていく。

“これが侵入経路だ。そしてこっちが──”

更なる"ポイント"が現れる。

“監視地点。何か不審なものか、重大なものを見つけたらすぐに報告しろ。常にマスクを着用し、危険を冒さないこと。”

そう伝えると全員うなずく。

 

“よし、今回の戦略はさっと入って奪ってズラかる。”

そう言った矢先にシロコが身を乗り出す。

“三チームに分かれる。アヤネと俺は作戦指揮を行う、だから何かあったらISACに聞くか直接報告しろ。さて、四人についてだが…”

グループへ指を差す。

“ホシノとシロコがチームワン、セリカとノノミがチームツーだ。”

 

「おーっ!」とホシノが嬉しそうに手を挙げる。「イーグルワンでいい?」

 

「なら私はAKB3で☆」

 

「その3はどこから来たのよ!」とノノミに言うセリカ、俺は頭を振る。

 

“残念だがそれはナシ。呼び名で混乱を起こしたくはない。”

そう答えればホシノは落ち込み、シロコが慰める。

“とにかく、チームワンはヒューズの取替えを、チームツーはデータの担当だ。”

そう言うと、画像をスワイプすれば学園の一部のマップが表示される。

“チームツーは突入してISACに任せてデータの収集を行う。そうすれば電源が戻るはずだ、出来ればという話だが。チームワンはというと、ヒューズを変えて必要なものを修理していって特にこのエリアの電力を復旧させていく。もしチームツーが目標のサーバールーム用の電力源の確保に失敗したのなら、入れるエリアにあるデータを解析しろ。チームワンは個々でやることになるが、何か電源が入るものを見つけたら、そこからファイルを解析して、床に固定されていない使えそうな物を持っていってくれ。”

 

説明中のシロコはずっと興奮した様子だった。

 

“では、皆準備出来たか?”

そう問えば、皆うなずく。

“なら最後の準備に入るぞ。シロコは工具を、ホシノは発電機を準備してほしい。何か急を要する作業が必要になった場合に備えてだ。セリカはISACに任せろ。俺たちの方で何かで見つけたら、君たちの方へ伝える。作戦は十七時に開始するから十分以内に位置に着くこと。俺はここにいるから質問があればここに来ること。それでは解散。”

ブリーフィングを終えてため息をついて座る。

“うわっ、まだ始まってすらないのに緊張してきたぞ。”

そうぼやく。

 

「お疲れ様です先生!」とアヤネが励ましてくれて、他は動き出す。「ここまでしてくださって本当にありがとうございます。」

 

“普通なら俺はバタバタ準備してる側なんだけどな。”

そう言いながら他の対策委員会の皆にうなずく。シッテムの箱をセットアップし、タクティシャンドローンが駆動音を立てながら飛び上がり、キーボードが再びホログラムに浮かび上がる。

 

「先生、ブリーチングチャージはどのくらい持てばいい?」とセリカが尋ねてきて、顔をそっちに向ける

 

“ゼロでいい。ノノミたちに任せて、半分はここに置いてくれ。必要になったらアヤネが送ってくれる。”

 

「先生。私たちは?」とシロコが口を開く。

 

“君たちは壁を壊さなくてもいい。だがホシノに残った4分の1を持っていけと伝えてくれ。”

そう伝えるとシロコはうなずく。

 

やがて、その時が近づくにつれて俺とアヤネだけがここに残ることになった。

“支援部門の仕事が嫌いだった理由を思い出したよ。”

 

「その理由とは…?」と疑問に思うアヤネ。

 

“動けないし、ストレスが多すぎる。”

そう答える。そして時間が刻一刻と近づいてくる。

*1
アメリカ版スーパー戦隊。訳者は特撮系に関しては門外漢なので詳しいことは各自調べてください。モーファーは変身アイテムみたいです。




[訳者あとがき]
ディビジョンの日本語吹き替えではSHDを「エスエイチディー」とそのままアルファベット読みで発音していますが、拙訳でのSHDは英語音声と同じく「シェイド」ということにさせてください。かっこいいので
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