Chap.2-01 アメリカ合衆国
延々と続く一本道で、女性が舌打ちをしながらアスファルトに足を打ち付けていた。「散開して。この辺りで彼の信号が途絶えた。一つたりとも見落とさないで。」
彼女と一緒に、集団が動く。 彼女のようなISACブリックを身につけている者もいれば、平凡な見た目の者もいた。 周辺を調査していると、市民軍の一人が彼女に近づいてきた。「あの……エージェントケルソ?」
「ん?」アラニ・ケルソは辺りを見回し、「何?」と兵士の方を向いた。
「人探しをしていると言っていたのは知っていますが、来たのは最後なので…その申し訳ございませんが…」兵士は頭をかきながら、ケルソの表情はすでに想像しており、言う。「誰を探しているのか教えてくれませんか…?」
ケルソはすぐには答えず、彼女が弟と呼んでいるバカがどこにいるのか、何か手がかりはないかと辺りを見回している。
そして、ため息をつき民兵に向く。「数日前に、エージェントヴェルネスのスマートウォッチの信号が完全に消えたの。だから私たちは彼を探すためにここに来たわ。」
男は一瞬戸惑ったような表情を浮かべ硬直したが、周りを見回し、囁く。「も、もしかして”サンドマン”のことですか? 実質一人でワシントンとニューヨークを取り戻して、アーロン・キーナーを追い詰めた、あのエージェントヴェルネスが?」
「そうよ。でも彼の偉業はそれだけじゃないわ。」彼女は双眼鏡を取り出し、周りを見回しながら答えた。「見て。」彼女は民兵に双眼鏡を渡して言う。「あの建物が見える?」彼らはうなずいた。「あそこが最後にいた任務の場所だったの。でも、スマートウォッチのデータを見る限り、バイタルが徐々に低下していたから負傷していたに違いないわ。」
「なら…」民兵は、不本意そうに言い始める。「彼は───」
「死んだとでも? あなたには関係ないことよ。」彼女はそう答え、黙らせた。「彼は完璧なディビジョンエージェントよ。機敏で、チームでも一人でも行動ができて、順応性があってタフで、マニーの “保安官”という肩書きが一番似合う人なの。生きているわ。」
民兵はさらに何か言おうとしたが、ケルソが睨みつけ、それを止めた。「仕事でここに来たのでしょ?ほら、働きなさい。」
周囲を見回し、ケルソは眉をひそめ、胸に膨らむ不安を和らげようと深呼吸をした。「マット、一体どこにいるの?」
彼女には言わなかったことがある。それはディビジョンエージェントを追跡するためにあらゆる電子機器、携帯電話、果ては衛星さえ調べても、手掛かりが何も見つからなかったことだ。そのことが少し奇妙で、彼女を心配させていた。
エージェントヴェルネスに初めて会ったときのことを彼女は思い出す。彼女より10歳も年下の新人だったが、優れた技能を持ち、数多のポテンシャルを秘めていた。 彼女が他のエージェントとともに育てたポテンシャルは、水を得た魚のように受け入れられていった。そしてそのスキルを活かして、今では西半球で最も恐れられているエージェントの一人となった。
地獄へ旅立っても、彼はきっと生き延びる。
笑いがこみ上げてくるのをこらえながら、彼女はマテオを探すようになった。
血痕は大量に見つかったものの、死体はなかった。彼女が彼の怪我だけを心配していたという事実が、それを物語っていた。