自己認知というものはあると非常に役立つ。例えば、世間的には俺の身体は魅力的なものであることは自覚している。背が高く、鍛えられていてハンサムだ。だが個人的には、俺をハンサムと言うのなら一度目の検査を受けた方がいい。
サポートエージェントとして活動していた頃は、背はそこまで高くなかった。平均通りだった。だがトレーニングとひっきりなしに降りかかる脅威、そして例のBSAVとカクテルのおかげで人は大きく変えてしまう。まるで1ドルショップ*1で雑に売られてた超人血清*2を打ち込んだみたいに。そしてD.C.の雑魚なら顎に一発ぶん殴るだけで倒せる。ハンサムについては周りから、とりわけ元カノたちからそう呼ばれ続けてきたから主観的なものだが、俺はそう思ってない。
じゃあどうしてここまで慎重になるんだ?と思うだろう。
その理由としては、俺は対策委員会を見つめており、彼女たちもまたシャワーから出たばかりの俺を見つめていたからだった。
別にシャワールームにいる理由がないわけではない。アビドスで仕事をこなして、サンドマンのあだ名通りに砂まみれになって、浴びることを伝えようとしたら、誰もそこにいなかった。だから部室にメモを残した。
見た目からして恐らく、汚れる仕事を片付けてきたに違いない。シロコは俺があげたマスクをつけていたし、セリカの髪は解かれて、全員埃まみれになっていたから、多分部室には寄っていなかったのだろう。
だから皆してここにいる。タオル一枚の姿の俺を見て、少女たちは衝撃を受けて顔を真っ赤にしていた。
“その。”
口を開き、視線を彼女たちに移す。
“何も言わなかったのはすまない。俺はただ──”
そう言い切る前に、腰に巻いていたタオルの結び目が解かれた。幸い完全に落ちきってしまう前に片方を掴めた。つまり、もう片方は落ちきったという意味だ。
落ちてしまったしわくちゃのタオルをただただ見つめるばかりで、顔を上げることができずにいた。ようやく手に持っていたタオルの端を拾い上げて再び結び直し、何も見られていないと願いながら顔を上げた。悲しいことに、皆の表情からして見られていた。
シロコの顔は周りと比べればそこまで赤くはなかったが、目の焦点がひときわ合っておらず、ぼんやりと瞬きしながら、耳だけがわずかに動き、明らかに"興味"じゃないものを示している以外は──いつもの表情だった。
ホシノは顔を真っ赤にして、照れくさそうにしながらぎこちない笑顔を浮かべ、頬を掻くが、その割にはちらちらとこちらを見返していた。
ノノミは頬に手を当て、目を大きく見開きながら口を閉じていた。顔にはほんのりと赤みが差しており、どこを見たらいいのか迷っているように、視線をあちこちに彷徨わせた後、再び俺の方を何度も見た。
アヤネは今にも叫び出しそうな様子で、眼鏡は斜めに傾き、両手で目を覆っていたが、瞳孔は指の隙間からまだはっきりと見えていた。
セリカはトマトよりも真っ赤になり、口を開けたまま目を大きく見開き、耳をぴくぴくさせながら、気絶しているようだった。そして口からは奇妙な音──悲鳴と過呼吸、そして衝撃が混ざり合ったような声が漏れ出る。
観察はこれぐらいにしよう。
ゆっくりと、荷物を手に取れば、全員は入り口から出ていく。最寄りの空き教室に入ると、全員が動きを止め、そこで着替えを済ませる。
悲しいことに、「ん、ビナーを視認した。」というシロコの一言を聞き逃せなかった。
その場で俺は、普段着に着替えて窓からの移動を勃つことにした────自分の笑い声と胸の奥から燃え上がるような恥ずかしさは無視しながら。
[作者あとがき]
チャプター10にビナーだあああ!!!
楽しめていただけたら幸いです。このチャプターはボリュームが多くて、原作と異なる展開を書く必要があり、それにどういうわけか普段使ってるインターネットでブルーアーカイブが出来なかったので、非常に厳しいものになりました。でもインターネットに関しては一週間以内には元に戻るよ。とりあえず、楽しんでいただけると幸いです。あとチャプター名を追加するべきと思う?
編集内容:細かな文法を修正
[訳者あとがき]
次回は9月7日に投稿します