The Divide   作:粋刺@翻訳

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Chap.16-03 アビドス自治区

「くふふふふふー!」と笑うムツキは燃え上がる石油掘削施設をじっくりと見ていた。「あーほんっとに楽しかった!」

 

「上出来よ、ムツキ、ハルカ。」とアルは労いの言葉を掛け、カヨコはそんな友人達と共に砂漠の上で車を走らせていた。

 

「どうも~」

 

「ア、アル様の為なら何でもやります。」

 

「それで次はどこ?早くどっかーんと爆発させたいんだけど~」

 

「情報だと──」とカヨコは次の目標を読み上げながら運転するも、内心では不安である。先生との連絡が完全に途絶え、数分もすればカイザーが陽動を発見するはずだ。次は通信塔周辺で騒ぎを起こす必要がある。

 

彼女は先生に対して著しい不安を覚えていた。とはいえ肉体面に関しては一見すれば常人と同じではあるが、その内にはとてつもない力を秘めている。たが問題は精神面だ。

 

──覚悟はどこまで決まっている?

 


 

ポイントFに到着したカイザー第一部隊、そこではターゲットの捜索に苦戦しており、不満を漏らしながら周囲をくまなく捜索していた。ポイントMにて、第二部隊は爆発物等が入ったバッグを発見し、ラブの部隊は身を潜めたままであった。なおポイントSにいる第三部隊はターゲットを捜索し続けていた。

 

「あっ!」ポイントFにて、PMCの生徒が声を出す。「見つけた!」と彼女はバッグを開く。「本当に見つけたかも。なんか軽いけど。」

 

それを調べるオートマタ。「よし。ターゲットを発見した。」

 

そして言葉が発せられる直前、聞き覚えのある音が鳴り響く。「おい、まさか──」

 

建物は車両や大砲共々爆破され、ヘルメット団とファウストと共に盛り上がっていた。「装填が終わったら私の合図で砲撃してください!」指示を出すヒフミ、そして十分な返事が返るまで待機する。「全員、撃てーっ!」

 

不意を突かれ、カイザーPMCは砲撃の餌食となった。「ちょっと!」とニヤリと笑みを浮かべ、ラブはオートマタの注意を引き付ける。「どこにいくつもり?」

 

起爆装置が押され、仕掛けられた偽物が爆発し、建物全体が揺れ動く。ラブ達はファウストの指示に従い、何も持ち出さず、罠も仕掛けていなかった。その代わり、カイザー側が不安定になった隙に隠れていた団員がそれを奪取する。「こっちにおーいでー!」彼女はそう叫びながら、偽のそれが爆発して煙が立ち上る埋もれたホテルの奥へと進んでいった。

 

「そういえばラブさん、クルセイダーはどうやって手に入れましたか?かなり新しいですし、砲弾も充分にありますし…」砲弾が装填され、再び発射される音を背景に、ラブが聞こえやすいようにヒフミは彼女の横に並んで尋ねる。

 

「まあ簡単に言うと──」と建物内へ走っているラブ。「ずる賢い狐の恩返しかな。こういう取引なら使えると思ったの。」

 

「あー…」とヒフミは言葉を途切れさせ、最近自分の学校から盗難されたと思しきクルセイダーを見つめる。「でも、ちょっとやりすぎのような…」

 

「まあ…」ラブは自分の位置にて、頬を掻く。「どうなんだろう。でもあの狐、今回の取引に興味を持ってたし…」

 

「あの、その狐というのは誰ですか?」

 

「災厄の狐。」肩をすくめるラブ。「でも味方だから大丈夫。」

 

その言葉にヒフミの胸が沈む。それと同時に爆撃が止んだので彼女は残存部隊に目を向ける「前進してください!ポイントMまで押し返してください!」

 

団員らは歓声を上げ、一斉に動き出す。

 

回収作業が終わったポイントSでは、カイザーの部隊が撤収していたが、一人のオートマタが口を開き出す。「そういえば…他の部隊からの連絡がまだだな。」

 

話を続けようとした矢先、彼らの無線機から雑音交じりの声が響く。「こちらはアビドス廃校対策委員会です。身元の開示をお願いします。これは取り調べです。」

 

「どうしますか?」一人が尋ねる。

 

「無視だ無視。何も出来やしないさ。」

 

再び無線機から音が鳴る。別の人物だ。「こちらは風紀委員会行政官、天雨アコです。応答が無い場合、カイザー全部隊を覆面水着団との共犯者であるとみなします。」

 

「クソ!」オートマタは舌打ちして、応答する。「風紀委員会がカイザーの所で何している!これは──」

 

「この地域はカイザーの所有下ではなくなりました。」行政官が割り込む。「厳密に言えば最初から所有していません。アビドス内で作戦を実行する場合、必ずアビドス生徒会もしくは連邦生徒会の同意を得てから実行してください。また、最近発生したブラックマーケットでの銀行強盗事件にて、現金袋を持ち去っていくあなたたちの姿が監視カメラに映っていました。何故、カイザーはこのような事に関与しているのでしょうか?」

 

誰一人として反論しなかった。「従って、カイザーPMCには平和的な降伏をし、調査に協力するよう要請します。要請に従わない場合、敵対行為を行使しているとみなします。」

 

「どうします?」オートマタが尋ねると、無線機からは音が入る。今度は理事からだ。

 

「第二部隊を支援して目標を確保しろ!とにかく行け!」銃声と共に彼の指示が響き渡り、オートマタたちは第二部隊の支援に向かった。

 


 

「やはり──」とアコはカイザーの無線を聞きながら呟く。「先生の言う通りでしたね。」

 

「計画は順調ね。」とヒナはわずかに敬意を滲ませて呟く。「一見頼りなさそうだったけど、少なくとも結果の出し方は知っているようね。」

 

「ほんとぉ?」とホシノが尋ね、肩をすくめる。「どっちかというと"変なの"がしっくりくると思うけど。まあそれはそれとして、夜中まで先生と"なかよし"してたのはおじさんじゃないよ。」

 

「なか──」と声を出すヒナに、シロコは猛烈な速さで彼女に振り向く。

 

「ホシノ先輩。」とセリカは呆れてため息をつく。「もうボケは禁止。行きましょ。」

 

「は~い。」とホシノはトラックに飛び乗り、風紀委員会も動き出す。

 

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