The Divide   作:粋刺@翻訳

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[訳者まえがき]
このパートは本編とは関係ないパラレルワールドかつ、アークナイツ要素(推定)が入っていますがアークナイツ未プレイの私でも訳せたぐらい、アークナイツをやってなくても理解は出来ます。


Orange Archive: Right person, wrong time(最高の人と、最悪の出会い)

数多くの美が存在するアメリカ大陸の荒野──大地を駆け回るシカ、生い茂り植物、天を突くようにそびえ立つ木々。だがこれほどの雄大さにもかかわらず、マテオ・"サンドマン"・ヴェルネスは爆発、罠、重火器を連想せずにはいられなかった。

 

荒れた山道、初代英語教師の若きラテン人が自分で購入したジープを走らせていた。口に咥えたタバコに火を点け、横目でウォッチを見る。最年少のエージェントである彼は、ディビジョンに加入した時から華やかな仕事ばかりではないと分かっていたが、正直なところ…

 

英語学の学士号を取得して卒業してから3ヶ月、アクティベートしてから約1年、アメリカ全土で第一波のエージェントがアクティベートしてから約2年が経過していた。ディビジョンが活動を開始したとしてもなぜアメリカは存続している?最初は小規模だった。レジスタンスやテロリストといった存在し、活動を遡れば、テロ組織へ行きつく。少なくとも書面上での話だが。

 

そのことを政治家、組織の上層部、軍の高官、マテオをはじめ、ハイカーを装ったサポートエージェント等々が皆口をそろえて言っていた。だがマテオとしては、他が勝手に主張しているだけであり、自分が何か報告すれば影響が及ぼしかねないと心配していた。

 

そして一週間後、現地のエージェントはマテオを除き、皆死んだ。

 

影の戦争とも言えるものが勃発したからだった。ブラックタスクがアメリカ全土を支配した。これに対しディビジョンは対抗し、エージェントと傭兵が入り混じる戦いが繰り広げられ、上院議員が暗殺され、ある政治家に意図して権力を与えられたこともあった。だがこのことにディビジョンは関与していなかった。少なくとも公然とした形ではない。

 

マテオにとって、この状況は次第に重圧となり始めていた。とはいえ明確な問題が理由ではない。アメリカや政治家を支持していないが、家族を養う責任があった。両親は移民というだけで蔑まれていた。この先の立場も言わずもがなだった。

 

政治の裏工作に対抗するため、SHDはISACよりも高度なAIであるANNAを起動した。担当者により行動は監視されている。なおISACは単に指示を与えるだけだ。

 

その後、ダイヤモンドが起動し、様々なことが起きた。マテオはこの1ヶ月あまりで4回の任務に就いたが、いずれも市民の生活に影響を及ぼす寸前の危機的状況下だった。

 

まさしく混沌、海外勢力もこの機に乗じようとしており、これ以上隠し通すのは困難だった。少なくとも広域スペクトル抗ウイルス剤を入手したものの、それだけでは状況は一変しなかった。

 

確かに給与は高額で、おかげで両親にあまり頼ることなく大学を卒業し、家族で初めて学士号を取得した彼を見て両親が喜びの涙を流した光景は感動的なものだった。だが、それでは変わらない。何か手を打たなければ、第三次世界大戦が勃発しかねない。誰もそんな事態は望んでいない。

 

察しの通り、状況の変化に伴って規則も変化していった。武器の携帯を義務付けられていたが、使用に際しては必要な状況のみに限られた。訓練内容も増え、武器の種類も大幅に増えていった。

 

現在のマテオを例に挙げると、ジープのトランクには防弾プレート、医薬品、ケース類といった目を引かれるがそこまで珍しくはないものが積まれている。だがケースを開けると…戦闘用ドローン、追尾マイン、シールドや更なるSHDテックが入っている。

 

そして驚くべき(違法な)点として、ジープの床板に刻まれた溝にある。この溝に沿って車体全体を覆うように設置されている区画があり、その中には…弾薬とマテオの武器がある。

 

普通、アクティベートされた時のエージェントはメインアームとサイドアームの二種類だった。更にもう一丁握ることも出来たが、アクティベートされたばかりの頃、武器は登録する必要があり規則に従わなければならなかった。

 

ジープの足元には大小の装備品で置かれており、スナイパーライフル、ショットガン二丁、アサルトライフル、対物ライフル、サブマシンガンそして着用していたボディアーマーがある。そのボディアーマーは元々宇宙船用に設計された自己修復プレートが組み込まれていたものだった。そして彼が…"貰っていった"ショットガン二丁のうち一丁は戦死した海兵隊員が持っていたベネリM4だったが、返却は特に求められてはいなかった。

 

要するに事態は悪化していった。現在彼はSHDの隠し場所を補充するために、警察の目から逃れるよう真夜中の森の中を進んでいた。

 

マテオはため息をつき、車のハンドルに頭を預けた後、背もたれに寄りかかり、ヘッドライトだけが照らす暗闇を見つめる。

“労力に対しての報酬が見合ってない。最悪だ。”

 

仲間たち共に熱心に活動していた。手際のよさのおかげか、レオの卓越した電気知識のおかげか、パッチーのあらゆる環境を生き抜く能力か、アレスの…戦闘力のおかげか、それとも他の仲間たちの技術のおかげか、はたまたサーカス団みたいな小さなチームを纏める手腕をマテオが持っていたのか、どうだろうか。

 

いずれにせよ、状況は非常に厳しかった。特に恋愛面ではトラブルが絶えなかった。

 

“くそが…”

最後に失恋した時のことを思い出しながら、ハンドルに額を押しつけてため息をつく。

“クソぉ…”

 

ところがどっこい、これが現実である。

 

そうこうしているうちに、街灯の光が見えてきた。

 

街だ。さっきまで森にいたのに、見覚えのない街だった。

 

ブレーキを踏んで、道路の脇に停めてドアを開くと思わず声を上げる。いつの間にか警察と何かしらのテロリスト集団との銃撃戦に巻き込まれていたからだった。

 

荒々しい声が彼に怒鳴りつける。なぜ人に角があるのか、そしてなぜ銃がないのかと彼は疑問に思った。大都市圏にいるにもかかわらず、弓や矢はあるのに、なぜ銃だけがない?

 

女性は叫び続け、その言葉の一部は反対側──粗野な姿をした者たちがいる方向へ振り向いた時、かろうじて聞き取ることができた。

 

ジープに飛び込む瞬間、矢が頬を掠める。

“ISAC、オーバーライドだ!”

 

こんにちは、サンドマン。

ISACの声ではなく、ANNAの声が聞こえた

現在、どの衛星の通信範囲にも入っていないようです。状況を教えてください。

 

矢で窓が破られ、ANNAは状況の把握に一瞬だけ時間をかける。

 

切迫した状況下ですね。わかりました。

ウォッチが緑色に点灯した後、再びオレンジ色に戻る。スキャンテックが作動し、ゴーバッグに手を伸ばして彼はベネリM4から拡張マガジン、ACOG、レーザーポインター、コンペンセイターが装着されたカスタムP416 G3に替える。

 

マガジンを外して弾が装填されていることを確認し、マガジンを手に取り、矢やその他の障害物を避けながらゴーバッグを引き出し、大きく息を吐く。SHDネットワークが使えないが、問題ない。

 

装備の確認を終え、セーフティを解除してジープの周囲を用心深く見回す。後方から兵士たちが向かってきており、彼が振り返ると、警察と思わしき者たちはマテオが射線内に入っているせいか撃ち返せないようだった。マスクとグローブを装着する。準備は整った。

 

援護後、地元当局に連絡してください。以前のように眠らせて、砂をかけた後に。

 

敵が隠れている建物に振り返れば、誰かが呪文…魔法のようなものを行使していた。

まあ、これは普通ではありません。

 

TAC-50Cはまだ隠したままだったが、マテオとしては不要だった。海兵隊員たちと訓練したことがあり、まだまだ青かったとしても彼らとしては遅れをとらせたくなかった。

 

距離は…30…いや、恐らく50メートル程だ。窓の向こうには魔術師一人と複数の弓兵が微かに見え、歩兵の"集団"が彼の元へと押し寄せていた。

 

青髪の女性が指示を叫び続け、ドローンが飛び交っていたが、マテオにとってはどうでもよかった。

 

P416のバットストックを肩に当てて、訓練通りにACOGのレティクルを標的の重心に合わせれば、銃身を握る。

 

50メートル先──

 

トリガーが引かれ、銃声が響き渡る。訓練の成果とアタッチメントのおかげで、反動はほとんど感じなかった。一瞬、周囲が静まり返る中、標的が前のめりに倒れるのを確認すれば、次の標的に移る。

 

手には斧を持ち、牛の角がある者は凍り付いたかのように硬直していた。そして魔法のように頭に穴が開けば、倒れ伏す。

 

猫の耳も──バァン!

 

犬の耳も──彼が地獄に落ちた日には、犬は必ず天国に行くという言い伝えが本当だと分かることになるだろう。

 

ワンショットワンキル。この距離感、そして衝撃に満ちた表情を浮かべたまま動きを止める標的たち──まるで射撃場のようだった。空薬莢が音を立てれば、皆、蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。だがそれでも、顔に怒りと哀しみをむき出して突進する者もいた。

 

転がり込み、P416からベネリに持ち替え、エジェクションチャンバーにシェルを挿入し、計9発にすれば彼は前進する。敵は5人、一番近い敵は盾を装備している。素早い。恐らくマテオよりも素早く、力も強い。被弾は許さない。

 

長身の男が斧を振り上げ、マテオの頭部めがけて振り下ろされるが、マテオは身を屈めて盾の方向へ避け、男は盾で殴打しようとする。

 

男の脚にベネリの銃口が向けられ、マテオは発砲。空のシェルが排莢され、男は恐怖のあまり壊された膝をつき、倒れ込む。だがその恐怖は、バットストックで顔の上から叩きつけられ、続く散弾で爆ぜたことで完全に消え去った。

 

突進する他の敵たちも怖気づいて硬直する。M1911を向けられ、傾けられたそれのスライドが止まるまで上半身には銃弾が浴びせられる。.45ACP弾は全て命中し、敵は倒れるが、死んではいなかった。

 

恐らくは。

 

そうして、アンナが重要な情報を報告する。

施設内から泣き声が聞こえます。

 

救助だ。突入し、人質を確保すればこんなところから出る。簡単だ。

 

倒れた敵には目もくれず、ベネリをリロードして建物のドアに耳を押し当てる。相手の言葉が理解できないと気づくと、銃口をドアノブに向け、発砲。蹴って中を確認すれば、敵が2人いた。

 

敵は動きかけるも、ベネリの威力を思い出したのか止まる。この隙に胸部へそれぞれ一発ずつ撃ち込み彼は部屋を進む。恐らく上階にいる。

 

階段を登る。敵2人、弾2発。敵は倒れ、部屋をしていくが上階はない。人質救助に時間を掛け過ぎるわけにはいかない。ここは一階ではない、二階だ。

 

予想通り、少女の泣き声が聞こえ、M1911を手にしながらその部屋へ向かう。

 

体をかがめながらドアに手を当て、軽く押してみると鍵はかかっていない。捻って少し開け、スモークグレネードを持つ。

“スモークグレネードを投げるぞ!”

 

音を立てて転がるグレネードに中にいる者たちは困惑し、スキャナーPulseを放つ。しかし何も反応しない。

 

噴射される音ともに煙が充満され、ドアを開けて低い位置にいる敵を狙う。脚に一発撃てば無力化され、彼は人質の少女を発見する。

“もう大丈夫だ。”

優しく声をかける。

“すぐにお家に帰れる。”

 

数分後、少女を連れて外に出ると、大勢の人々が彼に警戒しながら、鋭い視線を投げていた。一人が彼の腕から少女を引き剝がした瞬間、マテオは安堵の息をつく。ただ礼儀正しく、親切に接すればいい。

 

そして一歩踏み出すと、一斉にありとあらゆる武器を彼につきつけた。

 

脱獄したことがあるといいのですが。

そのANNAの一言に、マテオは眉をひそめる。




[作者あとがき]
忘れる前にお伝えしておきますが、Orange Archiveはこれ以上制作しないつもりです。*1これは単なる私のアイデアであり、他の方がどのような目的であれ自由に使っても構いません。特に気にはしませんが……少なくとも、事前に許可は取ってください。アークナイツとのクロスオーバーですが、私自身は今のところこれを積極的に展開するつもりはありません。

まず初めに、このファンフィクションは正式に1周年を迎えました(数日前に公開する予定でしたが、うっかり忘れていました)。今年一年を通して付き合ってくださってありがとうございます。The Divideの執筆はとても楽しく、この作品を楽しんで読んでいただけていれば幸いです。
次に、現在進行中の小さなプロジェクトについても伝えたいですが、その前に質問があります……静かな生活と、華々しい活躍、どちらがいいですか?

そう、Redditで投稿をしていることをご存知の方なら分かりますが、私は他のサブRedditでも活動しており、特にドールズフロントラインとアークナイツのコミュニティでは、サイバーパンクRED*2とのクロスオーバー作品の構想を小出しに投稿しています。FF(FanFiction.net)のユーザーの方には、後日どちらを先に公開するかを決めるための投票をアカウント上で実施する予定です。AO3(Archive of Our Own)のユーザーの方については、何らかの方法で対応したいと思います。サイバーパンクREDのサブRedditで投票を実施し、その結果をリンクでお知らせする形になるかもしれません。

さて、重要なお知らせは以上です。ここからはもう少し個人的な話になりますが、ワカモのシーンについて触れたいと思います。簡単には言えませんが、このシーンを書くことができたことを誇りに思っています。これキャラクターの個性を一番上手に表現できた自作の一つだと感じています。タイトルと結末については直前になって追加したものですが、見事に作品を締めくくっていると思います。

とはいえまだ完結ではありません。この後、V1C1を締めくくるためのもう1つのエピソードがあり、その後は日常系のエピソードやいくつかのイベントが続きそうです。おそらくイベントは二つで、そのうちの1つは、戦争ゲームという枠組みでは表現しきれない規制やルールの限界について、より深く掘り下げたものになる予定です。ベトナムやアフガンで起きるような、暗い内容になりそうです。

この章を楽しんでいただければ幸いです。

[訳者あとがき]
次回は30日に投稿します。

*1
実際は続いている。現時点ではアークナイツ要素があるのはこのパートのみ。

*2
サイバーパンク2077及びエッジランナーズと同じ世界観であるTRPG

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