メリークリスマス!偶然にも、今日はこれとNeon Knights(サイバーパンクとアークナイツのクロスオーバー小説)とEl Tigre Del Norte(ドールズフロントラインとサイバーパンクのクロスオーバー小説)の3作品を更新しました。興味のある方はぜひ読んでみてください。楽しんでいただければ幸いです。
[訳者まえがき]
イーグルベアラーやレグルスのような滅茶苦茶手に入れにくいエギゾをくれてありがとうクランプス。
本来は原文の修正版を投稿したかったのでしたが諸用につき出来ませんでしたので後で修正します
Chap.17-01 アビドス高校
アビドス分校の食堂に入れば、張り詰めた静寂が漂っていた。全員が発表を待つ中、シャーレチームが俺に続いて着席し、俺はテーブルの上に飛び乗る。
“本日お越し頂いた淑女諸君、そして自治区の警備等でお越し頂けない淑女諸君。今日、当自治区内での、PMC等を含むカイザーの活動は一切確認されなかった。”
対策委員会は全員姿勢を正し、笑顔を見せる。
“本日を以て、アビドスは正式にカイザーPMCから解放された!作戦は成功に終わった!”
その瞬間、大きな歓声が上がり、一部の風紀委員は対策委員会へ向かってうなずく。
“だが問題はまだ終わっていない。風紀委員会にとっても、対策委員会にとっても、そして出席している様々な部にとっても、未来は厳しく、苦労が絶えないだろう。成功まであと一歩のところで、坂道を転がる石のように最初に戻されてしまうかもしれない。でもその時は、今いる場所を見つめ、「自分はいるんだ」と誇りに思ってほしい。”
誇りに満ちた笑顔を抑えきれなかった。風紀委員会は言葉を噛みしめ、照れくさそうにする子供たちもいた。
“理想の場所ではないかもしれない。でも一歩踏み出す意思があれば、いつでも戻って、そして道を見つけ出すことが出来る。だが今日は?任務成功を記念してのお祝いだ!”
その直後、キッチンのブラインドが開けられ、生徒は皆、大将の方へ向く。以前よりも生き生きとした表情で、自信に満ちた姿だった。「ラーメンおまちどうさま!たんと食べな!」
「頂きます。」真っ先にハルナが口を開き、注文する。「大将のラーメン、絶品であると先生からお聞きしました。」
「絶品かどうかは保証出来ないが、どうぞ!」と大将はラーメンを渡して、ハルナは席に座る。香りだけでも思わずハルナは唇を舐め、大将を除き、全員神妙な面持ちで見回る。
本当に、これほどの自信には感服せざるを得ない。
そうして、ハルナが麵を啜れば俺も啜る。思わず唸ったハルナ俺は片眉を上げて止めさせる。「失礼。」と一言伝える。「先生のおっしゃる通りでした。」
その瞬間、流れが一変し、風紀委員たちは我先にとラーメンを取ろうとしたが、対策委員会と便利屋68は既に取っていた。「さっきの何だったの?」とホシノは困惑していた。
「ハルナは美食研究会の部長で──」とカヨコは座りながら説明する。「良いお店には高評価の口コミを残す部活をしているの。」
「それだけ?」困惑するセリカ。「ならなんであんなに緊張してたの?」
「でもでもー」軽く笑いながらムツキが口を開く。「お店が爆破されるよりも酷いレビューなんてないじゃん?」
「へえっ!?」
“よくやった。ハルカ、ムツキ。”
いつものように蛇口の例えで理由を説明するハルナにセリカが銃を向ける中、俺は二人を労う。
“主要拠点からも煙が見えた。良い爆破っぷりだったに違いないな。”
「わっ!?」とハルカは叫び、俺の手に頭を預けてからリラックスする。「え、えへへ…ありがとうございます。」
ムツキも微笑んでいた。「爆破したものがあったらいつでも呼んでね。喜んでやるから。」とウィンクして、俺はため息を吐く。
アルとカヨコにも向く。
“君たちも、よくやった。”
「ありがとう。」とカヨコも微かに微笑んでいた。「先生と一緒に行動できて…良かった。」
「当然よ、高くつくだけのことはあるから。」アルは誇らしげに胸を張っていた。
「そう言ってるけどね、アルちゃんったら先生と連絡できなくなった時は一番パニクってたんだよ。」とムツキが言えば、アルの顔が柔らかくなる。
「ムツキ!」
“そうか?”
少し面白おかしく聞いて、アルに向く。
“ありがたいが、見ての通り──”
そう言って自分を指さす。
“俺は平気だ。”
「ほんと超優良クライアントを失わなくて良かったー。理事とは大違いだったから…」どこか苦い顔を浮かべるムツキ。
「そうね。」とカヨコは顔をしかめる。「でも正直に言うと、理事と比べたら誰だって良くはなる。」
「そ、そこまで悪くはなかったと思うけど…」とアルは言うが、そこまで良かったとは言えない様子だった。
「先生、あの人のせいで人が沢山出ていくことになったのですか?」ハルカが真剣な表情で尋ね、不思議に思った俺は片眉を上げて見返す。
“まあ、聞いた話だと頻繫に賃上げをしていたからな、多分そうだ。”
そしてハルカは一瞬言葉を詰まらせた後、心の底から安堵に満ちた笑顔を浮かべる。
「はい。」と言ったところで再びラーメンを食べ始め、俺もゆっくりとアルとカヨコの方を向くが、どうやら二人共、納得がいってないようで、聞いた時の俺と同じように困惑していた。
「先生。」とユウカが勢いよく近づく。「一つお聞きしたいことがあります。どうして囮役になると教えてくれなかったんですか?」
“ユウカが反対するから。”
席に戻りながらそう言って、ラーメンを食べ始めるとユウカの不満を誘った。
“他の方法だと逆効果になるから。”
それに必要以上に失礼な態度を取って、相手の反応を誘っていたのもあった。とはいえ、伝言役を撃った俺にも非がある。
「でも──」と更にユウカは言おうとするも、ホシノが割り込む。
「はーい、頑固なおじさんはもう放っておきなよ。こっちも君を同伴させるように説得したけど本当に苦労したんだよー」
「ん。」とシロコが言う。色々と漁って満足しているようだが、疲れは目に見えていた。「頑固。」
「人のこと言えないでしょシロコ先輩。」セリカが鋭く言い返し、俺の方を向く「でも、確かに先生は頑固だったわね。」
「うんうん♧自分が行かないとダメってずっと言ってました。」とノノミも加わる。
「どうしてですか?」かなり不機嫌な様子で、チナツが尋ねる。
“まあ──”
顔を上げて肩をすくめる。
“最初は必要最低限のことをするつもりでそのまま現場に向かって目的と理由を説明した。そうしたら大勢の警備員を連れてきたから本当に驚いた。”
「必要最低限という割には…」とアヤネが指摘し始める。「理事の机や窓は破壊されていて、それに先生が中傷している映像も残っていますが。」
「先生…」と呟くチナツ。
「先生~」声を強くするユウカだったが俺はそっぽを向いてソーダを一口飲む。
“…俺が言うことを真似しろ。俺がやることは真似するな。”
「しっかし、自ら囮になるなんて…」と、便利屋を見続けたままイオリが口を開く。「バカ丸出しじゃないか。」
“狭い廊下で格闘戦に経験がある男に突っ込むバカのように?”
そう言えば、イオリはむせ返る。
「ちょ…!まっ!あっ!!」と苦しそうな声を上げ、睨みつけてくるが俺は視線をそらす。
「やられましたよね。」チナツが追い打ちをかける。
「チナツ!」
“イオリ。”
彼女の方に向く。
“文字通り俺は君の2倍背が高くて体重も3倍重い。一体どう考えたらそんな俺に勝てると踏んだんだ?”
「不意打ちできたからそう言えるだけじゃないか!」と言い返せば、俺は冷たい視線を向ける。「ほら!」
そんな視線を向けた後、両手を上げる。
“確かにしてないとは言ってないな。”
「ふんっ!」と鼻を鳴らすとイオリの顔は赤くなっていた。
「あらどうしたの?」とアルが非常に満足げな笑みを浮かべる「相変わらず風紀委員会はつまらないのかしら?」
「お前が捕まってないのはここがゲヘナじゃないからだ!」両手で机を叩いてアルを睨むイオリ、アルはその片目から放たれる怒りに汗を流していた。「アビドスから一歩でも出てみろ。一歩も動かずに撃ち抜いてやるからな!覚悟しろ!」
「でもあなたの銃はスコープがないから狙撃なんてできないじゃない。」とアルの指摘にイオリは息を荒げる。
「そんなものはいらん。」
二人が口論する中、カヨコが不思議そうに俺に視線を送ってくる。恐らくなぜ風紀委員会が俺の後をついてきたのかを疑問に思っているのだろう。俺は視線を返し、面白おかしく息を少し吐いた後に視線を逸らす。
「先生、スーツはどうだった?」とヒビキが近寄り、袖を少しだけ引っ張ったので俺はジャケットを脱ぐ。「うーん…まだ大丈夫そうだけど…」
ヒビキが腕周りを優しく引っ張れば少し破れ、残念そうな様子になっていた。「まだ材質が不安定みたい。」
「それって銃弾を防げなかったってことぉ!?」というセリカの叫び声が他の対策委員の気を一気に引きつけた。
“防げなかったとしても──”
そう口を挟み、ボディアーマーを脱いで優しく息を吐く。
“これがあるから大丈夫だ。”
「うん。」とヒビキはうなずき、顔をしかめながらジャケットを観察する。「裁縫は問題なさそうだから、これは素材が原因。過酷な環境下での運用は想定外だから新素材開発部に伝えないと…でも…」ヒビキは段々と縮こまりながら、俺を睨み続けているユウカを一瞬だけ視界に収める。
「もしかして、先生に試作品を渡したの?」と、その会計の鋭い視線を受けたヒビキは身をすくめていた。「最低でもテストの一回や二回はしたよね?」
“そこは問題ないぞユウカ。数日前になって俺が無理を言った。”
そう割り込めば、ユウカは俺に向いて指を差す。
「それに先生もですよ!予算と安全管理はもっとしっかりしてください!」と言い、俺は落ち着かせようとする。
“でも大丈夫だ。ほら──”
そう言って一歩下がる。
“かすり傷一つついてない。”
ガスマスクが本当に頼もしかった。防弾ガラスもだ。防弾が、素材が、しっかりと役目を果たしてくれた。
そう言えば…
“ちょっと着替える。”
ボタンアップシャツを脱ぎ、タンクトップ姿で伸びをして窮屈な服からの開放感を感じた後、深く息を吐く。すると、裸を晒しているかのような感覚に襲われる。周囲を見れば、困惑が身体中を駆け巡る。なぜチナツ、ヒビキ、ユウカが恥ずかしがっているのか、スズミの顔が少し赤くなって頭の翼が羽ばたいているのか、同じく顔が赤いイオリが目を見開いて俺を指差しているのか、そしてハルナはどういう訳か目を細めて唇を舐めていた。それは気にしないことにして、顔をしかめてゴーバッグの中を探る。
“どこだ…”
そう呟き、時々他の生徒にも目を向ける。
対策委員会も同じような様子だった。シロコは視線を隠す素振りすら見せず、ノノミは顔をほんのりと赤くして視線を逸らし、手で顔を覆ってちらちらと見ていた。セリカはイオリのようにトマトのように顔が真っ赤になり、アヤネの目は見えなかったものの、耳の先まで赤くなっていた。ホシノは俺の傷に目を細めていた。
便利屋もまた俺を見つめていた。カヨコはどちらかというと医学的に見ていて、俺の傷に目を細め、見覚えのある表情を浮かべれば困惑もしていた。カジカの"贈り物"を見た時は、大きく目を見開いていた。一方ハルカは気を失っているようで、アルの顔は一番赤くなっていた。まさしくトマトのようだったが、畏敬と興味も顔に現れていた。
「お~」ムツキが最初に喋り出し、いたずら心溢れる笑みを浮かべ、興味津々で身体を前にする。「先生の腕ふっと~い!」
“これでムツキのようなやんちゃな生徒を反省させ──あった。”
探しているものが見つかった。
グレーのパーカーを取り出し、すぐに普段使いのボディアーマーと装備をセットし直す。
パーカーをボディアーマーの上に羽織り、グローブ、ホルスターといった装備を整えて、一息つく。
“これでよし。”
そう呟き、再びラーメンを食べ始める。麺を啜る音が、周囲の物思いを止めさせていたようだった。
「せ、せんせいっ!」とアヤネの裏返った声が響く。「ここで着替え始めないでください!」
「そ、そうですよ!」ユウカも口を尖らせる。「マナー違反です!!」
俺に対してのその注意は意味がないとユウカが気づけば、一瞬だけ間が空いた。そして皆がどうして恥ずかしがっているのかがようやく分かった。
当然だが、目の前で着替え始める先生の姿なんて見たくはない。傷跡も言わずもがな…だが特に酷いのは見えていないから大丈夫。それにタンクトップも着ていた。
“流石にタンクトップは着ていた。”
肩をすくめる。
“完全に素っ裸になっていたわけじゃないぞ。”
ただただ俺に反論し、こちらも専門知識や経験で言い返していく。
これのどこが問題だ?確かに不適切ではあったが、ここまで大きく反応するほどのことだったのか?
次第に落ち着いていき、音楽が流れ始めるが、俺は静かな屋上へ向かう。