東方創想話って言うサイトに友達がアップしたやつを許可ちゃんと取ったんでここでも上げます。

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二枚舌

 

 

 

私は、周りから『全てに優しい』そう言われていた。

人にも、動物にも、植物にも、道具にも、ましてや罪を犯してしまった人にも。

いつも「大丈夫?」から始まる私の言葉には、何か心が穏やかになるものが感じられていたようだ。そのおかげかは分からないが、いろんな人や動物にも好かれるようになっていた。

まだ十にも満たない少女が、この性格ゆえの落ち着きから、いろんな大人に「何才だい?」「まだ小さいのに、えらいねぇ」なんて言われることも、少なくはなかった。そのたびに私は「お父さんやお母さんほどではないですよ」と返していた。そんな私に、いつも両親はほめてくれて、「人に優しくすれば、それだけの幸せが巡ってくる」といつも言っていた。お父さんとお母さんも、とてもやさしかった。困っている人がいれば必ず助け、里のためになるようなことも一生懸命やっていた。そんな両親にあこがれて、目指したのだ。

そんなある日、里の入り口の近くで男の子たちが小さな獣の妖怪をいじめていた。それを見た私はその妖怪と男の子の間に入り込み、「いじめないであげて」そういった。

すると男の子たちはさすがに女の子に手を出すのはまずいと思ったのか、嫌みをたっぷり私にぶつけてから去っていった。その妖怪は私にお辞儀をした後、すぐに森に帰っていった。

その後、男の子たちがしゃべったのか、里の大人たちにお叱り…とまではいかないが、「妖怪をかばうんじゃない」と注意をくらってしまった。でも、両親は「弱き者を守ることは素晴らしいことだ」と受け入れてくれた。弱いものを守りたい、私はそう思った。

そんなちょっぴりの負なこともある日々が、過ごす時間が、何気ない日常が、私にとってはとても幸せであった。

ずっと続いてほしい。いつまでも、いつまでも。

みんなに笑顔になってほしい。そのためなら、自己犠牲の道をも選ぶ。そんな子供らしくない夢を、抱いていた。

 

それは、突然の事だった。

 

近所の面倒見のいいお姉さんと、いつものように話していた最中に、いつもとは違う髪留めをしていることに気づいた私は

『その髪留め、きれいですね』

と言った。それなのに、なぜかお姉さんは一瞬びくっと立ち止まり、いつもより大きく見開いた目で私を見ていた。「どうしたの」と聞くと「何でもないわ」と返された。お姉さんと別れた後も、いろんな人と話した。

『おいしそうなお野菜ですね』

『可愛いですね』

『きれいな着物ですね』

そういうたびに、お姉さんと同じように一瞬驚き、いつものように話し出す。だが、その話し方には何か焦っているようにも感じた。家に帰ってからも、私がしゃべるとたまに両親が目を見開いたり、私に心配の言葉をかけてくる。そのたびに私は「何が?」と聞く。そのたびに二人は頭に疑問符を浮かべていた。

日が立つにつれて、里の人たちの反応が多くなっていった。

いつしか、私は里の人から避けられるようになった。なぜかは分からなかった。顔を合わせると、気まずそうに視線を逸らす人、舌打ちやため息をつく人もいた。仲が良かったお姉さんでさえ、離れていった。それが悲しかった。なぜかもわからず、自問自答を繰り返していてもただ時間が過ぎるだけだった。

悲しい顔をしたまま家に帰ると、お母さんが「ごめんね」と言いながら抱き着いてくる。その後ろでお父さんは難しい顔をしていた。

『大丈夫だよ』そう言っても、二人の表情は険しくなるばかりだった。それから、私は作り笑いで二人と話していたが、それを無茶していると思われているのか、作り笑いだとわかっているのか、あまりごめんね、とは言わなくなったが、どこか悲しい表情をしていた。

少し立った日の夜、なぜか目が覚めてしまったので水でも飲もうかと思い台所へ向かおうとすると、隣の部屋から話し声が聞こえてきたので、少し開いていた襖から中の様子をのぞいた。そこにいたのは、両親と目の前に座っている里の長と数人の男の人だった。何か話しているようで、気になってその部屋の中に入ってみた。するとそこにいた人たちは驚いたが、すぐに里長が私の目の前に来て「大切な話がある」と言ってきた。両親のほうを見ると、なぜか壁の方を向き、震えていた。『分かった』そう言ってお母さんの隣へと座る。みんながそれぞれの場所にすわりなおし、里長が

「私たちから話すか、自分たちで言うか」とお父さんに聞くと、少しの間沈黙が流れ、お父さんが私の方へ向いた。そして重々しく口を開く。

「実はな、お前は『二枚舌』だったんだ」

そんなことを言われても分かるはずもなく、首をかしげる私にお母さんは優しく説明してくれる。

「…二枚舌はね、本来言いたいことと真逆のことを言ってしまうこと。もしくは矛盾したことを言う事。それに、自分自身は気づかないのよ」

その言葉を聞いて、私はハッとした。気づいてしまった。なぜ今まで私が喋るたびにみんなが驚いた表情をしたのか。慌てて口を手で押さえ、里長の方を見る。しかし、何の反応も返さず、再び沈黙が流れる。それが気まずくなったのか、里長の後ろにいた男のうち一人が説明をつづける。

「…それだけなら何とか誤魔化せたんだが、一つ大きな問題があったんだ。それが、二枚舌は本来妖怪が持つ特徴であることだ。その妖怪の名は『天邪鬼』。人の不幸を喜ぶ…言い方を悪くすれば『ひねくれもの』」

そこまで聞いて、重い衝撃を受けた私はどうすることもできなかった。私が人を不幸にしている、そんな苦しい事実だけが頭に広がる。お父さんやお母さんが「大丈夫だよ」「気づいていなかったから、仕方がないよ」と励ましてくれる。でも、今の私はそれに答えることもできない。たとえ無自覚であろうと、人に傷つけた。人に優しくすると決めた私が…。そこまで考えこんだとき、里長が口を開いた。

「…本当ならば、里に危害を与える危険因子として追放又はピーーを執行すところだが…お前は、まだ子供だ。独り立ちができる年齢になるまで、この家で閉じこもれ。外に出るな。それができるなら、生かしておいてやろう」

私はバッと立ち上がり、本当の意味が伝わらないこの『二枚舌』を使って、精一杯叫んだ。

『そんな同情、いらないっ!もし私がここにいてみんな傷付くなら、こんな所から出てい!!』

私は走り出した。お父さんとお母さんが私を止めようと声をかけたり追いかけてきたりしたが、すべて振り切るように、今受けた衝撃を、人を傷つけていたという自分に対しての悲しみ、後悔の念を全て振り落とすように、目一杯走った。…何故か視界が歪んでいた。

 

 

気づけば私は、日の光が差し込むどこかの森の中にいた。

夜通し走っていたのか、すぐに倒れたのか、何もわからない。ただわかるのは、自分は倒れこんでいて、とんでもなく疲れていることと、おなかがとても空いていることだけだ。文字通り指一本動かず、次第に目の前がかすんできた。何も考えられなくボーっとしていると、いつの間にかあたりは暗くなっていった。なぜか獣や妖怪に一切遭遇しなかった。普段ならそんなことに違和感やらを覚えるのだが、そんなことも考える余裕もなかった。死にたくないという気持ちより、人って呆気ないな、という感心が勝っていた。いつしか寒気さえも感じられるようになった。自分にわずかに残る体力を振り絞って、神様、仏様に伝えるように、願うように…『最期の言葉』を言い放つ。

「か…み、様…ほと…け…様…もし…つ、ぎの…生が…ある…なら……こん…な…私、でも…う…け…いれ…られる…ば…しょ…で……ゎ…た…しは…ま……た……」

 

弱いものを守りたい。

 

そういい終わる前に、視界が真っ暗になった。そして…

『…』

目が覚めると

『…え?』

『天邪鬼』として、そこに存在していた。

 

 

 

「……はっ!!」

 

乱暴に薄い掛布団を蹴り飛ばし、起き上がる。

季節は冬なのに、なぜか寝汗をたくさんかいている。

 

「…またか…」

 

もうこの『夢』を見るのも、何度目だろうか。だが『夢』というには鮮明すぎる。本来、夢というのは時間がたつと忘れるものだが、この『夢』はずっと頭の隅にこびりつき、忘れようにも忘れられない。まさに、『存在しない記憶』を何度も見させられているような…

不思議と気持ち悪い気分はしなかった。それどころか、懐かしいような、そんな気もする。

 

「…気味が悪い…」

 

あまり思っていないことを言う。こう言ってかなければ、天邪鬼の名が廃る。

 

「正邪ー!」

「はい、何でしょうか?姫」

「上の戸棚にある大福を取ってぇー!」

「嫌です」

 

こうすることで、自分で解決しようとする力を手に入れてもらう。ただ、口には出さない。

 

「えぇー…正邪って、性格悪いねー」

「ありがたい誉め言葉です」

「ふぅん…まぁそれは置いといて、私たちがひっくり返すまで、もう少しだね!」

「…そうですね」

 

姫…もとい『針妙丸』は小さな体とは裏腹に、大きな希望と夢を心に秘めている。そんな姫に、手を貸すことにした。

涼しい服に着替え、冷たい飲み物をコップに入れ、ぐびっと腹に入れる。この喉を通る冷たさがお腹に効く…う゛っ…

 

「ねぇ、正邪」

「何でしょう」

「頑張ろうねっ!」

「…えぇ、そうですね」

 

 

異変開始まで

 

残り三日




友達に少し加えていい?って聞いたらいいよって言ってくれました。

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