更織配下なのはまだ四十院神楽がモブだったから。
ボツプロットを手直ししました。
週刊誌連載前読切と思いお楽しみください。
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続き的サムシング
「やれやれ。真耶もこんな時に風邪を引かなくても良かろうに。そしてIS学園の教員も全員一夏君の対応に追われて、女権団連中もそんな感じで。結局我輩が乗ることに成るのかよ」
我輩は整備課である。本来クッソ忙しいのだが新学期でアリーナが清掃作業中で訓練機のアップグレードもすんでるので一時的に暇なのだ。暇なはずだった。休暇のはずだった。
なんの因果なのかその貴重な休日にIS学園の実技試験の試験官やらにゃならんのだ。仕事の内ですかそうですか。
取り敢えずがっちがちにチューニングした訓練機で相手しちゃる。ISが乗り手の思うままに動くよう設定するのが本業の我輩にかかればたとえ専用機が使えずとも量産機で打倒する事が可能なのだ。
千冬さんのわがままのために徹夜した日々が蘇る。
束と一緒に楽しく油まみれで、おっと、これは封印すると決めた記憶だった。
たたっと素早くチューンの済んだ訓練機に飛び乗る。
「という訳でラファール・リヴァイブ、山田神鉄、参る。ハッチを開けてくれ」
ISに同期しながら叫んだこともあって感覚の拡張具合を楽しめた。なんだろう、耳元で自分に囁かれた感じ。そんな感じが好きで我輩はこういうふうに自機を調整する。
楽しかったなあ、束と初めてこれを発見した日は。騒いだっけ。
束、君も楽しんでいるか、ISを。
てなわけで、ハッチの開閉音は我輩には届かなかった。
「神鉄先生、不具合ですか?もうハッチ空いてますよ」
「すみません榊原先生。少し物思いに」
苦笑を返す。榊原先生は優しく答えてくれた。
「真耶先生、珍しく高熱を出されて、心配でしょう」
「更織簪が診てくれています。心配はありませんよ」
いかんいかん、敵対した幼馴染など忘れろ、今は仕事中だ。
無音でヒタヒタとアリーナ内に入りふわりと宙に浮く。
因みに一番最初の相手は、
「やあやあてっちゃん先生こんにちは。布仏本音ですよろしくお願いします」
「はいはい本音ちゃんよろしくね」
上司筋だったりする。
挨拶と同時に打鉄に乗った本音ちゃんが両手でショートバレルの焔火を構える。こっちも銃剣つきの連装ショットガンレイン・オブ・サタディを構える。
試合開始のブザーが鳴る。
軽く本音ちゃんの顔目掛けてぶっ放す。
本音ちゃんが回避を優先し円形軌道を描くのを見て更に射撃を放つ。
滑らかな動きで円を描く本音ちゃんを見て私人として安堵する。シューターフロー、円軌道を描く基礎的な回避機動、問題なくフルマニュアルで出来ているようだ。
弾切れになったレイン・オブ・サタディを投げつけてそれを本音ちゃんが焔火で迎撃した矢先に、
「イグニッション・ブースト!」
エネルギーバカ食い緊急加速で一気に本音ちゃんに近づき、
「がっ」
そのまま脇腹に膝蹴りを入れて吹っ飛ばし壁に叩きつける。
「ゲームセット」
其処にアサルトライフル、ガルムを固め打ちしてゲームセット。
「むー、てっちゃん先生容赦ない」
ぶーっと無遠慮になる試験終了のブザーを背景にむくれる本音ちゃんに手を貸す。
「時間が押してるのでね。まあでも合格点だと思うよ」
流石暗部の子である。普通の子なら頭部を撃たれると固まるのだがそれもない。
エネルギーの補充はユニットを交換してすぐに済む。軽く真耶手製のお茶を飲み喉を潤す。
ピットに入っていく本音ちゃんを見送りながら次の対戦相手に思いを馳せる。確かオルコット財閥の社長だっけか。
資料で見たことはあるのよ。実際にご尊顔やら実機のIS見たことないけど。
「あら、誰かと思えば唯一のISに乗れる男では有りませんか。代表候補生どまりの泣き虫真耶かと思いきや。軽く捻って差し上げます」
静かに自分でも額に青筋が立つのを感じる。
「やれるもんならやってみな」
まあ思いを馳せる暇なんて時間的に無いんだけどね。時間押してるし。それに基本専用機持ちはよっぽど問題が無い限り合格だし。
先代のイギリス国家代表の誘導兵器捌きは見事だった。期待したい気持ちもあるね。
まあその鼻っ面は叩きおるが。
さてそれでは気を取り直して、
「それでは試験を始めます。専用機持ち故いい結果を期待してます」
「当然ですわ、せいぜいワルツを舞い踊りなさい」
開始のブザーを背景にいきなり我輩はイグニッションブーストを決める。
「日本の整備士にしては上等ですわ、しかし、見え見えでしてよ」
そりゃそうさ。IS学園に入ったばかりの素人がやる間違い一番目、授業で習ったイグニッション・ブーストをパナして集中砲火でthe end。
なんせ直線軌道だからね、当ててんのよはやり放題だ。
正確に眉間に合わせた狙撃銃、スターライトmark IIIだったかの銃口。
こちらは訓練機。専用機ほどの反応速度は望めない。
並の教員なら詰み。このまま滅多撃ちをくらい負けるだろう。
しかし、それを覆してこその
ガギリ、と奥歯を食いしばる。
我輩の五感に合わせカリカリにチューンされたセンサー類が狙撃銃の発射の一コンマ前を教える。
そのまま、叫ぶ。
「ダブル・イグニッション・ブースト!」
イグニッション・ブーストにさらにイグニッション・ブーストを重ねる技巧だが、それ専用に設計されてない訓練機仕様の打鉄でやるのは丁半博打。
まあ、ちょっとそうでもしないと勝てないからね。
ダメージがないギリギリの頭頂部の上を火線が掠める。
精度の高いパーツを使い毎日精魂込めて整備した機体とはいえ、あらゆる一般教員向けのリミッターを外したスラスターが断末魔の叫びを上げる。
耐えろよ。
その願いが叶ったのか、
千冬さんの専用機の半分くらいの勢いのまま肩部シールドを叩きつけた我輩のリヴァイヴの右スラスターが緊急停止したのと、
「インターセプタッ」
近接ナイフのコールも間に合わず狙撃銃も取り落として、重火器にも傷一つつかないアリーナの壁に深々とセシリア嬢がめり込むのは、
専用機持ちか我輩のようにリミッターを全て外した訓練機に乗った人間以外には同時だっただろう。
らんらんと闘志に沸いた目のセシリア嬢の顔が憤怒に染まるのが分かる。
その闘志に自分は老いたなと苦笑してしまった事を心の中で詫びる。
そう怒るなよ、こっちもメインスラスターが一基やられた。おかげで追撃できず棒立ちさ。
決して貴女を侮ったわけじゃない。
戦意を失わないセシリア嬢の視線が破損した右スラスターを除いた機動プログラムを組み直した我輩を貫く。
そのキッとした視線を受け止めて此方も真っ向からにらみ返す。
舐めるなよ日本男児を。
真耶をバカにされたんで気が立ってるんだ。
精々ここから逆転して貰おうじゃないか。
「お行きなさい、ティアーズ」
来たよ。イギリスの第三世代兵装、思考制御による無線攻撃端末。しかも六機。
なかなかどうしてビットの制御そのものは入学前にしては悪くない。
「メインスラスターから煙を吹いています。降伏なさい」
「まあ待ちたまえレディ、まだ試験中だよ」
「なんと生意気な」
わなわなとセシリア嬢が震える。
「その口、四方から射抜いて差し上げますわ」
若いねえ、ビットに感情が乗ってら。とはいえ判断は冷静、一般教員なら落とせるよ。
「はっ、っふ」
駄菓子かし、
レイン・オブ・サタディをコール。容赦なく撃ちぬいて行く。
まだ何度も手合わせしてもらった先代に比較すれば制御が甘い。
それに千冬さんの相手を努めていればこの程度は回避できねば問題にならない。あの人は間合いを盗むからな。
「一つ、二つ」
「くっ、ならば」
おっとその手は食わんぜ。
「ミサイルティアーズは見たことあるんだよ、先代の足元にも及ばん機動だ!」
レインオブサタディの引き金を引いたままポンプアクションを連続で行う、ラピッドファイアを行い纏めて叩き落す。できるように改造済みなんだ。
ポン菓子のように飛び出す薬莢が無くなったショットガンをくるりと回す。
「さあ来なさい。弾切れだぜ、あとビットの制御中本人が棒立ちってのは減点だな」
武装がインターセプター一本になったセシリアを見下ろし手招きする。
「なんの、ダガーを扱えずして、何が英国貴族ですか!」
「はっ」
華奢な見た目に反して意外とちゃんとした機動で突っ込んでくるセシリア嬢のISの斬撃は及第点だった。
んー悪くねえ、悪くねえけどこれだと近接ブレードを抜くほどではないな。訓練が時間的に間に合わなかったのかもしれん。社長業忙しかろうし。
後やっぱりブルー・ティアーズはスラスターが近接戦に対応しきれてないな。動きが打鉄より鈍い。基本設計が高機動戦前提だからやむを得ないが。
何度目かの交錯ののち思いっきりセシリア嬢の胸に銃剣叩き込んで終わり。
「くっ」
スラスターに回すエネルギーが無くなったセシリア嬢に試験終了のブザーがなる。
「おっ」
思わず感嘆が口から漏れる。
心臓にぶち込んだからスラスターも止まるはずなのにふわっと着地した。将来性はあるな。
「合格だ、これに懲りたら人の恋人を侮辱するのは止すんだな」
「もしかして貴方は」
しーっと指を口の前に持っていく。
「それと実技は花丸だ。筆記も頑張るように」
「はい、ありがとうございます」
まあ、実技試験はまだ続くんだけどね。はよ帰りたい。
「あの!」
なんだいと返す。
「先ほどの無礼な発言を謝罪しますわ。すみませんでした」
「ああいいさ。
まあ次はないが」
ヒイ、と悲鳴を上げた後失礼しますと去っていくセシリア嬢を見送る。
いい出会いがあるといいね、セシリア嬢にも。
Q,セシリア弱くない?
A,この時期のお嬢が強いのは解釈違いです(鋼の意志
感想こじきの僕に感想クレメンス。評価も欲しい。