赤龍帝と騎士王の現し身   作:ファブニル

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 ドーモ、ファブニルです。

 仕事が上手くいかなくて凹んでたらいつのまにか二週間以上経ってた。本当に申し訳ない。
 てかFGOでグレイ・リリィが変形エクスカリバー引っ提げてきたし、なんか爆弾情報投下されてるし、世間は待ってはくれませんね。

 今回は遂にディオドラが本性を現します。ついでに型月からも追加キャラを出させてもらいます。

 よろしければ今回もお気に入り登録や高評価、感想、それと『ここすき』をお願いします。

 それでは第五十九話、どうぞ!


現れる本性

「そろそろ時間ね」

 

 

 リアスがそう言い、立ち上がる。決戦の日、一同は深夜にオカルト研究部の部室に集まっていた。

 アーシアがシスター服、ゼノヴィアは例の戦闘服。他の皆は駒王学園の夏服に身を包み、転送の瞬間を待つ。相手はディオドラ・アスタロト、現ベルゼブブを出した家の次期当主。後ろ暗いところのある男だ。このゲームでも何か仕掛けてくるかもしれない。だがイッセー達なら大丈夫だろう。万が一の時は……

 

 

「皆の武運を祈ります」

「頑張ってね」

 

 

 そして、魔法陣に光が走り、転送の時を迎えようとしていた。眷属ではないアルトリアとイリナは部室に残りエールを送る。それに応えるように笑顔を浮かべながら、イッセーたちは転送されていった。

 

 

「……さて、俺たちも行くか」

「はい」

「ミカエルさまから、貴方と冥界に行くように伝えられたんですけど……!」

 

 

 先程までリアスが居た場所に別の魔法陣が輝く。様式は北欧の物だ。

 

 

「お久しぶりです、皆さん」

「ロスヴァイセ殿!貴方もこちらへ?」

「はい。オーディン様より、皆さんと行動を共にするように言われて参りました」

「さて、これで揃ったな。何も無ければそれで良し、ただし事が起きた場合には動いてもらうぞ」

「「「ハイ!」」」

 

 

 そのままアザゼルたち残留組は彼の展開した魔法陣によって冥界へと向かう。行き先は今回の試合の為に用意されたVIPルームだ。

 

 

「来たか、アザゼル」

「おう、待たせたな」

「遅いぞ、小僧」

 

 

 既にVIPルームにはサーゼクスを始めとした現魔王、天使長ミカエル、北欧の主神オーディンがおり、その他にも悪魔側の重鎮や他勢力からのゲストが居る。

 

 

「さて、前回も顔を出してた面々に加えて今回は……」

「失礼 堕天使の総督殿とお見受けする」

 

 

 そういってアザゼルに話しかけてきたのは小柄な少女。髪を頭の左右で二つに結び、胸元の空いたチャイナドレス(チーパオ)を身に纏っている。これだけなら中華風の衣装として済む話だが、彼女の足元には赤く燃える車輪が回っている。

 

 

「これはこれは。須弥山が誇る最高戦力の一角、哪吒太子か。招待を受けてくれてありがとな」

「感謝 受領。それと、謝罪。本当なら大聖が来るはずだった」

「あのクソ猿が?成程。面倒くさがったな?」

「肯定」

 

 

 やや機械的な応答が多いが、これは彼女否正確には彼か?が造られた存在であることが大きい。元々は崑崙山の仙人が生み出した人造人間、それが哪吒太子だ。下界に人間として生まれた当初、暴れ者だった彼は川の神を殺してしまった。それによる被害が両親に及ぶ事を知ると、被害を止めるために一度自害した。

 その後再び復活するのだが、どうやらその際に性別が入れ替わってしまったらしい。故に現世では少年神として伝わっているが、その身体は女性型である。

 

 

「ねぇ、アルトリアさん。あの娘、片瀬ちゃんみたいな声しない?」

「……確かに。他人の空似ということでしょうか?」

 

 

 何処か友人に似た声に奇妙な感覚を抱きつつ、アルトリアは定位置であるサーゼクスの後ろに着く。

 

 

「これで全員が揃ったか、では『では始めよう、真なる魔王の歴史を』…来たか」

 

 

 試合を映すための大型スクリーン。そこに謎の男2人が現れる。1人は軽鎧を纏い、片目が隠れるほどの長い茶髪の男。もう1人は黒髪を一纏めに束ねた精悍そうな男。

 

 

『我が名はシャルバ・ベルゼブブ。正統なる魔王ベルゼブブの血族』

『我が名はクルゼレイ・アスモデウス。正統なる魔王アスモデウスの血族』

『この場に集いし、偽の魔王及び関係者、他勢力の者どもに告げる。直ちに武装を解除し降伏、現在魔王の地位に着いている恥知らずを差し出せ。さすれば生命だけは助けてやろう』

 

 

 魔王の末裔を名乗る者たちからの、余りにも無礼な降伏勧告。間違いない、『禍の団』旧魔王派のテロが始まったのだ。

 

 

「シャルバにクルゼレイ、やはり彼らが出てきたか」

「旧レヴィアタンに続き、旧ベルゼブブや旧アスモデウスの動きは察知している。予想の範疇だな」

「サーゼクス様、返答は如何に?」

 

 

 グレイフィアからの問いに、サーゼクスは少し考え込む。無論返事はノーだ。だが魔王として、ある程度の体裁は整えなければならない。しかしそんな一瞬の間も耐えられなかった物が居た。

 

 

「返答、簡単。一言で済む」

「哪吒太子殿?」

「馬鹿め。これだけ」

「「………」」

「「クククク……!」」

 

 

 余りにも直球な言葉にサーゼクスやミカエルは言葉を失い、アザゼルやオーディンなどは吹き出しかけている。余りにも遠慮がない、だがテロリストに屈しない姿勢を取るならこれほどキャッチ―な言葉も無いだろう。

 

 

 

 

「サーゼクスからの返答は?」

「ハッ、それが………」

「どうした、早くしろ」

「……馬鹿め、だそうで」

「馬鹿め、だと!?」

 

 

 余りにもあっさりと、それでいて明確な敵対発言にシャルバとクルゼレイは怒りを爆発させた。

 

 

「おのれェ、巫山戯た真似を!者ども!遠慮はいらん、天使も悪魔も堕天使も!何もかもを血祭りに上げよ!」

 

 

 クルゼレイの号令の元、悪魔たちが進撃を開始した。待ち受ける罠に気づいてか気づかずか、悪魔たちは破壊と混沌の宴を開かんとする。

 

 

「させない」

 

 

 しかし、そんな彼らを無慈悲にも焼き尽くす影が一つ。サーゼクスの返答直後に真っ先に飛び出していった哪吒太子だ。

 

 

「全機能以上なし」

「なッ!?」

「殲滅 開始」

 

 

 哪吒がその身に備わった『宝貝(パオペエ)』の一つ『風火輪』で空を駆け、同じく宝貝にして愛用の槍『火尖槍』を振るい吶喊する。彼女が通った後には燃えながら落下する悪魔の死体しか残っていなかった。

 

 

「おのれ須弥山めぇ、ガッ!?」

「哪吒太子殿!余り突出されては!」

「問題 ない。状況継続」

 

 

 哪吒を追いかけるように愛馬グイントを呼び出したアルトリアがやってくる。しかしそんな彼女の制止を振り切りながら、哪吒は戦闘を継続した。

 

 

「な、哪吒太子殿!」

「やめとけ。アレは恐らくああいう風に動かすのが一番良いんだ。それより、そろそろオーディンの爺さんが転移するぜ。俺たちも行くぞ」

「!ハイ!」

 

 

 

 

「…着いたのか?」

 

 

 魔法陣のまばゆい輝きから視力が回復し、目を開けてみるとそこは本陣と言うには余りにだだっ広い場所だった。等間隔に砕けた柱が立って並び、下は石造りになっている。

 周りを見渡せば、遠くには巨大なギリシャ風の神殿の神殿が見えるが、空の雰囲気と合わせるとおおよそ神聖さとは程遠い情景を生み出していた。

 

 

「…おかしいわね」

 

 

 リアスの言葉に他のメンバーも怪訝そうにしていた。転移してきたというのに、開始のアナウンスも何も流れない。運営側でなにかトラブルがあったのかと首をかしげて思っていると。

 

 

「ッ!?アレは!」

 

 

 アーシアが指さした先、神殿と逆側に魔法陣が出現する。まさかディオドラかと警戒し構えたが、出現した魔法陣は一つだけではなかった。

 さらにパッ!パッ!と光りだし、辺り一面を覆っていく。それはイッセーたちを囲むように展開された!

 

 

「…アスタロトの紋様じゃない!」

 

 

 祐斗が剣を構える。朱乃も手に雷を走らせながら言う。

 

 

「…魔法陣全てに共通性はありませんわ。ただ」

「全部、悪魔。しかも記憶が確かなら」

 

 

 リアスが紅いオーラをまといながら、厳しい目線を辺りに配らせていた。魔法陣から現れたのは大勢の悪魔!全員が敵意、殺意を漂わせ、激しく此方を睨みつけている。

 

 

「全て『禍の団(カオス・ブリゲード)』の旧魔王派に傾倒した者達よ」

「ッ!?」

 

 

 リアスの言葉に衝撃が走る。テロリストの『禍の団(カオス・ブリゲード)』が若手悪魔のレーティングゲームに乱入するとは思わなかった。しかも、よりによって自分の試合に来た事にイッセーは己の不運を呪った。

 

 

「忌々しき偽りの魔王の血縁者、グレモリー。ここで散ってもらおう」

 

 

 囲む悪魔の一人がリアスに挑発的な物言いをする。当然のことだが、旧魔王を支持する悪魔にとって、現魔王とそれに関与する者達が目障りなのだろう。

 

 

「キャッ!」

 

 

 後ろから悲鳴!この声はアーシア!アーシアの方向へ振り向くと、そこにアーシアの姿はなかった。

 

 

「イッセーさん!」

 

 

 空からの声に上を見上げると、そこにはアーシアを捕らえたディオドラの姿があった!その顔は一見するとさわやかだがどす黒い気配を漂わせている。

 

 

「やあ、アーシア・アルジェントはいただくよ」

「テメェ、アーシアを放しやがれ!このクソ野郎!ゲームで決着を付けるんじゃなかったのか!」

 

 

 イッセーの叫びに、ディオドラは初めて醜悪な笑みを見せた。

 

 

「ゲームなんてしないさ。君たちはここで彼ら『禍の団(カオス・ブリゲード)』のエージェント達に殺されるんだよ。いくら力のある君たちでもこの数の上級悪魔と中級悪魔を相手にできやしないだろう?ハハハハ、死んでくれ。速やかに散ってくれ」

 

 

 リアスが宙に浮かぶディオドラを激しく睨む。

 

 

「あなた、『禍の団(カオス・ブリゲード)』と通じていたというの?最低だわ。しかもゲームまで汚すなんて万死に値する!何よりも私の可愛いアーシアを奪い去ろうとするなんて…ッ!」

 

 

 リアスのオーラがいっそう盛り上がる。当然だ、こんな裏切りは到底許されるものでは無い。

 

 

「彼らと行動したほうが、僕の好きなことを好きなだけできそうだと思ったものだからね。ま、最後のあがきをしていてくれ。僕はその間にアーシアと契る。意味はわかるかな?赤龍帝?僕はアーシアを自分のものにするよ。追ってきたかったら、神殿の奥まで来てごらん。素敵なものが見られるはずだよ」

「イッセーさん!キャ!アァ……」

 

 

 ディオドラに強い魔力を流されて、当てられたアーシアが気絶する。ぐったりとしたアーシアにディオドラが嘲笑するなか、ゼノヴィアがイッセーに叫ぶ。

 

 

「イッセー、アスカロンを!」

「おう!」

 

 

 飛び出したゼノヴィアにイッセーはすぐ反応し、籠手を出現させる。その先端からアスカロンを射出すると、走りながらゼノヴィアは見事にキャッチする。

 

 

「アーシアは私の友達だ!貴様の好きにはさせん!」

 

 

 デュランダルとアスカロン、二本の聖剣を手にゼノヴィアが切り掛かる。が、ディオドラは気絶したアーシアを盾にした!人質となったアーシアに斬りかかる事はできずゼノヴィアの体勢を崩してしまう。

 その隙を逃さないディオドラは魔力の弾幕を展開、皆回避する事に意識を向けざるを得なくなった隙にディオドラは転移によってアーシアと共に消えていった。

 

 

「そんな、アーシアァッァァァァァァァッ!」

 

 

 イッセーは宙に消えたアーシアに叫ぶが、返事は返ってこない。

 

 

「クソッ!クソがッ!何がアーシアを守るだッ!また俺は!俺は!守れなかったッ!」

「イッセーくん!冷静になるんだ!今は目の前の敵を薙ぎ払うのが先だ!そのあと、アーシアさんを助けに行こう!」

 

 

 崩れ落ちるイッセーに裕斗が激を入れてくれる。そうだ、今は落ち込んでいる暇などない。目の前のテロリストを倒し、その上でアーシアを探し出す。気持ちを切り替えたイッセーは戦況を見る。

 

 目の前には100を超える悪魔の軍勢。中級悪魔だけじゃなく、上級悪魔も含まれているとディオドラは言っていた。今その悪魔たちが一斉に魔力を手に込め始める。魔力弾を放つ気だ。

 これだけの奴らが放ってくる魔力の雨を防ぎきれるのか?柱の陰に隠れてやり過ごしながら各個撃破を狙うべきか?それとも無視して一気に怪しい神殿に入るか?打開策を模索する一触即発のなか

 

 

「キャッ!」

 

 

 と悲鳴があがる。朱乃の声、何事だと声のした方へ視線を向けると、ローブ姿のイッセーたちも良く知る隻眼の老人が朱乃のスカートをめくってパンツを覗いていた!

 

 

「うーん、良い尻じゃな。何よりも若さゆえの張りがたまらんわい」

「オーディンの爺さん!?」 

「オーディンさま!どうしてここへ?」

 

 

 リアスが驚きにオーディンは顎の長い白髭をさすりながら言う。

 

 

「うむ。話すと長くなるが簡単に言うと、『禍の団(カオス・ブリゲード)』にゲームを乗っ取らせたんじゃ」

「乗っ取らせた?」

「ディオドラ・アスタロトが裏で『禍の団(カオス・ブリゲード)』と繋がっていたのが判明しての。そ奴らがディオドラの手引きでゲームを襲撃する計画を立てていたようじゃ。で、ここらで奴ら一網打尽にしてしまおうと、奴らを迎撃するべくアザゼルの小僧に頼まれたんじゃよ」

「相手の計画を逆手に取ったという事ですか」

「つまり、私達は囮って訳ね」

「そう怒るでない。この場は儂が受け持とう。お主らは先へ進むがよい」

 

 

 そう言って、オーディンは前に出た。

 

 

「さぁ、儂こそは北欧の主神オーディンじゃ!討ち取れば、名が揚がるぞ!」

 

 

 かかってこいと言わんばかりに両手を広げて挑発するオーディンに、旧魔王派の悪魔たちは一斉に魔力の弾を放つ。この数はヤバい!とイッセー達が魔力の弾を迎え撃とうとした時、オーディンは杖を一度だけトンと地に突く。

 

 

 バババババババン!!

 

 

 魔力弾はオーディンの展開した強力な結界に触れ、全て破裂していった!その圧倒的な魔力操作にリアスや朱乃、そして敵の悪魔たちも、あの一工程(シングル・アクション)でこれだけの魔法を仕えるオーディンの力に畏れ慄いていた。

 

 

「ほれ、ここはこのジジイに任せて神殿のほうまで走れ。そこにディオドラは居る。ジジイが戦場に立ってお主らを援護すると言っておるのじゃ、めっけもんだと思え」

 

 

 そういってオーディンは手からグレモリー眷属分の通信機を差し出す。

 

 

「これで他の者たちとも通信が取れる。今援軍に向かっておる者ともの」

「でも、爺さん!一人で大丈夫なのかよ!」

 

 

 イッセーが心配を口にするが、オーディンは愉快そうに笑うだけだ。

 

 

「まだ十数年しか生きていない赤ん坊が、わしを心配するなぞ早すぎるわ」

 

 

 魔力弾が弾かれるならと接近戦を挑もうとする悪魔たち。その時、天に掲げたオーディンの右手に槍らしきものが出現した。

 

 

「発動、『大神宣言(グングニル)』」

 

 

 圧倒的なオーラを放つそれを勢いよく悪魔達の方へ投げつける!刹那。

 

 

 ブゥゥゥウウウウウウンッ!

 

 

 槍は極大のオーラを纏いながら飛翔し、空気を貫くような鋭い音が辺り一面に響き渡った!

 

 余りの圧に思わず目線を逸らしたイッセーたちは、衝撃が収まった時我が目を疑った。極太の一撃が作り出した痕跡は遥か先まで一直線に伸び、深く地を抉っていた。先程までその辺りにいた悪魔達はその一発に消し飛ばされて、既に戦線には修復不可能な穴が開いている。

 

 

「なーに、ジジイもたまには運動しないと体が鈍るんでな。さーて、テロリストの悪魔ども。全力でかかってくるんじゃな。この老いぼれは想像を絶するほど強いぞい」

 

 

 飛んでいった後、複雑な軌道を描きながらオーディンの元へと戻ってくるグングニル。戻ってきた槍を軽々と振り回す若々しさと圧倒的なまでの強さ、底知れなさに悪魔達はいっそう緊張の色を濃くしていた。先ほどのように名が揚がるとばかりに安易に攻めてこようとする輩はいなくなっていた。

 

 

「すみません!ここをお願いします!」

 

 

リアスはオーディンに一礼すると眷属たちへ命令を下す。

 

 

「みんな、神殿まで走るわよ!」

 

 

 イッセー達もリアスの言葉に応じて、神殿の方へ走り出した。背後から聞こえる戦闘音を背に神殿に向かう中、オーディンから受け取った通信機器を取り付ける。すると聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

 

『無事か?こちらアザゼルだ。無事にオーディンの爺さんから渡されたみたいだな』

「先生!」

『言いたいこともあるだろうが、まずは聞いてくれ。今このレーティングゲームはフィールドも観客席も『禍の団(カオス・ブリゲード)』旧魔王派の悪魔だらけだ。だが、これは事前にこちらも予想していたことだ。現在、各勢力が協力して旧魔王派の連中を撃退している』

 

 

 ここだけじゃなく観客席側にもテロリストの悪魔たちがいる事実に驚きながら、アザゼルの言う予想していたという言葉に疑問を持つ。

 

 

『最近、現魔王に関与する者達が不審死するのが多発していた。裏で動いていたのは『禍の団(カオス・ブリゲード)』旧魔王派。グラシャラボラス家の次期当主が不慮の事故死をしたのも実際は旧魔王派の連中が手にかけてたってわけだ』

「旧魔王派がそこまで暗躍していたのね、オーディン様が居なければ私たちの身も危うかったもの」

『どうやら奴らはオーフィスの力を与える『蛇』とアーシアを手に入れる手助けを見返りに、ディオドラに手引きをさせたようだ。このゲームで現魔王関係者たちを血祭りにあげることで世界転覆への第一歩としたかったんだろうが、カウンターを仕込ませてもらった。今、三大勢力を中心に北欧のエインヘリヤルやワルキューレ部隊、ギリシャの神々、帝釈天のとこの仏たちが暴れまわってる。連中も鬱憤が溜まってたみたいだからな、()るき満々だぜ』

 

 

 『禍の団(カオス・ブリゲード)』は世界各地でテロ行為を行っている。多数の神話勢力に喧嘩を売っている以上、こうなる事は必然だった。

 

 

「…このゲームはご破算ってわけね」

『悪かったな、リアス。戦争なんてそう起こらないと言っておいて、こんなことになっちまっている。今回、作戦の都合上お前達を危険な目に遭わせた。いちおう、ゲームが開始する寸前までは事を進めておきたかったんだ。奴らもそこで仕掛けてくるだろうと踏んでいたからな。案の定、その通りになったが、お前達を危ないところに転送したのは確かだ。この作戦もサーゼクスを説得して、俺が立案した。どうしても旧魔王派の連中をいぶり出したかったからな』

「もし、俺達が死んでいたらどうするんですか?」

 

 

 イッセーが訊くと先生は真剣な声音で言った。

 

 

『俺もそれ相応の責任を取るつもりだった。俺の首で済むならそうした』

「先生……」

「そこまでの覚悟で……」

 

 

 普段のおちゃらけた態度とは違う。責任ある大人としての声に皆が驚嘆を覚えた。あのアザゼルがそれほど覚悟を背負っているとは。

 

 

「先生も戦場に来ているんですか?」

『ああ、同じフィールドにいる。かなり広大なフィールドだから、離れてはいるがな。ひとまずお前らは事が済むまで隠れてろ。後は俺やアルトリアたちで何とかする』

「隠れてる場合じゃないですよ!アザゼル先生、アーシアがディオドラに連れ去られたんだ!」

『っ!そうか。アーシアは俺達に任せておけ。そこは戦場になる。どんどん旧魔王派の連中が魔法陣で転送されてきているからな。そのフィールド内にある神殿、そこの地下に隠しシェルターがある。お前たちはそこに隠れてろ」

「いや、アーシアは俺達が救います。危険なのは分かってます。でも、アーシアは俺の仲間です!家族です!俺の手で助けたいんだ!俺はもう二度とアーシアを失いたくない!」

 

 

 こうしてる間にもアーシアに危険が迫っているかもしれない。そう考えるだけでイッセーは腸が煮えくり返る思いをしていた。それにオーディンが言うには神殿にはディオドラが待ち構えている。そんな敵地の中で隠れるなど、到底できなかった。アザゼルが何かを言おうとすると、リアスが不敵な笑みで言う。

 

 

「アザゼル先生、悪いけれど、私達はこのまま神殿に入ってアーシアを救うわ。ゲームはダメになったけれど、ディオドラとは決着をつけなくちゃ納得出来ない。私の眷属を奪うという事がどれほど愚かな事か、教え込まないといけないのよ!」

 

 

 そこへ朱乃が続ける。

 

 

「アザゼル先生、私達、三大勢力で不審な行為を行う者に実力行使をする権限があるのでしょう?いまがそれを使う時では?ディオドラは現悪魔勢力に反政府的な行動を取っていますわよ?」

 

 

 朱乃の話に先生は嘆息していた。

 

 

『…ったく、頑固なガキどもだ…。まぁいい、一応こっちから一人助っ人を寄越す。だがメインはお前たちだ。今回は限定条件なんて一切ない。お前達のパワーを抑えるものなんて何もない。存分に暴れてこい!特にイッセー!赤龍帝の力を裏切り小僧のディオドラに見せつけてこい!』

「オッス!」

 

 

 アザゼルの激励にイッセーは気合の入った一声で答えた。

 

 

『最後にこれだけは聞いていけ。大事なことだ。奴らはこちらに予見されている可能性も視野に入れておきながら事を起こした。つまり多少敵に勘付かれても問題のない作戦でもあるということだ』

「相手が隠し球をもってテロを仕掛けてきていると?」

『ああ、それが何かはまだわからないがこのフィールドが危険なことは変わりはない。ゲームが停止しているから、リタイア転送は無い。危なくなっても助ける手段はないから肝に銘じておけ。十分に気を付けてくれ』

 

 

 各勢力からのカウンターを受けても撤退しない。つまり、相手には確実に勝てるという自信があるのだ。だからこそ今回のテロが予想されていても強引に仕掛けてきた。その自信が何処から湧いてくるのかは分からないがやる事は簡単だ。

 ディオドラを倒し、アーシアを救い、事が収まるまでシェルターに避難する。リタイアの転送

がなくても、やられる前にやれば問題はない。

 

 

「小猫、アーシアは?」

 

 

 リアスが小猫にサーチする様に促した。小猫ちゃんは猫耳を頭部にぴょこりと出すと、神殿の奥を指で示す。

 

 

「…あちらからアーシア先輩とディオドラ・アスタロトの気配を感じます」

「よし!アーシア、待っていてくれ!すぐに行くからな!」

「その突入、私も一枚噛ませてもらいましょう」

 

 

 イッセーの声に続くように、空から聞きなじみのある声が聞こえる。この声は!と空を仰げば、そこには愛馬グイントに跨るアルトリア・ペンドラゴンの姿があった。

 

 

「アルトリア!」

「援軍は貴方だったのね」

 

 

 攫われたアーシアを除くオカルト研究部の仲間たちの無事を確認すると、そのままグイントを地面に降ろし、神殿へと走るイッセー達と併走する。

 

 

「えぇ、状況は聞いています。アーシアがディオドラに攫われたと。恐れていた事態が起きてしまいました」

「恐れていた?」

「アザゼル総督から今回の作戦の事は聞いているでしょうが、追加の情報です。私はあの日、ディオドラがトレードしようとした『僧侶』が教会関係者であった事をイリナから聞かされました」

「イリナから?」

 

 

 その後アルトリアはアザゼル宅で話されたディオドラの隠された性癖、それに伴うアーシアへの執着の原因を話した。

 

 

「じゃあアーシアさん以前にもディオドラはシスターを狙っていたのか……」

「…気持ち悪い」

「ディオドラ・アスタロト。かつての戦友や同胞たちにそんな下卑た劣情を、益々許さん!」

 

 

 皆が口々にディオドラへの非難を口にする。アーシアにしたことを考えれば他の女性達へも同じような事をしたはずだ。

 

 

「部長!もう待ってなんていられませんよ!」

「えぇ、ディオドラのその腐りきった性根ごと消し飛ばしにいくわよ!」

 

 

 アルトリアの言葉を聞き、決意を新たにしたグレモリー眷属たちは猛スピードで坂を駆けのぼり、神殿の入り口までやってくる。周囲を魔術で探知し、罠の類が無いのを確認した後、一斉に神殿へと突撃を掛けた!




 今回の型月からの参戦キャラはTSロボ娘こと哪吒です。立ち位置はD×D側の哪吒太子と変わらずといったところ。今章以降もちょくちょく顔を出すかと思います。
 因みにギリシャから招待された神様も型月キャラだったりします。出番はありませんでしたが、ちゃんと裏で戦っています。今後別の場所で出番があるので、顔見せはその時に。
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