猫と2人のおっさん   作:丸亀導師

35 / 35
皆さん感想、評価ありがとうございます。

リクエストが多かっ二人の飲み合いがどうなるのか…そんな1200字の短編です。お納めください。


天パのオッサンと緑の叔父さん

 

カランカランカラン

 

店先のベルが鳴り、人が入店したことを示す。

特徴的な緑髪、口髭を蓄えた彼は徐ろにカウンターの席へと進むと、一人の男の横に座った。

知り合いなのだろうか?普通であれば席を一つ開けたりもするはずなのだが、その男が座った席の隣にいるパーマ頭の男性は気にするような事もなく、手に持ったグラス、その中身をチビリと口へと運んだ。

 

「マスター、こちらの人にマッカランをロックで頼む。」

 

「よろしいので?」

 

パーマ頭の男はこの店の店主にそう言うと、その言葉に半ば強引に勧められたそれに少しの躊躇を見せながらも、緑の叔父さんはその言葉であからさまに聞き返す。

 

「ワインを嗜むのでしょう?なら、フルーティな味わいを楽しめる、これのほうが良いだろう?それに、ここでワインでは雰囲気的にどうかと思ってね?」

 

「……そうですか、ではありがたくいただきますよ。」

 

マスターが用意するそれを手に取り、緑の叔父さんは僅かに口に触れると……、その香りと口当たりを楽しんだ後にその物に驚きを示した。

 

「まさか…ある所には有る……ということですか。西暦のそれですね?」

 

「どうだろうな?俺は酒にはあまり詳しくないんだが…、ここの店主の趣味でね?とっておきをくれただけさ。」

 

恐らくは安くても車を買えるであろう、そんな高級なスコッチであるが、それを飾るものではないとするのが、ここの店主の方針らしい。

よくよく見れば、ズラリと並べられたそれらは名のしれた物である。

 

思わず息を呑む彼だが、そんな事気にもせず呑みに来ているこの男が、随分と図太く思えていたが、そんな行動とは裏腹に気楽にしているのだから本物だと思った。

 

暫く2人で寂しくチビリチビリとしている。

弾むような話もなく、黙々としているものの互いに互いが何を考えているのか、何となく分かっている事だろう。

 

「……、そう言えばこんなところで油を売っていても良いのか?」

 

何かを思い出したのか、天パのオッサンは緑の叔父さんにそう声をかけるも、それに対して首を横に振り手を少し拡げておどけて魅せる。

少し酔っているのか、はたまた何も考えていないのか。

 

「そちらこそ、こんなところで飲んでいてもよろしいので?」

 

「楽しそうにしているからな、無闇に藪を突かなくてもいいのさ。だから、気楽に生きたいんだよ。」

 

そう口にすると、一気にグラスの中身を飲み干す。

そして、横を振り向くようにすると徐ろに右手を差し出した。

 

それに対して叔父さんもまた、グラスの中身を飲み干すと向き直り、互いの手と手を取り合い互いの肩を叩く。

まるで親友のようにする二人であったが、互いに会うのは初めである。

 

と言うことは、知らない相手にこの様な事をしているわけで…ニュータイプとは、かくも素晴らしい物であり隠し事も出来ない。

ただ、誤解なく分かり合うというのはこれ程の物であるようだった。

 

「取り敢えず、今日は飲み明かすかい?」

 

「ええ……、たまには良いものです!新しき友人に…」

 

再びカウンターに向き合うと、二人はまた酒を煽り始める。

飲まれることもなく、ただゆっくりとその時は流れていった…。

 

 




序と言ってはなんですが

https://syosetu.org/novel/380430/

新しい連載です。

良ければこちらも見て下さい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ソドンに乗ってるホラ吹きおじさん(作者:銃病鉄)(原作:ガンダム)

「オレはな、もう二十年もモビルスーツに乗ってるんだぞ」▼ジオン公国の軍艦ソドンには、デタラメばかり言うおじさんが乗っているらしい。


総合評価:6288/評価:8.43/連載:17話/更新日時:2026年07月26日(日) 16:31 小説情報

地球連邦軍上層部はいつも多忙です。(作者:はにわはにわ)(原作:機動戦士ガンダム)

宇宙世紀0083年。核攻撃で観艦式が壊滅する中、地球連邦軍最高司令部の苦労人大将は、コロニー落とし阻止のため胃薬片手に奔走する。▼第二章スタートしました。0083年から機動戦士Zガンダム本編開始直前の0087年までを描きます。


総合評価:6315/評価:8.31/連載:24話/更新日時:2026年07月03日(金) 01:00 小説情報

起きたら仁義なき転生、それから。(作者:函南)(原作:仁義なき戦い)

起きたら仁義なき戦いの世界にいた。そんな話。


総合評価:4600/評価:8.57/連載:62話/更新日時:2026年09月02日(水) 13:43 小説情報

旧型サラミスで生きる1年戦争(作者:カズkaz)(原作:機動戦士ガンダム)

ありきたりな転生ものです。機動戦士ガンダムをそこそこに知っている主人公が旧型のサラミスに乗り込み、なんとか1年戦争を生き抜こうと奮闘する物語。▼思い付きで投稿していますので続かないかもしれません。▼箸休めにご覧ください


総合評価:4109/評価:8.33/短編:28話/更新日時:2026年08月24日(月) 22:45 小説情報

​『逆襲のシャア』の総帥に憑依した元商社マン、アクシズを落とさず地球圏を支配する 〜静かに暮らしたいだけなのに、アナハイムと狂信者に神輿を担がれて逃げられない件〜(作者:なやむ)(原作:ガンダム)

「お願いだから、もうこれ以上俺(キャスバル)を神輿として担がないでくれ……!」▼目が覚めると、そこは宇宙世紀0090年代▼よりにもよって、グリプス戦役末期、ハマーン・カーンと一騎討ちに臨み、その後消息不明になっていた世紀のカリスマ、シャア・アズナブルーキャスバル・レム・ダイクンに憑依していた▼本物のシャアはすでに成仏してどこにもいない。残されたのは、ただ「早…


総合評価:13013/評価:8.8/完結:9話/更新日時:2026年07月28日(火) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>