願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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前回、王鍵創生の準備中に市丸ギンの裏切り発生。
未遂に終わって、藍染第2形態に進化。
黒崎一護到着。

市丸ギン、完コピ2人の独断で命拾い。
この後、乱菊にこってりと絞られればイイ。

今回、真の役者が揃い、幕が上がった。



待望の時。そして…

 

 

…何も感じない

…彼は本当に黒崎一護なのか?

 

どんなに霊圧を抑えても、特殊な装置でも無い限り霊圧を感じさせない事など出来る筈が無い。

 

ジャリ…

 

ハリベルが冷や汗を掻きながら自身の従属官達を守るように前に出た。

逆にスタークは顔を僅かに引き攣らせながら、半歩後退った。

そしてハウラは…

 

大きく目を見開いて驚いて居るが、その口元は歓喜に満ちていた。

そして笑みを崩さず私に向かって小さく呟いた。

 

「やったね、“惣右介”」

 

と。

 

…ハウラがあんな表情を浮かべた

…そして、私の名を口にしたという事は

…そうか

…彼は

…黒崎一護は私の

…私とハウラの期待通りの進化を遂げたという事か

…ならば

 

「藍染」

「…何かな?」

「場所を移さねぇか。俺は此処では戦いたくねぇ」

 

私が口を開く前に彼が提案をして来た。

 

…願ってもいない事だ

 

「…構わないよ。私としても、まだ途中とは言え折角の準備を台無しにはしたくないからね…此処から見えるあの山の麓ならどうかな?」

「…あぁ、良いぜ」

 

快諾して空座町から離れた山奥へと移動した。

 

 

 

「…行っちゃった」

 

…さて、どうしようか

 

惣右介との〈最期まで見届ける〉という約束を破る訳にはいかない。

けれど、怖がりで誰よりも弱いメノリを彼処に連れて行くのは躊躇いがある。

 

…完コピにメノリを託して行くのが最善なんだろうけど

 

踏ん切りの着かないハウラの服を引っ張ったメノリは、ハウラを自分の方に向かせた。

 

「…メノリ?」

「…な、何を考え込んでるのよ、らしくない」

「…メノリ?らしくないって酷くない?」

「らしくないかららしくないのよ!藍染様との約束はどうするのよ!?此処からじゃ絶対に果たせないでしょ!?なら、行くしか無いじゃない!」

「え…でも「でもじゃない!」おっと」

「ハウラ、自分で言ったでしょ!?藍染様との約束…最期まで見届ける時も一緒だって!」

「う…」

「滅茶苦茶渋った私に言ったよね!?「自分が一緒にいるから怖くないよ」って!」

 

…あの時は確かに言ったけど

…惣右介があんな風に進化するとは思ってなかったし

…大体メノリ、腰抜かしたままじゃんか

…でもメノリ

…いつの間にココまで言えるようになったの?

 

「ほら、始まってるわよきっと!」

「あ、うん」

 

ハウラにお姫様だっこされたまま、しっかりとしがみ付いたメノリに言われるがままにハウラは藍染と黒崎が飛んで行った山へと向かった。

 

 

 

 

 

 

先行した藍染と黒崎はというと…。

 

「…此処なら君も躊躇う事無く戦えるだろう」

「…嬉しそうだな、藍染」

「ふ…当然だろう。ずっと焦がれ続けた…私と同じ超越者へと到達した君と戦えるのだから。黒崎一護、君は私の理想を叶えた唯一無二の存在だ」

「…アンタの理想とかどうでもいい…が、この戦いもこれきりだ。だからこそ聞きたい事がある」

「…何かね?」

「アンタは、ハウラの事をどう思っているんだ?」

「…質問の意図が解らないのだが?」

 

黒崎の言葉の意味を測りかねた藍染は眉間に皺を寄せ、口元に手を置いて首を傾げながら問うた。

 

「…気付いてないのか藍染?その仕草、ハウラそっくりだぜ」

「…そうかい」

 

ハウラにそっくりと言われ、藍染は微かに笑みを浮かべた。

他の人(破面)ならばとても嫌そうな表情か、何とも言えない微妙な反応を返すだろう。

少なくとも、喜ぶ者は圧倒的少数派に違いない。

 

「…成程な。何となく解った」

「…私はまだ返答をしていないが?」

 

勝手に答えを出した黒崎に、藍染の向けた表情(唇を尖らせてムッとした)もハウラに酷似している。

 

「…そうだったな。聞いた方が勝手に自己完結しちゃダメだったな。で?」

「…そうだね…ハウラは君とは別の意味で特別な…唯一無二と言っても良いかも知れない…手の掛かる妹で…友人…だと思っているよ」

「…そうか」

 

何処か照れ臭そうな藍染の表情に思わず黒崎も笑った。

 

「…さて、そろそろ観客も到着する。彼等の前で無様な姿は晒せない…全力で倒させて貰おう!」

「俺の台詞だぜ藍染…空座町は俺が必ず守り通して見せる!」

 

2人の霊圧がぶつかり合った。

 

 

 

ハウラ達が辿り着いたと同時に藍染と黒崎は互いの斬魄刀を交えた。

 

「…うっはぁ~…」

「「「…やっばぁ~…」」」

「…何…だよ…こりゃ…」

「…信じられん…」

「「「…っ!!」」」

(メノリと同じく腰が抜けないように必死、もしくは全身の震えをどうにかするのでいっぱいいっぱい)

 

ただの人間、しかもまだ十数年生きただけの少年が藍染と対等に渡り合っている。

 

…対等?違う

 

藍染の方が僅かにだが、振るう刀に乱れが生じ始めている。

 

…あの惣右介がこんなに早く余裕を無くすなんて

…まさか

…まさか黒崎は

 

「…くっ…!」

「………」

 

パシッ……ドッ…オオオォォォォォン………

 

「「「「…は?」」」」

「…マジかよ…」

「…有り得ない…」

「「「…(絶句)」」」

 

黒崎は藍染の刀をそっと掴み、その刃の斬撃は彼を軸に綺麗に二分して左右の地を真っ平らにした。

 

「「「「…は、はは、はははははは!」」」」

「「「…ハ、ハウラ?」」」

「予想以上だよ黒崎一護!君は…君は最高の試金石…いや、違う…最高の好敵手になってくれた!惣右介の願いを叶えられる唯一無二のね!!」

「「「「「…(ドン引きもしくは困惑してる)」」」」」

 

ハウラの高笑いに付いていけない面々を置き去りにして場面は進む。

 

「…っ…成程、既に剣技において君は私の上という事か!ならば…」

 

ハウラの歓喜に満ちた声がインカム越しに聞こえた藍染は、黒崎から一気に距離を取り、左の人差し指を高く掲げて詠唱を始めた。

 

 

     ー滲み出す混濁の紋章ー

     ー不遜なる狂気の器ー

       ー湧き上がりー

        ー否定しー

        ー痺れー

        ー瞬きー

       ー眠りを妨げるー

     ー爬行する鉄の王女ー

    ー絶えず自壊する泥の人形ー

       ー結合せよー

       ー反発せよー

       ー地に満ちー

      ー己の無力を知れー

 

     「《破道の九十・黒棺》!!!!」

 

「…これは嘗て倒した狛村左陣の時とは比べ物にもならない、完全詠唱した黒棺だ…時空が歪む程の重力の奔流を君は耐えられるかな…黒崎一護!!」

「………」

 

それぞれが耐えられるギリギリの距離からでも解る、自分達が食らえば何も残らないだろうその圧倒的な力にアパッチ達は遂にその場でへたり込み、ハリベルは全身の震えを自覚して尚、3人の為にその場から動かず、スタークは怯えきったリリネット(銃)を後ろに隠した。

護衛達が〈本体〉の前に出る事でメノリは辛うじて失神せずに済んでいるものの、恐怖から泣きじゃくり過呼吸を起こしてしまい、ハウラのコンディシオン《セダシオン/鎮静》でどうにか悪化を防いでいる状態である。

 

そんな中、黒崎は…

 

…スッ………バリンッ!!!!

 

「「「「…嘘ぉ…」」」」

「…俺の目は…おかしくなっちまったのか?」

「…現実逃避したい気持ちは良く解るが…全て…全て現実だ…」

「…っ」

ガクンッ!(限界が来て意識を手放した)

「「「「っメノリ!!」」」」

 

黒崎は左手をサッと払っただけで藍染の《破道の九十・黒棺》を破壊してしまった。

藍染の黒棺すらモノともしない黒崎一護に耐えられなかったメノリは遂に失神した。

 

「なっ…」

「…そろそろ俺から反撃しても良いよな」

 

ヒュ………ドシュッ…

 

「ぐっ…!」

 

ヒュッ………スタッ

 

「…どうした?藍染」

「…は、ははっ、ははははは!」

 

黒崎から逃げるように距離を更に取った藍染は笑い出した。

 

「…何がおかしい?」

「…これが笑わずにいられるものか!…同じ超越者となった君と私に…此処まで…此処まで差が付いているとは…思ってもいなかったのだからな!」

 

そう叫んだと同時に藍染の額に目玉が生えたと思いきや、其処を軸に顔の皮膚が縦に裂けた。

 

それだけでは無い。

 

3対の羽だったものは6つの胴体に変わり、それぞれに口しか無い顔と触手のようなモノが生えた。

胴体にも3つの孔が開き、右手は《鏡花水月》、左手と両足は明らかに人のモノでは無い黒い歪な形に変わった。

 

「…そうか、崩玉…私が黒崎一護を倒すには、まだ足りないものがあったと…そういう事か…」

 

ドドドドドドドドドッッッッッッ!!!!

 

更なる異形の姿に変貌した藍染の6体の口からそれぞれ発した〈王虚の閃光〉など比では無い猛攻を防ぎ切った黒崎は左手を大きく負傷した。

 

「…これだけの攻撃で漸くその傷か…!」

 

一気に接近して黒崎の首を掴み、6つの口から発した霊圧の塊をひとつの輪に繋げたモノを6つ作り、彼を取り囲んだ。

 

「…君は私の予想を遥かに超える成長を果たした…黒崎一護…今の君を取り込み理解すれば私は確実に更なる進化を遂げられる!死神と虚という存在から完全に訣別する事が出来る!!」

「…っ」

「全てを私に委ねろ黒崎一護!!」

「お断りだ」

 

パァァァァァァァン!!!

 

「ぐっ…!?」

「俺は空座町を守る為に此処に来たんだ。あんたの為じゃない!」

「…っ!」

「見せてやるよ…あんたを止める為の《最後の月牙天衝》をな!!」

 

黒崎の右腕に絡み付いていた黒い鎖が形を変えて彼を覆い尽くした。

そして、彼の特徴であるオレンジの髪は黒い長髪に、口元と上半身(左腕以外)にも黒い包帯が巻かれ、瞳の色が真っ赤に染まった。

 

「「なっ…」」

「「「…うわぁ~ぉ…」」」

「…まぁ、惣右介もあれだけ進化したんだから、黒崎も進化するのはおかしくないか」

 

相変わらずマイペースなハウラだが、黒崎の力を本能的に理解しているからか、声が上擦っている。

 

「…何だ…その姿は…」

 

戸惑う藍染に黒崎は淡々と返した。

 

「《最後の月牙天衝》ってのは…俺自身が月牙になる事だ…この技を使えば、俺は死神の力の全てを失う…《最後》ってのはそういう意味だ」

「…ッ!!!!」

 

その次元外の力の威力を本能的に察した藍染は、自身の前に《ミジョン・エスクード》を幾重にも重ね掛けするだけでなく、ハウラが駄目元だろう《トランスフェリー/転移》で咄嗟に送った《フォルタレサ・イネクスプグナブレ/不落要塞》も全て使用した。

 

が、結果は見ての通り。

 

        ー 無 月 ー

 

バリィィィィィィィィンッッッッ!!!!

 

盾全てを粉々にするだけでなく、藍染をも真っ二つにした。

 

「…っ惣右介!!!!」

 






取り敢えず此処まで。

変更点はハウラ達が居る事で、藍染だけでは気付けなかった黒崎一護の変貌振りに藍染とハウラ大歓喜。
思う存分力を発揮出来ると喜んだのですが…。
黒崎の全力は2人の予想よりも遙か彼方にありました。




次回、決着…かな?





活動報告にも書きましたが、9/15、無事に手術を終えて、ICUで24時間お世話になった後、病室に戻り、手術後の痛みと戦いながら執筆しました。
…24時間ずっと横になりっ放しだったのもあって、寝る時間までは寝たくないもので…
丸一日半、絶食絶飲は生まれて初めてで、殆ど身動きも出来ず、とてもと~っても辛かったです。
出来れば、手術とはもう生涯無縁でありたいものだと痛感しました。
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