暇神の皆さん、こんにちは!本日デビューしました、オーマイゴッド1期生の無知無知ちゃんでーす!

 記念すべき初企画!ダーツで選んだ人間を観察しながら、神託を与えて遊んでいくよ!

 あ、スパチャありがとう!

 って、ちょっと!まだ体が出来上がってない歳なのに、なんで限界まで修行してるの!?

 ストップ、ストップ!目を離した隙に貴族と決闘しようとしないで!?

 あーもー!ふーざーけーるーなー!

※この作品は小説家になろう、カクヨムでも投稿されています。

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無知無知女神の人間界初見実況

 自慢ではないが、私は無知である。

 

 いや、基礎的な教養は人並みに身に付けているつもりだ。将来を見据えて、資格も学歴も積み上げている。

 

 では、何が問題かと言うと──私は人間ではなく女神なのだ。

 

 ……そうだね。人並みの教養とか全ッ然ッ!意味ないね。天界は全知全能の神がゴロゴロ転がってる魔境だからね。

 

 私のように真面目に勉強しただけの神は、余裕でお馬鹿キャラ扱いされる。

 

 更に、人間界について何も知らない事がバレると、思いっ切り笑われた。無知無知ちゃんとか言われた。舐めやがって。

 

 さて、最近になって、私は本格的に焦り始めている。

 

 まず大前提として、私達のような神には、ざっくり分けて2種類の出世ルートがある。

 

 1つ目、権能無双ルート。

 

 さっき言ってた全知全能の神とか、いわゆる才能ガチャ当たり組が主に進む道だね。

 

 強い権能を得られなかった私みたいな神には、どうやっても無理なルートである。無料リセマラ実装はよ。

 

 2つ目、信仰富豪ルート。

 

 天界では人間から集めた信仰が通貨として流通している。権能を使うのにも信仰が必要なので、大量の信仰を握っている神は最強だ。

 

 ……私は信仰の貯蓄がほとんどない。学生時代は勉学に励んでいたせいで、信仰を稼ぐアルバイトとかサークル活動とかやってなかったし。

 

 むしろ、大学時代に遊んでばかりいると碌な神になれないと思って、内心で小馬鹿にさえしていた。今なら分かる。馬鹿は私だ。

 

 と、ここまでが天界ヒエラルキーの基礎情報ね。テストには出ません。

 

 あ、ちなみに学校では教えてくれないよ。とにかく勉強しなさいって言われます。為になる教えだなぁ。メガネ叩き割るぞ。

 

 そんなわけで、私が焦ってる理由を少しは分かってくれたかな?今、私は変革を迫られているのだ。

 

 権能無双ルートが不可能な事は、学業に打ち込んで痛いほど理解した。私がここから神生逆転するには、信仰富豪ルートに賭けるしかない。

 

 しかし、人間から直接信仰を集めても、出遅れている私は先行組に追い付けない。

 

 だから、私がターゲットにするべきは、他の神。

 

 そこで、私は神々の嗜好を徹底的に分析し、一つの結論に辿り着いた。

 

 どうやら、権能や信仰を豊富に貯め込んでいる神ほど、存外暇を持て余しているらしい。

 

 全知全能などの権能の弊害だが、色んな事に飽きてしまっている神が多いようだ。

 

 まあ、全知全能同士の会話とか、目茶苦茶つまんないだろうから仕方ない。驚きなんて欠片もなさそう。

 

 このニーズをどうにか満たしてやれば、私でも信仰を稼げるかもしれない。

 

 そうなれば、もう無知無知ちゃんなんて呼ばせない!

 

 ん?無知無知ちゃん?

 

 ……。……!

 

 いやこれ……もしかして、イケるか……?

 

 私の脳裏に天啓の如く、1つの言葉が浮かんだ。

 

 ──無知無知女神の人間界初見実況、と。

 

 

 

 暇神の皆さん、こんにちは!本日デビューしました、オーマイゴッド1期生の無知無知ちゃんでーす!

 

 記念すべき初企画!ダーツで選んだ人間を観察しながら、神託を与えて遊んでいくよ!

 

 あ、スパチャありがとう!

 

 まずは、1人目!えいっ!

 

 おお、なんだか森に捨てられる寸前の男の子に当たったようです!これは、いきなり神託チャーンス!

 

 っと、その前に、子捨て野郎が何かほざいてるので聞いてみましょう!

 

 なになに……あっちゃー、魔術師の家系に生まれて魔力ゼロですか……。それはまた、過酷な運命ですねー。

 

 しかも、彼が産まれてから使用人の不調が相次いだり、壁に飾ってある家宝の剣が不気味に光ったりし始めた、と。

 

 で、全部コイツのせいだーって、忌み子扱いされて捨てられちゃったんですね。可哀想に。

 

 そんな貴方に、女神からの神託です!

 

 今回は特別大サービス!張り切って導いちゃいますよー!

 

 

 

 俺は自分が何歳かを知らない。

 

 誕生日を祝われた事もないし、物心付いた時には、既に誰も俺と会話してくれなかったからだ。

 

 笑えるだろ?もし前世なんてものがあるとしたら、俺はよっぽど悪い事をしたんだろうな。

 

 そう思わないとやってられない。俺に唯一誇れる事があるとしたら、最期の瞬間まで神を恨まなかった事くらいか。

 

 これまでの人生でただ一人、俺に優しくしてくれた教会のシスターが言っていた。

 

 神は貴方を見ています。真摯に祈り続ければきっと……。

 

「ははっ」

 

 分かってる。神は確かに実在するが、数十年前を境に、人間界への干渉は途絶えている。教会でシスターから学んだ。

 

 その事実に対しては、学派ごとに様々な解釈があるらしい。

 

 人類の発展を阻害しないように干渉を控えている説。より大きな奇跡を与える為に力を蓄えている説。

 

 だけど、俺は思う。神は人間に飽きたのではないか、と。

 

 お偉い神学者さん達は絶対に認めないだろうけどな。

 

「グルルゥ……!」

 

 モンスターの唸り声が木々の向こうから聞こえる。そういえば、魔力がゼロな代わりに、俺は昔から五感が鋭かった。

 

 まあ、聞こえたところでどうにもならないが。餓死一歩手前の体で森の奥に捨てられた時点で、末路は確定している。

 

 俺は静かに目を瞑り……。

 

『あーあー、聞こえますかー?』

 

「……ッ!?」

 

 何だ?脳内に直接響くような……女の人の声?

 

「誰……だ……!?」

 

『ああ、無理に声を出さなくて結構。知りませんか?神との対話は意思だけで行うのですよ』

 

 神……!まさか、本当に……?

 

『貴方の苦労をずっと見ていましたよ。本当によく頑張りましたね』

 

 この日、俺は。

 

『私は女神の……。あーもー、まどろっこしい!神ムーヴやめ!私は子供の未来を潰す親が、世界で2番目に大ッ嫌いなの!ちなみに、1番は大学時代の教授のメガネ爺!』

 

 産まれて初めて。

 

『私が安全な道を示すから、今すぐ森を抜け出して、ムカつく奴ら全員殴りに行くよ!オーケー!?』

 

 ──泣いた。

 

 

 

 って、ちょっと!まだ体が出来上がってない歳なのに、なんで限界まで修行してるの!?

 

 お爺ちゃんを助けたら、魔術学園の学園長で、入学を推薦されちゃったー!?

 

 あ、スパチャありがと……。ごめん、後でね!今、こっちが手ぇ話せないから!

 

 ストップ、ストップ!目を離した隙に貴族と決闘しようとしないで!?学園ってそういう場所じゃないからね!?

 

 生徒会長も煽るなー!審判は必要ですか?じゃねーよ!お前に最後の審判を下すぞ!

 

 実は莫大な魔力が体の奥に眠っていて、無意識に抑えていただけだったの!?おまっ、私の同情返せー!

 

 待って、待って!魔王討伐とか、そういう大事な事は事前に報連相してー!?

 

 貴方のパーティーメンバー、女性率高くない?刺されても知らないよ?

 

 えっ、実は魔王は良い奴だったの?マ?

 

 ま、まさか、シスターが全ての黒幕だったなんて……!孤児院を経営してるから良い人だと思ったのに……!

 

 あーもー!

 

 ふーざーけーるーなー!




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異能バトル長編もよろしくお願いします。

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