魔法少女まどか☆マギカ -Kaleidoscope- 実績「時をかける魔女」獲得実況プレイ 作:Hotpepper_N
はい、というわけでオールスター大集合。壮観やなぁ。
で、ここから作戦内容をみんなで詰めていくわけですが……
せっかくなんで、ついでにここで他のほむほむ魔女sも紹介していきましょう。
ちゃんと説明してませんでしたが、円環プレイだとちゃんと魔女の元になった子が出てきます。
何回も言ってる気がしますが、このゲーム作り込み度が半端ないですよね、マジで。
あ、それと一応言っておきますが、ほむほむは喰った子達とはちゃんと和解済みです。だからみんな集まってくれたわけですね。
まぁ
>ほむらが促すと、ぽつぽつと意見や提案の声が上がり始める。
>「話聞いてると、女神様とあんたらだけで十分じゃないの? わざわざウチらを呼んだのはなんでだよ?」
>「端的に言うと、時間をかけずに現地のインキュベーターと監視網を――」
このつっけんどんな緑髪の子は
口は悪いですが、こういう「それ本当に必要?」ってツッコミを真っ先に入れてくれるタイプです。
>「クラッキングの対象はフィールドだけ? 内部のインキュベーター側にも干渉して、観測そのものを潰しておいた方がいいと思うわ」
>「そうね。端末側にも余計な情報は渡さない方が――」
このアリスみたいな子は
たいへん理解力が高くて助かります。本の話になると止まらなくなるんですが。
>「ダルっ。めんどくさそうだから帰っていい?」
>「"神名さん"?」
>「ヒッ……わかった、わかったよ居ればいいんでしょ……」
>席を立とうとしたあすみに、マミが静かに釘を刺す。
草。この子は元・花嫁の魔女、あすみんこと神名あすみちゃんです。ちゃんと釣りスレのデザインそのまんまだぁ……ちょっと感動。
ちなみにこの子、一番和解に苦労しました。その時いろいろありまして、ほむほむにはまだ軽口叩けるんですが、マミさんには頭が上がりません。
>「
>「確かに、端末を潰しても、クラッキングだけでは本体の観測を完全に断ち切れるとは――」
この巫女みたいな子が
生家が神社で明治生まれなせいか、若干言葉遣いが独特です。
ちなみに模擬戦だとめちゃくちゃ強い。今回は直接戦う役目ではありませんが。
>「あっ……あのっ……私はなにをすれば……あっごめんなさい……」
>「落ち着いて、ゆっくりでいいわ。あなたの防御なら――」
この陰キャっぽい(失礼)子は元・盾の魔女こと、まもりちゃん。
ちょっと人付き合いが苦手で普段はめったに顔を出しませんが、今回は特別参加です。持ち前の防御力が役に立ちますよ。
>「内部はともかく、外は見張っておかなくていいの?」
>「ええ、第三者の邪魔が入る可能性も考えたわ。あすみと組んでもらって――」
このおかっぱ娘は元・烏の魔女こと、あすかちゃん。今回は監視役。
にしても衣装がなかなかシックでカッコいい。まもりちゃん同様、人見知りなんでなかなかお目にかかれないんですが。
>「あんたのことだから、ちゃんと考えてるんだろ? アタシはあいつらをぶっ潰せるんならなんだっていいさ」
>「もちろん。あなたには監視網を潰すための先鋒となってもらって――」
この真っ赤なシンデレラっぽい子はホムラちゃ……さん。元・灰かぶりの魔女です。
機嫌いいときは姉御肌で、かなり頼りになりますね。
にしても、魔女名から生前の姿まで元ネタそのまんまとは思わんかった。しかもなんの偶然か、名前の読みがほむほむと同じなんでめっちゃ混乱します。
>「主たる貴方様が仰るならば、わたくしはこの身も魂も捧げる所存です」
>「ッスー……頼りにしているわ。
なんか聖女みたいな重いやつ、元・閃光の魔女こと
この子、ほむほむを救い主と思ってるのか崇拝してます。信仰心ガンギマリすぎてほむほむ胃痛案件筆頭です。
>「ふふっ、壮観ね。さながらオペラ開幕前の円陣みたい。配役も申し分ないわ」
>「……相変わらずね、あなたは。現地への介入が不自然に見えないような演出を――」
この子は
生前は女優だったそうです。そのせいか言動がいちいち仰々しいというか、芝居がかってます。
経歴も魔法も演出のスペシャリストなんで、今回かなり重要な役割になります。詳しくは後述。
>(す、すごい面子……何が始まるの……!?)
>奏は場の雰囲気に圧され、冷や汗をかいている。
名前出ましたね、
本編だとスキル使ってませんでしたが、今回はオールスターなんでね。せっかくだし参戦してもらいます。
>「…………」
>なぎさは船を漕いでいるように見えて、その実、会議全体を静かに俯瞰していた。
なぎさちゃんも居ます。最後にほむほむに喰われたという関係性もありますが、作戦の役割的にもメタ的にも外せないですね。劇場版といえばこの子なんで。
ほむほむに喰われたことをしょっちゅう擦ってきますが、仲は悪くないですよ。
でも、あんまりほむほむとベタベタするとマミさんが嫉妬するんでほどほどにね、なぎさちゃん。
……たぶん分かっててやってそうだけど。
とまあこんな感じで、なかなかに濃ゆいメンツが勢ぞろいしております。
で、ひと通り意見も出たところで、そろそろ作戦をまとめていきましょう。
>「整理するわね」
>ほむらが再びスクリーンへ向き直る。これまでに出された意見が統合され、施設の見取り図の上へいくつもの経路と役割が重ねて表示されていく。
>「まず、まどかとあかりでインキュベーター側の基幹系統へ干渉。現地個体と本体との通信を可能な限り遮断する」
>「うん。フィールド側だけじゃなくて、現地の端末にも干渉するよ。観測系を撹乱して、こっちの物理介入を認識しづらくする」
まずは電子戦――というか魔法戦――というか、なんかもうよく分かりませんが、とにかく淫獣の目と耳を潰します。
完全に停止させようとすると失敗する可能性があるので、表向きは動いてるように見せながら中身だけズラす感じですね。
>「その間に現地へ戦闘要員を投入。施設内の監視端末とインキュベーター個体を、短時間で一斉に排除する」
>「チンタラやる理由はねぇな。一気に片付けりゃいいんだろ?」
>「ええ。可能な限り同時にお願い」
ここで火力組の出番。
監視網を物理的にぶっ壊して、現地側から情報を拾える手段そのものを消します。
>「その後、神楽が被験体周辺を隔離する」
>「承知いたしました。
>スクリーン上で、五つの被験体を中心とした空間が淡い膜に包まれる。
>「これで内部から外へ向かう観測、通信、魔力干渉をまとめて遮断する。外部から見れば、そこだけ完全なブラックアウト状態になるはずよ」
つまりこう。
まず基幹系をハッキング。次に現地の目玉を全部潰す。
そのうえで神楽ちゃんの帳を被せて、施設を丸ごと情報的に完全遮断。
三重に蓋をするわけですね。
>「そして、その状態なら……」
>まどかがスクリーンを見つめる。
>「わたしがあの子たちのところへ行っても、キュゥべえには見えない?」
>「少なくとも、今得られている情報の範囲ではね」
>「ブラックアウト中にあなたが五人を導く。救済が終わり次第、全員撤収。最後に痕跡を消して、通信を復旧させる」
>「あの子たちを助けながら、キュゥべえにも何が起きたのか分からないようにできるんだね」
>まどかが少しだけ表情を緩める。
>「ええ。少なくとも、正面からあなたが出ていくよりは遥かに安全よ」
女神サマも納得してくれました。
やること自体は単純。見えなくする。聞こえなくする。全部潰す。その隙に救う。
実に分かりやすい。
じゃあ作戦内容が決まったところで……と言いたいところなんですが。そうは問屋が卸しません。
あかりちゃんに注目。さっき偵察で抜いてきた現地の生データを、会議を聞きながらずっと裏で解析していたんですが……
>「…………え?」
>あかりの指が、パネルの上でぴたりと止まった。
>目を見開いたまま、表示されたデータを食い入るように見つめる。何度か別のログを呼び出し、照合するように画面を切り替えていくが、そのたびに表情から血の気が引いていく。
どうやら、何かとんでもないものを見つけたようです。そのまま席を立ってほむほむのところへ。
>あかりは足早にほむらへ近づくと、その耳元で何かを告げた。
>「……!?」
>ほむらの目が大きく見開かれる。
>「……本当なのね?」
>あかりは無言でこくりと頷いた。
さっきまで詰めてた作戦、そのままじゃ駄目っぽいです。いったん白紙に戻しましょう。
そろそろ席を立ちかけてるメンバーもいるんで、全員呼び止めます。
>「――みんな、ちょっと待って」
ここで衝撃の事実が判明します。会話シーンをどうぞ。
「――みんな、ちょっと待って」
ほむらのよく通る声に、席を立ちかけていた者達も含め、全員の動きが止まった。
「悪いけれど、さっきの作戦はいったん白紙に戻すわ」
その言葉に、円卓を囲む少女達の視線が一斉にほむらへ集まる。
疑問の声が上がるより先に、あかりが立ち上がった。
「偵察で得たデータを解析してたんだけど……その中に、こんなのがあったんだ」
手元の端末を操作すると、円卓上のスクリーンへ新たな情報が投影される。映し出されたのは、先ほど確認した五基の黒いチェンバー。その内部構造を透過したような解析図だった。
集まった少女達の視線が、一斉にそこへ向けられる。
「最初は、単なる生命維持装置だと思ってた。中に被験体の身体が入っていて、ソウルジェムとの接続を保ちながら状態を観測してるんだって」
あかりはそこで一度言葉を切った。
「……でも、違った」
画面が拡大される。
そこに表示されていたのは、辛うじて人体の一部と判別できる程度の、生々しい組織の集合だった。
脳を中心とした神経系。その周囲には、意識と感情、そしてソウルジェムとの接続を維持するためと思われる最低限の器官と組織だけが残されている。それらが無数の管と装置へ繋がれ、チェンバー内部へ固定されていた。
「解析結果を見る限り、残されてるのはこれだけ。脳と神経系、それからソウルジェムとの接続を維持するのに必要な生体組織」
誰かが、息を呑む音が響いた。
あかりの指が動き、今度はチェンバーとソウルジェムを繋ぐ経路が強調表示される。
「つまり、これは生命維持装置なんかじゃない」
「ソウルジェムを実験対象として機能させ続けるために、必要な生体部品だけを維持する装置なんだ」
円卓を囲む空気が、一瞬で凍りついた。
「……じゃあ」
まどかが掠れた声を漏らす。
あかりはすぐには答えなかった。ほんのわずかに視線を伏せ、重苦しく続ける。
「たぶん、あいつらは最初から……実験が終わったあと、この子達を元の身体へ戻すことなんて考えてない」
その言葉が落ちたあと、しばらく誰も口を開かなかった。
息を呑む者。顔色を失う者。目を伏せる者。ある者は膝の上で拳を握りしめ、ある者は怒りを押し殺すように小さく肩を震わせている。
先ほどまで面倒そうにしていたあすみですら、表情を歪めて解析図を睨みつけていた。
「……ゴミクズどもが」
低く吐き捨てるような、強い殺意を滲ませた声。
ほむらは何も言わず、先ほどより険しい表情のままスクリーンを見つめている。
「……それだけじゃないんでしょ?」
静かな声がその場に響いた。さやかだった。
声こそ落ち着いているが、その目は据わっていた。怒りを押し殺し、辛うじて冷静さを繋ぎ止めている。
「あんたが、あれだけ血相変えたってことは」
「まだ、なんかあるんでしょ。たぶん」
ほむらは、わずかに間を置いてから頷いた。
「……ええ。その通りよ」
手元を操作すると、スクリーンの表示が切り替わる。
映し出されたのは、先ほどのチェンバー内部をさらに拡大した解析図。ソウルジェムの表面には、無数の細い線が絡みつくように巻き付いている。
「問題は、これよ」
ほむらがその部分を指し示す。
「ソウルジェムには、それぞれ個別に状態を追跡する観測装置が直接接続されている」
「観測装置……?」
まどかの表情が強張る。
「便宜上、あたし達は“アンカー”って呼んでる」
あかりが横から補足し、表示をさらに拡大した。
赤い紐にも血管にも見える細線が、宝石の表面へ幾重にも絡みついている。根元はチェンバー内部の観測系へ伸び、その先で複数のセンサーへと枝分かれしていた。
さらに、もう一方は五角形に並べられたチェンバーの中央――観測情報を集約する装置と思しき黒い球体へ接続されている。
「濁り具合だけじゃなくて……魔力反応、構造変化、出力の揺らぎ――それから、形そのものの変化まで追えるようになってる」
「形……?」
「たぶん、あいつらも臨界点の先で何が起きるか分かってないんだよ」
あかりは別の解析図を呼び出す。
そこには、球体だったソウルジェムが膨張する図、逆に収縮する図、崩れるように変形する図など、いくつもの予測モデルが並んでいた。
「膨らむのか、縮むのか、壊れるのか。まったく別の形に変わるのか。それとも、物質としての状態そのものが変わるのか」
「……相転移」
まどかが小さく呟く。
「そう。だからあえて紐みたいな形にしてるんだと思う」
「表面へ密着させておけば、多少膨張しても収縮しても追従できる。形が崩れても接触を維持できるし、構造そのものが変化した瞬間も拾いやすい」
ほむらがあかりの後に続ける。
「つまり、さっきの案では不十分なのよ」
「外との通信を遮断して、現地のインキュベーターと監視装置を潰したとしても――このアンカーが残っている限り、ソウルジェムそのものは観測され続ける」
「……じゃあ」
まどかの声が僅かに震える。ほむらは彼女を見た。
「あなたが円環として直接あの子達へ干渉すれば、その瞬間に生じた異常まで記録される可能性がある」
「だったら、そんなもんぶっ壊せばいいんじゃねえの?」
杏子が苛立たしげに口を挟んだ。
「その紐だかなんだか知らねえけど、邪魔なら切っちまえばいいだろ」
しかし、ほむらは静かに首を横へ振った。
「それができれば、一番簡単だったのだけど」
あかりが操作すると、スクリーン上にアンカーの状態遷移を示す図が表示された。
「解析した限り、このアンカーが正常に接続を解除する条件は一つだけ。ソウルジェムが規定された臨界点へ到達した時よ」
「……正常に?」
さやかが眉をひそめる。
「ええ。それ以外――破壊、切断、機能停止。何らかの理由で予定外に接続が失われた場合、自動でセーフティが作動する」
表示が切り替わり、チェンバーの内外へ無数の細い線が広がった。
あかりが引き継ぐ。
「その瞬間、通常の観測系とは別に用意されたサブシステムが起動する。こっちは映像とか魔力波形を見るためのものじゃなくて……因果の揺らぎとか、局所的なエントロピー変動みたいな、“何かが介入した痕跡”を拾うことに特化してるみたい」
「つまり……アンカーを壊したあとでわたしが助けに行ったら、その時の変化を拾われるかもしれないってこと?」
「その可能性が高いわ」
ほむらの声に、露骨な嫌悪が混じった。
「仮に私たちの介入で実験そのものが失敗しても構わない。その代わり、“何者かが介入した”という痕跡だけでも追跡できればいい――そういう発想なのでしょうね」
眉を顰め、顔をしかめる。
「……用意周到すぎて、反吐が出るわ」
「じゃあさ」
今度はあすみが頬杖をついたまま口を開いた。
「その棺桶ごと担いで持って帰っちゃえば? 紐切るからダメなんでしょ?」
「それも考えたわ」
ほむらは即座に答える。
「けれど、アンカーは接続状態だけを監視しているわけじゃない。設置された座標から一定以上移動した場合にも異常と判定される」
「……マジ?」
「チェンバーごと動かした時点で、同じようにサブ監視へ移行する可能性が高い」
「うっわ。めんどくさ……」
あすみが心底嫌そうに顔をしかめた。
「だったらさぁ」
次いで、ホムラが腕を組む。
「その監視だのなんだのを、まとめて全部ぶっ壊しちまえばいいんじゃないのかい? 見るモノが全部なくなれば同じことじゃないか」
「それも難しい」
ほむらがスクリーンを切り替える。
実験区域全体の立体図が浮かび、その内部へ蜘蛛の巣のような光の線が張り巡らされていく。ひとつの中心からではなく、無数の小さな節点が相互、かつ複雑に接続されていた。
「監視網そのものが、広大な区域全体へメッシュ状に分散されている。明確な中枢が存在しないのよ」
「中央にあった黒い玉は?」
「あれは五基のチェンバーから送られてくる情報を局所的に集約してるだけ。システム全体の中枢じゃない」
あかりがいくつかの節点を消す。直後、残った節点同士が別の経路で繋がり直した。
「ほらね。何ヶ所か潰しても、即座に別ルートへ迂回する。区域が広すぎるし、全部を完全に同時破壊するのはほぼ無理だね」
「……じゃあ」
まどかがためらいがちに口を開く。
「わたしが直接、この仕組みに干渉して止めるのは?」
一瞬、沈黙が落ちた。ほむらはまどかを見つめ、やがて小さく首を振る。
「それも、可能であれば避けたいわね」
「どうして?」
「中枢がない以上、あなたが一ヶ所へ干渉しただけでは止まらない。それに、この監視系は外部との通信がなくても単独で動けるよう、ほとんどがローカルで完結しているわ」
あかりも苦い顔で頷く。
「下手に女神サマが先に触ったら、その“触ったこと自体”を異常として記録される可能性がある。むしろ一番見せたくない痕跡を、自分から残すことになりかねないよ」
「…………」
まどかが口を閉ざす。
壊せない。切り離せない。動かせない。
監視網そのものを消し去ることも難しい。
そして、
次々と出された案は、そのたびに潰されていった。
やがて円卓を囲む少女達の間に、重苦しい沈黙が落ちる。
誰もが同じ疑問を抱いていた。
――では、どうすればいいのか。
重苦しい沈黙が、円卓を包んでいた。
誰もがスクリーンに映る複雑な監視網を見つめたまま、答えを見つけられずにいる。
その中で、ふと千景が口を開いた。
「……ねえ」
全員の視線が集まる。
千景は頬に指を添え、何かを思案するように僅かに目を細めた。
「発想を、変えるのはどう?」
「……発想を?」「ええ」
千景は、スクリーンに映る監視網へ視線を向ける。
「見られることそのものを防げないのなら――無理に隠さなくてもいいんじゃない?」
ほむらが僅かに眉を動かした。
「どういう意味?」
「隠すのではなく、あえてこちらにとって都合のいいものを見せるのよ」
千景はゆっくりと指を組む。
「向こうが濁りの先――ひいては私たちを観測したがっているのなら、その思考を利用してしまえばいい」
ほんの少し考えるように間を置き、続けた。
口元に、芝居がかった薄い笑みが浮かぶ。
「たとえば――どうにかして、あいつらにこう思わせるの」
「“ソウルジェムを限界まで濁らせても、結局は魔獣になるだけ。わざわざこんな実験を続けても、大したメリットはない”――とかね」
「……!」
ほむらの目が僅かに見開かれた。しばらく何も言わず、千景を見つめる。
そして。
「……少し、待ってもらえるかしら。代案を考えるわ」
小さく呟くと、ほむらは視線を落とした。
頭の中で、これまで得た情報をひとつずつ組み直していく。
観測アンカー。正常な解除条件。臨界点。
魔獣。インキュベーターの観測目的。
そして――こちらが見せたい結論。
(………………)
ほむらの思考が、猛烈な勢いで加速していく。
……いやぁ。あの淫獣、えげつないこと考えますねほんまに。
被験体を複数用意するところまでは分かるんすよ。
個体差がありますからね。サンプルは複数あったほうがいい。
でも専用のアンカー仕込んで、邪魔された時用の監視系まで別に用意して……挙げ句の果てに、身体まであんなことにしてると。
そこまでする? 普通に寝かせとくだけじゃダメなんか?
って思いますが、意識とソウルジェムさえ維持できれば、身体そのものは実験に必要ないってことなんでしょうね。
我々人類にはいささか理解が及びませんなあ。
しかし、こいつらなんでここまで宇宙の延命に固執してるんやろなぁ。生存本能なのか、それともまた別の何かなのか。
……まあ、今考えても仕方ないんで置いときましょう。
その間も、ほむほむは絶賛長考中です。
>ほむらは目を伏せたまま、頭の中で条件をひとつずつ組み直していく。
>(アンカーを外すことはできない)
>(チェンバーを動かすことも、監視網そのものを完全に破壊することも現実的ではない)
>(そして、まどかが先に干渉すれば、その痕跡を拾われる可能性がある)
>(なら――ソウルジェムにも、監視システムにも、こちらから余計な干渉を加えず)
>(なおかつ、私たちの存在を悟らせることなく五人を救うには……?)
>やがて、散らばっていた条件がひとつの結論へと収束する。
>ほむらの眉間に、深い皺が刻まれた。
>(…………方法は、一つ)
>そこで彼女は、ちらりとまどかの方を見る。
>自身の答えを待つその眼差しを見つめ、ほむらは僅かに唇を噛んだ。
>(でも、それは……あまりにも――)
お。どうやら攻略上の
かーなーり気が進まない内容みたいですが。
まあ何を思いついたのかについては――この先の会話を見てもらった方が早いでしょう。
長い沈黙のあと、ほむらはゆっくりと顔を上げた。
その視線は、一度だけまどかへ向けられる。
「……方法は、ある」
小さな、しかし円卓を囲む全員の耳にはっきりと届く声だった。
まどかが僅かに身を乗り出す。
「本当……?」「ええ」
ほむらはそう答えながらも、すぐには続きを口にできなかった。
一度息を整え、慎重に言葉を選ぶように間を置く。
「アンカーを異常作動させず、監視網にも余計な痕跡を残さない。そのうえで、あの子たちを救う方法が」
そこでまた、言葉が止まった。ほむらの指が、僅かに強く握り込まれる。
(…………)
苦いものを飲み込むように、ほんの僅かに唇を噛む。
そして――意を決したように告げる。
「私たちの痕跡を極力残さず、あの子たちを救うには……」
「――いちど、正常に、実験を終了させるしかないわ」