魔法少女まどか☆マギカ -Kaleidoscope- 実績「時をかける魔女」獲得実況プレイ 作:Hotpepper_N
時は、少しさかのぼる。
演出班による“第一幕”が順調に進行していた頃。
円環――観測の間。
無数の光景が浮かぶ空間の中で、ほむらは眼前に並ぶ複数の画面を静かに見つめていた。
ひとつには、あすかの烏を通じて送られてくるフィールド外周の監視情報。使い魔たちの位置や活動状況が、刻一刻と更新されている。
別の画面には、事前調査によって解析されたフィールド内部の立体マップ。その上には監視設備と、それぞれがカバーする観測範囲が重ねて表示され、さらに演出班六人の現在位置を示す光点が絶えず動き続けていた。
ほかにも、認識阻害フィールドの安定度、あかりから共有される電子戦の推移、外部から接近する魔力反応の有無――作戦に必要な情報が、それぞれ独立した画面へ整理されている。
ほむらはそれらへ順番に目を走らせながら、内部マップの変化を追っていた。
四人はすでにフィールド内部へ侵入済み。
少し離れた場所では、千景とホムラが扮する偽魔獣が彼女たちを追い立てながら、予定通り監視設備を削っている。
マップ上から監視範囲を示す色が一つ、また一つと消えていく。
そして演出班の移動に合わせるように、潰された監視の目――観測の空白が、少しずつ一本に繋がり始めていた。
フィールド外縁からX地点へ、侵入に必要なルートが形になろうとしている。
「……頃合いね」
というわけで第二幕――の前に。
第一幕の裏でほむほむ達が何をしていたか、ちょっくら見ていきましょう。
ここから少しだけ時間を巻き戻して、別視点のキャプチャに切り替えます。
>視点切り替え:ほむら
>「侵入ルートがもうすぐ確立するわ。
>『うん、こっちでも確認できてる。グッドラック』
あかりちゃん、ものすごい勢いでキーボード叩いてます。電子戦が佳境のようです。
>「みんな、準備はいいかしら」
>ほむらがどこへともなく声をかけると、影空間からそれぞれ返事が返ってくる。
>『オッケー、いつでもいけるよ』
>『ほぇ~……これがほむらちゃんの……』
>『行けるぜ』
>『ドウシテワタシハアンナコトヲ……ミンナイタノニ……』
>『差し支えございません』
>『は、はいっ……!』
まどかは興味津々といった様子で、あちこちきょろきょろしてます。ずっと気になってたもんね。
ちなみに、影空間の内部は全天周モニターのコクピットみたいになってます。
一人ひとりに個別の仮想空間が割り当てられてるらしく、お互いの姿こそ見えませんが、そこにいることはなんとなく感じ取れる模様。会話も普通にできます。
>「……マミさん?」
>『……ハッ!? ご、ごめんなさい。準備はできてるわ』
今さら恥ずか死してて草。まぁさっきのは撮れ高的にうま味なんでOKです。
というわけで、これからほむほむwith戦闘班も凸します。神楽ちゃんの出番ももうすぐですね。
>「神楽。あなたが入るタイミングは分かっているわね?」
>「其方が報を告げた時、ですね。承知仕っております」
よしOK。そんじゃちょっくら行ってきますんで。
>「ぐっどらっく」
>神楽は短く頷くと、なぜか親指を立てた。
>『ブフォッ!!』『ちょっと、さやかさん?』
>『ご、ごめ……だって、あんな真顔で……ククッ、ヒッwww』
>『わ、笑っちゃだめだよ……』
>さやかを窘めるまどかの肩も、かすかに震えていた。
神楽ちゃんまさかのボケ炸裂。
こんなことする子だったっけ……あかりちゃんの真似か。
>「……はぁ。行くわよ」
>締まらない空気にため息を吐きながらも、ほむらは転送陣を起動した。
はい、やってきました現世。
今ほむほむがいるのは、先ほど演出班が降り立った第一地点。
ここから開通したルートへ入り、監視の目をくぐりながらX地点までBダッシュします。
てなわけで、さやかちゃん、ちょっとスキル借りますよ。
>ほむらが念じると、影空間内のさやかがそれに応える。自らの魔力を、ほむらへ送り出すように流し込んだ。
>《アレグロ》*1
ほむらの足元に、五線譜と音符を象った蒼い魔法陣が浮かび上がる。
淡い燐光が全身を包み込むと、ほむらは大きく地面を蹴った。
ドンッ!!
足元の地面が弾け、身体が弾丸のように前方へ押し出される。
向かう先は、認識阻害フィールドの表層。
あかりたちの干渉によって補正に生じた、ごくわずかな揺らぎ。その濃淡を、ほむらは走りながら瞬時に見極めていく。
(――右斜め前)
進路をわずかに修正し、認識阻害の補正が最も薄く、監視の死角にも重なる箇所へと駆ける。
そのままQBに気づかれることなく境界をすり抜け、フィールド内部へ飛び込んだ。
景色が猛烈な勢いで後方へ流れていく。
視界の両端では建造物や瓦礫が線となって伸び、次の障害物が瞬く間に眼前へ迫ってくる。
ほむらはそんな中でも微塵も視線を揺らすことなく、頭の中に叩き込んだ立体マップを反芻する。
監視設備の位置、観測範囲、死角。すでに破壊された箇所。
――三十メートル先、左。次の分岐を右。
――想定進路に大型の瓦礫。飛び越えると監視範囲に接触――ルート修正。
崩れた構造物の脇を紙一重ですり抜け、すぐさま次の死角へ。
潰された監視の目と目の間――演出班が切り開いた細い空白を縫うように、何度も軌道を修正しながら駆け抜けていく。
(――そろそろね)
ほむらは走りながら視界の端へマップを浮かべる。
演出班の位置を示す光点は、すでに実験施設外縁まで接近していた。
奏は予定通り単独で施設内部へ。残る縁、愛理、なぎさも、偽魔獣に追い立てられながら予定地点へと距離を詰めている。
ほむらは速度を落とさぬまま、演出班へテレパシーを繋ぐ。
『――演出班、“スモーク”の準備』
短い指示。それだけで演出班は各々、すぐさま次の段取りへ移る。
『緋鞠さん、千景。三人を
『了解』
返答とほぼ同時、遠く離れた場所で偽魔獣が大きく腕を振りかぶった。
仮面の奥で赤い光が膨れ上がる。次の瞬間、巨大な火球が縁たち三人の進路へ叩き込まれた。
ドゴォォォォン!!
爆炎が弾け、地面が大きく抉れる。
「うわぁぁっ!?」「きゃあああっ!!」「ひゃああああ!?」
三人の身体が爆風に巻き上げられ、そのまま実験施設側へ派手に吹き飛ばされていく。
もちろん、まともに直撃を受けたわけではない。爆発の瞬間に地面を蹴り、吹き飛ばされたように見せながら、それぞれ予定地点へと滑り込んだのだ。
その光景を確認した偽魔獣が、ゆっくりと腰を落とす。
巨体を支える両脚が深く沈み込み、周囲の地面へ亀裂が走った。
赤黒い炎が足元へ集中し、爆発的な魔力が圧縮されていく。
ゴオォッ!!
ほぼ同時に、最後の死角を駆け抜けたほむらもX地点へ滑り込んだ。
地面を滑るように急制動をかけながら、間髪入れず耳元の通信機へ手を伸ばす。
「――神楽」
『はい』
たった一言の応酬。阿吽の呼吸で神楽は動いた。
次の瞬間、神楽の姿がフィールドの遥か上空――雲がかかるほどの高度に顕れる。
出現と同時に、その身体が真下へ落ちた。
神楽は自ら身体を加速させ、自由落下では到底あり得ない速度で地上めがけて急降下していく。
風を切り裂き、雲を突き抜け、神楽は一直線にフィールドへ迫った。
そして――ほぼ同時。
ゴォンッ!!
地上が爆ぜる。限界まで身を沈めていた偽魔獣が、圧縮していた魔力を一気に解放した。
巨体が爆炎を引きながら天へと撃ち出され、凄まじい速度で高度を上げていく。
上から降りる神楽。下から昇る偽魔獣。
二つの影が、真逆の軌道を描きながら急速に接近していった。
その頃、観測区画では、巨大な魔力反応が突如として地表から消失していた。反応を追っていたQBたちの意識が、一斉にその異常へ向けられる。
そのわずかの間に、神楽は認識阻害フィールドの境界へ到達し、そのまま内部へ滑り込んだ。
同時に、神楽は急降下の勢いを一瞬で殺し、空中でぴたりと静止した。
直後――そのすぐ下を、赤黒い炎を纏った巨体が轟音とともに駆け抜けていく。
莫大な魔力反応が周囲の観測情報を塗り潰す。その陰に紛れ、神楽の侵入によって生じた小さな揺らぎは、ノイズの中へ呑み込まれて消えた。
ほむらは上空を見上げた。そこには――静かに宙へ佇む、神楽の姿があった。
次の瞬間、しん、と空気が静まった。
まるでそこだけが世界から切り取られ、時間が引き延ばされていくような錯覚。
轟音も、喧騒も、急速に遠ざかっていく。
風ひとつないはずの空中で、神楽の髪がゆらりと持ち上がった。
袖が揺れ、衣装の裾が水中に漂う布のようにゆっくりと波打ち始める。
やがて神楽は目を伏せる。左手を静かに胸元へ添え、一度だけ深く息を吸う。
そして右手に携えていた得物を、ゆっくりと正面へ構えた。
神楽鈴とも大幣ともつかない祭具。鈴のついた長い柄。その先からは、幾重もの白い紙垂が垂れ下がっている。
厳かでありながら、研ぎ澄まされた無駄のない所作。
――しゃらん。
かすかに鈴が鳴り、紙垂がざわりと揺れる。
同時に、神楽の足元へ光が灯った。曼荼羅とも、太極図ともつかない巨大な魔法陣が静かに描き出されていく。
そこから幾筋もの光が虚空へ伸び、ゆっくりと空間を走っていった。
やがて神楽が、静かに口を開く。
その声は澄み渡り、不思議なほど鮮明にほむらの耳へ届いた。
「――掛けまくも畏き、天つ神、国つ神、八百万の御前に白さく」
「
「天の八重雲を千々に分かつが如く、現し世と
「現し世に繋がる縁を薄め、世の外、時の外へ至る路を披き給へ。未だ来たらざるもの、既に過ぎ去りしもの、その名、その相、その理を、余さず記し留むる幽き処へ」
「此処より溢るる力、境を震はすあらゆる兆しを、彼方へ流し、彼方へ送り、現し世にその跡を留めざらしめ給へ」
「白き帷よ、八重に垂れよ。境よ、揺らげ。座よ、その定まりを失へ。――畏み、畏みも白す」
神楽はそこで言葉を止めた。静寂の中、正面へ構えた祭具をゆっくりと掲げる。
幾重もの紙垂が大きく翻り、先端に連なる鈴が一斉に震えた。
「――
シャンッ――!!
強く打ち鳴らされた鈴の音が、澄み切った余韻を残して空間へ広がっていく。
その瞬間、頭上を覆う白と黒の幾何学模様が揺らいだ。
フィールドの天井、その表面に水面のような波紋が走り、規則正しく並んでいた図形がゆっくりと歪み始める。
白と黒の境界が滲み、重なり合い、やがてその隙間から淡い輝きが差し込んだ。
雲間からこぼれる薄明にも似た、それでいてこの世のものとは思えない光。
それは次第に幾何学模様の向こう側を満たし、ついには障壁そのものが半透明の薄膜のように霞んでいく。
その奥に現れたのは、果ての見えない光の天蓋。そして、そのさらに彼方で何かが揺れた。
白地に、紫色の木目を思わせる奇妙な文様。
端から端まで見渡すことすら困難なほど巨大な幕が、天蓋の彼方から次々と垂れ下がっていく。
やがて、それらは施設一帯を取り囲むように広がり、一斉に落下した。
バサァッ――!!
幾重もの白い幕が障壁を内側から覆い尽くすように降り注ぎ、そこに存在するすべてを丸ごと呑み込んでいった。
「……すげぇ……」
眼前の光景に、縁が思わず呟いた。
幕に覆われた空間は、ここが“どこに属する場所なのか”という感覚がひどく曖昧になっていた。
ここに在るけれど、ここにはいない。そんな奇妙な違和感だけが、はっきりと残っていた。
その時、どこからともなく重い音が響いた。
ガコン――
金属同士が噛み合うような音とともに、頭上の天蓋、その遥か奥に円形の輪郭が浮かび上がる。
巨大な歯車にも見えるそれの中心には、ぽっかりと穴が開いていた。
その向こうにかすかに見えるのは、一本の長いトンネル。
壁一面を埋め尽くすように無数の本が並び、果ての見えない奥へ続いている。
――ガチン。
最後にひときわ大きな音が響き、淡い光が空間全体を一度だけ走り抜けた。
神楽は静かに目を開き、衣装の裾と白い紙垂をゆるやかに揺らしながら、音もなく高度を落とし、ふわりと地上へ降り立った。
>メッセージ:《朽木》展開、および████との接続完了。
はい、隔離完了。
おいほら見てみろよ、誰も来ねぇぜここ。すっげぇ山奥(?)だからさ(KBTIT)
にしても、このゲームほんと演出がオサレで見てて飽きませんね。
こんなクソデカ領域展開を一人でやってのけるあたり、神楽ちゃんがいかに規格外なのか分かるってもんです。
では彼女にはそのまま要石になってもらいましょう。動けないんで護衛必須です。
>「まもり」『はいっ』
>短い返事とともに、ほむらの影からまもりが飛び出す。
>そのまま神楽のもとへ駆け寄ると、彼女を背に庇うように立ち、外側へ向き直った。
>《スクード・ディアマンテ:ドゥオーモ》
>まもりは盾を地面へ突き立て、魔法を発動する。
>甲高い音とともに盾の縁から淡い緑の魔力が噴き上がり、そのまま神楽を中心として半球状に広がっていく。
>やがて光は巨大なドームを形作り、二人の周囲をすっぽりと覆う強固な障壁となった。
これで安全地帯完成。そんじゃなぎさちゃん、奏ちゃんも中へ……と、その前に。
千景ちゃん、そろそろ限界みたいですね。役目は果たしたんでもう変身解いていいっすよ。
>次の瞬間、乾いた音とともに、偽魔獣の顔を覆っていた白い仮面が砕け散った。同時に、燃え盛る巨体の輪郭が大きく揺らぐ。
>巨大な人型を形作っていた炎が、内側から崩れるようにほどけていく。次第に輪郭を失い、赤黒い火の粉となって宙へ散っていった。
>その中心から、ひとつに重なっていた二つの人影がゆっくりと分離していく。
お疲れさまでした。二人の怪演に拍手を。
>炎が完全に消え去った時、そこに残っていたのは、それぞれ元の姿へ戻ったホムラと千景だった。
>「っ……はぁ……はぁ……」
>ホムラは肩を大きく上下させ、額にはびっしりと汗が浮かんでいる。
グラッ――
>その隣で、千景の身体が大きく傾いた。
>「……っと!」
>ホムラが咄嗟に腕を伸ばし、倒れかけた身体を抱き留める。
>衣装は至るところが黒く焼け焦げ、露出した肌にも炎に長時間晒された痕が広がっている。それでも千景は苦痛を表へ出すまいとするように、辛うじて表情を保っていた。
うわあ痛々しい。よく頑張ったよホントに……。
>「千景さんっ!」
>戻ってきていた奏が駆け寄る。その声に続いて、縁と愛理も二人のもとへ集まった。
>「……すまない、やりすぎた」
>ホムラが珍しく沈んだ声で呟く。
>「何を今さら……予定通りでしょう? 少し、疲れただけよ」
>千景は息も絶え絶えで、それでも微かに口元を緩めた。
いやいやどう見ても瀕死でしょあなた。役者根性にも限度があるって。
自力で移動は無理っぽいですね。緋鞠のアネゴに抱っこしてもらいましょう。
>「……しょうがないね。ほら」
>ホムラは千景の背と膝裏へ腕を回し、その身体を抱き上げた。
>「……シンデレラに抱かれるなんてね」
>「今のあんたは手負いの王子サマってやつだ。おとなしくしてな」
>千景を抱え、ホムラは障壁の内側へ駆け込んでいく。その姿を目にしたまもりが、思わず息を呑んだ。
ああ、ショックだよねえ……でも、気を強く持ってもらわないと。
>「千景さん……」
>黒く焼け焦げた衣装。炎に晒された肌。間近で見るその惨状は、遠目に眺めていた時以上に凄惨だった。
>まもりの顔から、さっと血の気が引く。
>「……そんな顔をする必要はないわ」
>ホムラの腕の中から、千景が静かに声をかけた。
>「舞台を
>「でも……」
>「あなたには、まだ役が残っているでしょう?」
>千景は疲労に霞む目で、それでもまっすぐにまもりを見据えた。
>「なら、舞台裏ではなく
>「……っ」
>まもりは唇を結び、震えかけていた手で盾を強く握り直す。
>「……はい!」
>そう答えると、まもりは神楽たちを背に庇うように立ち、障壁の外へ視線を向けた。
よし、腹括ったようです。なぎさちゃんも合流したんで、奏ちゃんと一緒に中へ。
>なぎさと奏が障壁の内側へ飛び込み、そのままドーム内の対角位置につく。互いの死角を補うように外側へ向き、周囲への警戒を始めた。
>千景はその様子を見届けると、ようやく安心したように目を閉じ、そのまま意識を手放した。
お休み、千景ちゃん。あとは予定通り戦闘班を展開するだけです。
>安全地帯の配置が整ったことを確認し、ほむらは足元へ視線を落とした。彼女の影が地面を這い、大きく引き延ばされる。
バシュン!
>次の瞬間、まどか、さやか、マミ、杏子の四人が影の中から一斉に飛び出した。
>さやかと杏子が前衛。そのやや後方中央にほむらが立ち、さらに後ろへまどかとマミが展開する。
上から見ると、四人を頂点にした台形っぽいフォーメーションですね。その対角線が交わるあたりにほむほむがいる感じ。
まあ戦闘が始まったら全員動き回るんで、ぶっちゃけ陣形としては長持ちしません。でも形から入るのは大事。
じゃあ残りのお二方、おいでませ。
>ほむらの背後から、縁と愛理が勢いよく駆け込んでくる。
>そのまま二人は足元へ大きく引き延ばされた影へ飛び込み、吸い込まれるように姿を消した。
よぉし、これで準備万端。あとは待つだけ。
>戦闘班はそれぞれの位置についたまま、五基のチェンバーへ視線を向ける。そこに固定された五つのソウルジェムは、すでにどす黒く濁り切っていた。
これはもう秒読みですね、いいタイミングです。
と、あかりちゃんから通信。全員傾注。
>『全員、臨戦態勢。そろそろだよ』
>ほむらの表情が引き締まる。まどか、さやか、杏子がそれぞれ武器へ手をかけ、マミも静かに銃を構えた。
>『臨界予測まで、残り五秒。カウントダウン開始』
>『五』
>まどかの表情がわずかに歪む。
>『四』
>アンカーに繋がれた黒い球体を囲むリングが、わずかに周回を速める。
>『三』
>表面を覆う濁りが、内部から脈打つように揺らいだ。
>『二』
>ほむらがわずかに腰を落とす。
>『一』
>五つのソウルジェムに、かすかに震えが走る。
>『――ゼロ』
ピ キ ッ
>最初に、小さな亀裂が走った。表面を這うように細い罅が伸び、枝分かれしながら瞬く間に全体へ広がっていく。
ピキ、ピキキッ――
>あかりの予測通り、すべてのソウルジェムがほぼ同時に限界を迎え、その殻を内側から突き破ろうとしていた。
パキィン!!
>乾いた破砕音が重なり、五つのソウルジェムが一斉に砕け散る。その瞬間、それぞれのジェムへ繋がれていたアンカーの細い紐が、ふっと張力を失った。
>縛る対象を失った紐はするするとほどけ、役目を終えたようにチェンバーの周囲へ垂れ落ちていく。
>《臨界点到達:実証フェーズ終了》
>《観測アンカー:正常解除》
>《ERROR:目視観測システムに接続できません》
よし。アンカーは全部、予定通り正常解除。
>そして、砕けたソウルジェムの跡には、五つのグリーフシードが静かに浮かび上がった。アンカーはすでに対象との接続を失っている。
これでアンカー経由では、その後に現れたものの形状までは拾えません。
本来なら、ここを埋めるためにあいつらもちゃんと目視監視を用意してましたが……さっき全部焼いたのでモーマンタイ。
>五つのグリーフシードから、どす黒い奔流が一斉に噴き上がった。それらは渦を巻きながら周囲へ広がっていく。
>同時に、周囲の空間が歪む。色彩が滲み、意味を持たない模様が断片的に浮かび上がり、五つの結界がそれぞれ形を取り始めた。
>だが、五つの結界はそれぞれ独立していなかった。互いの展開範囲が重なった箇所では、異なる色彩と意匠が押し合うように滲み、境界線が絶えず揺らいでいる。
>それらは同じ場所を奪い合うようにせめぎ合いながら、ひとつの歪な空間を形作りつつあった。
いよいよ魔女化が始まります。近距離で複数同時に魔女化するとこんな感じになるんですね。
それはそうと、ここですかさずお漏らし防止とエネルギー回収。
>魔女化に伴い、本来なら外部へ漏れ出すはずだった余剰の感情エネルギーが、空間そのものに微かな揺らぎを生じさせる。
>その影響を受け、頭上を覆う幾重もの白い幕が、ほんのわずかに波打った。
>「……」
>神楽はその変化を見逃さない。祭具を握る手に少しだけ力を込めると、足元の魔法陣が一段強く輝いた。
>白い紙垂が静かに揺れ、幕の張りが増す。先ほどまで生じていたわずかな揺らぎは、すぐさま収まっていった。
よし、問題ないですね。あとは余剰分を回収するだけ。
>五体の魔女を形作る黒い奔流は、そのまま現地に留まっている。その一方で、境界の外へ漏れようとしていた余剰の力だけが、別の流れへと切り分けられ、上方へ導かれていった。
>天蓋の遥か奥。先ほど開いた円形の孔へ向かって、黒い光の筋が細く引き延ばされながら昇っていく。やがてそのすべてが、孔の向こう側へ吸い込まれるように消えていった。
大丈夫そうですね。念のため、あかりちゃんのリアクションも見てみましょう。
>『……よし。回収成功、外部への漏出なし。境界変動も……うん、想定範囲内に収まってる』
>通信越しに、あかりの安堵した声が漏れた。
>『これなら後で記録を回収されても異変は見つからないはず。第一関門、突破だよ』
よぉし。あれだけ綿密に対策を積み重ねた甲斐があるってもんです。
>だが、すぐにあかりの声色が変わった。
>『……ごめん、ここからちょっと通信減らすね。本体側の干渉がかなり強くなってきた』
>背後では、キーボードを叩く音が先ほどよりもさらに激しくなっている。
>『何か致命的な異常が出た時だけこっちから連絡する。それ以外はしばらく無言になるよ』
>「了解。そちらは任せるわ」
>『うん。そっちも気をつけて』
電子戦もいよいよ修羅場っぽいですね。あっちは女神サマとあかり先生に任せましょう。
ここまで来たら、あとは五体の魔女が完全に姿を現すのを待って、まとめて戦闘開始――
……と思っていたのかぁ?(ブロリー)
いやまあ、ガバじゃないですよ。こっちは最初から全部知ってますんで。
というわけで、ここから先はちょっとしたサプライズ。続きはムービーでどうぞ。
溢れ出した黒い奔流は渦を巻きながら次第に色彩と輪郭を帯び、それぞれ異なる異形へと収束し始めていた。
その中で最も早く姿を現したのは、五角形の配置のうち、戦闘班から見て最奥にあたる一角に浮かぶ一体。
通常の魔女と比べれば、あまりにも小さい。
大きさはせいぜい人の背丈ほど。細長い釘のような部材と乾いた藁を無理やり束ねたような身体を持ち、その背には操作盤を思わせる板状の器官が張り付いている。
それを追うように、残る四体の輪郭も徐々に明瞭になっていった。
巨大な影が膨らみ、歪な四肢や異様な装飾が形を得て、それぞれの結界にも使い魔の気配が満ち始める。
五体すべての魔女化が、まもなく完了する。
さやかが剣を握り直し、杏子が槍を構える。マミは静かに銃口を上げ、まどかも弓へ手を添えた。目の前の魔女たちが完全に顕現した瞬間、一斉に畳みかける手筈だった。
そして四人が仕掛けようとした、その瞬間。
「待って。……何か、おかしい」
鋭い声が飛び、四人の動きが止まった。
「……ほむら?」
さやかが怪訝そうに振り返る。しかし、ほむらは答えない。
その視線はただ一点、誰よりも早く形を得た小さな魔女へと向けられていた。
やがてその異形が、かすかに身じろぎする。
その直後、床へ垂れ落ちていた細い紐が、ぴくりと跳ねた。
「……!」
先ほどまで五つのソウルジェムをアンカーへ繋いでいたものだった。
役目を終えたはずのそれらが、ふわりと宙へ持ち上がっていく。
魔女が、釘で構成された十本の指を動かした。
ソウルジェムを縛っていた側の先端が一斉に跳ね上がり、その指へきつく巻き付いていく。
そして――引いた。
小さな身体を大きく後ろへ反らし、全身の重みをかけて五本の紐を力任せに引く。
ぎち、ぎち、と中央装置が軋んだ。
それでも魔女は止めない。地面に埋まった巨大な根でも引き抜くように、さらに身体を後ろへ倒した。
ブチンッ!!
ついに接続部が耐えきれず、五本すべてが中央装置からまとめて引きちぎられた。
そして――変質する。
赤かった紐が黒く染まり、一本が二本へ、二本が四本へ。
細く裂けながら枝分かれし、瞬く間に無数の糸となって十指へ絡みついていった。
次の瞬間、魔女が両手を大きく広げると、無数の糸が残る四体へ向けて放たれた。
糸はそれぞれの身体へ次々と突き刺さり、その内部へ根を張るように深く食い込んでいく。
「「「「■■■……■■……!?」」」」
糸に貫かれた四体が、苦悶するような唸り声を上げて激しく痙攣した。
途端に、重なり合っていた結界の色彩と意匠が大きく波打つ。
互いに押し合っていた境界線が歪み、糸に引かれるように、わずかずつ小さな魔女のもとへ寄り始める。
「!? 結界が……」
釘のような十本の指が、ゆっくりと曲がった。
ギチッ――
糸が一斉に張り詰める。四体の魔女の身体が大きく仰け反った。
小さな魔女が両腕を胸元へ引き寄せる。それに合わせて、四体もまた強引に手繰り寄せられていった。
「……あいつ、何する気だ!?」
杏子が声を上げる。
一体、また一体。空間を歪ませながら、四つの異形が小さな魔女のもとへ手繰り寄せられていく。
そして最初の一体が、その目前まで迫った瞬間。魔女の身体が、大きく形を変えた。
「……!」
藁を束ねたような細い胴体が、不自然なほど膨れ上がる。
次いで正面が縦に裂け、鉄の処女のように左右へ大きく開いた。
その内部へ、糸で拘束された魔女が無理やり押し込まれていく。
入りきるはずのない巨体を呑み込むたび、藁と釘でできた身体そのものが泥のように歪み、膨らみ、形を変えた。
それを皮切りに、残る三体も次々と引きずり込まれていく。
四つの結界が軋み、裂け、混ざり合う。
異なる色彩、異なる意匠、異なる使い魔たちの影が、境界を失ってひとつの空間へ雪崩れ込んでいった。
「融合、している……!?」
マミが目を見開く。ほむらの表情が険しくなる。
「違うわ。あれが……無理やり、四体を取り込んでいる」
ほむらがそう言い終えるのと、最後の一体が呑み込まれるのはほぼ同時だった。
四体すべてを取り込んだ瞬間、小さな魔女の身体が大きく脈打つ。
藁と釘で組み上げられていた細い躯体が膨れ上がり、次いで輪郭そのものが崩れ始めた。
藁も、釘も、内部へ押し込められた四体の肉体も、すべてがどろりと溶け合い、無数の黒い繊維状の物質へと変わっていく。
それらが絡み合い、捩れながら、次第にひとつの巨体を形作っていった。
人型――と呼ぶには、あまりにも歪だった。
細長く湾曲した上半身に、異様に伸びた首。黒い繊維の束が辛うじて四肢らしき形を保つその姿は、どこか巨大な
その表面では、取り込まれた四体の名残が、皮膚の下を這い回るように浮かんでは消えていた。
同時に、せめぎ合っていた五つの結界も境界を失い、ひとつの歪な空間へと溶け合っていく。
「……なんなのよ、これ……」
さやかが呆然と呟いた、その直後。
融合魔女の右腕を構成する黒い繊維が、するするとほどけ始めた。
何本もの束が再び絡み合い、手の形を作る。その指先が、いつの間にか現れていた一本の巨大な筆を掴んだ。
そして、筆が振るわれる。
筆先が虚空を薙ぎ、黒い絵の具をぶち撒けたような軌跡を残した。
空中に浮かんだ染みは不気味に蠢き、膨らみ、脚を生やし、腕を伸ばし、瞬く間に何体もの使い魔へと姿を変えていく。
「使い魔を……生み出してる!?」
まどかが息を呑む。だが、その能力を見極める暇もなく、なおも変化は続いていく。
パキン、と氷が割れるような音が響き、融合魔女の背面に鏡を思わせる意匠が浮かび上がる。
次の瞬間、一枚の氷鏡が空中へ形成された。
続いて二枚、三枚。
壁際、地面すれすれ、宙空――大小さまざまな鏡が、結晶が勝手に成長するように戦場の至るところへ次々と咲いていく。
そして、その鏡面へ先ほど生み出された使い魔の姿が映り込んだ直後、鏡の中から同じ姿をした使い魔が這い出した。
「……増えた!?」
さらに別の鏡へ姿が映る。そこから、また一体。
複製された個体が別の鏡へ映り込み、今度は輪郭のわずかに崩れた異形が吐き出される。
一体が二体に。二体が四体に。
ほんの数秒前まで数えるほどしかいなかった使い魔が、急速に地上を埋め、やがて空中にまで溢れ始めていた。
その中央で、融合魔女は自ら生み出した群れへ目を向けることすらない。
黒い繊維の身体から筆が現れ、振るわれ、沈む。別の場所では氷鏡がひとりでに生まれ、映り込んだ使い魔を次々と吐き出していく。
順序も規則性もない。融合魔女は、取り込んだ魔法をでたらめに吐き出していた。
さあて、何やら大変なことになっちゃいました。
このままだと隠蔽どころじゃなくなります。下手すりゃゲームの方が先に処理落ちしますね。
というわけで、ここで切り札投入。作戦会議でちらっと出た「あれ」です。
>「よく聞いて。プランBに変更するわ」
>「三人とも、【ソーサレス】準備して」
はい来ました。切り札こと【ソーサレス】、ここで初お披露目でございます。
初回に限り専用演出(時間経過なし)があるので、順番に見てみましょう。
ではまず、さやかちゃんから。
>「……了解」
>さやかは短く答えると、手にした剣を逆手に持ち替えた。そして、その切っ先を自らの胸元――心臓の位置へ向ける。
>小さく何かを呟く。次の瞬間、さやかは一切の躊躇なく剣を突き立てた。
おっと、初見だとちょっと怖いやつですね。叛逆でもやってましたが、度胸ありすぎてビビるわぁ(レ)。
ザシュッ!!
>刃が胸を貫く。赤い液体が噴き出し、刀身を濡らした。
>直後、赤く染まった刀身へ、根元から墨を流し込んだような黒が広がっていく。
>さやかは胸に刺さった剣の柄を握り、そのまま勢いよく引き抜いた。
ブシャァッ――!!
>傷口から噴き出した赤は、瞬く間に青黒い魔力の奔流へと変わった。
>《METAMORPHOSE》
>《SOUL BULB:ACTIVATE》
>《WITCHF░▒▓▓▓▓》
>同時に、魔力の奔流が逆巻くようにさやかの身体へまとわりつき、その姿を塗り替えていく。
>青い衣装の各所へ、
>露出した肌には鱗を思わせる紋様が浮かび、顔の半分を覆うように異形の仮面が形成された。
>その仮面の奥で、片目の強膜が黒く染まる。対照的に青く輝く瞳には、確かな意思が宿っていた。
-SORCERESS-
>さやかはゆっくりと顔を上げる。
>わずかに吊り上がった口角。その表情には、普段の彼女よりいくらか好戦的な色が滲んでいた。
はい、完成。
普段のさやかちゃんより、だいぶ目つき悪いですね。魔女側と同期するとちょっと性格変わるんすよこの子。
さて、ここで【ソーサレス】について軽く説明しておきましょう。
こいつを簡単に言えば、自分自身の魔女としての側面を理解し、受け入れたうえで、魔法少女としての自分と一時的に同期させる形態です。
魔女を呼び出して使役してるわけじゃありません。魔法少女と魔女、双方の性質をひとつの存在として統合してる感じですね。
ペルソナとか、ソウルユニゾンとか……あと卍解かな? まぁそういった概念に近いです。
光と闇が合わさって最強に見えるみたいな。
んで、そのために必要なのが、さっきUIに出てきた《ソウルバルブ》。
ソーサレスを習得した時点で、ソウルジェムが変質したものです。
通常時は従来と同じ姿をしていますが、ソーサレス化すると本来の形――ソウルジェムとグリーフシードの中間みたいな、球根状の形態へ変わります。
ざっくり言うと、半魔女形態って感じです。
え? それドッペルと何が違うのって? んああ仰らないで、ちゃんと説明しますから。
ドッペルは、神浜という特殊な環境下で成立する魔女化の一時的な迂回路みたいなもの。
本人の制御を外れて発現する場合もありますし、使い続けることによる負荷や侵食も無視できません。
対してソーサレスは、一度魔女になった自分を受け入れ、そのうえで自分自身へ統合した先にある形態です。
《ソウルバルブ》への変質そのものは不可逆。ですが、本人の意思で開始・解除できて、ドッペルみたいなクソデカデメリットは(あまり)ないです。
まとめると、ドッペルが「魔女化を別の形で一時的に発現させる仕組み」なら、ソーサレスは「魔法少女の自分も、魔女の自分も、どちらも認めたうえで力に変える仕組み」。
似て非なるもの、ってやつですね。
ちなみに、こいつの確立にはほむほむやなぎさちゃんが関係してたりするんですが……まあ、その話はまた後ほど。
説明はこのくらいにして――お次はあんこちゃん、いってみましょう。
>「……しゃーねぇ。やるか」
>杏子は槍を片手で回すと、柄を短く持ち直した。そして切っ先を自らの脇腹へ向ける。
>一瞬だけ目を伏せ、そのまま深々と突き刺した。
ザクッ!!
>「っ……!」
>槍の穂先が脇腹を貫く。傷口から赤い雫が零れ落ちた、その直後。
ボッ――!!
>真紅の魔力が噴き出した。炎にも似たそれは槍へ絡みつき、そのまま杏子の腕を這い上がっていく。
あんこちゃんはこんな感じです。脇腹を槍で、ってあたりがなんかこう意味深ですねぇ。
>《METAMORPHOSE》
>《SOUL BULB:ACTIVATE》
>《WITCHF░▒▓▓▓▓》
>噴き出した魔力が勢いを増し、杏子の全身を包み込む。真紅の火柱の中で、そのシルエットがゆっくりと形を変えていった。
>元の魔法少女服を芯として、その上へ華やかな意匠が幾重にも重なっていく。
>長く翻る袖。幾層にも重なる布地。縁を走る金糸めいた装飾。漢服を思わせながらも、どこか舞台衣装じみた、鮮烈で大仰な装い。
>腰元から伸びた長布は炎の尾のように揺らめき、身じろぎするたびに赤い残光を宙へ引く。
>そして赤い髪の先端から、輪郭が崩れ始めた。
>一本、また一本と炎へ変わり、火の粉を散らしながら頭上へ向かって激しく燃え上がっていく。
>杏子が脇腹へ刺した槍を、一気に引き抜いた。
ゴォッ!!
>傷口から噴き出した炎が最後の火柱となって全身を駆け抜ける。同時に衣装を彩る装飾が一斉に輝き、真紅の炎を鮮やかに照り返した。
-SORCERESS-
>杏子は槍を肩へ担ぐ。炎と化した髪を揺らしながらゆっくりと顔を上げ、その口元に不敵な笑みを浮かべた。
はい完成。例えるならさやかちゃんが虚化、こっちはバーニンでしょうかね。
では最後、マミさん。
>「……分かったわ」
>マミは短く答えると、手にしていたマスケットを消した。代わりに取り出したのは、一丁のデリンジャー。
>銃身を一度だけ見つめる。そして何の躊躇もなく、その銃口を自らのこめかみへ押し当てた。
おっとここにきて一番不穏なやつktkr。
>マミは静かに目を閉じる。
パァンッ!!
>乾いた銃声が響いた。弾丸がこめかみを撃ち抜く。
>だが、側頭部から飛び散ったのは赤い飛沫ではなく、無数のリボン。
>それらはまるで生き物のように宙を踊り、仰向けに倒れ込むマミの首へ、肩へ、胴へと巻きついていく。
>《METAMORPHOSE》
>《SOUL BULB:ACTIVATE》
>《WITCHF░▒▓▓▓▓》
>さらにリボンは溢れ続ける。腕を包み、腰を覆い、脚へ絡みつき――やがてマミの全身を完全に呑み込んだ。
>そこに残ったのは、無数のリボンが幾重にも重なり合って形作られた、人ひとりを丸ごと包み込むほど巨大な繭。
ぐに。
>繭の内側で、何かが動いた。
ボコッ……ミシッ……
>続いて外殻が、内側から大きく歪む。一か所が膨らんだかと思えば縮み、今度は別の場所が不自然に盛り上がった。
うわぁ……いちおうこれ変身演出です。念のため。羽化とかじゃないっすよ?
ピッ――
>小さな切断音。一本の裂け目が走り、続いて二本、三本と繭の表面が切り裂かれていく。
>一瞬のうちに無数の切れ目が刻まれ――次の瞬間、内側から大きく一閃。
バシュッ!!
>巨大な繭が一気に裂け、無数のリボンが花びらのように宙へ舞った。その中央から、一人の少女がふわりと姿を現す。
>大きなボンネット。水色と黄色が入り混じる、幾重にも重なった華やかなドレス。
>レース、フリル、リボン。細部まで惜しみなく装飾された衣装は、まるでロココ期の貴婦人を思わせる。
>そして、その手には一本の日傘。
-SORCERESS-
パサッ――
>マミは空中で日傘を開いた。
>落下の勢いがふっと殺され、そのまま傘を肩へ預けるように構えながら、つま先から静かに地面へ降り立つ。
>そして、くるりと一回転。ドレスの裾をふわりと広げ、柔らかな微笑みを浮かべた。
>「……お待たせ」
いやぁ、過程だけ見たら一番不気味なんですが、出てきた本人は一番優雅ですね。
>さやかが黒剣を構える。杏子が真紅の炎を揺らしながら槍を回す。
>その隣で、マミが日傘を静かに閉じた。
というわけで、三人の変身シーンをお送りしました。
皆さんいかがだったでしょうか。うp主はなんかエモく感じました(小並感)
ともかく、これで役者は揃いましたね。
次回、ぶっつけ本番のクライマックス、はーじまーるよー。