エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・ギムナジウム→トリスタ礼拝堂
七燿暦1204年6月20日・夜前 帝国・トリスタ・トリスタ礼拝堂。
ラウラさんは一人で考えたいと言っていたので、先に第3学生寮へ帰られました。わたくしがトリスタ礼拝堂の前を通りかかると、ガイウスさんが中へ入っていく姿を見かけました。気になって後を追ってしまいました。
ガイウス「アルフィン、奇遇だな」
アルフィン【ええ、そうですわね。ガイウスさんも祈りに来られたのですか?】
ガイウス「そんなところだ。日も暮れることだし、今日一日の感謝を捧げなくてはな」
アルフィン【ふふっ、信仰深いんですね】
わたくしも信仰心は深い方ですわ。せっかくですから、ガイウスさんと一緒にお祈りを捧げるのも良いかもしれません。
アルフィン【ガイウスさん、ご一緒にお祈りを捧げてよろしいですか?】
ガイウス「ああ、もちろんだ。それでは二人で祈りを捧げるとしよう」
わたくしとガイウスさんは並んで跪き、黙祷を捧げました。わたくしが宗教に熱心になったのは、あの世界に来てから……上条さんたちがいたあの世界の宗教、イギリス清教に改宗した頃からですわね。
わたくしと、わたくしの親愛なる者たちに幸あれ…………こんなものでしょうかね。
あはは……いまだにイギリス清教徒だった頃のお祈りの形が抜けていませんわ。
アルフィン【ガイウスさんの故郷のノルド高原でも、女神信仰なのですね】
ガイウス「ああ、もちろんだ。《獅子戦役》の終結後にドライケルス大帝が教会に働きかけたらしい。現在では巡回神父が定期的に訪れて、日曜学校のような教育も行われている」
アルフィン【そうだったんですね】
そういえば、ハチマンさんたちも巡回で田舎の村々を回られていると聞きましたわ。
ガイウス「ちなみに、高原に吹く❝風❞も同様に神聖視されている。これは祖先たちが光の源を訪れた頃からの、由緒正しい信仰だ」
アルフィン【❝風❞と女神への信仰……ですか。日曜学校も大自然の中で行われているのでしょうね】
ガイウス「ああ、基本的には青空教室だったな。当時来てくれていた巡回神父には多くのことを教えてもらった。今の俺自身を形成するに至った、かけがえのない時間だったと思う」
アルフィン【そうなんですね。人と人との出会い……それがわたくしたちのかけがえのないものになっていくと信じていますわ】
ガイウス「そうだな。俺もここに来て実感している。もちろん、一番運命を感じたのは、リィンやアルフィンたちⅦ組との出会いだったが」
アルフィン【ふふっ、真顔でそういうことをおっしゃるなんて】
ガイウス「フフ、こちらから言うとリィンやアルフィンの影響だと思うぞ」
アルフィン【あはは……わたくしやリィンさんの……】
大賢者【告、そういうセリフはマスターやリィン氏が一番言っていますね。マスターの場合は前世からずっとですが】
アルフィン【わたくしはただ思ったことを言っているだけで……あっ!? もしかしてわたくしも上条さんの影響なのかもしれませんわ】
大賢者【解、まあ影響の一つですが】
ガイウス「まあ、それがリィンやアルフィンのいいところだとも思うがな」
アルフィン【ガイウスさん……】
ガイウス「さて、お祈りも済んだことだし、寮まで一緒に帰るか?」
アルフィン【そうですね】
わたくしとガイウスさんは、礼拝堂でのお祈りを終えると、第3学生寮へと向かいました。わたくしとガイウスさんの仲が、こうしてまた少し深まったのでした。
エレボニア帝国・トリスタ・トリスタ礼拝堂→第3学生寮→質屋《ミヒュト》
七燿暦1204年6月20日・夜前 帝国・トリスタ・質屋《ミヒュト》。
ガイウスさんと第3学生寮に帰る途中、ふと思い出しました。以前に頼んでおいた品を受け取りに行かなくてはなりません。ミヒュトさんの質屋に入ると、彼は新聞を読んでいました。
ミヒュト「ふむ……❝赤い星座❞に動きがあるか。この時期になぁ……」
アルフィン【赤い星座がどうしたんですの?】
ミヒュト「おまえさんか。赤い星座のこと、知っているだろ?」
アルフィン【はい、知っていますわ】
猟兵団の中でも最強クラスとされる二大巨頭――『赤い星座』と『西風の旅団』。去年の暮れに両者が激突したと、シアゲさんやハチマンさんたちから聞いています。
大賢者【告、赤い星座はクロスベルに本格介入しようとしている模様】
アルフィン【クロスベルに……】
大賢者【解、クロスベル騒乱で警察と警備隊が弱体化した隙を突いたようです】
アルフィン【全て、ヨアヒムやタナトスというG∴D教団の生き残りが招いた結果……ということですね】
ミヒュト「連中が動き出すということは、必ず後ろに誰かがいるってことだ」
アルフィン【そうなりますわね……】
ミヒュト「それで、お前さん何か用があって来たんだろう?」
アルフィン【そうでしたわ】
わたくしはミヒュトさんに、フランスコインが共和国でも見つかったことを報告しました。そして、もし同じようなコインが持ち込まれたら自分に連絡してほしいとお願いしました。
その他、新しい籠手を仕入れてほしいことも依頼。報酬として以前手に入れた学園都市製の鑑定道具を渡し、共和国製の羽根ペンも購入して、わたくしは第3学生寮へと帰りました。
エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮
七燿暦1204年6月20日・夜前 帝国・トリスタ・第3学生寮前。
ミヒュトさんの質屋から戻り、第3学生寮へ向かっていると、後ろから声をかけられました。
サラ「あら、アルフィン。あなたはもう帰りなの?」
アルフィン【サラ教官、お疲れ様ですわ。それにしても今頃のお帰りなんですね】
サラ「なんかトゲのある言い方ね。その調子だと、リィンと生徒会の手伝いで頑張っちゃってたみたいね? まったくもう、アルフィンもリィンもストイックと言うか、つくづく真面目ねぇ~」
アルフィン【わたくしは任されたことをただやっているだけですわ。リィンさんだって同じ気持ちのはずです】
サラ教官、なんだか疲れたような表情をされています。何かあったのでしょうか?
アルフィン【サラ教官、今日は一段と疲れた表情をされていますけど、何かあったんですか?】
サラ「ああ、うん、ちょっと色々あってね……(まったくトヴァルのやつ、コトネがクロスベル方面に行ったからってえらくこき使ってくれちゃって、高くついた分はコトネに請求しちゃおうかしら……)」
アルフィン【あの、サラ教官……心の声がダダ漏れですけど?】
サラ「うん? アルフィン、何か言ったかしら?」サラ教官がにこやかに、けれど少し圧のある目でこちらを見てきます。これ以上突っ込んではいけない雰囲気ですわ。
サラ「冗談はここまでにしておいて、昨晩はどうだった? あたしの留守中、特に何も起こっていないわよね?」
アルフィン【問題は起こっていませんわ。ちゃんとユウさんも確認済みですので。ただ……第3学生寮に新しい管理人さんが来られましたが、サラ教官はご存知でしょうか?】
サラ「あらら、もう来たんだ。ええ、ラインフォルト家からメイドさんが来るって聞いてたけど……クンクン、そういえばいい匂いがするわね」
アルフィン【あの方が来てくださって、本当に助かりましたから。朝食もかなり豪華でしたわ】
サラ「へぇ~、それは楽しみねぇ。せっかくだし、うまいツマミでも作ってもらっちゃおうかしら」
アルフィン【……うまいツマミって……】
わたくしとサラ教官は、そのまま第3学生寮の中へ入りました。
エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮・玄関前
七燿暦1204年6月20日・夜前 帝国・トリスタ・第3学生寮・玄関前。
玄関のところで、シャロンさんに声をかけられました。
シャロン「おかえりなさいませ、アルフィン様。それにサラ様」
アルフィン【シャロンさん、ただいま戻りましたわ。そんなに気を使わなくてもよろしいのに】
シャロン「いえ、ここで働かせていただく以上、お出迎えもメイドの務めでございます。ふふっ、それとも❝皇女殿下❞とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
アルフィン【わ、わわっ! その呼び方はやめてください〜!】
心臓に悪いですわ。本当にやめてほしいです。それに誰に聞かれるかわかりませんし、まだ正体がバレるわけにはいきません。
サラ「……」サラ教官は先ほどから無言でシャロンさんをじっと見つめています。
シャロン「初めまして。ラインフォルト家より参りました、メイドのシャロンでございます。皆様の身の回りのお世話などをさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします」
サラ「これはご丁寧に。一つ質問なんだけど……❝初めまして❞だったかしら? どこかで会ったような気が
アルフィン【サ、サラ教官……】
シャロン「いえ、初対面なのは間違いないかと存じます。よろしくお願いいたします。
サラ「ええ、こちらこそ。
アルフィン【わ、わわっ! シャロンさんもサラ教官も、笑顔でバチバチにならないでください〜!】
わたくし、シャロンさんの正体をなるべく考えないようにしていたのですけど……サラ教官とのやり取りで、やはりあの人だと確信してしまいましたわ。
巻き込まれる前に、そそくさと自分の部屋へ戻りましょう。
エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮
七燿暦1204年6月20日・夜 帝国・トリスタ・第3学生寮・307号室(アルフィンの部屋)。
夜ご飯とお風呂を済ませ、部屋でくつろいでいた時、シャロンさんに呼び止められました。
シャロン「アルフィン様、レミフェミアからお手紙が届いていますよ」
アルフィン【レミフェミアからですか?】
シャロン「ええ、エルフィン・スナイパー急便さんで送られたみたいですね」
アルフィン【シャロンさん、ありがとうございます】
シャロン「さすがアルフィン様、お顔が広いようで」
アルフィン【あはは……ありがとうございます】
シャロンさんの前だと、なんだかいつも彼女の手のひらで転がされているような気がしてなりませんわ。
手紙の文字を見て、すぐに送り主が誰かわかりました。
この独特の筆致は、あの人しかいません。
マコト・ユウキ――特別課外活動部のリーダーだった人。
奇跡の力を使って、生き返らせた大切な友人です。
わたくしはベッドに腰を下ろし、手紙を丁寧に開きました。
拝啓、アルフィン様。
遅くなりましたが、トールズ士官学院への入学、おめでとうございます。
僕もレミフェミアで色々と頑張っています。こちらは比較的安定していますが、帝国や共和国、クロスベルを取り巻く状況はますます混迷を深めているようだね。
共和国の先輩たちやジュンペイ、ユカリたちも、それぞれの場所で国のため、人々のために動いているみたいです。
みんなは『ゆっくり養生しながら復帰すればいい』と言ってくれていますが、僕もいつまでものんびりしているわけにはいかなくなってきたかな。
イゴールやエリザベスから、世界がまた僕の力を必要としていると言われたから。前のような強力なペルソナを出せることはできなくなったけど、自分のオルフェウスなら今でもちゃんと呼び出せます。
僕の周りでも不可解なことが起き始めていて、結社の連中が色々と嗅ぎ回っていたみたいで、周りに迷惑がかかりそうだったので追い払いました。
僕も気になることができたので、自分なりに動いてみようと思います。
アルフィンも色々と言いたいことがあるのかもしれませんが、それはまたの機会ということで。
――マコト・ユウキ
手紙はここまででした。
アルフィン【マコトさん……あなたが元気でいてくださるなら、わたくしから特に言うことはありませんわね】
それにしても『自分なりに動く』とおっしゃっていますけど、学業の方はどうされるおつもりなのでしょう。
マコトさんはレミフェミアにいながらも、帝国や共和国、クロスベルのことをずっと気にかけていてくださるのですね……。
アルフィン【とにかく、返事を書かなければなりませんわね】
わたくしは便箋と羽根ペンを用意し、返信を書き始めました。ちょうど、今日はミスティさんのラジオ放送がある時間ですわ。導力ラジオのスイッチを入れ、流れてくる声に耳を傾けながら筆を進めました。
ミスティ【しかしここ数日、帝都近郊ではあいにくの長雨続きでしたね。私のせっかくのオフを潰されて、遊びにも行けずに腐っていました。さて、6月下旬――帝国各地では《夏至祭》で盛り上がっているところも多いのではないでしょうか?《紺碧の海都》オルディスでは、湾内を無数の篝火が埋め尽くすという幻想的な光景が見られますし……《白亜の旧都》セントアークでは5日間に渡る夜祭が開かれますよね。……とか言いつつ、残念ながら私も行ったことはないんですけど。悔しいので、今度休暇が取れたらどこか遠くの地へ鉄道旅行を決行したいな〜なんて思っています。え?どこへかって?そうですね、テーマパークや劇団《アルカンシェル》で人気のクロスベルなんかもいいですが、鉄路の果て――厳しくも美しい自然が広がるという《ノルド高原》なんかもロマンをそそられてしまいますよね】
癒しを求めるなら、ノルド高原が一番でしょうね。
ミスティ【わかっています、ディレクター。ありえない夢を見ただけですから】
この夜は、マコトさんへの返事を書きながら、穏やかな時間が流れていきました。
ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?
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1ーエマ
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2ーフィー
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3ートワ
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4ーサラ
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5ースミレ
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6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)