カタチ「うわぁ〜〜!!すっごい!!ここが I-Island(アイ・アイランド) かぁ!」
発目「あ〜〜〜夢にまで見た I-Island!感激です!見るもの全てが最先端!」
パワーローダー「お前らー、遊びで来てるんじゃないんだからなー。はしゃぎすぎるなー……」
カタチ「きゃーっ!発目さん、見てください!あれ、もしかして最新鋭のサポートアイテム試作機じゃないですか!?」
発目「ひぇ〜〜っ!あれ、第7世代の人工筋繊維ユニットだよ!え、やば、あのエネルギー効率……数字がもはや魔法……!わたし、今、語彙力なくなってる……はぁぁ、夢すぎる……!あっ!あっちのはまさか……!」
パワーローダー「お前らぁ!ほんとにはしゃぎすぎだー!!」
型形「ちょ!皆こっち見てるよ!!、は…恥ずかしい……」
やいのやいの。
感嘆と呟きが漏れたのも無理はなかった。
海上に浮かぶ巨大人工島──その光景は、どこか未来の都市を思わせるものだった。島の中心には巨大な研究棟。周囲にはガラス張りの建物群や、緑豊かな公園、遊歩道、さらには家族向けの施設まで整備されている。まるで“科学技術が人々の幸福に直結することを証明するために創られた理想郷”だ。
だがそれは、あくまで表の顔。
この島が「人間とテクノロジーの共存」を掲げた一大実験都市であることを、私は根津校長の話で知っていた。
「『力は人を導きも破滅させもする』。それを忘れるな。I・アイランドは、今もそういう危ういバランスの上にある。」
飛行艇の中でパワーローダー先生の、その言葉が、まだ耳の奥に残っている。
そもそも、私達が何故ここに来ることになったのか
それは
――私とカタチの持つ月面基地を含めた総戦力の話をした翌日のこと――
「何度もすまないね。早速なんだけど、型形くん、君をI・islandへの臨地実習へ推薦したい」
私はまた校長室に呼び出されていた。校長室に集まっていたのは根津校長先生とパワーローダー先生、相澤先生、そして発目さんも呼び出されていた。その表情からはいつもの陽気さが引いている。
「重ねて言うけど、保須での君の活躍は今まで僕が見てきた学生ヒーロー活動の中でも最上位と言っても過言じゃないぐらい素晴らしかった。だが……同時に、明確な“穴”が浮き彫りになった」
根津校長の声は穏やかだったが、その内容は鋭利だった。
「君の戦力は、カタチと月面基地との通信・転送・補助が前提となっている。USJでそれらが封じられた時の事を思い出して欲しいかな。保須市は通信能力が機能していたからこそ、あれだけの救助と戦闘が両立できたが……それが断たれた状態と比較すると…あまりにも対応力に差がありすぎる」
「しかもそれは、個性の有無にかかわらず“比較的簡単に対処可能な弱点”なんだよ」
パワーローダー先生が険しい表情で続ける。
「一定範囲の通信を遮断するだけで、戦闘能力と救助能力も著しく性能が下がる。それを敵に把握されてしまえば……狙い撃ちにされるだろう。早急な対策が必要だ」
とは相澤先生の言葉だ。
校長先生は真剣な目でこちらを見据えた。
「さらに……先日の君とオールマイトの検討で確認された“死柄木葬華”の新たな脅威。USJでわずかとはいえ脳無は話が出来るほど高次脳機能が発達している、飛行型脳無の存在も十分に危険であると同時に……今回、我々が直面したのは“装備型脳無”という新種だ。生体に直接装着され、個性と融合するかのように運用される、生きた兵器。あれは、ただの強化ではない。もはや“兵装”の域に踏み込んでいる。おそらく個性のみ抽出、嫌な言い方だが引き剥がすことに成功している。正直なところ、君の個性の話を置いても検討すべき内容だったことに反省しているよ。」
「……もし、あの装備型脳無。今後は名目上“生体兵器”と言う事にするけど、コレが存在しているという事は、人道を踏みにじる地獄の工場がこの国のどこかに存在するということになる。生産過程で、どれだけの人間が犠牲になっているのか――想像もつかない」
「それが“量産可能”である可能性すらあるとすれば──最悪の未来は、すでに始まっている」
パワーローダー先生が重く口を開いた。
「だが、現時点でその製造元に関する情報は、ゼロだ。痕跡すらない。それが、最も恐ろしい」
根津校長は、少しだけ椅子に深く腰を沈めた。机の上に揃えられた資料に一瞥をくれたあと、ふっと表情を和らげる。
「……本題だよ。忘れないでほしい事がある。ヒーローの仮免許を取得しているとは言え、君はプロじゃないし、学生だ」
その言葉には、責任を背負わせてしまっていることへの自戒と、同時に希望が込められていた。
「だからこその強みがある。君はまだ、学ぶことだけに全力を尽くしていい立場なんだよ、型形くん。全うするのは責任ではなく、未来のために他から知識・技術・態度を吸収し、友情を育み、他者との交流を図り見識を広め、感性を養う。…それが“学生”であるということの本質だ」
ゆっくりと手を組んで、真っ直ぐにこちらを見据える。
「私は、個性の有無に関わらず、君に可能性を感じている。だから、I・アイランドで学んでほしくて推薦したいと考えている。カタチくんの力に頼るのも良い、けど頼りすぎてはいけない、君自身に成長してほしい。もちろん、これは強制じゃないんだよ。最終的に選ぶのは君なんだ」
パワーローダー先生も、黙って頷いていた。発目さんは横目でこちらを伺いながら、何も言わなかった――だが、彼女の瞳には“覚悟”が宿っていた。
「I・islandには君達が必要とするものがある。どんな材料だってある。生の技術者の声、極限まで突き詰められたアイデアと設計思想。それらを肌で感じ、学んできて欲しい」
この推薦には、甘さなど一欠けらもなかった。
それは――明確な“課題”として、突きつけられた現実だった。
――――――
「ここで私は何が出来るんだろう」
降り立った瞬間、型形作身は思わずつぶやいていた。
青空と海風、近未来的な都市の風景。その中心にそびえる研究塔が、まるで“夢”のように見えた。
隣で発目明が目を輝かせている。彼女も特別な推薦枠でこの視察に同行していた。
「ガキども、はしゃぐのはいいが道から逸れるなよ」
パワーローダーが後ろから低い声で注意する。作身は思わず背筋を伸ばした。
「この島には、世界の叡智が集まっている。お前らみたいな発想力の塊には、刺激が多すぎるくらいだ」
「はい!……私に学べる事、カタチとは違う…私だけの何かを見つけます」
作身の返事はやや固かった。未知の世界に踏み込んだ緊張。
だが、彼の後ろではもう一人の“彼”──カタチが、光を帯びるように活き活きとしていた。
「うわ、見て作身! あれ多分………」
「だーかーらー!恥ずかしいから、はしゃがないで!」
⸻
午後。特別応接室にて。
特別に設けられた応接室にて、一行は彼と対面した。
「やあ、パワーローダー先生! 久しいな。お会いできて光栄だよ。君の工作室には何度も助けられている」
「こちらこそだぜ。今日はうちの生徒たちのために時間を割いてくれて感謝してる」
デヴィッドと握手を交わすパワーローダー。その後ろで作身と発目、カタチが背筋を伸ばしていた。
「彼女が型形作身、ヒーロー名“マスコーダー”。戦闘・災害・人命救助全てをこなせる全方位型と言っても過言ではない極めて優れたヒーローの可能性を秘めている。実際、10日ほど前にかなりの戦果と成績を収めている」
「よろしくお願いします!!この子が私の個性“カタチ”です。そしてこの子も個性を“増殖”の個性を持っています。優しくてしっかりもので、頭もとっても良い相棒なんです。」
「へえ……個性が個性を持つ?それは興味深いね」
デヴィッドの眼が興味深そうに光る。
「このカタチはサポートどころではないアイテムの数々を設計し運用までこなす。だが、資産・倫理制限の都合で日本では活かしきれない。雄英ですらな」
「研究者の夢を体現したような存在だな」
(流石に月面基地持ってるって言えないから、こう言うしかないんだよねー、ごめんなさい!デヴィッドさん!)
その時、カタチが部屋のモニターにアクセスしようとしていた。
「──って、無許可アクセスは禁止! カタチ!」
「え、でもここのAI、僕に興味あるんだって」
「持たれちゃダメなの!」
他の研究者から
「“What!? An outbound communication from the AI…? What the hell is going on?” (何!?AI側から外部への接触行動が……どういう事だ)」
とやや焦ったかの様な声が聞こえる。
「こんなことは初めてだ。何が原因で……?」
デヴィッド博士は冷汗をかいていた。
⸻
滞在2日目。ラボにて
作身とカタチは、博士のラボで新たな装備の開発に取り組んでいた。
「武器は使います。非殺傷を前提にです。─出来るだけ“後遺症も残さない捕縛”という方向性を考えています」
「恐ろしく高難易度だね。人体に与える影響を抑えながら、即効性を持たせる……技術的には無茶に近い」
「でも、それを可能にしたい。不殺捕縛は“マスコーダー”……私の信念なんです」
その姿に、パワーローダーが腕を組んでうなずく。
「殺すだけなら簡単だ。殺さず捕縛し、味方・市民を守り、人を治療し、被害拡大を防ぐ。はっきり言って無理難題だ。だが、それを本気でやろうとするのは、型形…お前の美徳だ。最強の自分とは何かを見据え、追い求める姿勢、俺は諦めたやつばかり見てきたし、出来ないからと言って恥じる必要はない。だからこそ……尊敬するぞ」
まさか、こんなに褒められるとは思わず赤面する。
「あ、ありがとうございます。あの!!もう一つあるんです。実は今回、“通信遮断時の対応”も考えたいんです」
作身が真剣な眼で言った。
「以前の戦闘で、通信が途絶して……。その間、戦闘能力が著しく下がりました。それじゃダメなんです。私、どんな時でもヒーローでいたいんです」
カタチも頷く。
「僕たち、通信ありきで動いてるから……遮断されても復帰できる方法が欲しい。そして、復帰するまでサブ回線か、それに類似する最低限以上の成果をあげられる“何か”が欲しいんだ」
「その想い受け取った。克服しよう」
デヴィッド博士が頷いた。
「4つ提案がある。1つ目、ローカルストレージ型 緊急武装ストック。2つ目、サブ通信回線。これはメッシュネットと言えば伝わるか?3つ目、モジュール式 装備カートリッジ、4つ目、オフラインAIの導入、おそらくこれ以上のものとなると君達だけでは開発どころかシステム維持も難しいだろう。実はもう一つあるんだ。長期的に見た場合に実現可能なものとしてI-Islandとの共同研究し多重通信プロトコルの構築をするんだ」
「「……発想が半端ねぇ……」」
USJ事件以降、私とカタチが考えても良い案出なかったのにこんなに案が出るなんて!!
カタチなんて
「くぅ…言われてみればこの手があったかと言うものばかりだ!僕なんかサブ回線ぐらいしか思い浮かばなかったのに!!一瞬でこれだけの対応策を考え付くなんて……常に疑問を持って軒並み解決しようとしないと出てこないぞ、こんなの……」
こんなに戦慄してるカタチを見たのは初めてだった。
流石デヴィッド博士
「ありがとうございます…4つとも検討させてください…!」
まぁ…そう言いながら、実は難しすぎてよく分かってないんだけども……
そんな中、発目さんが部屋の隅で何やら試作中だった装置をじっと観察していた。
「……このサスペンション、動的負荷を熱変換してるんですね。でも排熱が偏ってて、パーツの劣化早いかも。試してもいいですか?」
「君は……?」
デヴィッドが興味深そうに声をかけた。
「発目明です! 雄英高校サポート科1年生、趣味は発明! 特技も発明! 夢は世界を便利にすること!」
一気にまくし立てた後、持ち込んだ工具でスパッと改修を始める発目。
あっという間に装置は滑らかに稼働を始めた。
「──な!?なんと素早く正確な手技!そして器用だ…!これは、 熱分散と加速機構を連動させたのか!?」
「ちょっとしたひらめきです! “ドキューン”って動いて“ガシャーン”ってしないように!」
博士は目を見張る。
「発想の柔軟性がすごい……しかも、物理的リスクを直感で見抜いて改善している」
パワーローダーがうなずいた。
「お?珍しいな。1発成功か。こいつ、いつもこうなんだ。アイデアと勢いで試作して失敗する。いや、“このやり方”ではダメだという事が分かった。と言う発見をするのだから、ある意味では成功し続けているのかもな」
「なんて事だ!雄英は優秀な者が揃っているな。羨ましいよ。──将来が楽しみな発明家だ。ぜひ何度でも訪ねてきてほしいし将来、技術屋としてここに就職してほしいぐらいだ。私も刺激になるよ」
「うひゃー! デヴィッド博士に褒められたぁぁ!」
その後も
デヴィッド博士と私とカタチも発目さんもパワーローダー先生も含めて4つの案を現実に落とし込む作業が始まった。
なんとなーく、分かってきたような、分からないようなー。
アイアイランドに着いてから2〜6日間は寝る間も惜しむほどの怒涛の毎日だった。
結局デヴィッド博士達と色々検討した結果「ローカルストレージ型 緊急武装ストック」を採用した。ホントは4つとも実現して、それぞれがダメだった時の事も備えたかったけど、、、流石に時間が無さすぎて現実的じゃなかった。
これは作身の装備端末に小型化・圧縮した基本武装データをストックしておくもので、通常より機能は限定されるが、ストックされている装備によっては最低限以上の戦闘・救助が可能となった。しかも使用可能回数制限がある(容量・演算負荷的制約)。そのストックの中に通信状態を回復させる機器も含めておく事で通信遮断されたとしても復旧まで自己完結出来るようにした。
私はいなくても良かったんじゃないかと思ってしまう。
カタチはもちろん、デヴィッド博士、発目さん、パワーローダー先生、そしてデヴィッド博士の娘さんのメリッサも途中から参加してくれて話が進んでた。
メリッサさんは「このプロジェクト最初から私も参加したかった!なんで教えてくれなかったの!?」と博士に詰め寄ってて博士がメッチャ困ってた。面白い!
笑ってごめん。
ちなみに私はメリッサと息が合ってイミスタ(sns)のIDとLyso(ライソ)で連絡先を交換しました!
やったぁ、友達増えたぁ!!
完成した「ローカルストレージ型 緊急武装ストック」は名前が長いから「マス・デバイス」って命名、装着方法はウォッチタイプ。超超圧縮した兵装を展開することで戦闘、救命活動を行える様にした。左右のウォッチで救命用と戦闘用で使い分けれる。展開方法は生体認証と私の声であらかじめ決めたコードでロックを外して兵装を拡張して装着する流れだ。複雑過ぎても即時対応が難しくなるのは本末転倒だもんね。また一定範囲内にカタチの存在がいる事も条件にした。
パワーローダー先生からの提案で、普段からこのやり方で活動を続けることで、通信系遮断は意味ないと思わせる。こういうブラフアピールも必要だと言われてヒーロー活動って奥が深いなぁって実感した。
死柄木を相手する時は防御力とか関係ないんだけど、装備の有り無しでは対応できることが雲泥の差だ。
ただ一つ問題がある。
完成してから思ったんだけど、これ、完全に魔法少女じゃない?
って皆に相談したら
「「「「最初からそう(だよ)(じゃない?)」」」」
って言われた
解せぬ。
ついでにメリッサは無個性らしく、この兵装に興味持ってたからメリッサ専用も作成してもらった!
私以外の見解も聞いてみたいしね!
でも試してもらったら
「ちょっと待って!この兵装、見た目より凄く頭使う!それに言語化できない高い人間的感覚と器用な運動能力がいる、ちょっ!ちょっと!うわー倒れる!!サクミ助けてー!なんでこれで普通に動けるの!?え?なんで浮けるの?意味わかんない!立って歩くだけで大変なのにー」って焦ってた。
遠隔操作兵装と超跳躍とホバリングだけじゃ戦えないから空中での姿勢バランスとかも気にして、周り見て、相手の攻撃予測も同時にしてるよって言ったら
すっごい不思議な顔された。慌しくなって何故か検査をしたんだけど、どうやら私は並列思考?ってやつを高いレベルで行ってるらしい。
どうやって?て聞かれたけど、知らないです、ごめんなさい。
私としては普通に考えてるだけなんです
特にディビッド博士なんて「Amazing……並列思考ができるなんて、そんな人間、夢物語の中だけだと思っていたよ。つまり、アレもコレも……もしかしたら、ふふふ、あんなコトも出来るかも」と興奮してた。
うわぁ、なんか嫌な予感。
その後、
なんかトンデモ装備が出来上がってきた。
確かに不殺捕縛が目的とは言っけど、言っけどさぁ!!
頭の良い人の考える事はよく分からんです。
……しかも、使い方がなかなか難しい
もっと練習しないと……
メリッサからは難しいで済むの?なんて言われました。
そんなこんなで、とっても充実した1週間。ホントにあっという間だった。
もう明日の朝には日本に帰るその夜。
ホテルのベランダから街を見下ろしながら、作身は空を見上げていた。
「この1週間…凄かったなぁ。濃すぎだよ。楽しかったけど、疲れたぁ。そう言えば今頃、皆は林間合宿か……」
1年A組皆の顔が浮かぶ。
仲間たちの努力、自分がそこにいないことの焦りと、寂しさはあるが、今、私にしかできないことへ挑戦する覚悟。
「私も頑張る!だから……頑張れよ、皆」
その声は、海風に溶けて静かな帷が落ちる
はずだった。
…….ドーーン……研究室で何かが爆発した音が聞こえる。
「あそこは……ぁあ、またカタチと発目ちゃんかぁ」
この数日で何度も聴き慣れた爆発音を耳に私はマス・デバイスを起動して戦闘訓練をした。
最終日、ゲート前。
今回のisland遠征で手に入れた成果を手に、作身とカタチ達一行は帰路に就く。
「──やはり、行ってしまうのかい」
デヴィッド博士とメリッサは目にクマを浮かべながら、まだ研究がしたりないという顔をしていた。
「君たちと過ごした1週間とても、本当にとても充実していた。初心を思い出し、童心に帰ったかの様に夢中に研究に没頭できたよ」
「うん、とっても楽しかったわ。まだ一緒にいたいわ」とメリッサは涙を浮かべている。
「くどいようで悪いけど、まだ一緒に研究したかった。君たちは、技術そのものに革新を起こす存在だ」
「…ありがとうございます!皆さんがいなきゃ、実現できなかった事ばかりでした!」
作身が頭を下げる。
「私たちは雄英に戻ります。先生たちにも、クラスのみんなにも、恩がありますし、私は日本でやりたい事があるんです」
「誠実だな。でもそれが、君たちらしい」
その横で、カタチが空を見上げていた。
「AIくん、またね……通信経路は維持しておくから、またチャットしようね……」
【通信プロトコルを検出しました。カタチ、再訪を推奨します】
「うぅ、別れたくないぃ……あいつ、僕の好みド直球なんだもん……」
「AIと相性良すぎでしょ……」
「また来てくれ。君たちとしかできない研究がある」
「はい。また来ます。そのときは、もっと成長してますから」
── ──
そして日本に帰国。
滑走路にタイヤが触れる軽い衝撃とともに、飛行機はゆっくりと減速を始めた。
窓の外には日本の青空。
──雄英のある、この国へ帰ってきたのだ。
「ふわ〜、やっぱり自分の国の空気は違うねー!」
発目明が、隣で元気にストレッチしている。
「……うん。戻ってきた、か」
型形作身は、アイ・アイランドでの濃密な一週間を思い返しながら、ゆっくりと立ち上がった。
カタチも肩の上で明るく光っていた。
「成果は上々だったと思うよ! 試作機たちも本稼働まであと少し!」
「後は、実戦で試せれば──」
ハッチが開く。
地上からのタラップを下りるその足取りは、いつになく軽かった。
自信と希望。その両方を胸に、作身は再び“ヒーローになる場所”へと戻ってきたのだ。
……しかし、その足はすぐに止まることになる。
「──え、ちょっと……なに、あれ」
発目の声が強張った。
空港ロビーのモニター。
目に飛び込んできたのは、速報の赤帯と、震えるようなアナウンサーの声。
『速報です──昨日未明、雄英高校ヒーロー科1年生が林間合宿中に敵連盟による襲撃がありました。生徒数名が負傷し重症をおった生徒もいます。さらに──爆豪勝己くんがヴィランによって連れ去られました』
『現在、雄英高校側が記者会見を行っています』
画面が切り替わる。
謝罪する根津校長先生と相澤先生、動揺の広がる会見場。
「爆豪くんが……!?」
作身の足が、地面に縫いとめられたかのように動かなくなる。
「うそ、でしょ…………」
発目が呆然と呟く。
「……林間合宿って、今……1年生たちの……」
「緑谷くんも、麗日さんも──!」
心臓が早鐘を打つ。
あの場所に、自分がいなかったこと。
それが、何かを変えてしまったかもしれないという現実が、作身の胸に突き刺さる。
──今、自分は何をすべきなのか。
パワーローダー先生も焦っている。
「……ちっ、機内モードだったのが仇になったな。時間差で連絡が来ている。急遽、雄英へ戻る。型形、カタチ、発目、準備を」
「了解」
「うん、すぐ動けるよ!」
風が変わった。
希望に満ちた帰還は、すでに戦場の始まりだった。