薄暗いバーの一角。
保須市での戦いから戻ったその日、拠点の一つ、廃れたバーに4人の姿があった。
グラスを傾けながら談笑するのは3人。その中の1人——死柄木葬華。
長いポニーテールを手首からの小さな手で握って束ねてある。グラスを持つ姿は普段よりどこか、力が抜けているように見えた。
カウンターには、ギランともう1人の人物が並び、黒霧は静かにグラスを拭いている。
テレビからは「ヒーロー殺しステイン、ついに逮捕」の報道が流れていた。
ギランは苦笑いを浮かべながら、酒を煽る。
「いやあ、まさかあのステインが、あっさり捕まるとはねぇ。世の中、わからんもんだ」
隣でグラスを見つめていた葬華が呟く。
「私たちも粛清対象だって言ってたくせに。優秀なヒーローが、まだまだ生きてて困るよ」
黒霧が低い声で言葉を継ぐ。
「葬華様。これでまた、世間のヒーロー信仰は高まります。我々の動きも、より警戒されるかと」
死柄木が顔を上げ、ギランに視線を向けた。
「ねぇ、ギラン。あなた、面白い人たちいっぱい知ってるよね?」
「まあね。裏社会じゃ、個性を持て余してる奴なんて掃いて捨てるほどいるさ。……で、何か企みでも?」
「うん。ステインの思想は、私とは違いすぎた。仮に仲間になってても、きっと崩してたと思う。けど——ステインの信者とか、事件を見てヴィラン化した人って絶対いるよね」
彼女はいたずらっぽく微笑む。
「だから、“ステインは敵<ヴィラン>連盟に所属してた”って、勝手に流しちゃえばいいんじゃないかなって。で、釣れたらギランさんに紹介してほしいの。ちょっと大きいことしたくなってきちゃってさ」
ギランは目を細める。
「ほぅ。……で、具体的には?」
「雄英の生徒を狙いたい。拉致して、屈服させる。……もっと、駒がいる。だから、とっておきの“逸材”、いくつか見繕ってほしいの」
彼女の掌がゆっくりと開かれる。虚空が一瞬、崩れたように黒ずみ——すぐに元に戻る。
黒霧が補足する。
「おっしゃる通りです。目的を果たすには、新たな力が必要不可欠でしょう」
ギランはニヤリと笑った。
「なるほど。ヒーロー殺しの“次”ってわけか。悪くない。けど、タダじゃ紹介できないぜ?」
「当然。むしろ、タダのほうが怪しいわ」
——冷たく言い放つ葬華。
彼女は、もう一人の人物へと視線を向けた。
「ねぇ、veterinarian(ベテリナリアン)。ギランに渡していい“能無し装備”、なかったっけ?」
ギランが目を見張る。
「マジかよ……あの時、どれだけ頼んでもくれなかったアレを? マスコーダーと戦ってた時に使ってたやつ……」
ゆっくりと声をあげたのは、“Vet(ヴェット)”と名乗る人物。
「できれば“Vet”って呼んでほしいんだけど……まあ、いいか。友達の頼みだもんね。これ——リボルバータイプの能無し装備。銃身に“収束”、シリンダーには“加速”。弾は普通のでもOK。音も反動も匂いも“収束”で消して、4倍の威力で撃てる。隠密性も抜群よ。個性付きの弾の取引は……応相談ね」
ギランは目を丸くして、乾いた笑いをもらす。
「……おっそろしいな。個性が付いてる生体武器……この品もだけど、あんたが“葬華ちゃんの友達”ってだけでくれちまうのが、何より怖いわ」
「期待してるからねー」
と、葬華。
「わかったよ、近いうちに面白い奴ら連れてくる。期待してな」
黒霧は、静かにそのやりとりを見守っていた。
新たな「駒」の登場が、敵<ヴィラン>連盟に何をもたらすのか——
それは、まだ誰にも分からなかった。
とある拠点の一室
「こんにちは、ヴェラーチ。それに、V.R.O。」
「ごきげんよう、ヴェット=アガツキ。」
「やぁ、ヴェトリナー――阿賀月剥貸。」
「うーん……本名で呼ばれると、なんかこう、盗聴されてたらヤバいなって思っちゃいますね!」
「おいおい、僕たちを信用してないのかい? それはちょっと寂しいなあ。」
「せっかく、こ〜んなに素敵な交流をしておるのに、悲しいのぉ〜〜。」
「これはね、責任じゃなくて感情の話なんです。もっと人の気持ちを考えてください。気遣いや配慮を忘れると、善良な人たちに足元すくわれますよ?」
「はっはっは、それは痛いところを突かれたな。若さってのはいいねぇ。年寄りには眩しすぎて、目がつぶれそうだよ。」
「まぁ、あなたたちに比べれば若いですけど……こっちはもう三十路超えてますから、そんな若くもないんですよ? それに、もうっ! せっかくロシア語で“ドクター”と“AFO”の呼び方まで覚えたのに!」
白衣を着た男と、顔をペールオレンジの布で覆ったような男――そんな異様な空間に、明らかに場違いな雰囲気の女性が一人。年の頃は三十代半ばだろうか。
彼女の名は阿賀月剥貸(あがつき・はがし)。
職業:獣医
通称:Vet(ヴェット)
そして死柄木葬華の友人。
能無し装備の設計者にして、殻木球大・AFOの協力者。
そして“個性”という概念を異なる角度から解析し、実践応用する異端の研究者。
彼女の“個性”は、《生体剥離(せいたいはくり)》。
生物に付属している“何か”――たとえばホクロや腫瘍といった異物や異常――を「剥がす」ことができる。ただし、その生物が“健常”だった状態を深く理解していなければならない。
それを彼女は、動物の治療という形で活かしていた。
獣医として、真面目に。社会の一員として、誠実に。
――表向きは、である。
実際には、個性を“剥がす”行為そのものに魅入られた異常者だった。
◆ ◆ ◆
今から十四年前。
彼女はふと、思ったのだ。
「……なんで“個性”って、人間にしかないんだろう?」
しかしある日、新聞で知る。極めて稀ではあるが、動物にも個性があるという。雄英高校の校長――根津の存在が、その代表例だった。
「なるほど。じゃあ、調べてみようか。」
ただの好奇心だった。獣医になれば、いろんな生き物に触れられる。個性という異質な力が、動物のどこに、どんな風に現れるのか。
そうして彼女は、獣医の道を選んだ。
――どうやら、自分はちょっとだけ頭の出来が良いらしい。
そう気付いたのは、教科書を読んだ瞬間に内容が頭に入ったときだった。健常な生体構造の知識を蓄え、異常との違いを見極める力を手に入れた。
そして、ついに“見つけた”。
とある野良猫に、個性らしき異物を感じ取ったのだ。
「剥がしてみよっか。」
それは傍目には、ただの肉片にしか見えなかった。
でも、確かに“個性”だった。
――面白い。なんて簡単に取れちゃうんだ。
運が良いことに、実家はそこそこ裕福だった。
「私は“いい子”だったからね。欲しいものは大抵手に入ったし、保存設備も隠し場所もたっぷりあったよ。」
彼女は野良動物を探し回り、剥がし、構造を学んでいった。
そのうち、それは“収集”という形に変わっていく。
彼女の中で、個性のコレクションが始まったのだ。
そして次に思った。
「……なんで、動物って個性が発現しづらいんだろう?」
仮説はこうだ。
――動物は、生命形態として人間以上に“純粋”で“シビア”だ。
――異形型のように外見が変化するタイプは、生まれてすぐ淘汰される。
――発動型は、使うための理解力が必要。動物の脳じゃ、それができない。
「もったいないよねぇ。だったら、私が代わりに使ってあげるよ。」
でも、移植実験は失敗した。
拒絶反応で、動物は苦しんで死んだ。
「どうすれば、私が“使える”ようになるんだろう……。」
収集した個性だけが、ただ溜まっていく日々。
そんなある日、地元で大きな地震があった。
様子を見に外へ出ると――そこにいたのは、ボロボロに泣き、服もズタズタな少女。
崩れ落ちた住宅の前で、呆然と立ち尽くしていた。
「――すごく、綺麗な子だなって思った。今でも覚えてる。」
少女は、まだ8歳だった。
阿賀月は当時、20歳で大学に通っていた。だから、一人暮らしだった。
「ついつい……匿っちゃったんだよね。一年間くらい、一緒に暮らした。」
一緒に買い物して、ご飯作って、テレビ見て、ゲームして、勉強して……将来は獣医になるって話もした。
「でも、あの子、全然興味なさそうだったなぁ。」
ただ、“個性を剥がしてる”って言ったときだけは、ものすごく目を輝かせてた。
少女の個性は《崩壊》。
5指で触れたものすべてを崩す、強烈な力。
「知識があれば、制御できる。きっと選んで崩せるようになるよ。」
そう伝えると、彼女は黙って頷き、それまで以上に勉強を始めた。
「訓練もした。もちろん、コッソリとね。」
でも、そんな生活にも限界はある。
未来が見えないと感じ始めた頃、一人の男が現れた。
「あの子を迎えに来たって、そう言ってた。」
ちょうどその時、阿賀月は“蛇の個性”を剥がしてる真っ最中。思いっきり見られた。
「最悪のタイミングだよね? 警察に通報しようか迷ったけど、冷静に考えたら捕まるのは私のほうだった。」
男は――笑って、こう言った。
「素晴らしい趣味だね。ぜひ、友達になってほしいな。」
……気持ち悪い人だと思った。
だから、阿賀月は言った。
「仲間なら、いいよ。」
男は即座に条件を提示してきた。
「テストに合格してもらう。ただし、不合格なら――死んでもらうよ?」
それに対し、阿賀月は笑って返した。
「そっちこそ、期待を裏切ったら“剥がす”から。」
そうして少女は連れて行かれた。
「……なんで連れてくの? テスト内容と期間も言わずに……。まぁ、いいや。」
その後、最短で獣医になり、彼女は地下に“実験室”を作った。
そして、完成させた。
《能無し装備》の原型。
「個性に“形”を与えたらどうなるのか――そう考えたの。」
彼女は、剥がした個性を“脳”の代わりに据えた。
肉体と骨で器を作り、刺激で個性が発動するよう調整した。
「……あっさり成功しちゃったよ。“脳”なんていらなかったんだって、衝撃だった。」
その成果が、“脳無し”。
持ち運びのために縮小化し、肉体そのものを武器や道具の形に変える。
弾丸、刃、銃、盾、火炎放射器、冷蔵庫、発電機……。
その応用には時間も手間もかかった。
そして、4年後
玄関のインターホンが鳴った。
そこに立っていたのは――あの少女だった。成長して女の子……らしく?なっていた様な、なってない様な……胸が残念だった。
「4年ぶりだね。元気……じゃなさそうだけど、生きてたなら何よりだよ。」
「……死んだ方が、この世界のためだったかもね。」
そんな言葉から始まった再会。
彼女は言った。
「先生が、テスト終了だってさ。早く来てほしいって。」
「……あれ? もしかして私、殺されるやつ?」
そう思いながらも、笑って言った。
「じゃあ、案内よろしくね――花ちゃん。」
すると、少女は睨みつけながらこう返した。
「言ってなかったから、今回だけ許す。前に助けてもらったし、恩もある。友達だ。でも……次はないよ。」
「私はもう、志村花(しむらはな)じゃない。死柄木葬華(しがらきそうか)だ」
名前も、すべて変わっていた。
その後、ドクターを紹介され、AFOと正式に“仲間”になった。
「文句なし、想像以上だ。これからよろしく頼むよ。」
研究者として。
趣味人として。
そして――協力者として。
あれから十年。
ようやく、能無し装備の量産準備が整った。あとは撒くだけ。
今回の会議の内容は、その最終確認。
「でも正直、どうでもいいかな。私は研究の続きをやるから、任せるよ、V.R.O、いやAFO…」
私は、次の“楽しいこと”に取り掛かるんだから。
…薄暗く、古びたバーとは違う。
敵<ヴィラン>連合のもう一つの拠点──そこは、まるで無菌室のような“異常な清潔感”に包まれていた。
家具一つ、埃ひとつ許されないような空間の静けさに、居心地の悪さすら感じる。
やがてそこに、彼らは集った。
“灰濁(かいだく)”と呼ばれる、初期のメンバーたちが──。
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◆ 荼毘(だび)
燃えるような青い炎を、その身に纏う謎の男。
顔も声も、焼けただれたように歪み、縫い合わせたような痕が全身を覆っていた。
その目には、冷たい憎しみと、乾いた諦めが差し込んでいる。
「……俺の目的は一つ。この歪んだ社会を──焼き尽くす」
静かに、けれど確かにそう言い切ったその男の過去を、誰も知らない。
けれどその狂気の炎は、否応なしに連合に“色”を与えていった。
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◆ トガヒミコ
「ねえねえ、葬華(そうか)ちゃん。血、ちょーだい!」
制服姿の少女は、無邪気に笑いながら刃を振るう。
その個性《変身》──好きな人の血を摂取することで、その姿に変身できるというもの。
彼女がこの世界に望むのは、たったひとつ。“好きな人とひとつになりたい”という、歪んだ愛の形。
倫理も常識も意味を成さない。
けれどその“純粋すぎる狂気”こそが、連盟にとっての予測不能な力となる。
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◆ トゥワイス
「俺はこう思う! でもあっちの俺は違うって言ってる!」
叫ぶように言いながらも、彼は笑っていた。
マスクの奥でねじれ続ける二つの人格。個性《二倍》により、彼は触れたもののコピーを生み出すことができる。
──それは強すぎる力ゆえに、孤独を生んだ。
「君は、そのままがいい」
そう言った死柄木の言葉が、彼にとっては“救い”だった。
彼は戦うためにここにいるのではない。ただ“居場所”を求めているのだ。
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◆ Mr.コンプレス
「さあ、ショーの始まりだ」
シルクハットをかぶった彼の手が触れると、すべてがビー玉に圧縮される。
個性《圧縮》。それは舞台を作る者の力。
彼の行動原理は明確だった。
退屈なこの世界を、自らの芸術で“演出”するために。
その芝居がかった所作の裏には、冷酷さと計算が潜んでいた。
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◆ マグネ
「SDGs? ハハ、そんなもんなくたって、男も女も関係ねぇよ!」
大柄な体に義眼が光る。彼女──引石健磁は、豪快に笑う自由の体現者だった。
個性は《磁力》。性別を“軸”にして操る、厄介極まりない力だ。
社会に縛られ、生きにくさを押しつけられてきた彼女は、叫んだ。
「こんな社会、ぶっ壊してやる!」
ステインの思想に惹かれ、ここに来た彼女の怒りは、まっすぐで、誰よりも熱かった。
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◆ スピナー
全身を鱗のような皮膚で覆われた、異形の青年。
彼はいつも不器用に言った。「ステイン様の意志は、俺が継ぐ」
個性も思想も、洗練されていない。ただ、信念だけがそこにあった。
社会に“人間”として認められなかったその姿は、だからこそ純粋だった。
彼の刀が目指すのは、正義か、それとも──赦されぬ夢か。
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◆ マスキュラー
「殺す理由? いらねぇだろ。楽しいから、で十分だ」
圧倒的な肉体。個性《筋肉増強》。
筋線維を自在に膨張させ、全身を鎧のように包み込む──その存在はまさに“暴走する肉塊”。
かつて全国を震撼させた“ヴィラン連続殺人事件”の犯人。
人を殺すことを、遊びとしか思っていない。
その目に映るのは、命ではなく、ただの“獲物”。
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◆ ムーンフィッシュ
「ハ……歯ァ……くれよ……おまえの、歯を……」
その異様な声と共に、歯が刃に変わり、空間を裂いた。
個性《歯刃》。異常発達した歯列を自在に操る、狂気の使い手。
かつて死刑囚として収監されていたが、解き放たれた今は、“歯の神”に仕える異端者のように暴れまわる。
彼にとっての“戦い”は、儀式であり、祝祭だった。
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◆ 睡魔(すいま)
「ふふ……起きていると、壊れるよ?」
白衣のような衣を纏い静かに微笑む。
個性は《睡眠ガス》。広範囲に有毒な眠気をばらまき、敵を無力化する。
常にガスマスクを被っており性別不詳
“眠り”とは、癒しではない。終わりでもない。
それは、“拒絶できない死”の形。
どんなヒーローも、安らかに深く深く──沈んめていく
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◆そして──
室内の空気が、ゆっくりと張り詰めていく。
スマートフォンの通知音が鳴ったのは、ほんの数秒前。
だが、それだけで場の空気は一変した。
最初に声を上げたのは──スピナーだった。
「……今の、雄英の内部情報か?」
彼の瞳は、ステインの肖像画よりも真っすぐに、スマホの画面を見つめていた。
「行くべきだ。ステイン様の“意思”を継ぐなら、正義の偽善を暴かねば」
続いて、低くうなるような声。マスキュラーが不敵に笑った。
「ヒーローのガキ共? そりゃいい。殺せるなら誰でもいいぜ、心臓ぶっこ抜いてやる」
「またそれ〜? あーあ、血がいっぱい見れるね〜!」
トガヒミコがくるくるとスカートを揺らしながら踊るように笑う。
「葬華ちゃん、誰狙うの? 葬華ちゃんの“お気に入り”、いる〜?」
「……やめてくれ、空気が分裂する……!」
トゥワイスが頭を抱えて蹲る。マスクの下から、異なる声が同時に飛び出した。
「林間合宿!? 行くべきだ、家族を増やすんだ! いや、行っちゃダメだ、失敗したらまた……!」
それを見ていたMr.コンプレスが、肩をすくめて言う。
「若人よ、ステージは整った。最高の“ショータイム”の予感がするねぇ」
マグネは立ち上がり、目元を険しくした。
「ヒーロー志望の温室育ちに、外の空気を吸わせてあげわ。クソ社会の現実ってやつを」
「歯……歯ァ……ヒーローの歯を……並べる、んだ……コレクションに……」
ムーンフィッシュが壁の影から這い出し、金属音のような声を漏らした。
そして──部屋の空気が、さらに重たくなる。
「……夢の中へ、お連れしましょう。現実の終わりが始まる、香りがします」
**睡魔(すいま)**は静かに笑いながら、試験管の一本を指で弾いた。
やがて、部屋の全員が視線を向ける。
スマホの持ち主──葬華が、ゆっくりと顔を上げた。
その瞳に宿すものは灰色の闇、“崩壊”の意志が燃えていた。
「……内通者から、連絡があった」
声は静かで、しかし逃れられない重さを持っていた。
「行こう。雄英に。林間合宿に乗り込む」
「誘拐しよう。監禁しよう。仲間にしよう。出来なきゃ崩そう」
「──私たちの未来を作りにいこう」
静寂の中で、その言葉は呪詛のように響いた。
それは始まりの宣言だった。
ヒーロー社会に牙を剥く、理解されない“普通”の物語─。
志村転弧は死亡している。
志村華がAFOに目をつけられて家族を崩壊でヤっちゃた。
死柄木葬華になる。
髪留めはテンコの手
葬華ちゃんの原作開始時の年齢、23歳。普通に大人の女性
オリジナル敵キャラクター
阿賀月剥貸(あがつき・はがし)。女性
職業:獣医。
通称:Vet(ヴェット)獣医って意味。
そりゃ、味方にオリジナルキャラ作ったら敵にも作らなきゃね。