ヒーローのカタチ   作:サモア リナン

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今回の話で色々バラします!


第12話「11.5話 “Signs of Evolution”(進化の兆し)」「Side: Villain」

薄暗いバーの一角。

 

保須市での戦いから戻ったその日、拠点の一つ、廃れたバーに4人の姿があった。

 

グラスを傾けながら談笑するのは3人。その中の1人——死柄木葬華。

長いポニーテールを手首からの小さな手で握って束ねてある。グラスを持つ姿は普段よりどこか、力が抜けているように見えた。

 

カウンターには、ギランともう1人の人物が並び、黒霧は静かにグラスを拭いている。

 

テレビからは「ヒーロー殺しステイン、ついに逮捕」の報道が流れていた。

ギランは苦笑いを浮かべながら、酒を煽る。

 

「いやあ、まさかあのステインが、あっさり捕まるとはねぇ。世の中、わからんもんだ」

 

隣でグラスを見つめていた葬華が呟く。

 

「私たちも粛清対象だって言ってたくせに。優秀なヒーローが、まだまだ生きてて困るよ」

 

黒霧が低い声で言葉を継ぐ。

 

「葬華様。これでまた、世間のヒーロー信仰は高まります。我々の動きも、より警戒されるかと」

 

死柄木が顔を上げ、ギランに視線を向けた。

 

「ねぇ、ギラン。あなた、面白い人たちいっぱい知ってるよね?」

 

「まあね。裏社会じゃ、個性を持て余してる奴なんて掃いて捨てるほどいるさ。……で、何か企みでも?」

 

「うん。ステインの思想は、私とは違いすぎた。仮に仲間になってても、きっと崩してたと思う。けど——ステインの信者とか、事件を見てヴィラン化した人って絶対いるよね」

 

彼女はいたずらっぽく微笑む。

 

「だから、“ステインは敵<ヴィラン>連盟に所属してた”って、勝手に流しちゃえばいいんじゃないかなって。で、釣れたらギランさんに紹介してほしいの。ちょっと大きいことしたくなってきちゃってさ」

 

ギランは目を細める。

 

「ほぅ。……で、具体的には?」

 

「雄英の生徒を狙いたい。拉致して、屈服させる。……もっと、駒がいる。だから、とっておきの“逸材”、いくつか見繕ってほしいの」

 

彼女の掌がゆっくりと開かれる。虚空が一瞬、崩れたように黒ずみ——すぐに元に戻る。

 

黒霧が補足する。

 

「おっしゃる通りです。目的を果たすには、新たな力が必要不可欠でしょう」

 

ギランはニヤリと笑った。

 

「なるほど。ヒーロー殺しの“次”ってわけか。悪くない。けど、タダじゃ紹介できないぜ?」

 

「当然。むしろ、タダのほうが怪しいわ」

 

——冷たく言い放つ葬華。

 

彼女は、もう一人の人物へと視線を向けた。

 

「ねぇ、veterinarian(ベテリナリアン)。ギランに渡していい“能無し装備”、なかったっけ?」

 

ギランが目を見張る。

 

「マジかよ……あの時、どれだけ頼んでもくれなかったアレを? マスコーダーと戦ってた時に使ってたやつ……」

 

ゆっくりと声をあげたのは、“Vet(ヴェット)”と名乗る人物。

 

「できれば“Vet”って呼んでほしいんだけど……まあ、いいか。友達の頼みだもんね。これ——リボルバータイプの能無し装備。銃身に“収束”、シリンダーには“加速”。弾は普通のでもOK。音も反動も匂いも“収束”で消して、4倍の威力で撃てる。隠密性も抜群よ。個性付きの弾の取引は……応相談ね」

 

ギランは目を丸くして、乾いた笑いをもらす。

 

「……おっそろしいな。個性が付いてる生体武器……この品もだけど、あんたが“葬華ちゃんの友達”ってだけでくれちまうのが、何より怖いわ」

 

「期待してるからねー」

と、葬華。

 

「わかったよ、近いうちに面白い奴ら連れてくる。期待してな」

 

黒霧は、静かにそのやりとりを見守っていた。

 

新たな「駒」の登場が、敵<ヴィラン>連盟に何をもたらすのか——

それは、まだ誰にも分からなかった。

 

とある拠点の一室

 

「こんにちは、ヴェラーチ。それに、V.R.O。」

 

「ごきげんよう、ヴェット=アガツキ。」

 

「やぁ、ヴェトリナー――阿賀月剥貸。」

 

「うーん……本名で呼ばれると、なんかこう、盗聴されてたらヤバいなって思っちゃいますね!」

 

「おいおい、僕たちを信用してないのかい? それはちょっと寂しいなあ。」

 

「せっかく、こ〜んなに素敵な交流をしておるのに、悲しいのぉ〜〜。」

 

「これはね、責任じゃなくて感情の話なんです。もっと人の気持ちを考えてください。気遣いや配慮を忘れると、善良な人たちに足元すくわれますよ?」

 

「はっはっは、それは痛いところを突かれたな。若さってのはいいねぇ。年寄りには眩しすぎて、目がつぶれそうだよ。」

 

「まぁ、あなたたちに比べれば若いですけど……こっちはもう三十路超えてますから、そんな若くもないんですよ? それに、もうっ! せっかくロシア語で“ドクター”と“AFO”の呼び方まで覚えたのに!」

 

白衣を着た男と、顔をペールオレンジの布で覆ったような男――そんな異様な空間に、明らかに場違いな雰囲気の女性が一人。年の頃は三十代半ばだろうか。

 

彼女の名は阿賀月剥貸(あがつき・はがし)。

職業:獣医

通称:Vet(ヴェット)

 

そして死柄木葬華の友人。

 

能無し装備の設計者にして、殻木球大・AFOの協力者。

そして“個性”という概念を異なる角度から解析し、実践応用する異端の研究者。

 

彼女の“個性”は、《生体剥離(せいたいはくり)》。

 

生物に付属している“何か”――たとえばホクロや腫瘍といった異物や異常――を「剥がす」ことができる。ただし、その生物が“健常”だった状態を深く理解していなければならない。

 

それを彼女は、動物の治療という形で活かしていた。

獣医として、真面目に。社会の一員として、誠実に。

 

――表向きは、である。

 

実際には、個性を“剥がす”行為そのものに魅入られた異常者だった。

 

◆ ◆ ◆

 

今から十四年前。

 

彼女はふと、思ったのだ。

 

「……なんで“個性”って、人間にしかないんだろう?」

 

しかしある日、新聞で知る。極めて稀ではあるが、動物にも個性があるという。雄英高校の校長――根津の存在が、その代表例だった。

 

「なるほど。じゃあ、調べてみようか。」

 

ただの好奇心だった。獣医になれば、いろんな生き物に触れられる。個性という異質な力が、動物のどこに、どんな風に現れるのか。

そうして彼女は、獣医の道を選んだ。

 

――どうやら、自分はちょっとだけ頭の出来が良いらしい。

 

そう気付いたのは、教科書を読んだ瞬間に内容が頭に入ったときだった。健常な生体構造の知識を蓄え、異常との違いを見極める力を手に入れた。

 

そして、ついに“見つけた”。

 

とある野良猫に、個性らしき異物を感じ取ったのだ。

 

「剥がしてみよっか。」

 

それは傍目には、ただの肉片にしか見えなかった。

でも、確かに“個性”だった。

 

――面白い。なんて簡単に取れちゃうんだ。

 

運が良いことに、実家はそこそこ裕福だった。

 

「私は“いい子”だったからね。欲しいものは大抵手に入ったし、保存設備も隠し場所もたっぷりあったよ。」

 

彼女は野良動物を探し回り、剥がし、構造を学んでいった。

そのうち、それは“収集”という形に変わっていく。

 

彼女の中で、個性のコレクションが始まったのだ。

 

そして次に思った。

 

「……なんで、動物って個性が発現しづらいんだろう?」

 

仮説はこうだ。

――動物は、生命形態として人間以上に“純粋”で“シビア”だ。

――異形型のように外見が変化するタイプは、生まれてすぐ淘汰される。

――発動型は、使うための理解力が必要。動物の脳じゃ、それができない。

 

「もったいないよねぇ。だったら、私が代わりに使ってあげるよ。」

 

でも、移植実験は失敗した。

拒絶反応で、動物は苦しんで死んだ。

 

「どうすれば、私が“使える”ようになるんだろう……。」

 

収集した個性だけが、ただ溜まっていく日々。

 

そんなある日、地元で大きな地震があった。

様子を見に外へ出ると――そこにいたのは、ボロボロに泣き、服もズタズタな少女。

 

崩れ落ちた住宅の前で、呆然と立ち尽くしていた。

 

「――すごく、綺麗な子だなって思った。今でも覚えてる。」

 

少女は、まだ8歳だった。

阿賀月は当時、20歳で大学に通っていた。だから、一人暮らしだった。

 

「ついつい……匿っちゃったんだよね。一年間くらい、一緒に暮らした。」

 

一緒に買い物して、ご飯作って、テレビ見て、ゲームして、勉強して……将来は獣医になるって話もした。

 

「でも、あの子、全然興味なさそうだったなぁ。」

 

ただ、“個性を剥がしてる”って言ったときだけは、ものすごく目を輝かせてた。

 

少女の個性は《崩壊》。

5指で触れたものすべてを崩す、強烈な力。

 

「知識があれば、制御できる。きっと選んで崩せるようになるよ。」

 

そう伝えると、彼女は黙って頷き、それまで以上に勉強を始めた。

 

「訓練もした。もちろん、コッソリとね。」

 

でも、そんな生活にも限界はある。

 

未来が見えないと感じ始めた頃、一人の男が現れた。

 

「あの子を迎えに来たって、そう言ってた。」

 

ちょうどその時、阿賀月は“蛇の個性”を剥がしてる真っ最中。思いっきり見られた。

 

「最悪のタイミングだよね? 警察に通報しようか迷ったけど、冷静に考えたら捕まるのは私のほうだった。」

 

男は――笑って、こう言った。

 

「素晴らしい趣味だね。ぜひ、友達になってほしいな。」

 

……気持ち悪い人だと思った。

 

だから、阿賀月は言った。

 

「仲間なら、いいよ。」

 

男は即座に条件を提示してきた。

 

「テストに合格してもらう。ただし、不合格なら――死んでもらうよ?」

 

それに対し、阿賀月は笑って返した。

 

「そっちこそ、期待を裏切ったら“剥がす”から。」

 

そうして少女は連れて行かれた。

 

「……なんで連れてくの? テスト内容と期間も言わずに……。まぁ、いいや。」

 

その後、最短で獣医になり、彼女は地下に“実験室”を作った。

 

そして、完成させた。

 

《能無し装備》の原型。

 

「個性に“形”を与えたらどうなるのか――そう考えたの。」

 

彼女は、剥がした個性を“脳”の代わりに据えた。

 

肉体と骨で器を作り、刺激で個性が発動するよう調整した。

 

「……あっさり成功しちゃったよ。“脳”なんていらなかったんだって、衝撃だった。」

 

その成果が、“脳無し”。

 

持ち運びのために縮小化し、肉体そのものを武器や道具の形に変える。

弾丸、刃、銃、盾、火炎放射器、冷蔵庫、発電機……。

その応用には時間も手間もかかった。

 

そして、4年後

玄関のインターホンが鳴った。

 

そこに立っていたのは――あの少女だった。成長して女の子……らしく?なっていた様な、なってない様な……胸が残念だった。

 

「4年ぶりだね。元気……じゃなさそうだけど、生きてたなら何よりだよ。」

 

「……死んだ方が、この世界のためだったかもね。」

 

そんな言葉から始まった再会。

 

彼女は言った。

 

「先生が、テスト終了だってさ。早く来てほしいって。」

 

「……あれ? もしかして私、殺されるやつ?」

 

そう思いながらも、笑って言った。

 

「じゃあ、案内よろしくね――花ちゃん。」

 

すると、少女は睨みつけながらこう返した。

 

「言ってなかったから、今回だけ許す。前に助けてもらったし、恩もある。友達だ。でも……次はないよ。」

 

「私はもう、志村花(しむらはな)じゃない。死柄木葬華(しがらきそうか)だ」

 

名前も、すべて変わっていた。

 

その後、ドクターを紹介され、AFOと正式に“仲間”になった。

 

「文句なし、想像以上だ。これからよろしく頼むよ。」

 

研究者として。

趣味人として。

そして――協力者として。

 

あれから十年。

 

ようやく、能無し装備の量産準備が整った。あとは撒くだけ。

 

今回の会議の内容は、その最終確認。

 

「でも正直、どうでもいいかな。私は研究の続きをやるから、任せるよ、V.R.O、いやAFO…」

 

私は、次の“楽しいこと”に取り掛かるんだから。

 

 

 

…薄暗く、古びたバーとは違う。

 

敵<ヴィラン>連合のもう一つの拠点──そこは、まるで無菌室のような“異常な清潔感”に包まれていた。

 

家具一つ、埃ひとつ許されないような空間の静けさに、居心地の悪さすら感じる。

 

やがてそこに、彼らは集った。

 

“灰濁(かいだく)”と呼ばれる、初期のメンバーたちが──。

 

 

◆ 荼毘(だび)

 

燃えるような青い炎を、その身に纏う謎の男。

 

顔も声も、焼けただれたように歪み、縫い合わせたような痕が全身を覆っていた。

 

その目には、冷たい憎しみと、乾いた諦めが差し込んでいる。

 

「……俺の目的は一つ。この歪んだ社会を──焼き尽くす」

 

静かに、けれど確かにそう言い切ったその男の過去を、誰も知らない。

 

けれどその狂気の炎は、否応なしに連合に“色”を与えていった。

 

 

◆ トガヒミコ

 

「ねえねえ、葬華(そうか)ちゃん。血、ちょーだい!」

 

制服姿の少女は、無邪気に笑いながら刃を振るう。

 

その個性《変身》──好きな人の血を摂取することで、その姿に変身できるというもの。

 

彼女がこの世界に望むのは、たったひとつ。“好きな人とひとつになりたい”という、歪んだ愛の形。

 

倫理も常識も意味を成さない。

 

けれどその“純粋すぎる狂気”こそが、連盟にとっての予測不能な力となる。

 

 

◆ トゥワイス

 

「俺はこう思う! でもあっちの俺は違うって言ってる!」

 

叫ぶように言いながらも、彼は笑っていた。

 

マスクの奥でねじれ続ける二つの人格。個性《二倍》により、彼は触れたもののコピーを生み出すことができる。

 

──それは強すぎる力ゆえに、孤独を生んだ。

 

「君は、そのままがいい」

 

そう言った死柄木の言葉が、彼にとっては“救い”だった。

 

彼は戦うためにここにいるのではない。ただ“居場所”を求めているのだ。

 

 

◆ Mr.コンプレス

 

「さあ、ショーの始まりだ」

 

シルクハットをかぶった彼の手が触れると、すべてがビー玉に圧縮される。

 

個性《圧縮》。それは舞台を作る者の力。

 

彼の行動原理は明確だった。

 

退屈なこの世界を、自らの芸術で“演出”するために。

 

その芝居がかった所作の裏には、冷酷さと計算が潜んでいた。

 

 

◆ マグネ

 

「SDGs? ハハ、そんなもんなくたって、男も女も関係ねぇよ!」

 

大柄な体に義眼が光る。彼女──引石健磁は、豪快に笑う自由の体現者だった。

 

個性は《磁力》。性別を“軸”にして操る、厄介極まりない力だ。

 

社会に縛られ、生きにくさを押しつけられてきた彼女は、叫んだ。

 

「こんな社会、ぶっ壊してやる!」

 

ステインの思想に惹かれ、ここに来た彼女の怒りは、まっすぐで、誰よりも熱かった。

 

 

◆ スピナー

 

全身を鱗のような皮膚で覆われた、異形の青年。

 

彼はいつも不器用に言った。「ステイン様の意志は、俺が継ぐ」

 

個性も思想も、洗練されていない。ただ、信念だけがそこにあった。

 

社会に“人間”として認められなかったその姿は、だからこそ純粋だった。

 

彼の刀が目指すのは、正義か、それとも──赦されぬ夢か。

 

 

◆ マスキュラー

 

「殺す理由? いらねぇだろ。楽しいから、で十分だ」

 

圧倒的な肉体。個性《筋肉増強》。

 

筋線維を自在に膨張させ、全身を鎧のように包み込む──その存在はまさに“暴走する肉塊”。

 

かつて全国を震撼させた“ヴィラン連続殺人事件”の犯人。

 

人を殺すことを、遊びとしか思っていない。

 

その目に映るのは、命ではなく、ただの“獲物”。

 

 

◆ ムーンフィッシュ

 

「ハ……歯ァ……くれよ……おまえの、歯を……」

 

その異様な声と共に、歯が刃に変わり、空間を裂いた。

 

個性《歯刃》。異常発達した歯列を自在に操る、狂気の使い手。

 

かつて死刑囚として収監されていたが、解き放たれた今は、“歯の神”に仕える異端者のように暴れまわる。

 

彼にとっての“戦い”は、儀式であり、祝祭だった。

 

 

◆ 睡魔(すいま)

 

「ふふ……起きていると、壊れるよ?」

 

白衣のような衣を纏い静かに微笑む。

 

個性は《睡眠ガス》。広範囲に有毒な眠気をばらまき、敵を無力化する。

 

常にガスマスクを被っており性別不詳

 

“眠り”とは、癒しではない。終わりでもない。

 

それは、“拒絶できない死”の形。

 

どんなヒーローも、安らかに深く深く──沈んめていく

 

 

◆そして──

 

室内の空気が、ゆっくりと張り詰めていく。

スマートフォンの通知音が鳴ったのは、ほんの数秒前。

だが、それだけで場の空気は一変した。

 

最初に声を上げたのは──スピナーだった。

 

「……今の、雄英の内部情報か?」

 

彼の瞳は、ステインの肖像画よりも真っすぐに、スマホの画面を見つめていた。

 

「行くべきだ。ステイン様の“意思”を継ぐなら、正義の偽善を暴かねば」

 

続いて、低くうなるような声。マスキュラーが不敵に笑った。

 

「ヒーローのガキ共? そりゃいい。殺せるなら誰でもいいぜ、心臓ぶっこ抜いてやる」

 

「またそれ〜? あーあ、血がいっぱい見れるね〜!」

 

トガヒミコがくるくるとスカートを揺らしながら踊るように笑う。

 

「葬華ちゃん、誰狙うの? 葬華ちゃんの“お気に入り”、いる〜?」

 

「……やめてくれ、空気が分裂する……!」

 

トゥワイスが頭を抱えて蹲る。マスクの下から、異なる声が同時に飛び出した。

 

「林間合宿!? 行くべきだ、家族を増やすんだ! いや、行っちゃダメだ、失敗したらまた……!」

 

それを見ていたMr.コンプレスが、肩をすくめて言う。

 

「若人よ、ステージは整った。最高の“ショータイム”の予感がするねぇ」

 

マグネは立ち上がり、目元を険しくした。

 

「ヒーロー志望の温室育ちに、外の空気を吸わせてあげわ。クソ社会の現実ってやつを」

 

「歯……歯ァ……ヒーローの歯を……並べる、んだ……コレクションに……」

 

ムーンフィッシュが壁の影から這い出し、金属音のような声を漏らした。

 

そして──部屋の空気が、さらに重たくなる。

 

「……夢の中へ、お連れしましょう。現実の終わりが始まる、香りがします」

 

**睡魔(すいま)**は静かに笑いながら、試験管の一本を指で弾いた。

 

やがて、部屋の全員が視線を向ける。

 

スマホの持ち主──葬華が、ゆっくりと顔を上げた。

 

その瞳に宿すものは灰色の闇、“崩壊”の意志が燃えていた。

 

「……内通者から、連絡があった」

 

声は静かで、しかし逃れられない重さを持っていた。

 

「行こう。雄英に。林間合宿に乗り込む」

 

「誘拐しよう。監禁しよう。仲間にしよう。出来なきゃ崩そう」

 

「──私たちの未来を作りにいこう」

 

静寂の中で、その言葉は呪詛のように響いた。

 

それは始まりの宣言だった。

 

ヒーロー社会に牙を剥く、理解されない“普通”の物語─。

 




志村転弧は死亡している。
志村華がAFOに目をつけられて家族を崩壊でヤっちゃた。
死柄木葬華になる。
髪留めはテンコの手

葬華ちゃんの原作開始時の年齢、23歳。普通に大人の女性

オリジナル敵キャラクター

阿賀月剥貸(あがつき・はがし)。女性
職業:獣医。
通称:Vet(ヴェット)獣医って意味。

そりゃ、味方にオリジナルキャラ作ったら敵にも作らなきゃね。
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