ヒーローのカタチ   作:サモア リナン

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第14話「 We're next」

──「ありがとう、マスコーダー」

 

 あの無敵の象徴は、笑っていた。

 血に濡れた口元を拭いもせず、戦場の中心で。

 

「ふふふ……“Plus Ultra”って言っておいて、私が実践しないのでは示しがつかん!」

 

 満身創痍。それでもその瞳は、燃えていた。

 

「援護を──いや、共に倒すぞ!あの男をッ!!」

 

「……はい!!!」

 

 空気が変わった。

 鼓膜を破らんばかりの爆音が、戦場を切り裂いた。

 

 空に影が走る。

 それは──マスコーダーの旗艦、“エグゾダス”

 

「全砲門、AFOへ照準固定──完了ッ!」

 

 カタチの声が響く。

 砲門が開き、本当に非殺傷設定なのかと疑いたくなる兵器が展開される。重力反応弾、プラズマブラスター、ニュートリノバスターなど、一部理論上…実現しえない武器も混じってはいるが…果たして、名前だけなのか、はたまた…

ただ強力であることに違いはない。

 

「……撃てえええええッ!!」

 

 天から降り注ぐ閃光。

 地平線が揺らぎ、真昼のように輝いた次の瞬間、空が裂け、空気が震える。

全ての弾は誘導弾、決して地上に落としはしない。

 

 全ては、たった一人のヴィランのために放たれた一斉砲撃。

 圧倒的な火力が、AFOの周囲に降り注いだ。

 

それだけではない

 

自分も非殺傷設定の剣と銃を持つ

 

周囲には近距離攻撃用・遠距離攻撃用・捕縛用・行動抑制用・戦闘補助用・防御用の・空間把握かつ監視用の遠隔操作ユニットが多数浮遊している。

 

全て自分の意思で動かすことが可能だ。その数24機、並列思考を最大限駆使した戦闘方法だ。各々の形態に沿った動きを緩急をつけながら役割を実施させる。

 

 

 しかし──

 

 

「ククク……将棋の様で、これはなかなか……!」

 

 AFOは全身を転送と防御の個性で包み、重傷や捕縛を避け続けていた。

 それでも、ダメージは確実に蓄積していく。

 黒煙が彼を包み、視界が遮られたその隙に──

 

「──よぉ!久しぶりだな、そんなに逃げるなよ。俺はここだぞ!!」

 

 オールマイトの拳が、AFOの側頭部を打ち抜いく。

 

 吹き飛ぶ身体。即座に姿を消すAFO。

 追うように、流動生金属の網が走る。

 

 マスコーダーの武装。

 高速展開された“グラビティ・チェイン”が、AFOの逃走ルートを封じた。

 

「持久戦なら……私の得意分野だよ!!」

 

 崩れかけた高層ビルの間を縫って、マスコーダーが滑空する。

 自らを媒体とした粒子砲を撃ち、硬質金属の刀を形成し、AFOの動きを止める。

 

動きはさっきまで2人のバトルをじっくり解析したのでついて行けてる…はず!

難しいけど、ある程度の対応は出来なくもない!!!

 

「逃がさない……ここで終わらせる!!」

 

「……調子に乗ってる子供にはお灸を据えなきゃね……!」

 

怒声とともに、AFOが反撃。

 

予測済み、ギリギリ回避可能

 

と思ったのに

 

兵装のほとんどがAFOから出ている黒い爪で壊されてる。しかもサビ!?

早すぎて見えない攻撃に金属の天敵、錆の個性が追加されている…

もう対策が検討されてる!

 

 

あんまり差が埋まった気がしない!

 

 

なんでー?

 

 

あれ?私、さっき覚醒したよね?

 

「何を驚いているんだい?人は急には強くなれないよ、さっきの君は震える身体に自分で活を入れただけさ」(実際、物量が増えてるのは厄介だがね)

 

顔が見えないはずなのにニヤニヤしてるのが分かった

 

うっわ腹立つーー!

くっそーーー

 

AFOめ…マジかぁ

 

すぐに液体型修繕機で修復。錆た部分は侵食されても困るのでパージ

 

砲撃を再開し、同時に避難も進行する

 

「戦艦エクゾダスへの収容完了まで、あと5分!」

 

「民間人、全員退避完了まであと20名!」

 

「ナノマシン改良型心肺蘇生法にて要救助者、救命5名完了!」

 

 カタチが状況を計算し、エグゾダスが空中で開いた避難ゲートから、無人ドローンや医療アームが次々に人々を避難誘導し治療して行く

 

 破壊と救済が、同時に行われる。

 

「ふふふ、後ろでしか戦えない臆病者が…次は何をするのかな…」

 

「いちいち挑発すんな」

瞬間 私は懐に入っていた。

 

「ち!」

 

「私が接近しないと思ったかぁ!!…たああぁぁ!!………今だ……行け、オールマイト!!」

 

 

ズガンッ!!!!!

 

「くうぅ…」

 

完全に意表を突かれたのか、疲労で視覚が狭まったのか、私の接近を許して腹部にゼロ距離でスタン砲撃をする。衝撃でノックバックするが、それだけだ。

 

(だから!!なんで気絶したり、痺れるはずなのに効果ないの!?」

 

まぁ

 

自分の攻撃が期待以下の効果でも

 

期待以上の味方がいるから問題ないんだけどね

 

「ふっ、これを言うのも何度目かな。ありがとう、マスコーダー!」

 

 

 

 

………そして

 

 

 

自分に向かってくる拳を見て他人事の様にAFOは呟いた

「ふむ、ここまでだね」

 

 

 

 

「PLUS──ULTRAAAAAAA!!!」

 

 振り下ろされた渾身の拳が、AFOを地に叩きつけ

 

 

 

一拍遅れて

 

音と砂塵が舞う

 

 

 

!!!!

ドッッゴオオオオォォ…ン……!!

 

 

 

ゴゴゴゴゴ…

 

 

終わった

 

 

 オールマイトとオールフォーワンの、長きに渡る因縁が…

 

 

 

──そして、時代が変わる瞬間

 

 

 

民衆の大歓声。

メディアも大興奮。

 

だが、その中心のオールマイトを見てマスコーダーは凍りついたように立ち尽くしていた。

 

 

 

 

「オールマイト…?」

 

視線の先にいたのは──

 激しく咳き込み、急激にやせ細ったオールマイトの“トゥルーフォーム”。

 

 それは、彼女にとって初めて見る姿だった。

 

民衆もメディアもざわつきを抑えられない。

 

「私達…の…勝ちだ!」

 

 それでもオールマイトはカメラに向かってガッツポーズ。

 

そして、震える指先をカメラに向け

 

「……次は、君たちだ」

 

最後に残した言葉とともに、オールマイトは意識を失った。

 

 

──病室にて

 

「マッスルフォームどころか、もう……立てない。一生車椅子です。医学的には、戦うどころか、立てていたのも信じられません……命があることが…奇跡です」

 

 医師の言葉に、場の空気が凍る。

 

意識不明の重体。

 

彼は今、自分との戦いに赴いている。

 

 

それでも笑顔を絶やさない彼の姿に涙が止まらなかった。

 

 

 

次の日

メディアがまだ騒がしく高校の正門前には人だかりがある

 

しかしカタチと校長が作った防衛システムで生徒達は人だかりを避けて登校出来ている。

雄英高校の遥か上空には“旗艦エグゾダス”が浮遊している。

 

それだけでも衝撃的な光景ではあるが

 

緑谷くんはA組の皆に更に衝撃的な告白をした

 

 

「……皆さん。嘘をついていました。ごめんなさい!!実は僕、突然個性が目覚めたわけじゃ無いんです。オールマイトから“力”を受け継いだんです。個性の名前はワンフォーオール。代々、聖火の様に引き継がれてきた力です、僕はまだ力に身体が見合ってなくて、自分を傷つけてしまうんです」

 

 しんと静まり返ったかと思えば

 

「「「「ええええぇぇぇぇ!?」」」

 

 その言葉にポカーンとしたり大声でびっくりしたり、舌打ちしたり反応は様々な中。

 

「そっか……それで、あんな戦い方……」

 

 轟くんが、ぼそりと呟く。

 

「そりゃ、あんな力、急にもらったら身体も壊れるよなぁ……」

と切島くんと、うんうんと頷く上鳴くん

 

「デクくん……だから、あんなに…」

 麗日ちゃんの目には決意が見られた

 

「今まで…オールマイトに鍛えてもらってた。でも僕一人じゃ………オールマイトが入院して…気付いたんだ、頼ってばかりだったことに。自分で強くならなきゃって……そうじゃないとオールマイトが安心して休めない」

 

轟くんと飯田くんが

「「緑谷(くん)」」

と、それぞれ思うことがあるのか、力が入った事が分かる。

 

「…この力は僕だけのものじゃ無い、次に繋ぐためにも、守るべき力だ。でも…… まだ死柄木が、ヴィラン連盟がいる。分からないんだ、どうしたら良いのか。情けなくてごめん、グラントリノに指導してもらった。でもそれだけじゃダメな気がする。だから、一緒に手伝って欲しいんだ、未来を守るために」

 

 その言葉に、誰かが拳を握った。

 そして一人、また一人と──

 

「ふん、デク、テメェが選ばれてたのは気に食わねぇ、だか!あっさり捕まって…あん時オールマイトの足手纏いだった自分はもっと気に食わねえ!…だから分かった、協力する。……ッ!言っとくが、テメェは踏み台だ、それでも俺が1番だ!分かったか、コラあ!!」

 

 爆豪が、不器用に叫ぶ

 

「うわぁ、出たよ。こんな時も変わんねぇんだもんなぁ」

 

と笑うのは切島くん。

 

「もうA組の風物詩みたいになっとるね」

 

「あぁ?それを言うなら代名詞だろぅが、クソ重力」

 

「本人が突っ込んでどうすんだよ」

と笑う。

「うっせえ!」

 

皆、笑ってるけど決意した目をしてる

 

──そのとき、誰かが呟いた。

 

「気合い、入れなきゃな」

「うん、頑張ろう」

「やるぜ!」

「やってやろうぜ」

 

 

皆がみんなの為に動き出す

 

「「「Plus Ultra──

 

&

 

We're next!!」」」

 

 

 

-------------

 

 

 

私は一部始終を離れてみていた。

 

「くぅ!!熱い展開だ。学園ドラマを見てる気分だよ!」

 

とカタチとキャッキャして感動していた。

 

動画録画しとけば良かった。

え?もうしてる?

さっすがーー

 

 

「何言ってんだ、お前」

 

と、ため息をつく相澤先生

 

 

ビクゥ!!

 

「なんで先生が!?」

 

「もうすぐ朝のホームルームだから当たり前だろう」

 

「あはは、すいません。そ、そういえば、もうすぐ仮免試験受ける時期でしたっけ?」

 

「そうだ。お前にも1年への個性強化の指導に入ってもらう予定だ。次は指導経験を積め」

 

「はい!」

 

 

「もちろん座学と並行して行う、期末試験があることを忘れるな」

 

 

「うえぇぇー…助けてカタチ」

「ガンバれ!作身」

 

 

その時

 

唐突に、いつも静かな彼が、私達に珍しく近づいてきた。

 

「型形先輩……相澤先生……」

 

「ん、どうした?」

「口田くん…どうしたの?」

 

緊張している様子だ。若干青ざめている。

 

何かあったのかな

 

「伝えなきゃいけないことがあって、あの、その、前に死柄木と今回のAFOがつけてた装備……最初は勘違いかと思ってたんです…でも違った……あの装備……アレは……うぅ、アレは…動物達です」

 

「……なに?」

「………どういうこと!?」

 

物語は加速する。

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