どうしよー*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
ってなったのが
3回……
学べよ!俺!!!
自動保存あってよかったけど…もっと後の文も保存しといてほしかった
筆がノッ出る時こそ、こまめな保存…大事っすね
蛇腔病院上空
高度数百メートル──
灼けつくような太陽を背に、赤と黒の閃光が激しく交錯していた。
烈火の尾を引いて翔けるエンデヴァー。
それを迎え撃つように、漆黒の大翼を広げるセキ。
「──クハッ、速いな。まるで別人じゃないか、エンデヴァー!」
セキが口角を吊り上げた、その刹那。
背後から、灼熱の奔流が迫る。
「“赫焰穿流《プロミネンス・ジャベリン》”!!」
咆哮と共に放たれた火焔の槍が、一直線に彼を貫かんと突き進む。
セキは瞬時に翼を折り畳み、身を捻る。
地上スレスレを滑空するように急降下──
灼熱の槍を紙一重でかわし、そのまま反転。
「ならば──こちらから行くぞ!」
セキが翼を一閃。空気が歪み、羽ばたきから生じた衝撃波が、鋭利な斬撃となってエンデヴァーの前面を抉った。
「……なるほど。空中戦に対応してきたか。いや、これは修練の結晶……この短期間で、よくぞここまで!」
「当然だ! 自己研鑽なき者に、勝利など訪れん!!」
地の利など関係ない。
本来不利なはずの空中戦において、エンデヴァーは一歩も引かない。
「──押し通す」
両腕に纏った赫焰が爆ぜ、凝縮されてゆく熱量が空気を焼く。
「“赫焰爆拳《プロミネンス・インパクト》”!!」
拳から放たれた炎が、弾丸の如く炸裂。
直撃──セキの胸部を、炎の奔流が撃ち抜いた。
だがセキは、微笑んだまま黒翼でそれを強引にいなす。
──だが、翼が焦げた。確実に。
「いいぞエンデヴァー! その熱──もっと寄越せ! もっと! もっとだぁぁぁ!!」
燃え盛る空を舞台に、ふたりの巨躯が激突する。
爆ぜる風。裂ける雲。交錯する赫焰と黒翼。
そして──
「ふん……ならば、くれてやろう」
右腕が赫焰と化し、轟々と燃え上がる。
「“右腕・炎天化”──《ヘル・スパイダー》!!」
灼熱の蜘蛛脚と化した右腕が空を切り裂く。
ヴン……
音が置き去りにされ、次いで──
ズル……
空間が焼き斬られる音が遅れて届く。
セキの目が見開かれた。
避けきれず、
「──がっ……!?」
両脚と、左腕が──ごっそりと斬り落とされる。
「まさか……これは……!?」
驚愕が一瞬、彼の表情を支配する。
「俺がかつて──殺された“奥義”……それを、通常技にまで昇華させたというのか……」
だが、笑った。
「ク、ククク……いや、アハハハハ!! そうか! そうだな……強くなったのは、俺だけじゃなかったか……!」
口元から血を滴らせながら、それでも誇らしげに嗤う。
「すまん、エンデヴァー。お前を侮った。不出来な敵で済まなかったな……」
失われた四肢からは、既に再生が始まっていた。
「……何を言う。俺は今ので決めるつもりだった。──貴様は、強すぎる」
「ハッハッハ! 嬉しいことを言ってくれる……できることなら、永遠に……この時間を!!」
「──残念だが……次で終わらせる」
「そう急ぐこともあるまい? どちらにせよ、ここで貴様は終わる……」
「──ぬかせ!! 敵は貴様だけではない。救わねばならぬ者が、まだいるのだ!!」
エンデヴァーが咆哮する。
「──《炎天化》ッッ!!!!!!」
右腕から、上半身へ。赫焰が全身を覆い尽くし、まるで太陽そのものが空に現れたかのような熱が世界を満たす。
セキはその輝きを見据え──薄く笑った。
「ヒーローとは、実に難儀なものだな……だが」
黒翼がゆっくりと広がる。
「興が覚めるよりは、マシか。──仕方ない。貴様は石像となれ」
セキの掌が、印を結ぶ。
「《戒界・“石”》ッ!!」
「スベからず──イシとナれ!!」
光と闇が交錯した。
赫灼の光柱──“プロミネンス・バーン”が大地を焦がし、
同時に、黒く重たい石化の波動が世界を飲み込んでいく。
──爆風。
──火光。
──影。
空が、世界が、音を失ったように静まり返る。
そして──
勝者は、ただひとり。
………………
蛇腔病院の地下深く、二体の巨獣が咆哮を上げた。
一体は、腐食の涎を垂らし、黒鉄のような体躯と猛虎の脚力を持つ従獣『虎武龍(とらぶりゅう)』。
もう一体は、亀の様相に黒い炎の翼、意思を持つ蛇のムチを尻尾に備え、最硬の盾を持つ支援獣『玄謐凰(げんひつおう)』
対峙するのは、雄英高校1年B組の精鋭4名――物間寧人、拳藤一佳、鉄哲徹鐵、鱗飛竜
そして担任のブラドキング、プロヒーローのミルコ、クラスト、マスコーダー
病院外では、1年B組の他の生徒たちがプレゼント・マイク、ロックロック、ヨロイ武者と共に、被害拡大を防ぐための準備を進めていた。
同時に"ミズチ"と"クサナギ"の索敵を行うが、接触は厳禁だ。ヴィラン一体に対してチームが多すぎると妨げになるリスクがあるため、個性を考慮したファイブ・マン・セル形式で挑む。
そして、獣型・シン脳無との壮絶な戦闘が幕を開けた。
「来るぞッ!陣形散開ッ!」
咆哮と共に『虎武龍』が地を蹴った。重戦車のような巨躯が地面を揺らし突進する。その一撃は、いかなるヒーローも無事では済まされないだろう。
虎武龍の相手はブラドキング、物間、鱗、ミルコ、そしてシールド。
一方、『玄謐凰』にはクラスト、拳藤、鉄哲、エクスレス、マスコーダーが立ち向かう。
vs 玄謐凰:鋼鉄の守護者
城郭のような巨亀の外殻を背負い、甲羅の縁には黒い炎をまとった鷲の翼。その大翼は飛ぶためではない。熱を帯び、すべてを斬り裂き、圧倒する暴力の象徴だ。地を這う尻尾の先には蛇の頭部を模した漆黒の鞭。意思を持つかのように唸り、舌のように獲物を絡め取る。その牙にはおそらく毒がある。
その巨躯は大地を砕く魔獣でありながら、どこか冷静な「守り手」としての意思を帯びていた。支援獣――主君の命を守り、戦況を整えるために存在する、理知と暴威を備えた戦術兵器。
エクスレスが右手に粘着性の棒を生成しながら問う。
「明らかに防御寄りだな。共有情報は何だ?クラスト、マスコーダー」
「元はたぶん、中国の四神、玄武と朱雀がモチーフの脳無です。
以前も似た属性を持っていました。
その時は全力では無かったと聞いていますが、今回は合体しているのでそれ以上の実力かと。
どれほどのものかは予測不能です」
クラストが答える。
「確か名前は獄炎鳥と蛇甲羅だったか。阿賀月事件では私が獄炎鳥を担当した。おそらく炎の羽による誘爆と、目視困難な蛇の攻撃が予測される。
あの姿から察するに、飛ぶことはメインではないだろうが、可能性の一つとして対処すべきだ。
私とエクスレス、マスコーダーは左右・背面から攻める。遠距離支援は蛇のリーチが不明なため、接近戦の後で検討するか。拳藤、いや“バトルフィスト”と“リアルスティール”は追撃要員だ。
3秒後に牽制しつつ攻撃を開始する。頼んだぞ」
「「はい!」」
ジャッ、とクラストとエクスレスの二人が目の前から消えたかのように見えた。わずかな一瞬、“意識の隙間”を狙った移動だ。
ドン!
とマスコーダーもほぼ同時に、自身の最高初速で動く。
結果、三人は同時に玄謐凰に接触し、脳無は近づけまいと蛇で牽制した。
狙いはマスコーダー。しかし彼女は焦らない。視認困難だとしても、一撃目は予測しやすい。
「ここだ…!」
両手の《デュアル・N・ブレード》が交差し、白雷が走る。蛇尾が触れた瞬間、痺れたように動きを止めた。二刀の間に形成された“雷障壁”。攻防一体。触れた者の筋肉と神経を制御不能に陥らせる、戦術支援装備だ。
マスコーダーの二刀流は、ただ手数が増えたり動きが素早くなるだけではない。
その真の強みは、二本の刀の間に発生する“白雷”による防御にある。白く目立たないその雷は、触れた瞬間に相手の全身を駆け抜け、動きと判断力を一瞬だけ奪う。
攻撃力自体は高くないが、敵の隙を生み出す“近距離支援型の装備”として極めて有効だ。
もちろん、二刀自体も通常の武器として十分に機能する。
攻撃と防御を両立しながら、相手のリズムを崩すために設計された接近戦術は、この戦場で最も重要な役割を担っていた。
接近戦を苦手とするマスコーダーが考え抜いた戦術。自らの弱点を克服した瞬間だった。
「「よくやった、マスコーダー!!」」
エクスレスが粘着性の大槌を作り出し、蛇を打ち、甲羅に叩きつける。粘着効果で甲羅から離れられなくなった蛇はもがいた。
その大きな隙に、クラストが破壊力を重点に置いた攻撃を繰り出す。
「さすがエクスレスだ!…喰らえッ!シールド・ブレイク・スマッシャー!!」
咆哮と共に、クラスト自慢の盾すら破壊する一撃が玄謐凰の頭部に叩き込まれた。
ドゴォッ!!
地鳴りが走る。硬い部分など最初から攻撃対象には入っていない。攻撃が通るであろう箇所に全力を注いだ。骨までダメージが通ったのか、頭が凹む。
「ギイィィ!!?」
玄謐凰が叫ぶ。
「「今だ!!」」
バトルフィストとリアルスティールが追撃の準備を終えていた。バトルフィストは、今までで一番巨大な拳を片腕だけに発現させ振り上げる。巨大すぎてふらつくが、そこは全力でバランスを取る。しかし拳以外の部分への負荷が強く身体が軋む。補強するかのようにリアルスティールがバトルフィストの拳と身体を鋼化する。
奇しくも、個性の深化先も切島と鉄哲は似通っていた。
そして――
「ギガ・スティール・フィストォォッ!!」
――隕石の如き一撃。
ズガァァァンッ!!!
玄謐凰の胴体がめり込み、地下空間の天井が軋む。大地が割れ、砂塵が舞い、空気が一瞬静止したかのような衝撃が走った。
「……っ!すごいな、あれでB組だと……」
クラストが目を見張る。
「タイミング・場所を計算したのか……あんな連携、プロでもそうは出来んぞ」
エクスレスも唸る。
「うわぁ……えっぐぅ……!」
「ちょ、あの二人、前と全然違うじゃん!?」
マスコーダーとカタチが目を見開く。知っているからこそ分かる成長だった。
だが。
ヴォウウゥゥン……
黒炎の翼が静かな音と共に広がった。
ゴォォォォ……!!
熱風が四方に爆ぜる。
「炎壁……っ!」
「息がっ……!熱っ……!!」
灼熱の空気。喉が焼け、目が潰れそうなほどの輻射熱。人間の生命活動を奪う“環境への攻撃”だ。
「(マズい……このままじゃ全員、窒息する!?カタチ!!コード・レッド…呼吸補助及び身体冷却装置を緊急転送!!)」
マスコーダーを含め、全員の顔に冷却マスクと呼吸補助装置が転送される。冷えた酸素が喉奥に届いた瞬間、胸が一気に膨らんだ。
『っ……助かった!ありがとう、マスコーダー!』
『今のなかったら焼け死んでたぞ……!』
『どういたしまして、間に合って良かったです』
『すぐに対応しなければ…クラスト、展開頼めるか!?』
『任された!』
クラストが盾を構え、即座に周囲へ《光盾》を展開。三層の回転防壁が陣形を囲み、火炎の干渉を抑える。
……だがその直後、地鳴りが響いた。
ズズズ……バキ、バキン……
地の奥底から響く異音。岩盤を引き裂くように現れたのは――漆黒の胴。影のように見えたそれは、漆黒の飛蛇――翼を広げ、悠然と滑空する異形の巨獣だった。
鱗は黒に青の縁光を帯び、尾が自らの口へと絡みつく。ゴクリ、と音を立てて尾を呑み込んだその背に――黄金の輪が浮かび上がる。
「自己を喰って……輪になってる……!?」
「神話の存在を再現?あれは……まるで“ウロボロス”だ!」カタチが息を呑む。
「自己再生、自己完結、永劫性……神話の蛇の象徴だ。でもこれは象徴じゃない。“個性”だよ、あの輪が中枢だ」
「来るぞ!!」
クラストが叫ぶ。
「――――ッ!!」
声なき咆哮が、空気を震わせた。その“圧”だけで、全身に危険が走る。次の瞬間、殺意が爆風のように迫ってきた。
「防御陣形!展開ッ!!」
「もう私の接近能力じゃ役に立てない!?ランチャーライフル転送――間に合え!」
マスコーダーの右腰に青白い光が収束する。
が――一瞬、遅い!
すぐ近くまで迫りながら口から熱線を放ってくる。カバーのため、エクスレスが前に飛び出す。
「《アデージョン・ベール》ッ!!」
彼の身体から粘着性の物質が放射され、前方の空間を“蜘蛛の巣に似た網”が覆う!熱線を受け止め、衝撃波を分散し進路を逸らした。
「ナイスカバー!」
クラストがすかさず《盾》を投げる。
空中で展開した楯が反転し、衝突を軽減。その隙を突き、マスコーダーが即応する。
「補正展開、空間軌道変換――完了!」
《ニュートリノバスター》が放たれ、粒子ビームが玄謐凰の左肩を撃ち抜く!
ズガンッ!!
だが――
「ゴキン……」
尾を喰い、自らの傷を“巻き戻す”玄謐凰。
「あれは?再生じゃない。巻き戻しだ……」クラストが観察する。
「傷跡は治ってない、けど“状態だけ”戻ってる……!」
「尾から始まる再構築。つまり、輪の“閉じ始め”が起点か……」
「なら、その接点を壊せば……!」マスコーダーが叫ぶ。「再構築できなくなる!」
クラストが無線で作戦を全員に伝え、再突撃する。
「拳藤!鉄哲!尾を狙え!」
「了解ッ!」
拳藤が跳躍、鉄哲がその腕に乗る。玄謐凰が迎撃の羽根を振るが――
「カタチ!『フラクタ』5機展開」
「転位、再指定――今ッ!」
並列思考対応式遠隔操作型ドローン『フラクタ』5機により羽根の軌道は変えられる。さらに超小型飛行支援機《リトル・カスタム》と小型爆撃ドローン《キャニスター》で支援銃撃・爆破を行うことで、二人の突進軌道が予測不能になる。
結果、拳藤の拳が顔面を直撃する
ズガァン!!
玄謐凰がよろめき、尾の動きが止まる!
「今だ、クラスト!」
「《三重矩陣》、展開ッ!!」
三枚の盾が輪の接点を挟み、回転防御で封印する。“輪”が停止し、再構築が不完全化
「マスコーダー、狙え!」
「座標3.2メートル……ロック完了!」
《ニュートリノバスター:極点(ゼニス)》が撃ち出された。
ギュィィィィィィ――――ン!!
粒子が一点を穿ち、輪が砕ける!!
ズガァァァァン!!
閃光と爆音が空間を裂く
「ギィイィィイイ……ッ!」
玄謐凰が咆哮し、空中でよろめき墜ちる。輪は破壊され、再生の個性は封じられた!
「やったか……?」
「……いや、まだ動いてる。でももう、回復はない!」
鉄哲が盾となって前に出る。
「“不死”は崩した。あとは殴るだけだ!」
「次で、終わらせよう」
玄謐凰が呻き、体表が腐食のように崩れ――再構成を始めた。
「え!?まだ治るの?…いや、これは……“置換”だ!再生じゃない、自己の“上書き”だ!」
カタチが叫び
「なるほど、意味わかんない……!」
作身が答える
玄謐凰の口が裂け、黒紫の煙を吐き出す
「個体排除用の煙だ、避けろ!」
近くにいた鉄哲の姿が一瞬“溶ける”
「――《多重製鋼》ッ!!」
鉄哲の鋼が何重にもなり厚みを増し、煙を突き破る!
「とっておきだ!行くぜェ!!」
拳藤が回り込み、《重層鋼》で保護された拳が蛇の口内をブチ抜く!!
ズガァァン!!
頭部が歪み、牙が砕ける。
「マスコーダー、トドメだ!!」クラストが叫ぶ!
「目標座標、口腔内・脳幹――《解放モード》、ニュートリノバスター・ペイル・ゼニス!!」
キイィィィィン――!!
白光が咆哮のように炸裂。玄謐凰の頭部が、内側から焼け落ちる
その巨体は、光に包まれながら――音もなく崩れ落ちた。
――蛇腔病院地下施設、最奥
vs虎武龍
荒れ狂う咆哮が、鉄骨のように空間を震わせる。
目に宿るのは理性のない破壊衝動、あるいは殺意。
牙と爪に覆われた巨躯の獣――『虎武龍』が、病院地下の支柱を引き裂き、コンクリートを噛み砕いて進撃する
障害物など関係ないと言わんばかりに5人のヒーローたちを次々と薙ぎ払わんとするその巨体。
その暴威に対し、敢然と立ちはだかるのは──
「仕掛けるぞ!俺から行く!」
ブラドキング
真っ赤に燃える血を鞭のように振るい、先陣を切る。
その腕には、鉄のように硬質な《防壁》が薄く貼りついていた。
「瀉血刃――ッ!」
操血の一撃が、虎武龍の右前脚を裂いた。だが、すぐさま再生。咆哮。
反撃の爪が振るわれる。
「後ろ、任せたぞ物間!」
「当然でしょぉ!?ティーチャー!」
物間寧人が今使っているのはプロヒーロー・シールドの個性《イージス》。仲間への“ペースト”も含めて、彼の戦術は目まぐるしく変化し、戦線を柔軟に支えていた。
「はい、鱗には《イージス》。はい、ティーチャーにも《イージス》。ついでにミルコさんには──《操血》!」
彼の手から光が走るように、それぞれのヒーローに個性がペーストされる。
虎武龍の突進を止めるには、スピード・防御・連携すべてが不可欠だった
「──へぇ。血を操るって、こういう感じか」
真っ白な兎の脚が地を蹴る。
ミルコは物間の渡した《操血》の力を数秒だけ体感したのち、即座に己のスタイルに組み込んでいた。
虎武龍の横薙ぎの尾。ビルを薙ぎ倒すような威力が直撃する寸前、
ミルコは操血の細糸でバネのように軌道をずらし──
「おらぁっ!! ルナ・アーツ《兎跳襲蹴》!!」
跳躍からの踵落としが、虎武龍の頸部に炸裂する。
巨体が一瞬、よろめいた。
「ハッ、最高だねアンタの個性!血だらけでワイルドじゃん!」
「ふふん!!あ、でもそれ俺のじゃないから!ティーチャーのだから!?」
「どっちでもいいだろ!」
ミルコの脚に血の鞭が絡む。物間が器用に操作し、彼女の動きをアシストしていた。
「……全く、盛り上がってるのは結構だが、君たち」
抑えた声で割って入ったのは、プロヒーローランキングNo.25シールド
地味な名前とは裏腹に、個性《イージス》は文字通り“防壁”を創り出す優秀な個性。
展開時には、薄く光る防御皮膜が身体に貼りつき、物理攻撃を大幅に軽減し熱さや寒さの遮断にも役立つ。
それを今、物間は“複数人”に展開していた。
「そろそろ距離をとって、再陣形を──」
「いや……来るッ!!」
その言葉と同時に虎武龍の巨体が地下壁面を蹴った。
地面が陥没する。残像を残して飛ぶ巨体。
「っ──!」
真下から襲いかかる“死の牙”。
シールドが前に出ようとしたその瞬間だった
「下あぁ!!一緒に受けます!」
物間が彼の横に並び、《イージス》を自分に再適用。
瞬時に切り替えたのは、シールドの“再現”。
出力こそ劣るが、それでもシールドと2人であれば「強固な盾」は成立した
「ハッハァ!やっぱり僕がいないと、戦線崩壊だよね!?」
虎武龍の爪が壁を裂き、血の匂いが滲む空間で──
物間の盾が《ギリギリの強度》で、仲間たちを護る
「はあああぁぁ!! いっけええ!!」
タイミングを逃さず、鱗飛竜が突っ込む
《イージス》の皮膜を貼ったまま、全身を竜形に変化させ、虎武龍の顎下に突撃。
「ちょっとした安心感があるんだよな、これ!」
硬質な鱗と硬質な盾が重なることで、彼女の突進力は倍増していた。
物間がペーストした防御は、短時間とはいえタンク役の鱗には極めて有効だった。
ドゴン!!!!
その重い音がどれほどの衝撃を与えたかを物語る。
顎下を突かれた虎武龍はたまらず咆哮。だが反撃の牙は放てない
「今度は俺の番だ!」
再びブラドキングが前に出る。
その身体にも《イージス》が貼られ、血の鞭はさらに鋭く。
「──滲血、連牙陣ッ!!」
数条の血の刃が絡まり、虎武龍の肩を裂いた。
一瞬、咆哮が止まる。
「Ryuishi!!!やりますなぁ、ティーチャー!!」
「そっちもな、物間!!」
物間寧人は、常に周囲の仲間の個性を観察し、戦局を“読んで”いた。
《コピー&ペースト》は万能ではない。
自分は2つコピーで5分、1つで10分の持続時間
他者へのペーストで5分の持続時間
その制限下で物間は最適な組み合わせとタイミングを常に探っていた。
「今のうちに──はい《操血》、突っ込むなら《イージス》ね、欲しい時は言わないと分からないぜ!ラヴィットヒーロー!」
「はん…生意気なガキだ…察しろ!が、無理すんな!」
「無理じゃない!努力してるの!!」
ミルコが跳躍。鱗が巻きつき。ブラドキングが叩き込む。
そのすべての裏に、物間の配慮と判断があった。
「……あと1分だよ。僕のコピーの時間」
その目は、誰よりも真剣だった。
「……時間が切れた時イージスが消える。その時は……次の選択肢、ちゃんと考えといてよね!」
5人の連携は、最高潮だった。
しかし──虎武龍は、膝を折らない。
怒り狂ったように壁を登り、天井を蹴って襲い来るその圧。
「……くそ、ほんっとにタフだな!」
「なら、いくぞ……ルナ・アーツ……脱兎襲脚!!」
「俺が突く!!鱗、右サイド頼む!!」
「了解!!」
戦いの結果は、まだ分からない。
だが確かに、彼の5分間がこの戦場を繋ぎ止めていた。
コピーという“模倣”の力を、最大限に活かすということ。
それは単なる“真似”ではない。戦況を読み、判断し、仲間の力を信じる知恵と覚悟の証だった。
「ヒーローってのは……!」
物間が叫ぶ。
「──“光る奴”だけじゃない!!
“支える奴”だってヒーローだ!!」
その声は、地下の喧騒を貫いて響いていた。
地下空間の壁が崩れ、天井から瓦礫が降り注ぐ。
虎武龍は天井を蹴り、竜巻のような軌道で回転しながら落下してきた。
その四肢と尾は鋼鉄の柱すら砕く破壊力を持つ
そんな獣の牙には『余力』が消え失せる
明らかに後を考えなくなった姿勢…
………“本気”だ。
「全員、散開っ!!!」
シールドの冷静な声が響いた直後、
虎武龍の巨体が中央部に激突し、空間全体が揺れた。
コンクリートが波のようにうねり、亀裂が何本も走る。
「っ、うぉおおぉぉぉ!!!」
ブラドキングが血の鞭を伸ばし、ミルコと物間を空中に跳ね上げて衝撃波から退避させる。
鱗飛竜は竜化したまま脇から突進するが──
「がっ……!」
虎武龍の尾が唸り、空気を裂いた
そのスピードは今までの比ではない
鱗飛竜の腹部に激突し、鋼の鱗を割って壁に叩きつける。
「鱗!!!!」
物間が叫ぶ。
虎武龍も次の動作に移るまでに時間が必要そうだが
攻められないよう自らの唾液を撒き散らし、腐食を侵食させる。
「くそっ……ペースト、切れてた…!」
直前に貼り付けていた《イージス》は5分の限界時間を迎えていた。
防壁の有無によるダメージ量は雲泥の差だった
「ちぃ!!全速力でいくよッッ!!」
ミルコは脚部に血の細糸を絡め、空中に跳ね上げる。
同時に空中回転──
「ルナ・アーツ――《兎血旋蹴》!!」
自身の脚に血液を巻きつけ、遠心力と個性の蹴撃を重ねた一撃。
虎武龍の側頭部にヒットすると、その巨体が大きく傾いた。
隙を逃さずラドキングが満身の一撃を放つ。
「連牙陣・拡式!!! 刃血牙、三重突きィッッ!!!」
3本の血刃が連続で虎武龍の肩口に突き刺さる。
破壊というより“刺し止め”──巨獣の片腕が一瞬だけ制圧された。
その隙をシールドは見逃さない
⸻
「……どうせ地味なら、貫き通す」
シールドが地面を蹴る。
その腕に発現する《イージス》は、今まで通りの“自分に貼り付く防壁”。
ただ…圧倒的に密度が異なっている
「《ガーディアン・クラッシュ》!!」
凝縮に凝縮を重ねた高密度の“防壁”は全力の突進と共に、虎武龍の胸部に直撃。押し戻されるように、虎武龍が数歩よろめいた。
「ッッ、崩れるぞ!!」
ミルコが再び跳ね上がり、ブラドキングと物間が血糸を操作して連携。
物間のコピーとブラドキングの操血と彼女の脚力がシンクロしたその瞬間──
「「「うらああぁぉぁ!!!」」」
連撃に次ぐ連撃の後の連撃。
そのすべてが的確に虎武龍の頬、首、肩、腹部を打ち抜く。
“暴獣”と化したその巨体にも、確実にダメージが入っていた
物間の視線はずっと“戦局全体”に向いている
──誰がダメージを負ったか。
──誰に何秒の《イージス》を貼れば次のターンが成立するか。
──自分が何秒後に《操血》を解除するべきか。
その計算はすべて彼の脳内で進み、刻一刻と修正されている
「……ティーチャー、あと10秒で《操血》切れるのでコピーします。次は《イージス》に戻す準備を。鱗は左後方に移動して回復に回って!」
「わ、分かってるって!!」
「シールドさん、その防壁展開は左45度方向にお願いします! 奴の視線がそっちに偏ってる!」
「了解した」
「ミルコさん、そっちは……無言の突撃か。OK!!」
血が滲み、防壁は砕け、鱗は割れてもなお。
ミルコの脚は止まらず、ブラドキングの血刃は新たに生成される。
巨体が吠える。竜が跳ねる。
反撃に転じた虎武龍の突進は、地下空間を薙ぎ払うような暴力だった。
「ぐっ……!クソッ……!!」
ブラドキングが血の刃で迎撃するが、衝撃を受ける…左腕から骨が折れる音がした
シールドの《イージス》も衝突の直後に砕け散る。勢いそのままに吹き飛ばされて壁を抜く
鱗飛竜は右腕と右足が虎武龍の纏っている雷で焼かれ変色しあまりの痛みに力が入らず立つことがままならない
「はぁ、はぁ…」
ミルコが険しい顔で息を整える。
両腕は既にボロボロで何かの機能が果たせるとは思えない程だった
「ぐっ……っ!」
ミルコが地を蹴ってバックステップ
正面には虎武龍
「しつこい……っつってんだろうがッ!!」
叫びと共に前方へ飛び出すのは、血を自在に操る男――ブラドキングと
その教え子、龍化の個性を持つ“鱗”
「はぁはぁ…く!!行くぞっ!!操血・血鎖乱舞ッ!!」
「うぅ…ぐぅ…っ!…はい!龍声振波!!!」
太い血鎖が数本、虎武龍の首筋に巻きつくように放たれ、鱗が指向性の破壊音波を放つ。瞬間、身体に描かれているだけと思っていた龍が口を開き、豪火のような咆哮とともにそれらを一蹴した。
「なっ……!」
ここに来て新しい個性を見せる
強すぎる
今の虎武龍は“ただの獣”ではない。隙が無く、速度も段違い、そして硬すい。プロを含めたヒーロー五人で挑んでなお、じわじわと戦線が押されている
――このままでは負ける
「ブラド先生!」
物間が息を切らしながら走り出す。自分が他人に個性を“貸す”ためには、本人の許可が必要。そしてその効果時間は最大でも5分。
だが、それでも足りない。
――このままじゃ、奴に押し潰される。
「僕に……いや、あなたにしかできないことがあります!!」
ブラドキングが振り返る。血で作られた鎧をまとうその姿は、いつもと変わらず強く、頼もしかった。
「何をする気だ、物間」
「……“操血”をペーストさせてください!」
その瞬間、場に沈黙が落ちた。
「……何?」
ミルコと鱗飛竜が目を見開いた。プロヒーロー・シールドすらも、驚きを隠さずに眉をひそめる。
「ちょっと待って、物間。操血のペーストを操血使いに?そんなの……!」
「二重重複です。副作用も、反動も、何もかも全部“2倍”になります。マスコーダーの訓練を受けた唯一のプロヒーロー…ブラド先生なら、耐えられるかも……しれないレベルの…強化方法…です」
物間は静かに、大きな負担を掛けることを申し訳なく思い、所々言葉が詰まりながらも、しかしはっきり言った。
「だけど、それでも……それしか勝ち筋が思いつかない!」
その拳を握る音が響いた。手の甲から滲み出る血。彼の覚悟は、口先だけのものではない。
「ごめんなさい…ブラド先生…あなたにしかこの戦いを、終わらせられない」
ブラドキングは、血で固めた拳を見つめた後、ふっと口元を緩めた。
「…謝るな…トドメを譲ってくれるんだろ?むしろ、願ったり叶ったりだ」
ガシッ、と物間の肩に手を置く。
「それに…お前が、俺を信じてくれてるってことだろ?」
親指を立てて、笑った。
「まかせろ。ぶっ潰してやるよ、あの化け物をよぉ……!」
――《操血×操血》発動
個性《コピー》が進化し変化した《コピー&ペースト》。
その二重重複による奇跡が、いま牙を剥く。
「30秒……この形での持続時間は、それが限界です……!」
物間の叫びと同時に、ブラドの血が赤く煌めいた。
異常なほどに濃い、凝縮された“命の奔流”。
――【《 ( …ドグン …) 》】――
「うぐ!?(コレで30秒!?『俺』自身がそんなに保たん!)」
負担があまりにも大きい、だが同時に、コレならば確実に勝てると感じさせるには十分な力の奔流だった
一秒とて無駄には出来ないと察し速攻を選ぶ。
ソレは、もはや技名など要らぬ破壊
折れた腕だけではない、全身を操血で操作する。
地面を割る血流が奔り、虎武龍の両前脚を切断する。その巨体が軋みを上げて崩れる。
「……ッ―――!」
喉を振り絞る
「があああぁぁぁ!!!」
咆哮が洞窟を揺るがす。
「(黙っとけ!)」
ブラドキングの血の奔流が収束、膨大な血流が刀のように凝縮し虎武龍の胸部を一点貫通した…だが、それだけにとどまらず更に切り開かれ…虎武龍はバラバラに散った。
「やった……!」
ミルコが一歩前へ出た瞬間、突如としてブラドキングから血が飛び散る
「―ぐふっ―ッ!」
ブラドキングが倒れ込む
「先生ッ!!」
物間が駆け寄る。そこには、意識を失ったブラドキング。
口元から血を垂らし、燃え尽きたように倒れている。
「これは……副反応…っ!」
普通はこの反動に耐えられるはずがない。通常の倍――いや、“同じ個性の倍加”という前例のない行為に、体が保つわけがないのだ
物間はその体を抱き上げながら、肩を震わせた。
「……ごめんなさい……ごめんなさい……!」
恩師を傷つける選択をしたのは、自分だ。
だが――そのおかげで、戦線が守られたのは事実だった
地下空間に静寂が戻る。
「ブラド先生!!」
鱗飛竜が駆け寄ってくる。
シールドが息を吐き、ミルコが「ブラド…」と呟く
そして物間は、その場に膝をつきながら、ブラドの胸に耳を当てる。
――心音が、まだ、ある。
「……生きてる……生きてる……」
震える声でつぶやいた。
その瞳には、涙がにじんでいた。
物間寧人。
決して戦場の主役ではなかった彼が、“誰かを信じて託す”という覚悟を見せた戦いだった。
そしてその覚悟が、仲間の力を――“2倍”に引き上げた。
決して主役にならないと言われ続けた少年は、それでも信じて駆け抜けた。
ヒーローを支えるヒーロー
彼の理想は確かにそこにあった。