ヒーローのカタチ   作:サモア リナン

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今回で原作で言う所の全面戦争編終了です。

次は最終決戦編の時期に入る…予定です。


第28話「交錯する因縁、終局の群訝山荘全面戦争」

 

爆音と衝撃が空に轟き、弾けた土が宙を舞う。その中で人々は恐怖に駆られ、逃げ惑っていた。

 

――浮遊する群訝山、その遥か上空。空中戦の中心では、熾烈な死闘が繰り広げられている

 

死柄木葬華 vs. マスコーダー(型形作身+カタチ)

 

「相変わらずウザい! ここで崩してあげるっ!」

「相変わらず厄介ね! ここで捕まえてやる!!」

 

死柄木は、着崩した男物のスーツにコウモリのような黒翼と槍尻尾を携え、空を舞っていた。

対するマスコーダーは、青のラインが走る白のロングコートを身に纏い、空戦ユニットを駆使して自在に飛行。制空権を死守する構えだ。

 

お互いが自身の有利距離へと引き込み合うが──その意図はことごとく噛み合わず、膠着が続く。

 

死柄木葬華は、接近して右手の“崩壊”で一撃必殺を狙う

中距離でも、左腕に配列された30本の指から繰り出される精密な貫通“崩撃”が脅威だが、これは致命打には至りにくい。

 

一方のマスコーダーは、徹底した遠距離戦を維持し、相手に一切触れさせないことで主導権を握りたい。

 

主砲《ディアッカ》が砲口を開き、突撃してくる葬華を正面から迎え撃つ。

 

「お縄に付けえぇぇ!! ニュートリノ・ガン・ブラスター!!!!」

 

「はぁ!? そんなもん人に向けて叫ぶことか普通!? お縄どころか吹っ飛ぶわ!!マキアに謝れ!」

 

その台詞と同時に死柄木は右手を突き出し、《瞬崩》を発動。砲撃そのものを一瞬で塵と化す。

 

(ちっ……神経使うなぁ…こんなヤバい火力打ってくんなよ。接近戦に持ち込めれば何とかなるのに……ちょっと無理してみるか)

 

バサッ……バサ・バサァ……!

 

キーー………ーーィン!!

 

黒翼を大きく広げ、死柄木がジグザグに超高速で突進してくる。N・G・ブラスターで狙撃するも、瞬崩で撃ち落とされるか、見切られてかわされる。

 

「それなら──!」

 

マスコーダーは主砲を折りたたみ、《ロング・レンジ・シミター》に換装!

 

「これでやってやる!」

 

長すぎる刀身を振りかぶり、斬り下ろす!

 

ヴォン……!

 

すれ違いざまに──というには遠い距離で両者が交錯。衝突音とともに何かが弾けた。

 

「ちっ! 距離が足りん!」

 

死柄木が舌打ちし、

 

「マジで!? あっぶなぁ!!」

 

マスコーダーのロング・レンジ・シミターは、死柄木の歪んだ左腕の30指によって砕かれる

 

(中距離も侮れない…やっぱり遠距離で戦うしかない! エネルギー消費どれだけになるんだろ……保つかなぁ…)

 

叫びながら、マスコーダーは内心で焦りを隠せなかった。

 

ロング・レンジ・シミターの全体形状は保たれている。どうやら左手の崩壊は、触れた“部分”だけを削り取るような性質らしい。

 

一方で右手の《瞬崩》は、触れた物体を起点に瞬時に範囲・速度を調整して崩壊させる。先ほどの主砲が消し飛ばされたのも、そのためだろう。絶対に触れられてはならない。

 

ギュアアアアン!!!

 

すれ違いざまに翼を大きくはためかせた死柄木が、瞬時に別の空域へと移動。超高速の三次元移動を難なくこなしていた。

 

その機動には強烈な緩急があり、肉眼では追い切れない瞬間すらある。マスコーダーは温感センサー、全周囲モニター、10m以内接近時の警報アラートを同時運用して視認を維持。

 

さらに、爆発・電撃・氷結・煙幕など、触れた瞬間に異常を起こすデコイを半径30mに展開しつつ、35機の《フラクタ》を接近・遠距離・防御の各パターンで同時運用。稼働限界ギリギリまで追い込んで、遠距離の一点突破で仕留める態勢を整えていた。

 

──なのに。

 

死柄木は、その包囲網をも突破し、崩壊と翼と槍尻尾を駆使して接近してくる。

 

「あんた……いい加減、崩れろ!! なんなんだよこの物量、ふざけんなぁ!!」

 

「その物量を……超えてくんなぁ!! ……これならどうよ!?

月の脇差し・宵小太刀!!」

(弾幕も爆弾も崩壊には無意味だ!……くそ!これ効かなかったら、かなり選択肢が限定される……お願い、効いてっ!!)

 

──デュアル・ニュートリノ・ブレード展開。

 

ヴァジジジジジジジジィィィィ!!

 

白雷光を纏う白刃が交錯! 中距離で再びの激突。

 

白雷の影響で、葬華の動きが一瞬鈍る。しかし追撃には足りず、マスコーダーはわずかな隙を使って距離を取るのみとなる。

 

「イッタ! ふざけんなぁ! ビリビリしたじゃん!」

 

「アンタもか!!!! AFOもだったけど、なんでスタン攻撃で気絶しないの!?」

 

「はぁ!? 先生のことなんざ知らないし! 私、あの人と下からはとっくに卒業してるのよ!!」

(くっそ……近づくだけでも必死なのに、アイツの距離を取るための手段が多すぎる……! 本当にウザい!!)

 

「へぇ……AFOから卒業?興味深い新情報だね。ヒーローたちに共有しておくよ」

 

──そう言ったのは《カタチ》。

 

「げっ!? アンタもウザっ!!」

 

 

お互いに決定打が届かない攻防が続き、時間と体力だけが奪われていく。

 

(ジリ貧だ……何とかしないと)

 

──知らぬ間に、二人の心中は同じ思いで重なっていた。

 

とはいえ。

 

双方が一発でもまともに喰らえば、即・戦闘不能、もしくは死。仲間に矛が向かえば、戦局が崩壊するレベルの破壊力を有する。

 

つまり、どちらも“無視できない存在”。

 

だからこそ、彼女たちは出会えば戦う運命にある。

 

この高々度における超高速戦闘に付いてこれるのは、今のこの戦場では──緑谷出久、ただ一人。

 

しかし、彼は──別の場所で戦いに囚われ、助けには向かえなかった。

 

────

 

 

ドガァッ!!

 

轟音とともに地面に叩きつけられたのは、緑谷出久。

 

「クッソォ!!……このままじゃ……ダメだ!」

 

彼は――今、自分自身と戦っている。

 

ズガアアアァァァアッ!!

 

フルカウル80%。歴代継承者たちの個性を総動員し、限界近くまで力を引き出している。それでも彼と互角以上に渡り合っているのは……

 

“緑谷出久”の姿をしたトガヒミコだった。

 

「強いね……出久くん。変身してみて、やっと分かったよ。こんなにも傷だらけで……消えない痛みにずっと耐えてたんだね。ジンジン……ガンガン……ズキンズキン……。それでも前を向いて、夢を追いかけて、人のために……辛さも痛みも顔に出さず、言葉にもせず、ボロボロなのに仲間を大事にしてる。……素敵だよ。やっぱり私、貴方に恋してたい」

 

自分と同じ顔で、爪糸・剛翼・崩壊といった凶悪な個性を操りながら、その告白を聞かされる――

 

この場に、まったく似つかわしくないその言葉は、現実味を帯びていなかった。

 

……だが、自分の身体に刻まれていくダメージは、間違いなく“現実”そのものだった。

 

 

……

 

 

トガヒミコもフルカウルを使っているようだが、どれほどの出力かは読みきれない。歴代継承者の個性までは再現できていないようだが、代わりに他の仲間やヒーローたちの個性を部分的に変身して使用していた。

 

左手にはセルドライバーを操る爪糸、右手は死柄木の“崩壊”、背中からはホークスの剛翼が生え、飛行しながら羽の攻撃を自在に行ってくる。

 

 

とはいえ、正真正銘の一対一の勝負であれば、緑谷の優位は揺るがなかっただろう。今の彼は、戦闘能力だけならば、もはや全盛期のオールマイトに肉薄している。

 

しかし

 

周囲には“他者”がいた。動けずに呆然とする者、恐怖で叫ぶ者、逃げ惑う者……それぞれが、それぞれの形で、この戦場に巻き込まれていた。

 

恐ろしく効果的だった

 

トガヒミコは、周囲の被害など意に介さない…どころか有効活用とでも言うように積極的に巻き込んでくる。

 

だが、“ヒーロー”は違う。

人々を守りながら戦わなければならない――。

 

かつてのオールマイトは、常に強敵と相対しながら、その場にいる市民を守り、救い、助け続けていた。彼の力は一切無駄なく“敵”だけに向けられ、彼が現れた場での死者数は、数十年にわたりゼロを貫いてきた。

 

それこそが、“平和の象徴”たる所以だと痛感した。

 

(学んだ通りだ……ヒーローは戦うだけじゃ……強いだけじゃダメなんだ。僕は……まだまだ、プロヒーローの足元にも及ばない……!!

だから、それを自覚した上で、“今”できることを、全力でやらなきゃいけない!!)

 

ヴィランに勝つこと――“戦闘”そのものはヒーロー活動の中では、それほど重要視されていないのだと身をもって知った。

 

幸い、いまのところトガヒミコとの戦闘で、周囲に甚大な被害は出ていない。

 

それは奇跡などではなく、“ファイバーヒーロー・ベストジーニスト”の援護があってこそだ。

 

彼は、Mr.コンプレスと睡魔という二人のヴィランを同時に相手取りながらも、周囲の人々を守りきっている。

 

攻めと守りの両立――それを成し遂げる彼の姿は、まさに理想のプロヒーローそのものだった

 

 

 

「俺のことを……ただの“デニムを愛しデニムに愛された男”だなんて思うなよ!!」

 

叫ぶベストジーニスト。彼は、繊維を先程の救助で使い切ったため、己の体術と上下にまとったデニムだけで戦闘している。

それでも優位を保っていた。

 

対するはMr.コンプレスと睡魔のコンビ。個性とセルドライバーを駆使し、圧縮玉で障害物や邪魔者を投げ出し、空間固定で防御、進行妨害を繰り返す。そして一般人を巻き込もうとするも——それもことごとく失敗に終わっていた。

 

「うーん、直接的な戦闘はおじさん大の苦手なんだよね~」

「少女の身でも戦闘は苦手ですなぁ……ガスを撒きながら歌う方が得意なんだけど…試してみようかな?……ふふ、『うしろの、しょうめん……だあ~れ?』」

「デニムだ!!!!」

 

「ふぇっ!?ち、違うよ!?そういうことじゃない…う~ん、これがトップヒーローってやつかぁ……」

「そうだ!大人しくデニムに付け!」

 

「それを言うなら“お縄”じゃないかい?」

「その隙、貰ったァ!」

 

「うわっ!ちょ、ズルくない!?それがトップヒーローかよ!!」

バサァッ! Mr.コンプレスが繊維に絡め取られ、動きを封じられる。

 

「ちょっとちょっと!!ミスター捕まらないでよぉ!?」

「その隙、貰ったァ!」

 

「そのセリフ2回連続で言う奴、初めて見たんだけど!?」

 

次の瞬間、睡魔(スイちゃん)までもが繊維に拘束され、動けなくなった。

 

……

 

その光景を見守っていた麗日お茶子は、ベストジーニストの一挙手一投足に目を奪われていた。

 

「……すごい……これが、私たちが目指す“トップヒーロー”……!」

 

だが、その彼女も、今や個性の効果が著しく低下していた。地面に手をついていなければ浮遊する群訝山の維持が困難となった。解放された市民たちは地上に降ろされ、座り込むか、ベストジーニストの作ったロープマットや青空デニムにくるまれている。

 

ここに勝負は……決まった。

──かに思われた、その時。

 

「……残念ながら、ここで終わりにはしません。我らが同志を取り返しに参りました。飛ばされていたもので、到着が遅れましたが……何とか間に合いました」

 

不気味な黒い影が地面を這い、ワープゲートが開かれる。

 

そこから現れたのは、まさに“絶望”そのもの——

荼毘、マスキュラー、ムーンフィッシュ、ケンドー、ギガントマキア、そして型落ち脳無が10体。さらにSVPの精鋭と通常社員が次々と現れ、周囲は瞬く間に“敵”で埋め尽くされていく。

 

「葬華様……遅れて申し訳ありません。全員、合流いたしました」

 

そして。

 

「ギャハハハハ!おいおい、お前ら負けそうだったんじゃねぇのか!?……お?おい、ヒミコ!そいつ寄越せ!前に負けた借りを返させろや!!」

 

そう叫ぶマスキュラー。林間合宿で緑谷に敗北した過去を忘れていない。だが——

 

「ダメです。……彼は、私の大好きな人なんです。恋してるんです。だから……お願いがあるのです。どうしたら“私が納得できる殺し方”になるのか、一緒に考えてくれませんか?」

 

「あん?難しいこと言うなよなぁ……ちっ、まあ相談されたら断れねーし、可愛い妹分の頼みだ。今回は譲ってやるかぁ……」

まさかのマスキュラー、折れる。

 

「よぉ……トガヒミコ。変身してても分かるぜ、お前、良い顔になってんな……いいぜ、俺も一緒に考えてやるよ」

 

荼毘が現れ、元プロヒーロー・藍色の薪骸となったウワバミを引き連れる。

 

「枝歯歯!皆で考えるディスカッション、カンファレンスは重要だ!……歯っ!? だが忘れてはいけない。スピナーに、トゥワイス、それに睡魔とミスターも助けねばな!」

 

なぜか急にまともな意見を出し始めるムーンフィッシュ。冴え渡る頭脳。

 

「うんっ!もちろんだよ。えへへ……みんな、ありがとう!」

 

トガヒミコは満面の笑みで頷くと、市民の盾になっていた緑谷を蹴り飛ばし仲間たちの中心へと飛び込んだ。その絆の強さを、見せつけるように。

 

ズドン!!!

「ぐは!!」

緑谷はヒミコのシュートスタイルでベストジーニストの元へ吹き飛ばされ、受け止められる。

 

「なっ……なんでだよ! なんでそこまで仲間を大事にできるのに……それを、ほんの少しも他人には向けられないんだよッ!!」

 

叫ぶ緑谷に、ベストジーニストが制する。

 

「悲しいが……今、彼らを説得している時間はない。状況を好転させることに集中しよう。理解するのは……今じゃなくてもいい。君はまだ、生デニム(きデニム)なのだ。緑谷出久くん……」

 

ヴィラン側には勢揃いした残りの灰濁たち。対するヒーロー側は、ベストジーニスト、緑谷、そして能力維持で手一杯の麗日のみ。Mr.コンプレスと睡魔を捕縛しているとはいえ、戦況は一気に悪化した。

マスコーダーは空中で死柄木と交戦中。援護は望めない。

 

「ふむ……これは勝ったな。我々を置いて逃げるのが正解かもな?」

「そうそう、戦略的撤退ってやつ?僕らなんて放っといて逃げなよ、ヒーローさん?」

 

皮肉を飛ばすMr.コンプレスと睡魔。

 

「そうは……デニムが卸さない! ヒーローを舐めるな!」

 

「……それを言うなら、“問屋が卸さない”じゃないかい?ま、好きにしてくれたまえ。我々が解放されるのは、時間の問題だしね」

「ねぇミスター、こいつら本当に諦め悪いね……全然理解できないや」

 

Mr.コンプレスと睡魔に呆れられ、馬鹿にされる——

だが

「諦めるわけがない!! なぜなら……勝つための算段があるッ!来い!デニィーーーム!」

ベストジーニストが指をパチンと弾いた。

 

次の瞬間。

 

地面に下ろされた人々。解けた繊維のすべて。

それらが、まるで意志を持ったかのように彼の元へ集い、絡まり始める。

 

シュルシュルシュルシュル……!!!

 

あり得ない量の繊維が彼の体に何重にも巻き付き、巨大な塊へと変貌する。

それはゴツゴツとしながらも、しなやかに動く“デニムの巨人”——まるで機動兵器のようだった。

 

「これが我が最終奥義……スーパーワイド・ストレッチ・モビル・デニム・スーツ! 機動繊維デンニムだ!!」

 

「お前馬鹿だろ!?」

「アンタ馬鹿ぁ!?」

思わずツッコむMr.コンプレスと睡魔。

 

「ちょ、待って!? それは流石にやりすぎじゃない!?」

「ジーニストさん……それはちょっと……!!」

 

上空の死柄木とマスコーダーですら、思わず動きを止める。

 

 

 

—そして

 

 

 

『時間稼ぎ…ご苦労、ジーニスト。後は任せろ』

 

空気が変わった。

 

次々と転送されてくるヒーローたち。

 

救助や捕縛が必要な者たちは、迅速なプロヒーローの働きによって適切な場所で療養、あるいは投獄されたのだ。さらに、圧縮玉から解放されたこの場の人々も、一斉にバスティオンへと転送されていく。当然、バスティオン単機で全ての人数をは収容できないが──

 

……ズズズン

 

支えを失っていた大地を、居住艦エグゾダスが現れて補強、収容しきれなかった人々は、こちらに転送され安全に回収された。

 

公安支部が密かに依頼していた緊急転送班による大規模転送作戦──それは見事に成功した瞬間だった

 

第一陣として到着したのは、石化から回復したエンデヴァー、エクスレス、クラスト、ミルコ、リューキュウ、エッジショット、イレイザーヘッド──錚々たるプロヒーローたちが空の戦場に降り立つ。

 

そして。

 

「うっせーんだよ、テメェら!! いつまで暴れてんだ、バァカ共が!!!」

 

爆裂音とともに飛来するのは、爆豪勝己。空を裂いて現れる

 

「…遅くなってごめんな……麗日、緑谷、もう大丈夫だ。俺たちが来たぞ」

 

轟焦凍が冷気と炎をまとい、静かに着地する。

 

さらに──

 

「待たせたな! 救援来たぞ!!」「え!? みんな!?」

「……! ほんとに、みんな来たんだ……!」

 

雄英高校1年A組のクラスメイトたちが続々とゲートから登場する。

 

目を見開く麗日お茶子。その頬には涙──しかしその顔は、歓喜に輝いていた。

 

ここ、元・群訝山荘の上空にて──ヒーローとヴィラン、双方の最終戦力がついに出揃った。

 

エンデヴァーが言葉を紡ぐ。

 

「待たせてすまない。石化が解除され、ようやく意識が戻った。言い訳はしない。情けないことこの上ない……何がNo.1ヒーローか……それに比べて……みんな、本当によく耐えてくれていた。ありがとう。君たちに最大限の敬意を払う」

 

続いてイレイザーヘッドが、麗日たちに優しく語りかける。

 

「麗日、緑谷……本当によく持ち堪えてくれた。浮遊の伝播は解除して構わない。群訝山には、もはや俺たちしかいない。そして、下にも誰もいないことが確認された。お前たちはもう、休んでいい。あとは俺たちに任せてくれ」

 

その言葉に、麗日は一度だけ肩の荷を降ろし浮遊を解除する。

 

大地が落ち、下からは大きな音が響いたが──バスティオンとエグゾダスの上に厚く積もった土が衝撃を吸収し、大きな被害には至らない。

 

だが、それでも──2人は歯を食いしばり、“ヒーロー”であろうとする。

 

「「いえ!まだ戦えます!」」

 

2人は……折れない。

 

ヴィラン組織SVP社とヒーローたちとの第3次全面戦争が、ここに始まった。

 

 

 

………ワアアァァァァ!!!

 

そこはまさしく戦場──しかし、互いの「あり方」はあまりにも異なっていた。

 

ルールなど存在せず、殺意をまき散らし暴力を振るうヴィラン。

 

それに対し、信念をもってヴィラン制圧に全力を尽くすヒーローたち。

 

どちらが優勢かなど、もはやわからない。ただ、それぞれが「自ら定義した勝利」を目指し、必死に戦っていた。

 

──荼毘 vs エンデヴァー──

 

「おのれ……なんということを……ウワバミはヒーローにもヴィランにも分け隔てなく人として接し、殺傷を良しとしない模範的なヒーローだった。その彼女を、こんな目に合わせるとは……許さんぞ!荼毘!!」

 

「あはははは!アンタが俺の相手してくれるのかい?嬉しいねぇ……じゃあ、もうこんな奴はどうでもいい。あー……なぁ……本当に気付いてないんだな、“お父さん”……」

 

荼毘が「薪骸」を解除すると、ウワバミは灰となって空に消えていく。

 

「な……に……?」

 

あまりの衝撃的な発言に、エンデヴァーの思考が止まる。

 

荼毘の髪色は、瑞花の影響で白く変色している

その瞳は、胡乱にエンデヴァーを見つめる。

 

戦線の後方。スケプティックが映像処理を施し、電波操作個性持ちのヴィランが電波ジャックによる強制放送を開始する。

 

荼毘──いや、男は全国に向けて名乗った。

 

「自己紹介だ!!!

 

俺の名前は――轟燈矢(とどろき とうや)

 

そうだよ、エンデヴァー。お前の息子、長男だ。

みんなが憧れるNo.1ヒーローの、“失敗作”。

 

小さかった頃の俺は、お前に認められたくて仕方なかった。

褒めて欲しかった。振り向いて欲しかった。

でも、お前は俺を見限った。

体が炎に耐えられない? 期待外れ?

勝手に作っておいて、勝手に捨てた。

 

そこからだ。本当の地獄が始まったのは。

 

焦燥と絶望。焼けた皮膚、崩れた心。

それでも俺は生き延びた。名を捨て、過去を燃やし、『荼毘』となって。

 

俺は多くの人を殺してきた。

やり方も容赦もない。ただ、焼いただけ。

 

でもな、それは全部──お前が生んだものだ。

お前の手で俺は壊され、“このやり方”でしか存在を証明できなくなった。

 

そんな俺を作ったお前が、今や称賛されている。

ヒーロー社会の希望、No.1?

後悔して家族と絆を深めて、立派な父親気取り?

 

──賞賛されて、嬉しかったか?

 

家族と向き合えるようになって、少しは救われたつもりか?

 

“やり直せるかも”って、そう思ってるんだろ?

 

贖罪のつもりなんだろ?

 

……そんなお前に、俺からの言葉を贈らせてくれ

 

『過去は、消えない』

 

誰かに謝っても、誰かを救っても、

掘り進めた先に溢れ出た地獄は、もう閉じない。

 

過去があるから、今がある。

今があるから、未来がある

 

そう、全てはお前のせいだ

 

焼けた皮膚も、壊れた家族も、

焦凍の孤独も、母さんの傷も──

お前が刻んだ傷は、なかったことにはできない。

 

だから俺は焼く。何もかも。

お前の理想も、立場も、未来も、全部。

灰になっても、この蒼炎で焼き尽くしてやる。

 

ヒーローごっこは、ここで終わりだ

 

ははははははははははは!………

 

……大丈夫……分かってるさ、俺がおかしいってことは。

 

でも、おかしくしたのは……アンタだろ?

 

さあ、最後の親子喧嘩だ。

 

死んでくれよ……“お父さん”」

 

──カチッ

 

荼毘がベルトに触れる。

 

「変身・重ね・碧灼熱躯(へきしゃくねったい)」

 

可燃性物質アセチレンを溢れ出させ、骨の髄まで自らを焼く。炎そのものとなる『髄の経脈』。

 

本来なら動けるはずがない

 

だが「炎操作」で、自らの身体を動かす。

 

そして──

 

轟家には「氷」の系譜を含む。それも忘れたくないという思いから、胸に宿したのは

 

『瑞花』

 

胸部に蒼炎で描かれた雪の結晶──六花。

 

「う、嘘だ……本当に……燈矢……なのか?」

 

エンデヴァーは後ずさる。

 

荼毘が近づいてくる。

 

「じゃあね…“お父さん”」

 

『天灯(てんとう)・堕冴(ついが)」

 

荼毘は上空に蒼炎を放ち巨大な球体が形成された。上半分は蒼炎の花が開き茎は氷柱のように伸び堕ちてくる…蒼く燃えるまるで“炎の根”が一点を穿とうとしていた

 

あまりの事態に、ヒーローたちは動けない……ただ一人を除いて。

 

「ふざけんなぁ……クソ親父があぁ!!動けよ!!!何してんだよ、ヒーローだろ!?今まで積み上げたもん、全部無くしていいのかよ!!俺たちはどうなるんだよ!!」

 

末っ子・轟焦凍だけが、彼らの間に割って入る。

 

「お前が本当に兄貴でも、今は……倒す!!くらえ…俺の最高の技を!絶対零炎・大海氷嘯棺(ぜったいれいえん・たいかいひょうしょうかん)!!」

 

「ははは!ショート…来てくれたのか!?

最初で最後の兄弟喧嘩だ!!そうだ…お前が死ぬ姿を親父に見せてやってくれ!!」

 

「……な、なんだと!?お前たち、やめてくれえぇぇ!!!炎天下(プロミネンスバーン)!!!」

 

親子と兄弟──三つ巴の喧嘩が、ここに始まり……そして、終わろうとしている。

 

炎と蒼炎と零炎がぶつかる先にある未来とは──?

 

トガヒミコ vs 緑谷出久&麗日お茶子& 蛙吹梅雨

 

群訝山荘崩れた屋根の上で、一人の少女が踊るように跳ねる。

「イズクさん、お茶子ちゃん、あなたは…梅雨ちゃんっていうのね。よろしくね」

 

「ケロロ……“梅雨ちゃん”って呼ばないで。そう呼んでいいのは、お友達だけよ」

 

低く、静かに言いながら、蛙吹梅雨舌を右手で崩れかけた瓦礫を払いのけると、上空からトガヒミコが微笑みながら舞い降りる。

 

「恋した人を、殺したい……ふふ、やっぱり変だよね。でも、それが今の私の“本当”なの。だから……まずはその想いを、否定しないってところから始めてみるの。受け止めてくれたら嬉しいな。そのうえで、私は……“どうやって殺すのが一番愛にふさわしいか”、みんなと考えてみたいんだ。ねぇ……だから、まずは捕まってよ。イズクさん」

 

その呼び方が変わった。

まるで夫婦のように、妻が愛おしげに名を呼ぶような声。

もはや“恋”ではない。トガヒミコが緑谷出久に向けているのは、**歪んでいても確かな“愛”**だった――たとえその終着点が“死”だとしても。

 

爪が閃き、針糸が空間を裂く。

 

寸でのところで飛んできた瓦礫が盾になる。それは、麗日お茶子が“無重力”で浮かせて飛ばしたものだった。

 

「やめて、トガさん……!あなたの“恋”は、私たちの大事なものを壊してしまう」

 

お茶子は前に出た。

その瞳に、もう迷いはなかった。

揺れはある。それでも、前へ進むと決めたから。

 

「お茶子ちゃんってさ、いつも最初に“否定”から入るよね?それって……ほんとに正しいのかなぁ? 私は違う。違っていたいの。ねぇ……私みたいに、まず“受け入れて”みてよ?ただ、私は……好きなの。血の匂いも、デクくんの痛がる顔も、悔しそうな横顔も……全部、全部…気持ち悪いって言われても私はそう思っちゃうんだもん!」

 

「ケロ……気持ちを抱くのは自由だと思う。好きな人を想うだけなら、何も悪くない。でもね、押しつけちゃだめなの。ケロロ……それは“恋”じゃなくて、“横暴”って言うのよ」

 

「横暴?恋って……もともと“想いの押しつけ合い”じゃない?自分のことを好きになってもらいたくて、必死になったり、追いかけたり、すがったり……全部、ある意味では暴力的なんだよ。私は、それでいいと思ってる。“好き”って気持ちを伝えるのに、手段なんて選べないこともある。私は、その経過で殺しちゃうだけ…だから……私を好きになってもらえるなら、たとえ死ぬことになっても、構わないの。それって……他の誰にも、止められないことでしょ?」

 

「殺すために、好きになってもらうなんて……それは、違うよ!!」

お茶子の声が、張りつめた空気に響いた。

 

「なんで違うの?“その後”が思い通りにならないなら、意味がない。だって、お茶子ちゃんだって、気付いてるでしょ?恋をして、想いを伝えても、うまくいくとは限らない。だったら……せめて、最期は私のものにしたい。それって、そんなにいけないこと?」

 

「いけないよ!恋は、自分のものにするためにするんじゃないの!分かり合いたいから、近づいていくの!一緒に歩くために、気持ちを伝えるのよ!」

 

「ケロ……自分の都合で相手を縛るのは、“想い”じゃなくて“支配”よ。そんなのは、恋じゃない……」

 

トガは微笑む。その顔は、泣いているようでもあった。

 

「……あはは、やっぱり分かってくれないよね。私のことを分かってくれるのは、やっぱり仲間だけ。もう、他はどうでもいいや」

 

口元は笑っているのに、声はどこか冷たく、寂しげだった。

 

「ケロ……あなたのその想いが、本当に恋だというのなら、ちゃんと届く日が来るわ。けれど、今のままでは……それは、ただの破壊衝動よ」

 

三人の間には、恋と信念と理解できない見えない壁が立ちはだかる。

それでも、彼女たちは戦う。想いを伝えるために。

 

 

「くぅ……!なんて高次元な会話なんだ…姦しいって言うけど、まさかこれほどとは………全く、ついていけない!」

緑谷は話の中心人物のはずなのに会話に入ることが出来ない

どころか…どうしたら良いか分からなくなり嫌な汗を掻きつつ3人の周りを無駄にフルカウルでウロウロする無駄な動きばかりとなった

 

「デクくん!邪魔!」

「緑谷ちゃん!邪魔よ!」

麗日と蛙吹に怒られる緑谷

 

「ご・ごめんなさいいぃ!」

 

 

この瞬間はまさに臆病者…爆豪が見れば「クソナードがあぁ!!」とキレるに違いない

 

 

……

 

 

そんな事を思い浮かべ…口角が上がり…目に力が宿り活が入った

 

「はは…かっちゃんに助けられちゃったな……僕はもう、クソナードじゃないぞ!」

 

会話を終えた3人の中心へ、フルカウルで駆け込むと同時に黒鞭が伸びる。トガは空中で体制を変えて着地するが、足元の地面が割れ、トガの足首に黒いムチが絡まった

 

「フルカウル――90%!」

 

「……やっぱり、カッコ良いなぁ……フルカウル!」

緑谷出久は歴代個性を使いこなし“黒鞭”がトガを捕まえ、地上に縫い付ける

しかし、フルカウルで強化した糸で黒鞭を巻き切り、すぐに翼で飛び立とうとするため、対策が必要だった

あえて二人のそばに着地し、触れながら“加速”をかける

「これは!!」

「なるほど、了解よ。緑谷ちゃん」

 

シュ……!

ドゴン!!

 

蛙吹の伸びた舌が加速により視認出来ない速さで口から飛び出てトガの鳩尾を撃った

「!?ぐふっ!?」

 

直後に麗日が自分に浮遊を“弱く”かけて体重を軽くする。そして…『加速』が伴った高速移動に移行

スゥ!

 

空気が抜けたような音がトガの耳元で聞こえる

振り向くと麗日が既に剛翼に触れ指を合わせていた

 

「これで終わりだよ!!」

 

ズン……

 

「えっ!?これは…っ」

 

麗日の個性はこの場面でさらに進化した。

浮遊状態から指を合わせると解除していたが、今は逆に触れた後、指を合わせ続ける事で重力が増え続ける効果が追加された。

 

「重くて…飛べない!?」

 

「麗日さんと蛙吹さんこそ…流石だよ!!

トガヒミコ… 僕は好意を向けられて嫌な気持ちにはならなかったよ。でも話の続きは…刑務所で聞かせてください。

これで終わりにします。フルカウル80%+加速  EX SMASH!!!」

 

目前に迫る緑谷を見てトガヒミコは避けられない事を悟り笑顔となる

「あ…は…『時間がない』…で、私の思いを…暴力で止めるんだね、イズクさん…私“達”と同じだね」

「…〜ッ」

 

ドゴン!!!

「くぁ……」

 

 

腹部への強い衝撃で意識を落とし、自分の姿に戻るトガヒミコ

 

「トガ…ヒミコ」

倒れる前に抱き寄せる麗日お茶子

 

彼女のその目には“また会いに行く”という決意が宿っていた

 

 

 

緑谷出久は最後の台詞を聞いて自らの拳を見つめていた

 

 

ムーンフィッシュ vs 爆豪勝己&常闇踏陰

 

崩落した隔壁の奥――その闇の奥底から、ガチリ、ギチチ、と甲高い金属音を立てて“歯”が伸びてくる。

 

「ガァアアアッ!歯枝刃々!」

 

歯刃と枝刃が建材を貫いて押し寄せた。黒い鉢巻で目を覆い、鍛え上げられた上半身を晒した異形の男。カーゴパンツの腰には黒いワイシャツの袖が結ばれている。異様に長く伸びた歯を操るその姿――ムーンフィッシュ。

 

「噛み喰み、穿ちて、貯蔵スルゥ!!」

 

 

「リベンジマッチだぜ…歯フェチ野郎が!!」

 

「ふむ?林間合宿でのことか?…だが、勝利は我々のものだったろう?」

 

「だーかーら!あの時はテメェ一人の手柄だったからよ!今度は俺もガッツリ貢献するって話だ!!」

 

「そう気に病むことでもないとは思うが……」

 

「すんだこと気にするタイプなんだよ俺はァ!!」

 

怒声と共に、爆豪勝己が爆破を利用した跳躍で飛び込む。旋回しながら連撃を叩き込んだ!

 

「ナパームショット・オートマチック・バスターー!!」

 

閃光と轟音が爆ぜる!歯刃と枝刃を薙ぎ払いながら、爆風がムーンフィッシュを押し戻す――が、なおも歯は伸び、枝は唸りを上げて再生しながら襲いかかる!

 

「くっ…しぶとい!」

 

「追撃する!!」

 

常闇踏陰が地を蹴り、低空を滑るように移動。ムーンフィッシュの死角に回り込むと、影からダークシャドウが猛然と飛び出し、その拳を敵の顔面へと叩き込んだ!

 

「……ッ!?」

 

が、その口が裂け、まるで雨のように“歯の刃”が弾け飛ぶ――!

 

「むっ…!《BLACK ANK》!」

 

ブワッ!!

常闇の影から湧き出たダークシャドウが翼のように広がり、主を包み込んで防御する!

 

「続けて征くぞ!──《Dark Shadow Abyss》!!」

 

闇が襲いかかる。常闇とムーンフィッシュの影が重なった瞬間、静かで深い“安寧の闇”がムーンフィッシュを包んだ。

 

「……な、に……これは……」

 

その場に膝をつきかけるムーンフィッシュ。体が、思うように動かない。力が入らず、殺意さえも奪われていくような感覚。

 

「こ……これは……吸われている?オレの“渇き”が……喰われていく……」

 

その刹那。

ムーンフィッシュの影が“歯の刃”に覆われ、闇ごと貫こうと蠢く!

 

「……油断ならん奴め!!」

 

「ちっ!まだ動くかよ!だったら──まとめて吹き飛ばす!」

 

爆豪が空中で火花を巻き上げ、閃光を集束。腕を振り上げ、敵もろとも砕かんとする!

 

「“閃光”──榴弾・最大圧縮ッ…! 全部、粉ッッ砕してやるよ……! 喰らえッ!

《爆裂迸翔・カタストロフ・インパクト!!》」

 

──ドォン!!!

 

空間がねじれるほどの衝撃。閃光が迸り、爆風が戦場を飲み込む。

ムーンフィッシュの歯刃は砕け散り、匕首もろとも金属片へと変わり果てた。

 

 

「ヴゥアアアアァァ……」

 

呻き声だけを残して、ムーンフィッシュは吹き飛ばされた。

 

 

「爆豪…言っただろう。ダークシャドウは光に弱い。閃光は控えてくれると助かるのだが」

 

「は?克服したんだろが。何言ってんだよ」

 

「いや…苦手意識そのものはまだ残っていてだな……」

 

「はん!だったらちょうど良い機会だったろ!強化訓練には最高だったじゃねーか!」

 

「む、むむむ……ぬぐぐ……」

 

倒れ伏し、意識の遠のく中――ムーンフィッシュは爆豪と常闇の会話をぼんやりと聞いていた。まるで、敵である自分など最初から“想定内”だったかのような、余裕と信頼に満ちた掛け合いを。

 

 

 

ギガントマキアvs Mt.レディ&芦戸

 

 

 

「グォオオオオオオオオッ!!」

 

全てを震わせる咆哮とともに、ギガントマキアがバスティオンを踏み抜く勢いで駆けてくる。その両肩にいるのは筋肉の塊と化したマスキュラーとケンドー(乱波肩動)。

 

「ぎゃはははははは!一回コイツに乗ってみたかったんだよ!!面白れえぇぇ!!」

「はーっははははは!折角、守る者がいなくなったんだ!トコトン殴り合おうぜ!ヒーロー共がぁ!」

 

対するヒーローたちは、あえて一列に並ぶのではなく、立体的に包囲陣を敷くように展開する

 

 

「敵は巨体、高火力、突進型三名……個別対応ではなく、“連動防衛戦術”を取るぞ」

 

冷静に指示を出すのは『デンニム』に成ったベストジーニスト。

彼とMt.レディがギガントマキアの相手をする手筈だった

 

しかし

 

「テメェら!大怪獣戦でもすんのかよ、混ぜろやぁ!」

 

ギガントマキアの肩から飛び降りるマスキュラー

筋繊維を幾重にも巻きに巻いて覆い続けて、ついにはギガントマキアに迫るほど巨大化し着地する

 

ドッスッッン!

 

 

「バカな!!情報ではアイツのセルドライバーは表皮を硬くするものと脚力上昇のはずだ!」

 

「情報が古りぃんだよ、ドライバーはさっき壊れた!!俺様達が玩具で遊んでるだけだと思ったのか!?強くなったに決まってるだろうがぁ!!」

 

「くぅ…おのれ!!マスキュラーは対応する、レディは!」

「分かってる!ギガントマキアは任せてッ!」

 

Mt.レディが巨大化して、ギガントマキアの目前に立ちはだかる。

 

「またお前かぁぁ!オンナーーー!」

「Mt.レディってヒーロー名があんのよ。

アンタを負かす女よ。よーく覚えときなさい!!」

 

「うおぉぉぉ!!」

ガン!

 

とMt.レディの顔面に拳が突き刺さるが首を動かして衝撃を逃す

 

「いったいわねぇ!!お返しよ…腕楸(ひしぎ)一文字……畳み折り!!!」

 

伸びきった腕を抱えて勢いのまま全体重を掛けて背面に180℃回し…折った。肩関節が完全に破壊される。

 

バキン!!

 

「うがああぁぁ!」

「はぁ、はぁ……

肘より肩の関節の方が外しやすいのよ…知らない?」

ニヤリと笑うレディ

 

優勢かと思われるが一…しかし一瞬の攻防とは思えないほどの疲労感。

当然の事だった。

体の大きさが似ているだけで力もスピードも防御力も格段に劣っている。

技と予想できない動きで対応するしかないのだ。

一つひとつの動作に神経を使い最大限の注意を払っているため、その疲労度は強くなる

 

しかし、それだけでマキアは止まらない

「うおおぉぉ…主よぉぉ!」

 

踏み出そうとした一歩目、その足下

芦戸の個性が炸裂した

 

「良いとこじゃん、一気に酸を使い切るよ!!アシッドパドル!!」

 

酸で出来た潤滑性の高い大きな大きな水溜り、いや…酸溜まりがマキアを滑らせる

 

 

 

「ぬうーあぁーー」

 

「さっすが!最高の援護じゃん!わたしはねぇ…柔道だけじゃない…プロレスも本気でやってんだからね!ギガ・フライング・ニー・ドロップ!!」

 

仰向けに倒れたマキアの鳩尾に、Mt.レディの容赦ないジャンプからの膝打ちが決まる

 

ズン!!!!

 

ギガントマキアが地面にめり込む轟音が戦場に響いた。

「ゴハァ…」

 

 

………

 

マスキュラーvs ベストジーニスト(デンニム)&峰田

 

マスキュラーがデンニムと殴り合う

 

ドゴォォン…ドゴオォォン…ドゴン!

 

「ちょっとはやる…だが、アホだな、デニム!」

 

足下の逃げ惑う峰田を守りながら戦うジーニスト

 

「ヒーローは守りながら戦う方が強いのだよ!

舐めないでもらおうか!凶悪犯マスキュラー…貴様を捕まえる!」

 

打ち合いでは部が悪いのか、デンニムが一旦後方に距離を取る

 

「は!言葉と行動が伴ってないぜ?

逃げんなよ…クラッシュデニムにしてやるぜ、それとも土手っ腹に穴開けてリップドデニムにしてやろうか!?あぁん?」

「…!?おのれ!意外とデニムを知っている!」

 

素早く追いかけられ追撃の殴打受ける、その衝撃で後方に飛ばされ土煙が上がった

 

「ぐうぅぅ!」

 

ズズズー…ン

「はっはっはっー!終わらせてやる!…うお!」

 

ドー…ーン

 

「足元にオイラのモギモギをプレゼントだぜ!」

 

峰田がマスキュラーとデンニムの動線にモギモギを大量に投げ飛ばしていた、地面と足がくっ付いて転ぶマスキュラー

 

 

 

「この…クソガキいぃぃ!テメェかぁぁ!」

 

完全にキレるマスキュラー

 

「ひーーー!?あばばばば、こ・こ・こえーよー…で、でもよ…オイラも仮免ヒーローなんだぜ?やってやるんだー」

 

 

頭から血が出るのに構わずモギモギをマスキャラーに投げ続ける峰田

 

「その紫のボールがくっ付くんだろ?種が分かりゃ対策できんだよ!つか、他のモンに触らなきゃ大した障害じゃねえ!てめぇバカだろ!」

 

ニヤリと笑い峰田に襲いかかる

 

ドカン!!

 

脚で打ち払われる峰田、直撃こそしなかったが余波と土と石が砕けた勢いのまま襲われ勢いのまま転倒する

 

「うぅぅ……オ、イラだって…“ヒーロー”だって言っただろーー」

それでも彼は立ち上がる。足が震えて涙を流し、腰が引けていても、彼は逃げない

彼の敵はマスキュラーではなかったのだ。真の敵は『恐怖』その難敵に打ち勝とうとしている

 

「へぇ…根性だけはあるみてぇだ…さっきはどうせ大した障害にならねーと思って払い除けただけだった…悪かったな、テメェは敵だよ。もう殺す」

 

「うわ、余計なこと言っちゃったぜ。でも、ちょっとだけ嬉しいよ。敵に認められるなんて……勝つのはオイラ達だけどな!」

 

そして両手の指を弾いた

 

 

途端に

パチン、パチン、パチン、パチン、パチン

 

 

全てのモギモギが弾け中から出た液体がマスキュラーに掛かる

 

シュワシュワシュワ…と炭酸のような音がする

 

「気持ち悪ぃ!!!んだ、これ?おいこらぁ!何しやがったァァ!!」

 

「へへへ、モギモギが弾けるとグレープジューススカッシュが出るんだ」

 

「あん!?」

 

「グレープジューススカッシュはな…モギモギとは逆に強制的に剥がす効果があるんだよ…あんた、何重も筋肉が“重なって張り付いて”るんだろ?全部剥がしてやるよ」

 

「な!?てめぇ!!」

 

スルスルスル

 

と音も立てずに

幾重にも巻かれた筋肉が剥がれ落ちる

 

「こんな……馬鹿みたいな奴に!!」

 

数秒で個性が剥がれ落ち未発動状態となるマスキュラー

 

そして…

 

「素晴らしい個性だ、あらゆる可能性を模索し行き着いた境地…努力が見える」

 

「へへへ!やっぱりプロヒーローに褒められた方が、超嬉しいぜ!!!」

ボロボロになりながらデンニムが剥がれたベストジーニストが土煙の向こうから現れる。

 

 

「…てめえ…生きてやがったか」

 

「… スーパーワイド・ストレッチ・モビル・デニム・スーツだったのだぞ?」

 

「だから…なんだよ?」

 

無視される

 

「貴様が最も迂闊だったのは…ブドウの彼もヒーローだと言う事を忘れていた事だ」

 

 

「グレープだぜ」

 

無視される

 

 

「ファイバーーーー!!」

 

シュルシュル!!

 

とマスキュラーがデニムで拘束される

 

「ぐ!まだ繊維がありやがったのか、ここまでかよ…くそが」

 

「肌着デニムだ」

 

「「………」」静寂が戻る。

 

ジーニストは、髪を整えながら静かに言う。

 

「ふぅ……私は……ここまでだな……」

 

バタ……ッ

 

「え!?」

 

その場にうつ伏せで崩れ落ちるベストジーニスト。血溜まりが広がり、彼の限界を察した峰田が慌てて駆け寄ってくる。

 

──彼は、とっくの昔に限界を超えていた

 

 

 

 

 

ケンドーvsファットガム&切島鋭児郎

 

 

——魂と魂がぶつかる、衝動の拳。

 

爆音とともに吹き飛んだコンクリ片が辺りに散る。

強烈な踏み込みと共に突進してきたケンドー(乱波肩動)の一撃が、ファットガムの脂肪で受け止められ、鈍い衝撃音を響かせた。

 

「また来るで!」

「了解っス、ファットガム先輩!」

 

切島鋭児郎の“硬化”が咄嗟に全身を覆い、乱波の振り下ろす渾身の拳を迎え撃った。金属同士がぶつかり合うような音が鳴り響き、地面が軋む。

 

「良いなぁ、お前ら。理屈より体で語るってのは、嫌いじゃねえ!」

乱波の目が爛々と光る。

 

「けどなァ……まだまだだよ、お前ら!」

 

ドンッ!!!

 

ファットガムと切島が同時に吹き飛ばされた。

今の一撃は防御の上からでさえ、二人の呼吸を奪うほどの破壊力だった。

 

「ヒーローだからって、正義だからって……全部救えると思ってんのか?」

「……!」

「こっちはなァ、そんな幻想とっくに捨ててんだよ。俺が拳を振るうのは、奪うためだ。奪われたもんを奪い返すためだ……自分の手でな!」

 

乱波の叫びが響く。

その拳には、ただの暴力じゃない、生き様が宿っていた。

それがファットガムの目にも明らかだった。

 

「……確かにお前の拳は重たい。正義だ悪だの話やない、覚悟の話や……せやから!」

ファットガムがぐっと地面を踏みしめる。

 

「認めるからこそ、止めさせてもらうわ!」

 

「ファットガム先輩……!」

「行くで、切島ァ! オレ達の拳見せたるぞッ!!」

 

——その瞬間、ファットガムと切島鋭児郎が駆け出した。

 

砕けた地面を蹴り上げ、敵に真っ直ぐ突き進む

《硬化》が限界を超えて発動し、彼の身体はまるで鋼鉄の塊のように輝いていた。

 

「俺だって……守りてぇもんがある!!」

「なら……来いよ、ヒーロー共が!」

 

拳が…ぶつかった

 

ズッドオォォン!!!

 

衝撃波が爆風のように辺りを包む。瓦礫が舞い上がり、視界が真っ白になる。

 

——そして、静寂。

 

煙が晴れた先に、片膝をつき、腹部から少しずつ出血をしているケンドーがいた。肩で息をしながら、笑っている

 

「……ハハ。やるじゃねぇか、テメェら」

 

切島は満身創痍のまま立ち、ファットガムは脂肪放出で痩せていた。ボロボロになった拳を前に出しながら、険しい顔で彼は言う

 

「……俺は弱ぇよ。まだまだ。でも……誰かを救うために振るう拳を、ずっと貫きたい」

 

乱波は、ふっと目を細めた。

その瞳には、どこか清々しさが宿っていた。

 

「け!ガキじゃなくて“漢”だったって事か…相手にしている奴を勘違いしてたのか…通りで負けるはずだ」

 

その言葉に、切島の目が見開かれる。

 

「鋭児郎!」

隣のファットガムの肩に、切島がぐったりと倒れかかる。

 

「……はは。ちょっとは……いいとこ見せられたっスかね……」

 

ファットガムはその頭を優しく叩き、満足そうに笑った。

 

「見せてもろたで。ちゃんと届いとる、あいつにも、皆にもな……!」

 

戦場に響いたのは、拳で語り合った男たちの誇りの音だった。

 

 

脳無やSVP社員ご次々と撃破もしくは捕縛されていく遥か上空で、マスコーダーと死柄木葬華が対峙している

 

「くそ!やるじゃんか…全然上手くいかないから腹が立ってきた」

 

「お仲間は着実に捕まってるよ? アンタもそろそろ観念して、大人しく投降しなさい」

 

「はあ? 私がいれば、状況なんていくらでもひっくり返せるのよ!」

 

「でも、ひっくり返せてないじゃん」

 

「このッ……言ってくれるじゃない……戦いも飽きてきたし、もういいや」

 

「良くない、変なことはさせない! VRED(ヴレッド)起動!!」

 

《全能力2.3倍──作身、30秒が限定だよ》

 

「分かってる!」

 

「また新しいギミック?ッて……ぐッ!! 速ッ!? なっ、見えない――!」

 

青白い軌跡を残し、超加速で翻弄するマスコーダー。

 

「プラズマ・クラスター!!」

 

広範囲に炸裂するプラズマエネルギーの散弾が空間を焼く。死柄木の動きを分析していたカタチから戦術変更の提案があり、即座にそれを採用した。

 

現状、灰濁のメンバーはほとんどが確保済み。残るは黒霧と荼毘。多くのヒーローの奮闘により、脳無とSVP社員も次々と制圧されていた。

 

さらに遠距離支援のヒーローが死柄木への援護射撃を続け、マスコーダーの負担は軽減されつつあった。

 

誰もが思った──このままなら、死柄木の拘束も時間の問題だと。

 

そしてーーーついにその瞬間が来る。

 

「いける!! プラズマ・クラスターバレット!」

 

「ちぃッ!!?」

 

どごおぉぉん……!

 

死柄木に、崩壊を介さず弾が直撃する。

 

「ヅァ……」

 

左手で受けたが歪に捻れた手は崩れ、左目も弾丸で潰れていた。

 

「クソ……マジで……ここまでか。はぁ……もっと、ゆっくり壊してやりたかったのに」

 

ため息と共に、そっと右手を胸の前に構え、掌を上に──何かを掴もうとする。

 

だが──

 

「何もさせないって言ったでしょ。プラズマ・バインド!」

 

シュル……ギュッ!!

 

「ぐぅッ!!」

 

ドサッ……!

 

死柄木が空から地表へ叩き落とされる。

 

泥が顔に付き、転がる死柄木。その瞬間を見逃さず、捕縛系ヒーローたちが一斉に拘束を仕掛ける。

 

「イッタ……はぁ、はぁ……もう少し優しくしてよね」

 

息を切らす死柄木の顔には、どこか諦めきれない影が浮かんでいた。

 

彼女が周囲を見渡せば、すでにヴィランの大半が確保され、戦争は終局へと向かっていた。

 

「ちッ……」

 

その現実に、死柄木は舌打ちする。

 

 

 

──そのとき、カタチに緊急通信が入る。

 

送信元はバスティオンの伝達系ヒーローとヘルプで搭乗している公安のオペレーター

 

声は明らかに動揺していた。

 

「観測班より緊急通達! 第3戦域中心部、エネルギー反応が異常増幅中! 拡散ではなく、一点集中型の高密度崩壊反応です!」

 

「反応源は座標コードG-04、識別ID照合より、荼毘・エンデヴァー・轟焦凍の交戦による熱圧縮とエネルギー衝突が原因と推定!」

 

「熱放射量、規定上限の4.6倍を突破! このままでは──熱核暴走に移行する危険性があります!」

 

「繰り返す! 中心部は“対消滅型爆縮”の予兆あり! 臨界圧迫まで、あと19秒! 全ユニット、即時退避を! これは命令だッ!!」

 

「くそっ……! 中心空間が歪みはじめてる……もう自然の現象じゃない! “個性”による強制干渉反応だ!! マスコーダー、現地支援班は全力退避を——!」

 

「ちょ! 何言ってるか分かんない!!」

 

「簡単に言えば、私達も無事じゃすまない“でっかい爆発”が来るってこと!バスティオンもエグゾダスも巻き込まれるレベル!!原因はエンデヴァーと轟と荼毘!」

 

「うえぇえ!? エンデヴァーさんと轟くん、なにしてんのぉぉ!?」

 

「荼毘……やりやがったな」

 

その方角には、徐々に膨張する赤と青が混じり合うエネルギー球体──まるで空から迫る隕石

 

あれが爆発、もしくは地上に落ちたと想像するだけで、背筋が凍った

 

「やばいやばい……どうしよう! カタチ! 私たちに、何かできることは?」

 

「……衛星兵器“ニュートリノキャノン”なら間に合うけど」

 

「けど!? 何!? 言って!」

 

「エネルギー消耗が莫大なんだよ!」

 

「そんなの関係ない! 出来る事あるなら後先考えず全力でやる! 準備して!」

 

「うぅ、分かってる……くっそ……! N・キャノンの照準とトリガーをN・G・ブラスターとリンク……OKだ!合図したら引いて!」

 

「了解!…目標の照準完了、発射角度の調整完了」

 

「おっけ…落ち着いてね…作身、カウントはいるよ

 

……3、2、1……撃てぇぇ!」

 

「いっけええええぇぇぇぇ!!」

 

衛星から放たれた規格外のエネルギーが、暴走する超高密度エネルギー体へと直撃する。

 

ズトオオォォォ!!

 

しかし——

 

ゴゴゴゴ………

 

ズズズズ……

 

エネルギーは吸い込まれ、かき消える。

 

「はぁ!? 嘘でしょ!!!?」

 

更に通信が入る。

 

「……ニュートリノ粒子が吸収されています! 照射エネルギー、全損!対象エネルギーフィールドが中性子波を同調収束中!」

 

「“ニュートリノ・キャノン”が通じない!?もう抑えきれない……!」

 

「中心核、熱中性子飽和圏に突入! 臨界拡張中! 再臨界まで、あと13秒!! これ以上は――!」

 

「《警告:対象反応、拡大中。周辺に“波形干渉”を確認》」

 

「もうダメだ!! 即刻退避を!! 繰り返す!! あの場は人が立ち入っていい領域じゃない! 離脱を急げッ!!」

 

「どうしよう……作身……もう、打てる手が……!」

 

「諦めない!! ニュートリノが無理なら、次はプラズマブラスターで──!」

 

「邪魔くせぇ…無駄なこと、しないでくれる?」

 

「……死柄木!? 今はアンタに構ってる余裕ないの!」

 

周りのヒーロー達はあまりの異常事態に惚けている。

拘束が『崩壊』し解かれた事にも気付かない

 

マスコーダーもその事実に目を向ける余裕は無かった

 

「こっちの台詞……いっててて……スイちゃんに縫ってもらった左手ダメになったし左目も潰れたし、ボロボロだよ。あーぁ…結果的にヒーローも助けることになるとか……ほんと、世の中どうなるか分かったもんじゃないね」

 

「なに言ってんの!?」

 

「別にアンタらは死んでもいいけど、世界を壊すのは私だし、仲間には生きてて欲しいからなぁ……ついでに生きてたらラッキーって思いなよ?」

 

「だから、何を言ってんの!?」

 

「アレを崩す手段がある。だから…邪魔するなよって言ってんの!分かれ…この頭の悪い無能が!」

 

「こ、コイツ…やっぱり口が悪すぎる!!?てか、拘束が!?」

 

「それこそ…今更じゃん」

 

死柄木が真剣な顔でエネルギー体を見つめ、右手を胸の前に出す。掌の空間が崩壊し続け、ボロボロとナニカの灰が落ち続ける。そして…中心に水晶のような領域が浮かぶ。そこには、空に浮かぶエネルギー体の姿が映し出されていた。

 

──どうやら、彼女の視界がそのまま投影されているようだった。

 

そして…彼女はその水晶を握り崩し…告げた

 

「“崩界”」

 

 

パリン…

 

 

その瞬間

 

ギユュュュウゥゥン!!!

 

……プツン

 

超高密度エネルギー体は、内側へと飲み込まれるようにして消滅した。

 

しかし、その後の衝撃波は凄まじく、ヴィラン、ヒーロー、市民問わず全員を──いや、全てを…バスティオンやエグゾダスまでも──強烈な余波で吹き飛ばされていく

 

ドオォォガガガァァァァ……!!

 

世界のすべての騒音が、一斉に襲いかかるような衝撃音。

 

「………!?!?………!!!?」

──それを最後にマスコーダーの意識は暗転した。




次回は最終決戦編の時系列です。


導入どーしよ(笑
やっぱり緑谷のダークヒーロー化?それとも……

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